2ntブログ

レスラーズ・ハイⅡ ①

〝悪魔の双生児〟タクヤとマサトのダブル・ブレーン・バスターがエンペラー権田の巨体を高々と持ち上げた。
当然、黒いショートタイツのサイドを掴んでいる。
最大限に伸ばされた薄い生地に、権田のイチモツが生々しく浮き上がる。
金玉が見えそうなほど鋭角に伸びたタイツの脇から陰毛が盛大にはみ出している。
地上のレスラーは陰毛処理をするが、地下レスラーはそんなとはしない。
少なくとも権田の陰毛は自然のままだった。
双子は権田の無様な姿を観客に鑑賞させるがごとく長い滞空時間をとった。
「オッサン、だいぶ頭に血が下がってきてるんじゃないか?」
「大丈夫。チンコに血が行くから頭にはあんまりまわってこないって。」
「そっか!淫乱オヤジだもんな。ゴンダさんは。」
一回り近く下の若造どもに小馬鹿にされても、いい返す気力もないほど権田は消耗していた。
パクパク開く口は酸素を取り込むのに必死で、虚ろな目の表情はまさに瀕死の魚だった。
お揃いの蛍光イエローのビキニタイツを履いたタクヤとマサトの肉体は、若さがはち切れそうなほど瑞々しく、輝いていた。
一方逆さに担ぎあげられている権田は肉体こそ逞しくビルドアップされているものの、精気が抜けたような表情のせいで非常に惨めに見えた。
「オッサン、チン毛丸見えー!スゲーみっともねーぞー!」
観客席から野次が飛ぶと、まわりからもゲタゲタと品のない笑い声が巻き起こった。
客席のその一画には、まるで漫画か昔の映画から出てきたような記号的なスタイルのチンピラどもが陣取っていた。
皆、客席のシートにはまともに座らず、背もたれに腰かけたり床に胡坐をかいたりしていた。
酒盛りをしているらしく、辺りにはビールやチューハイの缶が散乱し、つまみの乾きものや缶詰が散らかり放題になっている。
「男のチン毛なんて見せんなよー!Vラインのお手入れが雑なんじゃねーのー!?」
別のチンピラがスルメを咥えながら変な声色でおどける。
一層やかましい哄笑が沸き起こる。
かつてTHPWの王者として君臨し、まさに男が惚れる男であったエンペラー権田。
今や往時の威厳がかけらも残っていないことを象徴する光景だった。
チンピラどもの後方の席にひっそりと座っている昔ながらの会員たちは、権田のやられに興奮しながらも、以前のようにマスをかくこともできず、しかも場違いなタイミングの野次や笑い声のせいで試合に集中出来ずにいた。
もっとも、今の権田のやられは以前のような雄臭いやられではなく、ただの木偶のような味気なさをどうしても感じてしまう。
権田のやられがエロいのは、権田が強いからだ。
だが、最近の権田から「強さ」を感じることは難しい。
彼の試合は今日の2vs1のように常にハンディキャップ・マッチで、それでも最初の頃は果敢に立ち向かう権田の姿にグッとくる観客もいたが、そんなマッチメイクが何カ月も続くと流石の権田も心が折れてしまったようで、この頃は単なるサンドバッグのようになってしまっている。
しかも客席には、純粋に雄の闘いを楽しまない者どもがはびこるようになってしまった。
奴らの役割は会員に賭けをさせること。
一般会員は「THPW残留軍」にしか賭けられない。
負けることが解りきっている「残留軍」に賭けることを拒めば、チンピラの背後から黒いスーツの男たちが出てくる。
黒服に囲まれて、その後姿が見えなくなった会員がいるらしい・・・・
そんなうわさが一般会員の間にまことしやかにささやかれていた。
それでも脱会は許されない。
黒杭に乗っ取られたTHPWは、いやBPPWは会員たちにとって地獄になっていた。
そしてもちろんレスラーにとっても・・・・
長い長い滞空の末、権田の脳天が垂直落下式にリングに叩きつけられた。
頭頂部をバウンドさせて、リングにうつ伏せに放りだされるマッチョ・ボディー。
タクヤがぴくりとも動かない権田のタイツを腰から掴み引っ張り上げた。
今度はタイツの後ろが引き伸ばされ、逞しいケツの割れ目に黒い生地が紐のようになって食い込んだ。
「ぎゃー!男のケツなんか見たくない見たくない!」
「でもアイツいいケツしてんなー!ケツだけだったらオレ、ヤれるかも。」
「げっ!オマエそういう趣味ー!オレのは勘弁して~!」
ケツを押さえて大げさに身をよじるチンピラに、またも下卑た笑い声が沸き起こる。
そんな客席のことなど意にも介さず、タクヤが権田の首を太ももに挟む。
タクヤのパイルドライバーは、脱力した権田が倒立姿勢を取らなかったため、腰からくの字に折れ曲がったままで無理矢理敢行された。
若く野蛮な力は権田の首を不自然な角度でマットに叩きつけた。
タイツが褌のように食い込んだケツを晒した状態で、まったく動かない権田。
「ゴンダさん、もう失神しちゃったのー?」
タクヤに抱えられたままの筋肉男にマサトがため息をつく。
「こんな地味なフィニッシュじゃあお客さんが納得しないよ。」
ピシャッと音を立てて蛍光イエローのタイツの食い込みを直しながら、マサトが権田の足を持つ。
「オレ達もまだ不完全燃焼だしな。」
タクヤがニヤニヤしながら立ち上がる。
2人は権田の両足をそれぞれ持つと左右に立ち、股を思い切り開脚させた。
「ううっ・・・・」
2人掛かりの股裂きにうめき声を漏らす権田。
「おっ、まだ意識あるねえ。そうこなくっちゃ。」
リングの真ん中で、かつての王者が逆さになって大股開きを晒している。
前は陰毛がはみ出し、後ろはTバックのようにデカケツが顕わにされている。
以前の権田ならこんな状況下であっても屈辱をバネにしてさらなる闘志を奮い立たせただろうが、今の権田はマットから自分の股間を見上げて虚ろな視線を泳がせるだけだ。
「ゴンダさん美味しそうなカラダしてんだから、もっとアピールしてあげなきゃね。」
「そうそう、男らしさをウリにしてる奴の情けない姿はみんなの御馳走だから。」
悪魔の双生児の目が残虐な光を帯びる。
唐突に、キックの嵐が始まった。
双子は権田の足を持ったまま、筋肉野郎の身体のあらゆる箇所を蹴り、踏みにじった。
腹に膝がのめり込む。
リングシューズのつま先が背中に打ち付けられる。
顔面にストンピングされ鼻血を噴きだす元王者。
黄色い悪魔たちに攻められるがままにビクビクと揺れ続ける権田は、まさにマッチョの姿をした人形のようだった。
両腕はだらんとマットに投げだされ、もはや生死すら判断できかねるほど生体反応が伺えない。
「いやいや・・・・すげーね・・・・・ちょっと・・・・」
さすがのチンピラどもも、リング上のあまりに凄惨な光景に言葉を失っている。
狂ったように権田を蹴りつける双子の目は完全にイッてしまっていた。
若者にありがちな抽象的な鬱憤が噴き出したのか、生来の嗜虐性が発揮されているだけなのか、いずれにしても、この常軌を逸した暴力を止める者はいない。
チンピラの後方で固唾を呑んで試合を見ている会員たちは思った。
(権田がついに殺される・・・・・)
ふいに、リング上の動きが止まった。
しゃー・・・・・ぼたぼた・・・・
静寂に包まれた会場に、液体が滴るような音がする。
権田が失禁したのだ。
タイツ越しに垂れ流される尿が、真っ直ぐに血まみれの顔面に降り注ぐ。
尿と血が混ざりあった異様な水たまりが権田の頭を中心に広がっていく。
「ぎゃーっはっはっはっは!」
タクヤの笑い声が響き渡り、ついで観客席にもけたたましい喧騒が沸き起こった。
「ゴンダさん、芸がないね~!こんな時は射精ぐらいしろよ。生存本能とかなんとかよく言うじゃん。」
「いやいや、ゴンダさんはションベンだよ。大凱さんにお漏らしさせられてからクセになっちゃったんだろ。」
悪魔の双子は尊敬してやまない黒杭大凱に次いで権田を失禁に追い込んだことに興奮を抑えられないようだった。
目を覆うようなマジリンチに一時は静かになっていたチンピラ達も大騒ぎで悦んでいる。
もともと小便などの排泄物ネタは大好きなのだ。
後部座席の一般会員だけが、この元王者の失禁劇を荘厳な出来事として噛みしめていた。
タクヤとマサトが権田の足を離す。
バターンッと音を立てて、仰向けに大の字となった権田。
「タクヤ、オレ、ションベンしたい。」
「あっ、オレもかも。しちゃう?」
双子は蛍光イエローのショートタイツの脇から男根を取りだすと、ダウンした権田に照準を合わせた。
「ふんっ!」
シャーッ
一回り近く年下の若造に尿を振りかけられる元王者。
血まみれの顔面、盛り上がる大胸筋の先端にちょこんと突起する乳首、自らの失禁で濡れたタイツに尖る半勃起の男根、権田の身体のあらゆる部分に尿が降り注ぐ。
「ふうっ。スッキリしたぜ。さてどうする?」
マサトが陰茎をタイツに仕舞いながらタクヤに聞く。
「随分痛めつけたしな~。オレ、我を忘れちゃったもんな。」
タクヤが尿まみれの権田をつま先でつつきながら答える。
「もうやめるか。いいだろ。こんなとこで。」
「そうだな・・・・、あっいいこと思いついちゃった。」
タクヤの顔に底意地の悪い微笑みが浮かぶ。
「オッサンのションベンまみれのパンツ、顔にかぶせね?」
「いいね、いいね~!オマエやって。」
「オレかよ!まあ思いついたのは俺だしな。しゃーねーか。」
タクヤが恐る恐るといった手つきで、じっとりと濡れたタイツに手をかける。
会場の後部座席にどよめきが起こる。
プロレスラーの誇りとも言えるショートタイツを脱がせようという暴挙に、プロレスに男性性の究極を求める会員が反応したのだ。
「や、やめろーっ!」
ひとりが弱々しく、だがはっきりと抗議の声を上げた。
すると周りからも同じように声が上がり始めた。
「やめろ!やめろ!やめろ!・・・・・・」
双子の掟破りの行為に、これまで鬱憤を貯め込んでいた一般会員がついにキレたのだ。
抗議のコールを聞き、タクヤとマサトは面白そうに観客席を見回す。
いつもは一般客に威嚇の目を光らせているチンピラたちは、一般客のあまりの勢いに強張ったうすら笑いを浮かべることしかできない。
「ふん・・・生意気な。カモどもが・・・・」
タクヤが再び権田のタイツのサイドを掴んだ。
今度はしっかりと掴んでいる。
「脱がすぞっ!」
タクヤが手先に力を込めたその時、
「ちょっと待ったぁーっ!!!」
会場に凛とした声が響き渡る。
と、花道を赤いマントを翻して走ってくる男がいる。
男はリング手前で「とおっ!」と叫ぶとひらりとリングに飛び乗り、瞬く間にコーナーポストの先端に立ち上がった。
「力が正義ではない。性器が力だ!」
紺色のショートタイツ姿の男は不安定な足場にもかかわらずビシッとポーズをとった。
(キマッタ・・・・!)
そう、男はポリスマン向井こと向井卓だった。
向井は呆気にとられるタクヤとマサトを一瞥すると赤マントをひらりと脱ぎながら宙返りをした。
ほとんど音を立てずにリングに着地する向井。
「タイツはプロレスラーの命。それを剥ぎ取ろうとはふてえ野郎どもだ。この俺様が成敗してくれる!」
「オ、オマエなんだよ・・・・!?」
マサトが訳が解らないといった表情で聞く。
(よくぞ聞いてくれた!)
向井は心の中でほくそ笑んだ。
「この世の闇を明るく照らす御天道様の使者、ポリスマン向井だ!」
くるっと振りかえった向井のケツには黄色い「POLICE」のプリントだ。
(またまたキマッタ!)
さぞかし驚いただろうとタクヤとマサトを再び振り向くと、なんと双子は憐れむような目で向井を見ている。
(なんだコイツら・・・・もしや俺を警察だとは思っていないのか・・・?)
ならば、と向井はタイツの中からケーサツ手帳を取り出した。
控えおろう!という意味を込めたつもりだが双子の反応はイマイチだ。
(くっ・・・・これだからゴロツキは・・・・)
黒杭組の構成員であるタクヤとマサトにとって警察は天敵だ。だが、地下プロレスのリングでパンツから手帳を出されてもそれが警察手帳だとは俄かには想像しづらい。
双子が向井の思うようなリアクションをとれないのは無理もないのだが・・・・
御天道様の使者がダッシュで突進した。
タクヤにラリアットをかまし、間髪入れずドロップキックがマサトに炸裂した。
そのもの凄いスピードと破壊力に、ようやく客席が(こいつは只者ではない・・・・)と気付き始めた。
不意打ちの猛攻にたまらずリング外に逃げたタクヤとマサト。
「な、なんだー!?この野郎!ただで済むと思うなよ!」
怒りに目を血走らせた2人がリングに戻ろうとすると、会場の入り口から警察官の制服を着た男たちが大挙して入ってきた。
「なんだなんだ・・・・・・!?」
客席のチンピラ達は思わぬ場所で天敵の姿を見て、明らかに動揺している。
双子はあっという間に大人数の警察官によって取り押さえられた。
「ふっふっふっ!これは所謂ガサイレだ。賭博場開帳図利罪の現行犯だな!」
リング上で仁王立ちになった向井が勝ち誇ったように宣言する。
会場内のあらゆる人間が青ざめた。
「なーんて!ジョーク、ジョーク!そんな野暮なことは言わないよ。だが、今後一切賭けプロレスは禁じる!」
チンピラ達の一画からは不満の声が控え目に聞こえたが、とりあえず逮捕されないことに安堵すっるほうが勝ったらしく、概ね大人しい反応だった。
「ど、どういうことだよ!こ、こんなことしていいのかよ!」
タクヤとマサトが精一杯の虚勢を張って叫ぶ。
「それはこっちのセリフだ。この世界に誇る法治国家の中で、ここはあまりに無法地帯すぎる。」
強大な国家権力を後ろ盾に、ネイビーのビキニパンツの男がやれやれといった感じでため息をつく。
「クソッ!」
双子は怒りに顔を真っ赤にして会場を出て行った。
担架がリングに運び込まれ、半失神の権田が乗せられた。
「権田さん、今までご苦労掛けました。大変な状況でよく頑張って下さいました。」
向井が権田の手を握る。
運び出される権田のタイツの膨らみを最後にそっと握り、向井は担架を見送った。
(もう奴らの好きにはさせませんよ。権田さん、一緒に闘いましょう。)
向井は心の中で呟くと、タイツに触れた手を嗅いだ。
(ションベン臭え・・・・・・)





「どういうことじゃ?」
地下施設に新たに作られた組長室の豪華なソファに座る黒杭嘉右衛門は、大画面モニターで会場での一部始終を見ていた。
「なぜワシのシマに警察が入り込んでおるのじゃ?」
直立不動の佐田は口をパクパクさせて大汗をかいている。
役に立たない支配人に鋭い一瞥をくれると、黒杭組長はモニター画面に目を戻した。
「鷲号が動いておるようじゃな。そしてあの男も・・・・・・・・」
老人は立ち上がると、支配人に命じた。
「鷲号をここに呼べ。」
はっ!と小声で答えると佐田は逃げるように会長室を出て行った。
「因縁・・・・・なのじゃな・・・・・・・」
黒杭嘉右衛門は目を閉じると、そっと股間に手をやり、何十年も「男」になっていない男根をそっと揉んだ。


つづく

レスラーズ・ハイⅡ ②

『山の特訓場』で、桜井勇治は〝生きる意味〟を噛みしめていた。
玉潰しのめくるめく快感と激烈な刺激に酔いしれる日々だった。

「アンタ金玉ジャンキーなんだって~?」
特訓場に着いた日、モスグリーンのショートタイツを履いた男が桜井の股間の膨らみを品定めするように見ながら聞いた。
男の名は緑谷。あと二人いる〝教官〟はそれぞれ黄桜、白波といった。
黄色いショートタイツが黄桜、白波はもちろん白ショートタイツだ。
到底本名とは思えなかったが桜井は黙って受け入れた。
「よく金玉は鍛えられないって言うだろ?そんなことは無いぜ。」
白波が自分の股間を揉みながら桜井に言った。
「地下には昔、〝金玉役〟ってのがいてな、その名の通り急所攻撃を専門で受けるレスラーのことだがこいつらのキンタマは強かった!毎週のように玉潰しに遭っても次の日にはピンピンしてたもんな。」
黄桜は目を瞑って昔を懐かしんでいる。
「ただアンタの使命は金玉役になることじゃないわよね。黒杭の奴らに勝たなきゃいけない。」
緑谷が桜井の目を真っ直ぐに見据える。
「玉が潰れる快感に酔いしれているだけじゃダメ。猛烈な痛みをパワーに変えるしたたかな金玉を作らなきゃ。」
ガシっと後ろから桜井の股間が掴まれる。
「覚悟はできてるか?兄ちゃん?」
白波がクルミの実をもてあそぶように桜井の睾丸をぐりぐりと摩り付ける。
「うっ・・・・・」
巧みな玉いじりの手つきに、桜井は思わず呻いた。
「おっ?感度いいね。勃ってきたぜ。」
黄桜がタイツ越しに亀頭を撫でさする。
「ふふん・・・・久々にキレイメの男子だし、可愛がり甲斐がありそうね。」
正面に立つ緑谷は桜井の乳首を摘みながら舌舐めずりだ。
不意に乳首に強い力が加えられた。
「アンタのキンタマ、預かったわよ。」
そうして桜井の金玉修業が始まった。

この山にはいたるところにリングがあった。
原生林そのままのジャングルのような森に設置されたリングで、桜井は3vs1のスパーリングでクタクタになっていた。
「おいおい、こんなオッサンたち相手に息が上がってるようじゃ地下で勝つことなんて一生無理だぞ!」
(オッサン・・・・って言ってもな・・・・・あんたら〝超オッサン〟すぎるんだよ・・・・・・)
顔こそ中年から壮年にさしかかるくたびれ具合を見せていても、その身体は3人とも見事な張りを保った素晴らしい筋肉をしている。
たとえ1対1で闘ったとしても勝てるかどうかというところなのに、3人相手では桜井に勝ち目は無かった。
しかも連中の急所攻撃は実に的確で想像力に富んでいた。
桜井は勃起しっぱなしで、快感に喘ぎながら無駄に体力を消耗していった。
「よがってるばっかじゃ勝てねえぞ!」
「やり返してこいよコラ!」
ふらふらの桜井を容赦なく足蹴りにする黄桜と白波。
二人の股間もタイツ越しにくっきりと勃起が覗える
黄桜の、股間をむんずと掴んだゴッチ式パイルドライバーで、桜井は大の字に伸びてしまった。
すると
「あ~ああ~~!!!!」
という雄叫びとともに、密林の奥からロープにぶら下がった緑谷が現れた。
振り子のように宙を飛んできたモスグリーンタイツは、リングの真上でロープを離し、ひらりと宙返りをした。
ニー・ドロップの姿勢を整えた緑谷が、はるか上空から落ちてきた。
モスグリーンのタイツが勃起で異様に膨らんでいるのを桜井が認めた次の瞬間、
バスッ!!!!
「うごああっ!!!!!!」
ターザン式ニー・ドロップが桜井の急所を直撃していた。
「おあっ・・・・・うお・・・・・」
たまらず射精する桜井。
腫れあがった金玉がひしゃげるほど突き刺さった膝の上で、フル勃起していた陰茎から雄汁が噴きだす。
青いタイツ越しにもかかわらず顔まで届くほど激しい射精だった。
「ふん、まだまだ鍛え方が足りないわね・・・・・」
すでに果ててしまった桜井の睾丸から膝を上げようともせず、緑谷はさらにぐりぐりと急所を膝頭で踏みにじった。
「おあう・・・・・ぐお・・・・・・」
投げ出された四肢を痙攣させながら、白眼を剥いた桜井の射精がいつまでも続いた・・・・



『月刊ブラックパイル』1月号より

注目の一戦、朝倉大悟vsイ・サンウがBPPWのリングでついに実現した。
元THPWの朝倉はバズーカ緒方の恋人とも噂されていたが、BP軍とのタッグ・マッチにおいて最強の巨根メガバズーカ黒杭に串刺しにされ、その快感が忘れられず黒杭の下に走ったと言われている。
対するイ・サンウは黒杭が米国地下プロレス時代に寵愛していたというコリアン・レスラーで、昨年末に来日した際にはそのザ・ハンリュウ・スター的な端正なマスクと筋肉美が大いに話題になった。
この二人の対決は、いわばメガバズーカ黒杭の〝専用穴〟を決める闘いであると考える地下プロレス・ファンは多い。
久しぶりのBP軍vsTHPW残留軍ではないカードに、会場の熱気が普段に増して盛り上がっていると筆者は感じた。
まずは朝倉大悟の入場。
長らく試合から遠ざかっていた朝倉だが、ビューティフル・ボディは健在だった。黒杭に捨てられないようトレーニングを欠かさなかったのかななどと勘繰ってしまう。
必殺技『起承転ケツ』の使い手として鳴らした豊満な尻には唸らざるを得ない迫力があった。
久々の純白ショートタイツに熱狂的な声援を送る古くからの会員の姿が多く見られた。
スタイリッシュな照明演出でクールに登場したのはイ・サンウ。
漆黒のフード付きガウンでひらりとリング・インする様は、実にエレガント。
ガウンが脱ぎ棄てられ、ゴールドのショートタイツと剃刀のように研ぎ澄まされた肉体、甘いマスクがスポットライトに照らしだされた時には、会場中から漏れるため息が聞こえてきそうだった。
サンウがBPPWのリングに上がるのはこれが初めてであり、ファンはそのファイトスタイルについてなんの予備知識もない状態だった。
筆者の独自取材よると、甘いマスクからは想像できないパワーファイターであるというのだが・・・・。
正直、バルキーマッチョというよりは巷で流行りの細マッチョのような体躯であるサンウからは、力技で押すレスラーのイメージを思い浮かべることができなかった。
今夜の試合を見るまでは・・・・・・
序盤から飛ばす朝倉の技を、サンウはことごとく跳ね返していた。
そう、文字通り跳ね返していたのだ。
テクニシャンとして知られる朝倉だが、そのパワーにも一定の評価があった。
体つきから言えば、瞬発力重視のトレーニングで筋肉を肥大させている朝倉の方が、むしろパワー系のレスラーに見えるだろう。
その朝倉に全く技を決めさせないサンウ。
最初、筆者はそれがサンウのスピードが為せるものだと思っていた。
ところがそれが徐々に揺らぎ始め、ついには決定的な場面に遭遇することになったのだ。
試合開始から6分20秒、技が決まらず焦りが見えだした朝倉に、サンウの強烈なボディーブローが炸裂する。
身体を折り曲げダウンする朝倉。
胃液が逆流したのか口から濁った液体が溢れだしている。
涙目の朝倉の髪を掴み、無理矢理上を向かせるサンウ。
このような場面にもサンウの類い稀なパワーを垣間見ることができる。
サンウが朝倉の顔に跨った。
〝跨った〟としか言いようがない。
言うなればスタンディングのレッグシザースが朝倉の顔を捕えたということだろうか。
サンウの大腿筋が、繊維の一本一本が確認できそうなほど収縮した。
朝倉の顔の上部半分がサンウの尻からはみ出している。
艶めかしい金色の膨らみが目を引く前方からは、朝倉の首から下の身体が投げ出されている。
この技は・・・・
独自取材の過程で幾度か耳にしたあの技なのか!?
『ソウル締め』
米地下プロでこの技によってKOされたというレスラーは少なくないという。
確かに危険な技だ・・・・・
両足と股間に顔半分を圧迫され、呼吸もままならない状態だろう。
しかも技をかけられている方は、首に全体重がかかる非情に不自然な体勢を強いられることになる。
朝倉は両手足をバタつかせ必死に逃れようとするが、サンウの下肢はびくともしない。
ここで、筆者はサンウの尻が身体の他の部位に比べて妙に肉付きがいいことに気がついた。
体脂肪率がひとケタなのは間違いないサンウの身体の中で、尻だけがとても肉感的なのだ。
朝倉の口と鼻を隙間なく塞ぐのに、その肉尻はうってつけに感じられた。
朝倉の手足の動きが緩慢になっていく。
(落ちるな・・・・・)
筆者でなくともそう思った者は多いだろう。
だが、『ソウル締め』の恐ろしさはこんなものではなかったのだ。
サンウは、放っておいても意識を失うだろう哀れな朝倉にトドメをささずにはおれなかったようだ。
サンウが跳躍した・・・・!
先程も触れたが、朝倉の姿勢はただでさえ不自然で危険な状態だった。
そこに、跳躍による上下の動きが加わり、サンウが着地した時の首にかかる衝撃は想像を絶するものであったに違いない。
(朝倉の首がへし折られた・・・・!)
筆者は咄嗟にそう思った。
なんという残虐な技、『ソウル締め』・・・・・・
ピクピクと痙攣する身体によって、朝倉が存命であることがかろうじて知れた。
サンウが足を開くと白眼を剥いた朝倉の頭がリングに落ちた。
金色の股間から朝倉の涎が糸を引く。
完全失神した朝倉の顔を踏みつけ、ガッツポーズをとるでもなく淡々とした様子のサンウ。
古くからのファンはあの強かった朝倉がズタボロにされる姿を見て大きなショックを受けただろう。
イ・サンウと朝倉大悟の『メガバズーカ専用穴争奪戦』は衝撃的に幕を下ろした。
この後の三角関係がどのような様相を見せるかは推して知るべしである。

イ・サンウ○ 12分48秒 ソウル締めによるKO 朝倉大吾×

文責 地下太郎


つづく




レスラーズ・ハイⅡ ③

「ご無沙汰しています。」
代々木の竜崎邸に訪れたのは元THPW会長の鷲号だった。
数十年ぶりに顔を見るかつての想い人は当然若いころの面影をほぼ失っていた。
それでも、竜崎の胸の内には、雄の盛りの爆発しそうな精力をプロレスにぶつけながらもどうにもならなかった心の空洞を、唯一埋めることのできた男の姿がたちまち蘇っていた。
「よ、よくぞ御無事で・・・・・」
はからずも上ずってしまった自分の声に、竜崎は自分が予想以上に動揺していることを知った。
「地上にこうして出てこれたのはあの方々の計らいかな?あなたは地下施設に幽閉されていると聞いていたが・・・」
心のざわめきを相手に悟られるのを恐れるかのように竜崎は饒舌だった。
「先日、あなたからの使者から警察の動きは知らされていたが、こんなに早く・・・・・」
「とうとう動き出したのです。」
鷲号が竜崎をさえぎった。
「最終決戦が始まります。THPWを、雄の殿堂を取り戻すための闘いです。」
鷲号の鋭い眼差しが竜崎の目をまっすぐに射ぬき、老人の股間が疼いた・・・・・

THPWの会員情報を手中にすることで国家権力に力を及ぼそうと企んだ闇の組織「黒杭組」。
その傍若無人な振る舞いに、国家はただ手をこまねいている訳ではなかった。
特に警察、自衛隊など男として崇高に生きたい、死にたいと考えている男たちが多くを占める機関では、なにより地下プロレスが冒涜されることを許すまじという気運が高まっていた。
THPW会員だったそれらの機関に属する男たちは決意した。
自分たちがスキャンダルにまみれることを覚悟して黒杭組にNOを突き付けたのだ。
黒杭組のTHPW完全撤退。
これが彼らの要求だった。
黒杭組が性癖情報を世間に流せば、彼らの社会的地位は地に落ちるだろう。
それすら厭わない悲壮な決意だった。
黒杭組としては脅しの材料が無力と化すまさに青天の霹靂だった。
ならばと、会員情報を公にしたとしても、黒杭組にはなんの益にもならない。
ましてやこちらのカードを全て切ってしまえばあとは国家の報復が待っているのみだ。
脅しは、相手が怯えていなければ効力を持たない。
黒杭嘉右衛門は潮時を知る男だった。
いかに巨大な暗黒組織だろうと国家と全面戦争はできない。
表があってこその裏の社会なのだと嘉右衛門は解っていた。
THPWの会員情報の扱いは、カネでけりが付いた。
国家が暗黒組織と取引をするなどとんでもない、という考えもあるだろうが、カネなんぞで収まるならそれが一番手っ取り早い。
こうして、「雄の殿堂」を守ろうとする男たちの決意によって地下プロレスは復活することになった。
ところが・・・・
黒杭組長は最後に捨て台詞を吐いた。
「しかし・・・・THPWに残るのは弱いレスラーばかりになってしまいますな。なにしろうちのレスラーにかなう者がいませんしな・・・・・」
雄の殿堂だか何だか知らないが、強いのは自分の組織のレスラーではないかと強烈な嫌味を言ったつもりだった。
しかしこの言葉を、黒杭組と直に交渉を持った政府高官は待っていた。
「無論、ただ撤退はさせません。最後にTHPWの精鋭とガチで勝負してもらいます。」
「ほほう・・・・お宅にそんなタマがまだ残っておりましたかな?それにそんな試合をやったところでウチにはなんのメリットもない。追いだされるのですから。」
「解っています。この最終決戦にTHPWが負けることがあれば、地下施設はまるごと黒杭組に譲渡しましょう。そこで賭けプロレスでもなんでもやればよろしい。ただし会員情報が外に漏れたりしたら国家は全力であなた方を潰します。」
「ほう?随分太っ腹ですな。それともよほど自信がおありなのかな?」
「こちらとしても先の全面勝負で負けたままでは、いかに地下プロレスが元に戻ろうとも落ち着かないのです。今度こそあなたがた〝悪の力〟に打ち勝って雄の殿堂を真に復活させたいのです。」
「ふふふふ・・・・面白い・・・・・あなたたちは国家の中枢を担うエリートなのに、まるで少年漫画のようだ。」
「〝男の子〟でなくなったら男として生きる意味などありませんから。」
高級スーツをスマートに着こなした政府高官の目はキラキラと輝いていた。

「と、竜崎さんもご存じのとおり我々は「光の戦士たち」を5人、揃えなければばなりません。今回竜崎さんに骨を折っていただいたのは有望なレスラーをお借りするためと、なによりあなた自身のためでもあるのです。」
鷲号は相変わらず強い視線で竜崎を見ている。
「ワシの・・・?」
「あなたは・・・・あなたはライディーン竜崎ではありませんか。地下プロレスの神とうたわれた・・・・・。袂を分かったとは言え、あなたもTHPWが堕ちてしまうのは望まないのではありませんか?」
「・・・・・・・・」
この男・・・・ワシがどんな思いでTHPWを去ったのか解って言っておるのか?ワシの気持ちに気付いていながら今になってもそうやって気付かぬふりをするのか・・・・!?
竜崎ははるか昔の情熱を思い起こして憤怒にかられた。
(だが・・・そんなことを今更言ってもせんないことじゃ・・・・・)
「解っておる。ワシの思いはともかく、あなたに力を貸すと決めたのじゃ。それで、〝光の戦士〟とやらは目星が付いたのかな?」
「それは私からご説明しましょう。」
いつのまにか部屋に入ってきていたのは長谷部だった。
BPPWの下では清掃員をさせられていた元支配人である。
「まずは、警察が威信をかけて育成した地下レスラー、ポリスマン向井です。」

どこか小便くさい場末の路地裏、ガタイのいいふたつの影がもつれ合っていた。
「マサオ・・・・俺はお前が好きだ・・・・お前がいないと生きていけない・・・・・」
「俺だって・・・・ヨシキのためなら死ぬのも怖くねえ・・・・・ヨシキ・・・・ああ・・・・・ヨシキ・・・・・」
2人はシャツを脱ぎ棄て、中途半端な彫り物が浮かぶ肉体を擦り合わせた。
「おあ・・・・マサオ・・・・・」「ヨシキ・・・・・・」
ベルトを外したズボンがずり落ち、越中ふんどしとケツ割れの下半身が丸出しとなった。
「おいおいおい!お前らなにやってんだ~!おいおい!やっぱりそうか!お前らホモか!」
趣味の悪いスーツを着たサングラスの男が現れた。
「怪しいと思ってたんだ、俺は。かーっ!気色ワリー!このホモどもが!おっ!?どっちがケツ掘られるんだ?え?オカマ野郎が!」
「ヘイタ・・・・・このことはみんなに黙っておいてくれよ・・・・俺たち本気なんだ・・・・・」
「オカマ野郎が何言ってやがんだ!アニキに早速報告だぜ!俺はオカマが大っキレェなんだ!」
サングラスが踵を返すと、狭い路地を眩い光が照らしだした。
「人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られて死んじまえ、ってか。」
光の向こうから朗々と響く声。
サングラスには見えていた。バイクに跨る男?
男はバイクを降りるとヘッドライトの前に歩み出た。
白バイ隊員?
マサオとヨシキはまずそう思った。
だが、男は上半身こそ白バイ警官だったが、下半身は・・・・・!?
「なんだオメエ!ズボン履き忘れてきたのか?変態か!?」
サングラスがわめく。
男の下半身は紺色のビキニパンツだった。
「これは俺の仕事着だ。」
振り返った男の尻にはPOLICEの黄色い文字がプリントされていた。
「好みは人それぞれだが、差別は許さん!とおっ!」
ひらりとバック転したビキニパンツ男はサングラスの顔面にとび蹴りをかました。
目にも留らぬ早業にマサオとヨシキは声も出ない。
ヘイタは完全にのびている。
「今後こいつらにいちゃもんつけやがったら、全警察でお前をマークするからな。覚えておけ。」
ビキニ男が軽く手を掲げると、路地に大勢の制服警官がなだれ込んできた。
「おそらくナイフとか持ってるだろ。銃刀法違反でブチ込んでおけ。」
制服警官に指示するとビキニパンツはその場を立ち去ろうとした。
我に返ったマサオが慌てて聞く。
「ま、待って下さい。あなたは・・・・あなたは誰ですか?」
「俺か?俺はな・・・・」
男は再びビキニのケツを向ける。
「俺はポリスマン向井だ!」

長谷部が手に持ったリストを読み上げる。
「次は地上インディー出身、メジャーを蹴ってTHPW入りした桜井勇治です。」

桜井は温泉につかっていた。
ショートタイツのままである。
この訓練場では排泄の時以外はタイツを脱ぐことを許されない。
無色透明な硫黄臭漂うお湯につかりながら桜井は睾丸をマッサージしていた。
三人の教官による金玉攻めは日を追うごとに激しくなり、桜井は快感地獄に溺れていた。
「金玉は鍛えられる。」
教官の言葉が蘇る。
確かに、少々のことでは我を忘れて快感に呑みこまれることは無くなったかな・・・・
はれ上がった睾丸を揉みながら桜井は確かな手ごたえを感じていた。
リングで相手に急所を攻めさせて快感にひたり、最後はきっちり勝つ、という理想のレスラーのイメージが明確になってきた。
(おれは地上最強の金玉ファイターになる!)
まさにリア充の真っただ中にいる桜井だった。
(ん・・・・・!?)
温泉を囲む森の中に人影を見た気がした。
(教官かな?)
だが影が向かった方角には宿舎はない。
あちらには確か滝しか無かったはずだ・・・・・・
気になった桜井はお湯を出るとバスタオルで体の水滴をふき取り、影の向かった方に歩いて行った。
極寒の山中で、お湯に上気した桜井の身体から湯気が立ち上る。
(・・・・・・!)
いる。滝に打たれる者がいる。
誰だ?この寒い中真水の滝に打たれるなんて・・・・!?
桜井はさらに滝壺に近づいて行った。
次第に常軌を逸した人間の輪郭がはっきりしてくる。
男・・・・当たり前だ。ここは男の聖地。男しか入れない。
凄い肉体!?
なんだ?!あの盛り上がった筋肉は・・・・・
あ・・・・ショートタイツを履いている!?
あのタイツの色は・・・・!?
もしや・・・・あの男・・・・・・・!?

「3人目は元地下レスラー。竜崎さんの団体での元チャンピオン。フラッシュ藤堂です。」
そこで長谷部はかけていた老眼鏡を外し竜崎と鷲号を見た。
「彼は・・・・ちょっと問題があるようでただいま〝治療〟中ということですが・・・・・」
ふーっと竜崎が鼻息を漏らした。

「おらー、年下にボコボコにされて悔しくないのー?それとも悦んじゃってるのー?えー?トードーちゃん?」
巨大モニターの下で極太ディルドをケツにズコズコと抜き差しされながら、拘束された藤堂は目を血走らせていた。
何百回も強制的に見せられた鮫島との敗北シーン。
「うーっ!くっそー!ぐおー!鮫島ーっ!許さねー!ぐおーっ!!!!!」
藤堂の叫びが〝治療室〟にこだました・・・・・・


つづく


レスラーズ・ハイⅡ ④

闇のプロレス軍団、「ブラックパイル」を倒すため、5人の男たちを選抜する。
「光の戦士」として。
ポリスマン向井、桜井勇治、フラッシュ藤堂の3人が確定し、残る二人の名が長谷部から竜崎に告げられた。
4人目は竜崎にとって意外な人選であった。
レスキュー太助。
「警察がポリスマン向井を出すのならぜひうちも、ということで消防庁から推されたのです。」と長谷部。
向井卓は、究極の地下プロレスラーを目指して警察が総力をつぎ込んだプロジェクトだ。
「消防庁でもそのような試みがあったということか?」
竜崎の疑問に長谷部があらましを伝える。
消防の世界でも雄の闘いに胸を熱くする男はたくさんいた。
だが、自分たちで地下プロレスラーを輩出するという発想は、残念ながら持っていなかった。
ポリスマン向井のことを聞いた時、消防庁の上層部は大層悔しがったという。
国民を守る!という気概の持ち主である彼らは、あきらめきれなかった。
そこで浮上したのが「なまはげプロレス」のエース、神埼太助だったのである。
試合の怪我などで度々勤務に支障が出る太助は、消防庁では鼻つまみ者であった。
しかし完全ボランティアで地域の振興のため体を張る姿には、シンパシーを持つ男たちがいたのだろう。
今回「光の戦士」に消防代表として推薦できるのは奴しかいない。
という声が現場の事情通から多数上がったのだという。
「じゃが、地下プロレスは所謂普通のプロレスではないが、レスキュー太助はそれを知っておるのか?」
「本人は承知しております。なにより彼は藤堂の親友なのです。」
「うーむ。そういうことか・・・・」
納得顔の竜崎。
「では、最後の5人目です。」
と言う長谷部の表情が今一つ冴えない。
「竜崎さんには申し上げにくいのですが・・・・・最後のこの男が、どうしても私には不安を拭いきれないのです。」
「ふむ・・・・・」
5人目が、自分が推した男であることは竜崎には解っていた。
長谷部が不安を感じる理由も・・・・・・


都心のスポーツクラブ。
24時間営業がウリの施設ではあるが、深夜のプールではさすがに利用客はまばらだった。
もう一時間以上もコースを独占して泳ぎ続ける者がいた。
水面から突き出るクロールの腕は、「只者ではない」と思わせる逞しさだ。
ふいに男が泳ぎを止めると、プールが静寂につつまれた。
ざばっ
上腕三頭筋を盛り上げ、男がプールサイドに上がった。
ギリシャ彫刻のような肉体を覆うのは最近ほとんど見なくなったブーメラン形の競泳パンツだった。
黒を基調とした複雑な柄の極薄の布が、盛り上がった大臀筋の割れ目にほぼ食い込んでいる。
男は尻の割れ目に食い込んだ競パンを無造作に引っ張った。
ピシャっと音を立て、右臀部に競パンが張り付く。
しかし左側は食い込んだまま、豊かなケツ肉をブリブリとさせながら男はシャワー室に消えた。


「鮫島周星か・・・・・」
「会長が推されるだけのことはあって彼の格闘技センスは群を抜いています。ただ・・・・」
「奴は〝ヒール〟か・・・・・」
「ええ・・・・・。私は『光の戦士』には暑苦しいほどの正義感が必要不可欠な要素だと思っています。彼にはそういった情緒的な面で、〝熱さ〟を感じないのです。」
「うーむ・・・・・」
腕を組み目を閉じる竜崎の瞼が激しく動いていた。


「キミ、サメジマクンダネ。」
シャワーを浴びる黒柄競パンの背後から声がかけられた。
振り向くと汗がしみ込んだグレーのタンクトップに真っ赤なスパッツといういでたちのガタイのいい男が微笑んでいた。
タレントのようなさわやかな微笑み。
「ソノスピード、ニアウネ。」
男の言葉は日本語だが、どことなく違和感のある発声に感じられた。
「ボクモジムデアセヲナガシテキタンダ。」
「誰だ?」
鮫島はシャワーを止め、男の正面に立った。
180cm近い鮫島と、男は同じくらいの身長だった。
体つきは一見細いが、タンクトップから出る腕は皮膚の下はすぐ筋肉といった鋭さだった。
「ボクハ、イ・サンウ。」
なるほど、やはりこいつは日本人ではなかったのか、と腑に落ちた。
「なんで俺の名を知っている?」
「ソレハ、ボクモチカプロレスラーダカラ。」
自分が関心の無いことはほとんど記憶にインプットされない鮫島だったが、ここでようやく思い出した。
(こいつは黒杭の例のコリアン・レスラー・・・・・)
「キミ、ウワサドオリイイカラダシテルネ。」
サンウが鮫島の股間に触れてきた。
それを乱暴に振り払い、鮫島は言った。
「お前、敵だろ。」
OH!とサンウはアメリカ人のように肩をすくめる。
「イガイトカタブツナンダナ~。カタイノハチンコダケデイイヨ。」
オッサンのようなことを言ってサンウはケタケタと笑った。
「シンヤノジムデ、タクマシイオトコドウシガデアウ。ヤルコトハヒトツ。ダロ?」
ふっと鮫島は笑った。
「まあな、据え膳食わぬは、だ。」
負けじとオヤジ語で返す鮫島。
振り返ったサンウの後ろ姿に鮫島の股間が反応する。
全体の体つきに対して、アンバランスな豊満なケツ。
その不均等がえも言われぬ淫靡を形作る。
赤いスパッツが食い込むケツの割れ目に、黒柄競パンの隆起が押し付けられる。
絶妙な肉付きのケツの双丘が、フル勃起の男根を挟み込む。
スパッツと競パン、極薄のライクラを摩擦する刺激が鮫島の息を荒くさせる。
このケツはただのケツではない。
朝倉大吾との「ケツ対決」を制した悪魔のケツなのだ。
「オウ!サメジマクンのモノ、カタイネ、デカイネ、ンーコウモンガキモチイイ!」
いつしかサンウのケツは鮫島の男根を競パンごとすっかり挟みこんでいた。
「あー!俺も気持ちいいぜ!なんだこのケツ!?スゲー!」
挿入こそされていないものの、立ちバックの姿勢で下半身を連結させる二人の筋肉男の喘ぎ声が、シャワー室に反響した。
「ドウ?ボクノシリ。トウドウサンノケツヨリイイカナ?」
不意に藤堂の名を聞かされ、鮫島の腰の動きが止まった。
「アッ、マダトウドウサンノケツハアジワッテナカッタッケ?」
サンウがフフッと鼻で笑ったような気がした。
「・・・・・てめえ・・・・・」
鮫島はサンウから体を離そうとした。
だが、サンウのケツの締めつけは緩まない。
それどころかますます鮫島の男根を挟み込む力が強まった。
「トウドウサンノケツモエロイモンネ!イレタラドンナニキモチイイカナ~。」
「てめえ!離しやがれ!」
「ッテイッタッテ、サメジマクンタッテルシ。ボクノシリヲトウドウサンノダトオモッテイイヨ。」
「く・・・くっそー・・・・んぐ・・・・・がは・・・・」
「ホラホラ、チンコガビクビクミャクウッテルノガワカルヨ。ケツニビンビンヒビクヨ!」
サンウが腰を激しくグラインドさせ始めた。
鮫島の下半身がチンコごとブンブンと揺さぶられる。
「んぐ!おおお!ぐああああ!おおおおおお!!!!!!」
サンウが腰を止めた。
ケツの連結が解かれると、赤スパッツの割れ目から、ザーメンまみれの勃起競パンが現れた。
「フフ・・・コレモウワサドオリ。サメジマクンハソウロ・・・・」
「おい!!!」
顔を真っ赤にして語気を荒くする鮫島を、サンウは面白そうに眺めた。
「ソウダネ。ワカモノノプライドヲヒキサイチャイケナイネ・・・・」
サンウは精液が滴るケツをブリブリさせてシャワー室の出口に向かった。
「マタアエルトイイネ。」
サンウが出て行った後、鮫島はシャワーの青い蛇口をひねり、一向に収まらない勃起チンコに長い間水を浴びせ続けた。


「鮫島は外さん。」
しばしの黙考の末、目を開いた竜崎は断言した。
長谷部はそれ以上何も言わなかった。


つづく

レスラーズ・ハイⅡ ⑤

THPWのレスラーを次々とリングに沈めた極悪プロレス集団ブラックパイルに雪辱を果たすため、
〝光の戦士〟として5人のレスラーが選抜された。

地下プロレスの神と言われたライディーン竜崎の団体でかつてエースだったフラッシュ藤堂。
地上のインディー団体で活躍しつつも、真の男のプロレスに目覚めてしまった〝金玉ファイター〟桜井勇治。
警察庁で極秘裏に「創り上げられた」究極の地下レスラー、ポリスマン向井。
地域振興に青春の炎を燃やす熱血消防隊員レスキュー太助。
ライディーン竜崎の元で藤堂と鎬を削り、そして打ち負かした天才ヒール、鮫島周星。

彼ら5人すべてが申し分ないプロレスの技量を持ち、また、プロレスによって「男」を燃え滾らせることができる真の地下ファイターだった。
だが同時に5人すべてがそれぞれの情欲に葛藤を抱えていた。
「逆説的じゃが、それでこそ地下プロレスラーといえるのじゃ。」
竜崎老人はそう言った。
神と謳われた現役時代の自分が、情念の炎に焼かれんとしていたことを想い出していたのかもしれない。
自らの「性癖」を極め、そして克服するために別々に特訓に励んでいた5人にいよいよ招集がかかった。
明日、THPWの地下施設に〝光の戦士〟がついに顔を揃えることになる。
地下道場の汗や体液が染みついたリングのマットをしみじみと眺め、
THPWの支配人、長谷部は感慨に浸っていた。



「どんだけデカいんだよ、ここは・・・・!?」
藤堂猛はTHPWの広大な地下施設をさまよっていた。
つい昨日までこの巨大地下建造物の一室で、変態医師ラーによる〝特訓〟の日々を送っていた藤堂。
「ん~、だ~いぶ良くなってきたかな~。タケちゃんの~、トラウマは~、結構根深かったから~、心配だったけど~、ま~あこれなら何とかなるんじゃな~い。」
ラーの治療とは、対鮫島戦における藤堂のやられのビデオを強制的に見せながら、実際に性感帯を刺激(それはあらゆる手段が用いられた)し、藤堂の鮫島に対するPTSDを緩和していこうというものだった。
ようするに、どんな鼻血モノのエロ動画だって何度も見れば飽きてくるよね、といった理論(?)に基づいていたわけだ。
数か月に及ぶエロバージョンのルドビコ療法を経て、藤堂の身体中に取り付けられたバイタル測定機器はラーの思惑通りの数値を示すようになってきた。
「ま~ね~、恋する男の色気は大切だけど~、タケちゃんは極端?だからね~。ちょっと中和しとかないとね~。」
キューブリック的な世界を現実に体験してしまった藤堂は、それでもどこか清々しい気分になっていた。
(鮫島とは、これから仲間としてやってかなきゃならないしな・・・・・)
ふいに、あの屋外球場リングで自らの肛門に逞しい亀頭が触れた瞬間がフラッシュバックした。
「いかんいかん・・・・!」
藤堂は激しく頭を振ると、廊下に設置された施設内マップの解読に集中した。
「一体ここはどこなんだよ?えーっと現在地現在地・・・・・」
かちゃっ・・・
ドアが開く音に振り向くと、背後の入り口が開いている。
誰かいるかな、道を聞こう、と藤堂は室内を覗いてみた。
そこは天井の高いかなり広い空間で、手前にはベンチやバーベルが整然と置かれている。
つん、と鼻孔に刺さってくる独特の臭気は藤堂にはお馴染みの臭いだ。
たくさんの男達が流した夥しい量の体液が染みついた場所。
暗い室内に目が慣れてくると、空間の中央に荘厳な雰囲気を纏ったシルエットが浮かび上がってきた。
リングだ。
(ここは道場か・・・・。どっちの?THPWか?それとも・・・・黒杭・・・?)
人気のない道場をリングまで歩みを進めると、四角いマットの中央に何か置かれているのが見えた。
(あれはなんだ・・・・?布・・・・?)
藤堂は靴を脱ぐとリングに上がった。
廊下の明かりがようやく届くリングで、その布のようなものが何故か藤堂の心を騒めかせる。
(ま、まさか・・・・!?)
拾い上げたその〝布〟は微妙に湿り気を帯びていた。
指に伝わる感触は藤堂にとっては知り尽くしたものだった。
(パセリさんの作ったタイツ・・・・。い、一体誰の・・・・!?)
指が震える、
この使用後未洗濯と思われるショートタイツが誰のものなのか、藤堂は知っているような気がしていた。
廊下からの乏しい光にタイツをかざしてみる。
ライト・パープルの艶めかしい光沢が藤堂の全身を硬直させる。
「こ、こ、これは・・・・・・!?」
(鮫島のタイツだ・・・・・・・!!!)
全身がぶるぶると震え始める。
動悸が急激に高まり、どくどくと脈打つ血流の音が自分でも聞こえるようだ。
男根は極限まで膨張し、ケツの奥がヒクヒクと蠢きはじめる。
理性は彼方に吹っ飛び、瞳孔開きまくりでハァハァと喘ぐ藤堂は、発情した犬となり果てていた。
タイツのVラインから視線を外すことができない。
(さ、鮫島のマラに密着していた部分・・・・)
屋外リングで藤堂を痛めつけ尽くし、トドメにケツを犯さんと最高潮に勃起した男根を包んでいた紫の生地。
獰猛な雄が、生贄の雄を征服する儀式のために選んだ装束。
鮫島の男として完璧なショートタイツ姿が脳裏に蘇る。
次の瞬間、藤堂はその小さな紫の布に顔を埋めていた。
「ああっ・・・・んぐぅお・・・・んはぁ・・・・・・ぉあああぅおああっ・・・・・・」
がくっと膝から崩れる藤堂。
左手でタイツを顔に押し付け、右手はジャージの腰紐を緩めんともどかしく動かされる。
ようやく右手がジャージに差し込まれ、ケツ割れを引き裂かんといきり勃つ己の男根に到達した。
「ぉあああっ!鮫島・・・・・!んふおあ・・・・・・・」
タイツから立ち上る男の臭い。
男の本質の謎を解き明かす鍵となる微粒子が、空気を媒体として藤堂を狂わせる。
ラーの〝治療〟がたった一枚の三角の布によって灰燼に帰した瞬間だった。
そこに、
「藤堂ーっ!自分を取り戻せ!これは罠だ!」
「・・・・・・・!?」
突如響く怒声に、我に返る藤堂。
廊下の入り口から、オレンジのショートタイツを穿いた男が駆け込んでくる。
レスキュー太助だった。



「アレ・・・チョットソウテイガイ?」
藤堂が痴態を晒すリングを映し出したモニターを見ていたイ・サンウは振り返った。
背中に密着して荒い息をついている男が舌打ちした。
「チッ・・・!もうちょっとで藤堂が俺のパンツでイクとこだったのに・・・・」
サンウに張り付いていたのは鮫島だった。
「ソレヲミナガラサメジマクンモドウジニイキタカッタノニネ。クスクス・・・・」
「う、うるせえ!」
サンウの豊満な生ケツに押さえつけられた鮫島の勃起男根が心なしかちょっと萎える。
「フウ・・・。チョットキュウケイシヨウカ。」
サンウは鮫島の勃起マラを挟んでいたケツタブの筋肉を緩め、革張りのソファに身を沈めた。
「マアドウナルカ、ナリユキヲミテミヨウヨ。」
「ふん・・・」
鮫島は不満そうに鼻を鳴らすとマルボロに火をつけた。



「藤堂、目を覚ませ。今までの苦労を無駄にする気か?」
「た、太助・・・・、どうしてここに?」
「長谷部さんのとこに行こうとして迷ったんだ。そしたらお前の喘ぎ声が聞こえてきて。」
「そ、そうか・・・・。すまん、恥ずかしい所を見せちまったな。」
「それよりここを離れるぞ。これは絶対ワナだ。お前を陥れるためのな。」
藤堂は頷いた。
確かに人気のないリングに置かれた鮫島のタイツは、藤堂を釣るためのエサとして最適だった。
藤堂は、ついさっきまで手にしていた禁断の布に目をやった。
無造作に投げ捨てられたショートタイツが、魔性の誘いを囁いている。
(もう一度、もう一度だけ臭いを嗅ぎたい・・・・・)
藤堂の目が異様な光を放ち始める。
「ほらほら、さっさとリングを下りろよ。後でおれのパンツ嗅がせてやるから。」
太助は藤堂の背中を押してロープをくぐらせた。
リングを下りた藤堂は、改めて太助を振り返った。
「お前、なんでそんな恰好してるんだ?」
オレンジのショートタイツにニーパッド、リングシューズまで着けている。おまけに頭にはトレードマークの白いハチマキだ。
まんま試合の装いでリングに立っている。
「いや、俺、ずっと山で特訓受けてたんだけど、あそこショートタイツ以外着ちゃダメなんだよ。それで普通の服は全部家に置いてきちゃってな。今、送ってもらってるとこなん・・・・」
ガチャーン!!!!!
すさまじい轟音を立て、藤堂とリング上の太助の間に鋼鉄の格子が下りてきた。
「おわっ!!」
突然の衝撃に藤堂は尻餅をついて倒れた。
ガシャーン!ガシャーン!ガシャーン!
たちまちリングの四方がケージで囲まれてしまった。
「な、なんだよ!!!!」
まさに檻に捕らわれてしまった太助。
「ふはははは・・・・・・・!!!!」
不気味な笑い声が天井から降ってくる。
藤堂と太助が呆気に取られていると、上空の暗闇から・・・・・!

なんと、僧侶がひらりと降り立った。

「活殺自在、極楽往生、この道を、力強く、前へ。」
シャンッ!と錫杖を鳴らし、笠を被った法衣姿の大男が言った。
「玉砕坊主、グドー参上。」
スティールケージの内側で謎の坊主と太助が睨み合う。
藤堂には、カーンッ!というゴングの幻聴が聞こえていた・・・・



つづく
















レスラーズ・ハイⅡ ⑥

「玉砕坊主、グドー参上。」

突如現れた僧侶姿の大男。
その尋常ならざる殺気に、鋼鉄製のケージに〝捕らわれた〟レスキュー太助と、リングから締め出された藤堂に緊張が走る。

「何者だ!」
「・・・・この世は闇。
どんなにキレイゴトで覆い隠しても人間の心に巣食う闇が滲み出すのを止めることはできんものよ。
ならばその闇に忠実たることが人の道。
己の暗黒面を極めてこそ人、すなわち『男』なのだ。
キサマらのような闇を否定する偽善者など男を標榜する資格すらない。
このグドーが成敗してくれるわ!」
「な、なにを!寝言は寝ていいやがれ!」

(こいつは黒杭組の刺客。〝闇の戦士〟だ)
瞬時に状況を読んだ太助は怪僧侶に掴みかかっていった。

「気を付けろ!太助!」
金網を掴んだ藤堂が叫ぶ。
(コイツ・・・・ただならぬ雰囲気を醸している・・・・イヤな予感がする・・・・)

「ハーッ!」
目にもとまらぬ俊敏さでグドーとの間合いを詰める太助。
山での特訓が、彼のスキルを格段にアップさせていた。
棒立ちの僧侶に先制のラリアットが炸裂すると思われた瞬間、
「ソモサン!」
鋭い一喝の声とともに錫杖が太助の鳩尾を射抜いていた。
「ぐぅえあっ・・・・・!」

胸を抑えてのたうち回る太助。
全身から汗が吹き出し新調したパセリ製のオレンジショートタイツにケツ筋の汗染みが浮き出る。
「ぅんぐおお・・・・・」
「太助ーっ!」
叫んだ藤堂はスティールケージの囲いにリングへの侵入口を求めて走り回る。

「ふん、痛いか?この杖の一撃は己の心に背いている者にことさら効くのだ。
キサマが正直ではない証拠だ。
そら、ソモサンッ!!」
錫杖の突きが、のたうつ太助の左腿に打ち下ろされた。
「ぐぎゃおぅっ!!!」
脂汗を全身から吹き出させたオレンジタイツがのたうち回る。
錫杖の上方の先端の金具がシャンシャンと禍々しい音を立てる。
「太助っ!タスケーっ!」
リングを何周しても侵入口は見つからない。
藤堂はついに金網をよじ登りだした。
「小癪な。ソモサンッ!」
「ぐわっ!」
金網に張り付く藤堂に錫杖突きが繰り出された。
思わず手を放し床に落下する藤堂。
(んぐわぉ・・・・・な、なんて衝撃だ・・・・金網越しでこの威力・・・・直接食らった太助は・・・・!?)

「ふん、キサマが藤堂か。本来はキサマを嬲り殺すはずだったのだが。
予定通りに事が運ばないのは己の精進が足りない故。
反省の念をこめてコイツを始末するまで。」
笠の下で残虐な目が光る。
「おっとその前に。」
極悪僧侶グドーが法衣を脱いだ。
それは一体どういう仕組みになっているのか、
ワンモーションで僧侶の姿がプロレスラーのそれに代わった。
「衣替えの術だ。」
最後に大きな傘が投げ捨てられた。
ワンショルダーのアニマルスタイルのタイツ。
ライクラの光沢を放つ極薄の生地は、漆黒だった。
極限までハイレッグに吊られたVラインからにょっきりと伸びる堂々たる大腿部。
リングに根を下ろしたかと思える地下足袋の上部には巨大な子持ちシシャモを思わせるカーフ。
ワンショルダーに片側を覆われた大胸筋に浮き上がる乳首の生々しさ。
そしてもう片方は、まさに生の乳首が黒々と存在感を放つ。
まさに破壊のために肥大させたとしか思えない獣じみた両腕、両肩。
パンパンに張り詰めた巨大な大殿筋は肉感的などという言葉では言い表せない煽情的な曲線を描き、
双丘のセンターに深く刻まれた深遠な谷には、黒いタイツがこれでもかと食い込んでいる。
そして鋭角に尖るVゾーンの先端はまさにもっっっこりと盛り上がり、それを視界に入れたが最後、何人たりとも不安を感じずにはおれない凶暴さを放つのだった。
しかも手入れされていない陰毛がハイレグタイツから奔放にはみ出しまくり、下肢の剛毛と境界線なく繋がっているのだ。

(な、なんというエロ坊主・・・・・!)
金網から落ちた藤堂は立ち上がることも忘れて、フェンスの向こうの肉獣から目を離せないのだった。

「さて、」
顔面でさえ男根的なスキンヘッドが錫杖をコーナーに立てかける。
「コヤツはキサマの親友だと聞いている。〝親友〟?笑わせる言葉よ。
互いの劣等感を慣れあいで誤魔化し、その実腹の底では優越の材料を探り合う醜い関係。
それが嘘にまみれた世界での〝シンユウ〟という関係性の実態だ。
俺が闇の力でもってキサマらの欺瞞を暴いてやる。」
肉獣が瀕死のオレンジタイツに静かに歩み寄っていった。



「おー!また一段と逞しくなったんじゃないか~!」
完全にエロい眼差しの長谷部に大胸筋の硬さや大殿筋の張りを撫でまわされているのは
桜井勇治だ。
山深くにあるTHPWの特訓場で、ありとあらゆる金的の鍛錬、所謂〝金トレ〟を積んだ若きレスラーは、
数ヶ月前の中二病的なウジウジ感が一掃され、大人の雄の精悍さを纏っていた。
Tシャツに青いショートタイツ、リングシューズという出で立ちの桜井。
長谷部があくまでもさりげなさを装いながら股間に伸ばしてくる手を、
やんわりと制止する。
「俺の急所に触れるのは危険ですよ。」
さわやかな笑顔に見えるイケメンの眼が獰猛な獣の光を宿すのを感じ取った長谷部は、
素直に手を引っ込めた。
「す、すまん・・・つい・・・・」
ここは地下施設の一角を占めるTHPWの事務局内にある応接スペース。
桜井は明日の〝光の戦士〟ミーティングに参加するため、山から下りてきたばかりだった。
「他の連中はまだ来ていないんですか?」
「いや、藤堂はもともと施設内で〝調整〟してたし、向井は今は試合会場で警備に就いていて、
太助はさっき姿を見かけたな。鮫島はよくわからんがたぶんその辺にいるんだろ。」
「じゃあ俺が最後ですね。そういえば長谷部さん、俺、特訓場の滝である人を見かけたんですけど。」
突如、長谷部がせき込み始めた。
「んげほっ!げほっ!・・・んぐおぁ・・・・・」
どうやら飲んでいたお茶が肺に入ったらしい。
「大丈夫ですか?」
桜井がゴツい手で長谷部の背中をさする。
「す、すまん・・・・い、いや・・・・ちょっと・・・ちょっと驚いてしまってな・・・・・」
「驚く?じゃ、あの人は・・・、あの滝に打たれていた人のことを御存じなんですね?」
「・・・・・んん・・・・そ、それは・・・・・んー・・・・」
「長谷部さん、もう隠さなくたっていいじゃないですか。俺、解かっているんです。
あの滝に打たれていたショートタイツの男は、あの人は・・・・・」
ブボーン!!!
突然応接スペースの大画面モニターが起動した。
「な、なんだこれは・・・・!」
「太助・・・・!」
反射的に画面に目をやった二人はそこに映しだされる地獄絵図に絶句した。



レスキュー太助が血ダルマでリングに這いつくばっている。
ピクリとも動かないオレンジタイツのマッチョは、もはや意識があるのかどうかさえわからない。
「太助ーっ!」
金網に張り付いて叫ぶ藤堂の声は太助に届いているのか。

タイツ姿になったグドーはまさに筋肉兵器だった。
錫杖による凶器攻撃で動きを封じられた太助は、グドーの残虐エロ技の披露目のためのデモ・レスラーになったかのようだった。
肉体を痛めつけると同時に、確実に屈辱感を植え付けるポジションを外さないグドーの技さばき。
その効果が絶大なのは、太助が痛めつけられ絶叫しながらも完全に勃起していることから明らかだった。

「ぅおらっ!見下げた野郎だぜ!弱すぎる。キサマのような弱いヤツは俺のような強い男に踏みにじられながらアヘアへと汁を垂れ流すのがお似合いだぜ!完全な負け犬としてな!」

そして太助を甚振り尽くすグドーの股間は、一目見ただけで凍り付きそうなほど邪悪に盛り上っていた。
玉砕坊主グドーは真性のサディストだった。

「さて、そろそろフィニッシュといくか。この橙パンツは弱すぎる。
おっと藤堂、キサマのことを忘れていた。
どうだ、シンユウとやらが目の前でボコボコにやられヨガっている姿を見るのは。」
「こ、この野郎・・・・、俺とやりたいならとっととこのアミを外しやがれ!グチャグチャにしてやる!」
「ぐははは、上手い演技だ。シンユウの身を案じて怒れるヒーローってとこか?
だが、このグドーの心眼は誤魔化せない。キサマの本性は手に取るようにわかる。
ほれ、己の股間はどうなっている?まさか気付きていない訳はあるまい。」
「ぅぐ・・・・・・」
藤堂のジャージは、昼下がりの高校生のように盛大にテントを張っていた。
太助がズタボロにやられるのを見て猛烈な怒りを感じながらも、心の兄弟とも言える親友がエロ技に喘ぎ苦しむ姿が、その関係が深いからこそ己の疑似体験になってしまった藤堂は、意に反して興奮していたのだった。
〝地下プロレスラーの性〟故の昂ぶりとは言え、親友が蹂躙されている最中におっ勃てる自分に、反吐が出るほどの嫌悪感を感じる。
だが、いきり勃った男自身はひと擦りでイってしまいそうなほど膨張しきっているのだった。

「ぐははは、滑稽だ、愉快だ!
よし、俺だけスッキリしちゃ悪いな。キサマにも快楽のおすそわけだ。ほら。」
呆然とする藤堂の目の前で、金網の隙間から紫色の布が差し込まれた。
ぱさっと床に落ちたそれは、確認するまでもなく鮫島のショートタイツだった。

「ほら、拾って手に取れ。今からこの弱っちい橙パンツを〝地獄に昇天〟させるから、
俺と橙パンツ、そしてキサマと3人同時に闇に堕ちようではないか。ぐははははは!」

藤堂の膝がガクガクと震えだし、やがてそれは全身に広がった。
〝怒り〟なのか、それとも鮫島のタイツに〝欲情〟しているのか?

「そうだ、言い忘れていたが、この顛末は一部始終が地下施設のあらゆるモニターに映し出されている。
〝光の戦士〟とやらが闇に飲み込まれる瞬間をとくと見てもらおうぞ!」



「おい!あそこはどこだ!至急特定しろ!」
長谷部が内線電話で方々に指示を飛ばしている。
「太助、藤堂、今行くからな!頑張ってくれ・・・・!」
今にも飛び出していきそうな桜井を長谷部が必死で止める。
「やみくもに探しても駄目だ!この施設は恐ろしく広い。待つんだ。今は待つしか・・・・・!」


「アレアレ、コレハソウテイガイ。」
「アンタが仕組んだんじゃねえのかよ?」
「チガウチガウ!ボクハパンツヲシカケタダケ!」
「じゃあ、それすら利用された訳か。恐ろしいな、黒杭組さんってとこはよ・・・・」
「ソウ・・・・オソロシイトコロ・・・・・・クロクイハネ。」
サンウが鮫島の萎えかけた男根を口に含む。
「お、おい・・・・・」
それ自体独立した生き物のように亀頭を這い回る絶妙な舌使い。
「んうっ・・・おあ・・・・・」
再び硬さを取り戻す鮫島の男根に、サンウの目が怪しい光を放っていた。


THPWの公式リングのある大ホールでは観客たちが騒めいていた。
突如巨大スクリーンに映し出されたスカッシュ・マッチ。
謎の巨漢にオレンジタイツのマッチョがボコボコにされ、今まさに陵辱のクライマックスを迎えようとしている。
そしてケージの外の男臭い野郎。
二人が光の戦士であることがテロップで知らされると観客は歓喜の声を上げた。
だが、光の戦士は明らかに絶体絶命の窮地に立たされていた。
状況が解かってくるにつれ、観客たちの間に絶望が伝染していった。
ここでまた光が闇に敗れてしまう光景をみることになってしまうのか・・・・!?
あの、運命の日のトラウマが観客たちの心を騒めかせる。

「向井さん!まだ場所は特定できてません!」
大岩が走ってくる。
「そうか・・・・奴らめ、正々堂々とこのリングで勝負できないのかよ!極道め・・・・!」
向井のケツが怒りで収縮し、ネイビータイツのPOLICEの黄色いロゴが歪む。



「ふふふふ、父上の考えそうな卑劣な先制攻撃ですね。」
「ワシは卑劣と呼ばれることなどなんの呵責も感じないぞ。むしろ称賛と思えるわい。」
黒革のゴージャスな椅子に身を沈める黒杭嘉右衛門の視線の先には、
暗い部屋でそこだけライトアップされた巨大な水槽があった。
透明なガラスの向こうには、潜水マスクを被った黒ビキニ一丁の男が漂っていた。
彫刻のような完璧な肢体。
超ビキニ競パンに浮き上がる男根の逞しくも艶めかしい膨らみ。
水槽の脇のスピーカーから声が響く。
「まあ、雑魚は雑魚に任せておけばいいでしょう。
俺が、このメガバズーカ黒杭が本当に陵辱したいのはひとりだけ、ですからね。」
黒杭嘉右衛門の眉が動く。
「またそんなことを。お前、〝超成長液〟に浸かりすぎておかしくなってるんじゃないのか?あの男は今頃野垂れ死んでお・・・・・」
「あいつは生きています。必ずまた俺の前に現れる。俺に陵辱されるために、必ず。」
スピーカーからの声はボコボコッという泡の音とともに微妙な電子音を帯びている。
「緒方大輔・・・・待っているぞ・・・・。」




つづく







レスラーズ・ハイⅡ ⑦

「俺のタイツを返してくれないか?」
突然耳元に囁く声に、田代誠二は驚いて振り返った。
真後ろの席には誰もいなかった。

会場の大スクリーンではレスキュー太助が謎のスキンヘッドレスラーに血祭りにあげられている。
テロップでは「玉砕坊主グドー」と紹介されたその筋肉兵器は、太助を一方的に痛めつけていた。
極薄のオレンジのショートタイツは、太助が完全に勃起していることを隠すどころかかえって強調していた。
今では雄汁の先走りが亀頭の形をくっきりと浮き上がらせている。
肉体を破壊しながら、同時に雄の本能を昂らせる技術。
一流と呼ばれるプロレスラーが一流たる所以。
まして地下プロレスラーなら必須の資質。
グドーは太助を痛めつけ、そして〝犯して〟いた。
未だ正式に顔合わせもしていない『光の戦士』の一人が、『闇の戦士』によって陵辱されている。
この緊迫した状況の中、本来なら話しかけられてもなにも耳に届かないだろう。
だが、誠二にははっきりと聞こえた。
いや、脳に直接信号を送られたようにも感じる。

「俺のタイツを返してくれないか。」

あの声は・・・・
誠二にそんなことを言う男は一人しかいない。
真空状態で密封されたビニール容器に保存された赤いタイツ。
その持ち主は、それを穿いていた男は・・・・
「緒方さん・・・・・」
誠二は怒号が飛び交う会場の中、一人静謐の中に切り取られていた。





「ぅおらっ!」
グドーの手刀がグサグサと太助の筋肉にのめりこむ。
「俺の地獄突きはどうだ?極楽気分だろ?ぐわはっはっ!」
黒タイツの股間をイヤらしく見せつけるようにポーズをとりながら、一発一発間隔を空けて地獄突きが繰り出される。
その度に太助の身体は釣り上げられた瀕死の魚が甲板で弱々しく跳ねるように身をくねらせ、オレンジタイツの光沢が鱗よろしく 煌めくのだった。
腹、背中、肢、喉、顔面・・・・太助の筋肉は地獄突きの履歴を示すように変色し腫れあがった。
激しい動きで捲れ上がり、ケツにあらかた食い込んだタイツが男の深層を刺激する。
極楽気分の地獄突き・・・・
確かに今の太助にとって、グドーの手刀は昇天の核に向かって打ち込まれる杭のように、やがて来る途轍もない快感を予感させているのだった。
銃弾を食らうゾンビのようにリング上で舞う太助のケツに、片膝をついた坊主の狙いが定められる。
「ソモサンッ!」
「んぐはっ・・・・!」
手刀はついに太助の肛門に撃ち込まれた。
「あぐぅあああああ・・・・・」
刀は楔となり、雄の核に到達せんと激しく振動する。
鍛えられたケツの筋肉が痙攣し、神聖な雄の門を守ろうとする。
いや、迎え入れようとしているのか?
痙攣は全身に伝播し、ケツを捕らえられた太助は仁王立ちのままエビ反りになって悶絶する。
「んぐおああああああおああああああ!!!」
絶叫とともに大量の涎が太助の顎を伝い、大胸筋に滴り落ちる。
「ほう、まだイカないか。思ったより頑張るな。」
手刀がケツから抜かれると、太助はそのまま背後に倒れていった。
その髪を掴みグドーは無理やり太助を立たせる。
「まあここでイカれてはお楽しみが台無しだがな。」
グドーは太助の髪を掴んだままフェンス越しに移動した。
「藤堂!オマエの準備はどうだ?そろそろ3人で極楽往生しようぞ!」
フェンスの外では、藤堂が汗を滴らせながら震えていた。
血走った眼が向ける視線は、鮫島の紫のショートタイツと太助の怒張しきったオレンジの膨らみを忙しなく行きかう。
ピチピチ目のジャージが破けるかと思うほどに藤堂の股間も暴れていた。
「うおーっ!!!」
突然叫んだ藤堂はポロシャツとジャージを脱ぎ捨てた。
黒いケツ割れ一丁の雄臭い体躯が顕わになった。
「ぐわっははは!とうとうその気になったか!いいぞ!思う存分股間を揉みしだくがいい!シンユウの哀れな最期、妄想の情夫の下穿、オカズは申し分あるまい!ぐわっはっはっは!」
怪坊主の豪胆な笑い声がモニターを通じて地下施設全体に響き渡った。






「長谷部さん、あそこが何処だかわかりました!」
内線電話の声はポリスマン向井だ。
「でかした!」
パソコンの画面には複雑な地下施設のマップが開かれている。
「てっきり黒杭のエリアだと思っていましたが違うようです。どうやら相当昔に使っていた区画ですね。大規模な改築が行われてからはほとんど人が立ち入らくなった場所です。」
「あそこか・・・・」
「現在のデータでは詳細は負いきれませんがとりあえず入口はわかりました。俺たちも早速向かいます!」
内線の受話器を置いた長谷部は複雑な表情で押し黙っている。
「どうしたんですか長谷部さん!すぐ行かないと!」
桜井がせかす。
「あ、ああ・・・わかった。だがあそこは危険だぞ。まるで迷路だ。」
「迷路だろうが何だろうが行かなきゃ!藤堂と太助が!」
「罠・・・・かもしれんぞ。」
「えっ!?」
「そもそもあんなところへ藤堂と太助が迷い込むのが不自然だ。知らぬ間に誘導されていたのかもしれん。」
「で、でもこのままでは・・・・・」
 
「ぐぎゃーっ!!!!」

すさまじい悲鳴にモニターを振り返る長谷部と桜井。
「な、なんだあの技は・・・・・!?」





片手のネックハンギングツリー、半分はその言い方が適当だろう。
グドーの凄まじい怪力は、決して小柄ではない太助の身体を右手のみで持ち上げていた。
呼吸のままならない太助の顔面が真っ赤に膨張している。
そして、左手は、
太助の股間をがっしりと握っていた。

「ふははは、俺が玉砕坊主と名乗っているのはこれが理由だ。玉を砕くのが好きなのだ。ぐははははは!」

グドーの巨大な手は親指、人差し指、薬指、そして小指で太助の睾丸をぐりぐりと圧迫する。
そして中指は、タイツの食い込んだケツの中止にのめり込んでいた。
玉と肛門を同時に攻められ、首も絞められている太助の男根はいまだ最高潮に勃起していた。
「この技で射精しなかった男はいない。どんな屈強な野郎であろうとも必ず白目を向いて昇天したものよ。」
グドーの左手に力が込められたのがスキャナーズのように浮き出した血管でわかった。
「ぎぐんなおあああーっ!!!!!」
泡を噴いて絶叫する太助。
「ほれ!もうこいつは持たないぞ!俺もいい感じだ。藤堂!Ready?」
横文字を使う僧侶。
全身がバイブレーターのようになって震えていた藤堂が鮫島のタイツを拾い上げた。
「そうだ!そいつを嗅げ!鮫島の男根の臭いが凝縮されているぞ。雄臭を堪能しながら股間を扱くのだ!ほら!極楽浄土はすぐそこぞ!ともに精子渦巻く三途の川を渡るのだ!」





地獄!?天国!?
桜井の視線はモニターに釘付けになっていた。
「・・・・あの技は!?・・・・・」
金玉ジャンキー桜井の男根がみるみるうちに硬くなっていった。
このまま太助の急所が握りつぶされるのを見ていたら自分までイってしまいそうだ。
目を逸らさなければ、そう心の危険信号が伝えている。
だが・・・・!
桜井の右手が知らぬ間に自分の急所にあてがわれていた。
二つの睾丸を胡桃のようにゴリゴリと擦り合わす。
激烈で、そして甘美な痛みが全身を痺れさす。
「ああっ・・・・・」
桜井の荒い鼻息に長谷部が気付いた。
「おいっ!目を覚ませ!」

『光の戦士』たちは己の性癖を克服するためそれぞれ特別訓練プログラムをこなしてきた。
その結果、肉体的には以前よりはるかに耐性が付き強靭になったが、感性が、欲望に対する感受性が研ぎ澄まされてしまったのでは!?
太助の断末魔の喘ぎ、藤堂の葛藤、桜井の玉ホリックの重篤ぶりを目の当たりにした長谷部は愕然とするのだった。
(光が・・・・闇に呑まれてしまう・・・・・・)





田代誠二は試合会場の外に設置されているコインロッカーの前にいた。
太助や藤堂から目を離すのは非常な決心がいることだったが、今はもっと大事なことがある気がしたのだ。
ロッカーにしまった自分のリュック。
その中にはいつも持ち歩いているあるものがある。
深夜の埠頭で、緒方大輔が処刑されんとする光景を目撃した時のことが思い出される。
誠二の機転により緒方は脱出し、残されたのがこれだ。

メガバズーカ黒杭の男根によりケツを突き破られたショートタイツ。
無敵だったバズーカ緒方がケツを犯されトコロテンで射精してしまった時に穿いていたタイツ。

普通だったら誠二の恰好のセンズリアイテムとなるのは必至のシロモノだが、
なぜか誠二にはそれをやったらオシマイという気がしていた。
恋人の大岩の先輩だから?
いや、違う。
バズーカ緒方は地下プロレスの誇りだ。
自分にとって最高最大のカリスマなのだ。
だからこそこのショートタイツには神聖な何かを感じてしまい、とてもじゃないがオナニーに使うなんてことはできなかったのである。
とは言え、これを手放す気にはなれなかった。
長谷部なり大岩なりに託すのが筋だったかもしれない。
でもこのタイツは、もはや誠二の安心の源というか、つまりお守り代わりになっていたのだ。
背後に強いオーラを感じた。

「緒方さんですね。」
誠二は振り返った。
そこには、記憶通りの、いやさらにエロ逞しくなった緒方大輔が全裸で立っていた。



つづく








レスラーズ・ハイⅡ ⑧

カタカタカタ・・・・・
忙しなくキーボードを叩く音がTHPWの事務局の重苦しい空気の中で唯一活気を帯びていた。
実況室から駆けつけてきた新垣裕之は、巨大な地下施設の旧区画の詳細データを求めて電子化された情報の海を彷徨っていた。
「ねー、まだ見つからないのー。おっそくなーい?」
同じく医務室からやってきたラーがせかす。
「そんなこと言ったって!相当昔のデータなんですよ。残ってるかどうかもわからないのに・・・・」
ラーはつまらなそうに新垣から目を離すと大型モニターを振り返った。
「あーあ、トードーちゃん、鮫島のパンツ持って震えてるよー。チョー勃起してるしー。」
「あ、あんた、なに呑気な事言ってるんですか!治療したのは先生でしょ!?」
「まあPTSDの緩和には努めましたよー。鮫島にーボロボロにやられてー敗けちゃったことがートードーちゃんのトラウマなわけだけどー、それはーまーなんとかねー。でーもー・・・・・」
「でもなんなんですか?まだ問題が残ってるんですか?」
「いやー、つまりー、トードーちゃんはー鮫島にー惚れちゃってる?んー、犯されたいとー思ってる?そーんな感じー。それはー、消せないよねー。恋、だもんねー、これはー。」
「恋・・・・・!?」
「そー、恋ー。それでもー恋はーこーいー。恋い焦がれた相手のパンツー、そりゃー情緒を狂わせますよー。新垣ちゃんだって権田君のパンツ嗅ぐでしょー?」
「な、な、何言って・・・・、あんた変態か!?」
「そーだよー。」
そこへ当の権田が入ってきた。
「長谷部さん、救出隊は!?あ、ヒロ。来てたのか。先生も。」
権田は新垣に軽くウインクすると長谷部のいる方へ行ってしまった。
先ほど試合を終えてシャワーも浴びる間もなく騒ぎが起き、そのまま来たのだろう。
汗に湿った食い込み黒ショートタイツのケツがブリブリと立ち去ると、ラーは新垣にイヤラシイ笑みを向けた。
「ほらねー。新垣ちゃん、今権田君の腰のあたりしか見てないもーん。まー権田君エロいからーしょうがないけどねー。」
新垣は赤面しながらPCに向き直った。

「今、向井と大岩が向かっている。罠である可能性もあって桜井には待機してもらっている。権田も残ってくれ。」
長谷部が応接スペースのモニターを見ながら権田に言う。
「わかりました。ん?桜井君、具合でも悪いのか?」
隣に立っている桜井の様子がおかしいのに権田が気付いた。
青いんだか赤いんだかわからないデスラーのような顔色で、桜井はガタガタと震えていた。
左手で右手を掴んでいる。
まるで言うことを聞かない右手を制するように。
「い、いや・・・・な、何でもないんです・・・・・そ、それより・・・太助・・・太助の玉・・・・玉が・・・・」
3人が見つめるモニターの中で、太助が断末魔の叫びをあげていた。



つま先立ちのリングシューズがほぼ宙に浮いている。
太助の体重は、首と急所の二点のみで釣り上げられていた。
いまだ出血夥しい額から血と汗が河となり首を掴むグドーの前腕に流れ落ちる。
急所を捕らえた大きな掌は中指が肛門にオレンジのタイツごとのめり込み、他の指は睾丸をグリグリと揉みしだく。
涎と血を吹き出しながら、苦痛に歪む太助の口が必死に酸素を求めている。
ようやく取り込まれたなけなしの酸素は、瀕死の太助の脳細胞をかろうじて機能させていた。

(だ・・・だめだ・・・かなわねえ・・・・俺は・・・・こいつに勝てなかった・・・・・)

睾丸に加えられる鈍く重い痛みが、自分が男として完全に敗北したことを太助に思い知らせる。
生殺与奪を文字通り〝握られた〟のだ。
金玉が万力でじわじわと圧迫され、やがてひしゃげてしまうイメージが浮かぶ。
もちろんこれまでそんな経験をしたことはない。
(桜井はあるんだろうな・・・・・)
バラバラになった意識のピースの中にはそんな想像も含まれていた。
霞む視界に自分を破壊する男の姿が映る。
目の前にあるのはスキンヘッドの頭頂部。
剥きだしにされた頭皮というのは、なんと卑猥なものだろう。
頭蓋の形を正確に再現する皮膚の艶めかしさ、まるで精液を吹き出しそうな毛穴の動物性。

(コイツが・・・・この男が・・・・俺を負かす男・・・・・)

肛門にめり込む太い指が荒々しく肉壁を刺激する。
男に征服された屈辱により、自意識がバラバラに解体され別のものに再構築された。
快感・・・・!?
もともと地下プロレスラーというものは雄の性を最大限に強調し、その美しさを見せつけるために容易に勃起する体質になっている。
男同士の肉体をぶつけ合い擦りつけ合い互いを打ち負かそうという行為は、実は性行為と紙一重であるという真実をプロレスという形で再現する。
それが、プロの地下レスラーの役割であり存在価値なのだ。
ならば今太助がグドーの攻めにより興奮を覚えるのは不自然なことではない。
だが・・・・、これは違う・・・・・。
これは性行為ではない。
捕食者と被食者の関係だ。
俺は食われる・・・・・・
弱肉強食の野性の世界でついに自分より強靭な獣にとどめの牙を立てられる瞬間、すべての雄は射精するのではないだろうか?
それは種の保存のための本能発動なのではなく、まさに性欲そのものの究極の姿なのではなかろうか?
強い雄に食われる快感・・・・
太助の朦朧とした思考はとりとめなく彷徨いつつも、ひとつの真実にたどり着こうとしていた。
それは終焉が近い印だった。



紫の布から立ち上る雄の臭気。
それは藤堂にはもはや可視のものになっていた。
誰よりも強い、という藤堂の男としてのアイデンティティーを粉々に砕いた男のショートタイツから発生する紫色の靄が、鼻孔より侵入し脳髄を痺れさせている。
その布が包んでいた下半身の完璧さがありありと蘇る。

「ぬんぅおぅおあおおおーーーーーっ!!!!!」

藤堂の再びの雄叫びに閉じそうになっていた太助の瞼が上がる。
紫色のショートタイツが藤堂の血管の浮く腕によってエキスパンダーのように引き伸ばされていた。

「いぐぉああぅおおおおおっ!!!!!!」

パセリ製のタイツは極薄で、しかも尋常でない収縮性と耐久性を備えている。
1メートル以上引き伸ばされても紫の布は破ける音ひとつ立てなかった。
藤堂の両腕が閉じると、タスキのように伸びていた布がショートタイツの形に何事もなかったように戻った。

「ふぅずわけるぬわーーーーーーーっ!!!!!!」

赤鬼のような形相の藤堂の両腕が再度いっぱいに広げられる。そして・・・・
バチッ!
風船がわれるような音を立て、ついに鮫島のタイツが真っ二つに引き裂かれた。
紫の布は藤堂の手を離れスローモーションで左右に散っていった。
「ぐふ・・・うう・・・はあ・・・・・・・・」
藤堂の片膝が崩れた。
たかが1枚のパンツを引き裂くのに全身全霊を傾けたのだ。
「か、勝った・・・・誘惑に・・・打ち勝った・・・・・」
うつむいていた藤堂の顔がキッと上がる。
煩悩から解き放たれた瞳が真っすぐにグドーを射抜く。
「俺は〝光の戦士〟だ。」




おーーーーーっ!!!!!
試合会場の超大型スクリーンで成り行きを見守っていた観客たちが一斉に歓喜の声を上げている。
黒いケツ割れ一丁で闇の戦士に啖呵を切る藤堂に、新たなTHPWのヒーロー誕生を確信したのだった。
太助を捕らえたまま憎々し気な表情で藤堂を見返すグドー。
グドーが感情を乱す場面は初めてだった。
「いいぞーっ藤堂ーっ!」「フラッシュ藤堂ーっ!」「フラーッシュ!」


「藤堂・・・・・・」
うるうる眼でモニターを見つめるのは長谷部だ。
「トードーちゃん・・・・・やぁーったねぇー・・・・・」
ラー医師がさっと新垣の視線を避けるように顔を逸らす。
新垣は何も声をかけず肩を震わすラーを見守った。
「でも・・・・まだ・・・まだ太助が・・・・・・」
桜井が隈の浮いた表情でつぶやく。
そう、藤堂が鮫島のタイツでオナニーしなかったというだけで、実は状況は何も変わっていないのだということに皆が気付いた。




「くぬう・・・!小癪な!折角極楽への道案内をしてやったのにこの愚か者が・・・!」
グドーが太助の身体を持ち上げた。
もはや完全に宙に浮いている。
当然、急所と肛門、首に全体重がかかる。
「ならばコヤツを昇天させるまで!愚かな偽善者はシンユウの最期を見届けて地獄に落ちるがいい!」
グドーの左手に力が籠められる。
オレンジタイツに覆われた太助の睾丸が指の力によって変形するのが見えるようだ。
「ぐぎゃぁあおぅあああああっ!!!!!」
涎と血をまき散らし太助が絶叫する。
肛門に刺さった中指がマシンのように小刻みに振動している。
「んふぅおっ・・・・んぐあっ・・・・・ぐぎっ・・・んぬぃあ・・・・・」
激痛と快感に引き裂かれる太助の身体が激しく痙攣し始める。
「太助ーーーーーっ!!!!!!」
金網に張り付いた藤堂が大声で叫ぶと、苦痛に歪み切った太助の表情が一瞬弛緩し、こちらを見た。
(藤堂・・・・ありがとう・・・・・だけど・・・俺は・・・俺はもう・・・・・・)
「スゥオモサンッ!!!!!」
グドーの咆哮とともにその左手がグシャッと握られた。
「ぐふっ・・・・・!」
「太助ーーーーーーっ!!!!!!」
金玉が握りつぶされる音を聞いた・・・・・
狂ったように喚く藤堂の脳裏の片隅に、一生取り去ることのできない染みができた。
力強く握られた左掌は太助の二つの睾丸を破壊すると同時に、中指によって前立腺に激烈な鉄槌を打ち込んでいた。
オレンジのタイツを突き破らん如くに怒張したマラから、夥しい雄汁が滲み出し流れ落ちていった。
白目を向き口元が緩み切った太助の顔は、一目で意識がないことが解かる。
「おおっ!なんという良いお顔!まさしく極楽往生されましたなっ!」
どどぴゅっと音を立て、グドーのハイレグ黒タイツの股間から真っ白な粘液が吹き出した。
黒タイツを通してもなお衰えぬ勢いで、玉砕坊主の精液は太助の股間まで飛んで行った。
「おおおっ!雄汁が混ざっていく!なんという神々しい光景だ・・・・」
グドーは太助をマットにに下すと左腕を外した。
「た・・・太助・・・・・!?」
涙で真っ赤になった眼で藤堂が見たものは、どう考えても〝変形〟したとしか思えない太助の股間の膨らみだった。
二つの玉が絶妙なバランスでタイツに収まり男らしい丸さを形作っていた太助の股間は・・・・
見るも無残な有様に藤堂は思わず眼を逸らした。
「コヤツは思った以上に上物の獲物だった。俺の日頃の行いが良いからかもしれん。」
「な、なんだと!ふざけるなっ!太助を離せ!」
「んん、そのつもりだったが気が変わった。此奴は俺が貰う。」
グドーは軽々と太助を担ぐと天井にまっすぐ上昇していった。
「浮遊の術だ。」
巨体を吊るワイヤーが思いっきり見えていたが今はツッコんでる場合ではない。
必死で金網をよじ登る藤堂だったがあっという間にグドーと太助の姿は天井の闇に消えていった。
「太助ーっ!!!!」
藤堂の絶叫が異様に高い天井に空しく吸い込まれていった。





どーっ!という会場の盛り上がりの音を背に全裸の緒方大輔が立っている。
田代誠二は無言で容器から出した赤いタイツを手渡した。
緒方も無言でそれを受け取り、両手で顔の前に広げた。
魔性の三角形。
ショートタイツ、競泳パンツ、ビキニ下着、雄の感性を持つ者の理性を狂わせる呪いの形状。
誠二の方からは引き裂かれたケツの部分が見える。
緒方はしばしタイツを見つめていた。
そして筋肉隆々の脚がついにタイツに通された。
ダークレッドの生地が伸ばされると向こうの景色が見えるほど薄いことが解かる。
それが皮膚と密着することで透過性がある程度軽減されるのだ。
一体どういう仕組みの生地なのか誠二には見当もつかなかった。
ぴしゃっと音を立て緒方のケツにタイツが張り付く。
装着が完了したのだ。
今度は裂かれたケツは誠二から見えない。
そのかわり、あの、決して記憶から薄れることのなかった男の膨らみが目の前にあった。

〝完璧なもっこり〟

誠二の両膝がガクガクと震えだす。
(ああっ・・・・緒方さん・・・・俺・・・・イキそう・・・・・・・・)
緒方はタイツの感触を確かめるようにあちこち触って確かめていた。
やがて緒方は両腕を静かに下し、天を仰いで両目を閉じた。
「黒杭大凱・・・・・・」
「えっ・・・・?」
驚く誠二の目の前で、緒方の筋肉が膨張し始めた、ように見えた。
それはまるで光を放っているような・・・・・
(ま、まさか・・・・げ、幻覚だ・・・・・)
必死で目をこする誠二にも絶対に現実だと認識できたもの、それは、
凄まじい勢いで膨張していく緒方の股間だった。


つづく










レスラーズ・ハイⅡ ⑨

太助の行方は杳として知れなかった。
玉砕坊主グドーとともに太助が消えた道場の天井には当然のように抜け道があった。
その抜け道は単に上階の廊下に通じていただけで、そこからの二人の動線をたどるための痕跡は何もなかった。
丹念な鑑識活動に加えて果ては警察犬まで出動したが手掛かりはつかめなかった。
(蛇の道は蛇、か・・・・・)
捜査を指揮したポリスマン向井のネイビーショートタイツのケツが憤りの皺をよせる。
警察が新たな捜査技術を獲得しても極道はすぐに対処方法を編み出してしまう。
永遠に続くイタチごっこだが、向井には極道が常に一歩先をいっているように感じてしまうのだった。
地下施設内での大規模捜査は打ち切られ、今はTHPWとBPPWのトップレベルでの交渉によって太助奪還の道を探るという方針が主流となっている。
だが黒杭嘉右衛門と鷲号会長が直接会談をもったという話は聞こえてこない。
どうやら黒杭組は交渉に応じる気などハナからないらしい。

(警察を舐めやがって。極道が・・・・・)
正義感に萌える警官プロレスラーである向井は単独で捜査を続けているのだった。
雄の欲望が創りだした〝地下宮殿〟とも言うべき広大な地下施設。
情念渦巻くその空間は複雑な男の心情そのままに異様に入り組んでいた。
しかも、おそらく太助が捕らわれているのは現在では使われなくなって久しい旧区画だ。
黒杭はいつのまにかこの区画を改造していたらしい。
新垣たちが必死で見つけた図面データもまったく役に立たなくなっていた。
もはや向井が頼れるのはカン。
警察官としてのカンだけではない。
雄の情念を嗅ぎ分け、突き止める、地下プロレスラーとしてのカンこそがこの状況では有効だと向井は信じていた。
(・・・・ここは臭う・・・・野郎の臭気がプンプンだぜ・・・・・・・・)
捜査を進めるうちにたどり着いたあるエリアに向井のアンテナが反応した。
薄暗い通路をさらに陰気にする左右の高い壁。
そこには延々とスプレーによる落書きがしてあった。
蔓?蔦?
ウネウネと伸びる曲線は無秩序で、そのとりとめのなさが有機物の繁殖を思わせる。
充分な採光の無い中では判然としないが、おそらく原色に近い色彩が用いられていると思われる。
どう考えてもまともな思考で描かれたとは思えない。
長い真っすぐな廊下の暗闇に閉ざされた果てまで、その奇怪な植物の〝アート〟が続く。
まるで廊下を歩く人間を、描いた本人の狂気にいざなうように。
芸術とは狂人の秩序であり、芸術のあるところには衆道の臭いが必ずある。
昇華された狂気は、運よく理解する者があれば芸術と呼ばれ、それを最初に理解する者は男色家である確率が高い。
たとえ異性愛者だったとしても、自分の本質の中に同性愛の片鱗も認められない人間に芸術など決して理解できない。
(だけどこれはちょっとぶっ飛びすぎだろ・・・・)
狂気の曲線に気分が悪くなってきた向井だった。
もう何フロア下ったろう。
タイツに無造作に突っ込まれた警察手帳には単独捜査の詳細を記してある。
だから藤堂たちのように迷ってしまうことはないが、一人きりでこのまま進むのはヤバい・・・・・
向井の危機管理能力がそう判断していた。
(一旦本部に戻って報告の後、応援とともに再突入、だな。)
向井は踵を返すと薄暗い通路を戻り始めた。
巨大な食虫植物から脱出するイメージが浮かぶ。
心なしか息苦しい。
現場では常に沈着冷静でいることを訓練された向井でさえ、この異様な環境下で情緒の安定を損ないつつあった。
進む先に人影を認めた時、向井はとうとう幻覚症状が出たのかと思った。

「職務熱心で結構なことだな。」
シルエットが言葉を発し、幻覚でないことが分かった。
鮫島周星だった。
「随分ご無沙汰なお人に意外なところでお目にかかれた。」
向井は皮肉をこめて若者に言った。
あの騒動の最中はもちろん、その後も姿を見かけなかった鮫島。
光の戦士の一員でありながらいまひとつ心根が読めない男。
向井は最初から鮫島を信用しきれていなかったのだ。
「普段からタイツ姿だって噂は本当なんだ。パンイチのお巡りさんか。笑える。」
「君こそ随分先鋭的なセンスじゃないか?」
鮫島もタイツ姿だった。
パープル地にゴールドの曲線が不規則にデザインされているショートタイツ。
絶妙にに股間を強調するカットはおそらくパセリ製、向井はそうにらんだ。
「新しいのできたんで慣らそうと思ってさ。」
不遜な笑顔が若者の黒い感情を透かして見せる。
「俺を付けてきたのか?」
小僧っ子に尾行されて気付かないはずはないと思いながらも向井は聞いた。
「ちがうちがう、そうじゃない~、ってオッサンのカラオケかよ。」
筋骨隆々の童顔が自分の言葉にゲラゲラ笑った。
「俺はアンタを待ってたんだよ。ダチと一緒にな。」
「ダチ?」
気配を感じて振り向くと、いきなりスプレーを噴射された。
「ぐわっ!」
両目の激痛に思わず蹲る向井。
その後頭部に鈍器が振り下ろされ、そこで向井の思考が途切れた。





光を放ちながら膨張する緒方の筋肉。
「スーパーサ○ヤ人・・・・・!?」
もちろんそれは興奮状態の誠二が脳内で作り上げた光景だったのだが、緒方の身体がデカくなったのは現実だった。
つま先から頭の天辺まで、ありとあらゆる随意筋に急激に血液が送り込まれる。
脳内を駆け巡るアドレナリンが、緒方の男としての機能を最大限に高めていた。

「ク・・・ロ・・・ク・・・イ・・・タ・・・イ・・・・ガーーーーっ!」
食いしばった歯から絞り出されるような唸り声。
緒方の両目がカッと見開いた。


黒杭の人間凶器の先端が、ケツにタイツの上からあてがわれた。
ゆっくりとケツ穴に向けて挿入がはじまった。
黒杭の巨大なマラがケツをメリメリとこじ開けていく。
タイツの生地が、ケツ穴に吸い込まれてゆく。
(おああ・・・・っ!ケツが!ケツのアナが・・・・っ!)
ついに黒杭の亀頭がタイツを突き破り、ケツの深淵にぶち込まれた。
(んぬおあああああっ!!!!!)
前立腺に直撃するインパクトに、自らの男根から雄汁が噴き出たのが解かった。
股間に目をやるとタイツの薄い生地で濾過された精液が、噴水のように溢れだしている。
2度目の射精にもかかわらず、夥しい量のザーメンだ。
「俺もイかせてもらうぜ。」
黒杭のスリーパーに再び力が込められ、逞しい腰が猛烈なピストンでケツを打ち付けてくる。
(んのおあああぅああああ!マラが・・・・黒杭のマラが・・・・俺のケツを・・・・・!!!)
下腹深遠部で何かが爆発した。
黒杭が果てたのだ。
(タ、種付けされた・・・・!?この・・・俺が・・・・・・!?)
大量の粘液が挿入されたままのケツ穴からあふれ出しているのが解かる。
「まだまだ!!」
黒杭のピストンは止まらない。
猛々しい獣の暴力的な勢いで腰がケツに打ち付けられる。
中出しされたザーメンが潤滑油となってケツを抉る。
自分より強い雄に征服された屈辱感が、心を粉々に砕いている。
バラバラになった自我は散り散りにはならずに点描画のようになって心を形作っている。
黒杭の逞しい腕に首を決められ、微細な心の破片が光を放ち始める。
(こ、これは快感なのか・・・・!?俺は・・・・男に陵辱されて感じているのか・・・・・!?)

オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!・・・・・・・

観客席からの悲痛なコールが聞こえる。
フェンスの外に必死でゲキを飛ばしている長谷部と大岩。地下プロレスラーたち。
反対側のコーナーには暗黒仮面と不破、桐谷も見える。
VIP席にいるのは権田か?身を乗り出している。新垣が止めている。
こっちのVIP席は・・・黒杭組長。むかつくジジイだ。その隣には・・・・その隣は・・・・

オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!

ああ皆が俺を応援している。俺は勝たなければ・・・・・俺は負けるわけには・・・・・・
「終わりだ、緒方大輔・・・・・ううっ!」
再びケツのボトムで大爆発が起きた。
前立腺で逆ビッグ・バンが起きたように全てがケツに吸い込まれ、またケツを中心に全ての世界が構築された。
(うあああああおおおおおおおおおぅおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!)
強烈すぎる快感とともに、マラから雄汁が迸るのを感じた。
永遠とも思える一瞬だった。



ビリビリッ!
サイ○人の肉体を唯一覆っていた赤い布が千切れ飛んだ。
押さえつけられていた巨大な男根がブンッと音を立てタイツを誠二の方へ放り投げた。
タイツは誠二の顔面の上に着地した。
緒方の体温がまだ残っている。
誠二がミシンで塗った裂け目が再び引き裂かれ、また自分の元へ戻ってきた。
(また縫えってか・・・・・?)

「ぬおおおおおおおおっ!!!!!」
雄叫びとともに、緒方の男根の先端から白い粘液がエクトプラズムのように噴出した。
例によってスローモーションで弧を描いたそれは、当然のようにタイツを被った誠二の顔面を直撃した。

誠二が放心状態から覚めた時、緒方の姿はなかった。
千切れたタイツを被らされた上に顔射までされた誠二は、自分も射精していることにようやく気付いた。
下着代わりに穿いている競パンの中はぐちょぐちょだろう。
なにはともあれ、〝お守り〟がまた戻ってきたわけだ。
さらにパワーアップして・・・・・・





意識を取り戻した向井が倒れていたのはリングの上だった。
その空間にはリングしかなかった。
四方を壁に囲まれ、高い天井からリングのみを照らす照明がぶら下がっている。
「お目覚めっすね。お巡りさん。」
声の方向に首を上げると、ショートタイツ姿の男がコーナーにだらしなく寄りかかっていた。
サイドに金のラインが入った純白タイツ。
「だ、誰だ・・・お前は・・・・・?」
鈍痛の残る後頭部を抑えながら向井は立ち上がる。
「はーじめましてっすね。俺は不破晃司ってんですよ。以後お見知りおきを~。」
不破と名乗った男は坊主頭に複雑な模様の剃り込みを入れている。
白目と歯が黄色い。
「お前・・・ヤクやってるだろ?」
「さーすが!お巡りさん、もう絶好調っすよ~!」
不破は楽しくて仕方がないというようにケタケタ笑う。
向井の警察官としての正義感が燃え上がる。
「極道め!」
「慌てない慌てない。今から俺とサシで勝負させてやっから。まあまずは俺の作品を鑑賞してちょ。」
突如四方の壁がライトアップされた。
そこに描かれていたものは、巨大な花の内部・・・・・?
抽象的なデザインでありながら向井には咄嗟にそんなイメージが浮かんだ。
廊下の壁の蔦の中心部?
壁全体の背景は、奇怪な花弁を内部から見ているようだ。
ニョキニョキと床から延びる曲線は先端が丸く膨らんでいる。
複数の雄蕊が互いを牽制し、同時に誘い合っているような、現実にはあり得ない花。
「お巡りさん、気に入ってくれたかな?俺の苦心の作、〝花の間〟を。」
「花の間・・・・?」
不破の濁った眼球が毒々しい光を反射した。
「いくぜ・・・・!」
チンピラタイツが襲い掛かってきた。



つづく




















レスラーズ・ハイⅡ ⑩

不破晃司、
かつては地上メジャー団体に所属し、緒方大輔にリング上で初めて射精させた男。
黒杭組の手下でありながら純朴な後輩の姿を装いTHPWに入り込んだスパイ野郎。
あの運命の日、黒杭大凱に敗れた緒方にさらに陵辱の限りを尽くした人非人。
そして今、薬物中毒者の姿で自分の目の前に現れた。
正義を愛し正義に生きるポリスマン向井にとって、不破のような外道は叩き潰さねばならぬ害虫だった。
「この俺とサシで勝負だと?キサマのような卑怯者の魂胆はお見通しだ。どうせ汚い仕掛けやら極道の助っ人やらがあるんだろ?」
向井は奇怪なデザインが施された狭いホールを見まわした。
「ふう、お巡りさんってのは疑い深くていけねえ。ここの腐り具合は俺らもアンタがたも似たようなもんだろ?」
自分の心臓のあたりを撫でながら不破が黄色い歯を見せる。
「正真正銘、俺とお巡りさんだけだぜ、このリングには。」
「ヤク中が、俺に勝てると思っているのか?笑わせるぜ。」
「ヒッヒッヒッ、お巡りさんはケーサツの特殊訓練を受けてきたんだってな。俺に言わせればそんなのは屁だ。なーんにもこの世界のことがわかってねえ。なのに親方日の丸でイバッテいやがる。オメデタイこった。」
純白のタイツの股間を揉みながら、濁った眼が向井に焦点を合わす。
「お巡りさん、クスリは素晴らしいぜ。俺の精神世界をより豊饒に満たしてくれる。それだけじゃねえ。一発キメテからのプロレスがまあ気持ちいいのなんのって。だからさ、アンタをわざわざ連れてきたってわけ。俺の大っ嫌いなケーサツカンを。わかる?」
カーンッ!
どこから音が出ているのか突然ゴングが鳴った。
向井は思わずファイティングポーズをとる。
「そうだ、仕掛けはあったな。いくつものカメラがこのリングをあらゆる角度から撮ってるぜ。もちろんお客様にお見せするためにな。」
不破がノーディフェンスで腕をブラブラさせながら間合いを詰めてくる。
目にも留まらぬ速さでタックルを仕掛ける向井。
「うがぁっ!」
鼻血を飛ばしながら倒れたのはなんと向井だった。
「おクスリの力はすごいね~。全部見切れるぜ。アンタの動き。」
「くっ・・・・・」
鼻を押さえたまま立ち上がれない向井に、ヘラヘラ笑いの不破がゆっくり近付いていった。



「さあー、地下特設リング〝花の間〟で突如始まったポリスマン向井VS不破晃司の一戦。警察代表の向井といわばチンピラ代表の不破、おそらく初対面でありながらすでに因縁まみれの二人といった感がありますが、ヤマモトさん、この試合の見所とはそんな二人の背景にありそうですね。」
「そーですね。ある意味〝光と闇〟の闘いにおける象徴的な試合と言えるのではないでしょうか。それからぜひ注目したいのは、ポリスマン向井の特殊訓練によって作り上げられた所謂エリート地下プロレスラーとしての力量と、薬物によって潜在能力が全開となった不破の非人間的なパワーとの対決、そういった構図でもあるということですね~。」
「なるほど~。申し遅れましたが今回実況を担当させていただくのは私、五所川原、解説にはスモールアイアン・ヤマモトさんをお迎えしてお送りいたしております。あー、向井選手、鼻血がひどいようですね~。文字通り出鼻をくじかれたかたちです。」
「向井はもう少し慎重になるべきでしたね。不破の薬の効果を侮っていたのと、彼の人間性、いや非人間性についてもっと警戒しなければいけない場面でした。」



「やってくれるじゃねえか・・・・・このチンピラが・・・・・」
向井の端正なイケメン顔が雄の獣の表情に変わる。
まるで瞬間移動したかのような超高速の動きに、滴る鼻血が取り残され残像の下に落ちた。
バスッ!
ローリングソバットが不破のにやけ面を捕らえる。
倒れ込む方向に今度はハイキックが炸裂し不破の身体は反対側に傾いた。
すかさず掌底の正面突きがアッパーに決まる。
よたよたと後退しながら倒れる不破はロープにもたれ掛かることでようやく立っていた。
ダッシュで走ってきた向井のドロップキックがスローモーションで不破の顔面を変形させた。
勢いでロープの外に吹っ飛ばされた不破の後頭部が自らが描いた絵の壁に激突し、リングと壁の間の狭い空間にどさっと落ちた。
「思い知ったか、ヤク中野郎!」
鼻血が止まりかけた向井は余裕のフットワークで鋼の筋肉を跳躍させている。




「すごい歓声です!地下大ホールに設置された超大型スクリーンには向井のネイビーのショートタイツのバックが大映しになっています。POLICEMANの黄色いロゴが眩しい!鍛え上げられた大殿筋が一層セクシーに強調されています。会場のお客さんは大喜びだ!いつ始まるともしれないゲリラ興業に備えて会場で待っていてくれているファンの皆さんですからね~。しかも9割がたは光の戦士押しの方々。向井の華麗なファイトに狂喜乱舞といった雰囲気です。ブラックパイルが管理していたころには不破選手の手下たちに随分ひどい目にあわされてきたお客さんが多いでしょうから、この展開はたまらないっといった感じでしょうね~。」
「はい。あの時会場のならず者を一掃したのは向井率いる警察隊でした。お客さんにとって向井は暗黒時代を終わらせる救世主のような存在なんでしょうね。」
「さあ、所謂ラリっている状態の不破選手。向井選手の攻撃で少しは目が覚めたのか、それとも早くもグロッキーか!?」




リングと壁の隙間にうつ伏せに倒れていた不破がもぞもぞと動き出した。
ふらふらと立ち上がった不破の口からは血が流れ出していた。
リングの上の向井を濁った眼で一瞥すると、血まみれの歯を剥きだして薬物中毒者は微笑んだ。
「全然痛くない・・・・・」
薬物効果が痛覚を鈍らせているのだろうか。
腫れあがった顔面を全く気にする様子もなくリングに上がる不破。
「お巡りさん、そんなんじゃ俺たちは倒せないよ。ケーサツってのは結局は詰めが甘いんだよな。だから俺らは助かってるんだけどさ。ヒヒヒヒ・・・・・・」
ポリスマン向井は一瞬面食らったような表情を見せたが、すぐに精悍な警察官の顔に戻った。
「なるほどな・・・・。そういうことか。これは退治のしがいがある害虫案件だぜ。完全に叩き潰せばいいってことだな。それしか駆除の方法がない。」
言葉が終るか終わらない内に向井は例の〝瞬間移動〟で不破のバックに回っていた。
フルネルソンがぼーっと立っていた不破の身体をあっという間に捕まえた。
「ぐぐぐ・・・・・」
「どうだ、このまま堕として害虫駆除完了だ!その後はいい子になってもらうために更生施設でしばらく暮らしてもらうぜ。」
向井の鋼の筋肉が不破の両腕をガッチリとホールドし、首をギリギリと圧迫する。
「おらっ!」
その体勢のまま左右に乱暴に揺さぶられたのでは堪らない。
「ぐびっぐ・・・・・」
気持ちの悪い音を発して不破の口から血の混じった涎があふれ出す。
滴は純白ゴールドのタイツにピンク色の染みを作った。
「うおらっ!いけない子はお寝んねの時間だぜ!」
木偶のように揺さぶられる不破の白地に金のストライプの入ったタイツの股間が膨らみ始めた。
「あがが・・・あが・・・・き、気持ちいい・・・・・・」
思いがけない呟きにギョッとする向井。
「な、なんだと・・・・・!?」
「お巡りさん、大きくしてるっしょ。俺のケツに当たってるんだよね~。気もいいいいっ!」
「な・・・っ!?」
向井のプロレス魂は悪を成敗することで高まるように訓練されている。
勃起しやすいのは地下プロレスラーとして不可欠な資質だ。
不破を仕留める目前で確かに向井の男根は完全勃起していた。
白タイツのケツが向井の硬くなったモノを迎えるように押し付けられる。
「うーん、サイコー!ケーサツマラでケツを慰めるのもいいもんだな!お巡りさん、なかなかデカいじゃん。」
「キ、キサマ・・・・・!」
怒りに燃えた国家機関マッスルに一層力が込められる。
「さっさと堕ちやがれ!この害虫が!」
「ふぐぐぐ・・・・」
反社会的ケツ肉が向井の警棒をあざ笑うかのように愛撫する。
白タイツがネイビーの膨らみに擦りつけられ、いつしか潤滑油のようになった二人の汗が、薄い布を性感を攻撃する武器に変えた。
「こ、この野郎・・・・・うう・・・ぐぐ・・・・」
想定外の不破のケツ捌きに不覚にも感じてしまう向井。
タイツを濡らす汗には、カウパーも含まれていたか?
密着する筋肉野郎の隠微な声が、奇怪な花の内部を模した部屋にこだました。




つづく




PageTopNext>>

プロフィール

washigo

Author:washigo
プロレス、競パン、逞しくてエロい男が大好きな野郎です!
俺の妄想世界にお付き合いのほど、よろしくお願いします!

最新記事
カテゴリ
抜けるCG

画像をクリック☆ [Wrestling Club] の【キ○肉マン エロレスリング! -スカル・デビル&ヘル・ロック編-】 [まらぱるて] の【KILL&SEX】 [いたちごっこ] の【トーキョー・ボーイ】 [Bravery ] の【蘇生強化式有機生命体 トラストマン3】 [うらはら亭] の【マッスルコング!】 [無味無臭] の【Enty♂絵まとめCG集】 [おタケ☆ナンゴクボーイズ] の【エロティック☆ヒーローズG Vol.03】 [MGStudio] の【みるつべ2DX -MilkTube2DX-】 [我武者ら!] の【ひーろーの諸事情】 [Bravery ] の【クロススピリッツ Episode4. 数多なる刻のゆくえ】 [無味無臭] の【S-izm】 [あんかけチャメシ] の【第一次にゃんにゃんWARS!!開戦前夜はザーメンヨコセ】 [無味無臭] の【トラ☆レス】 [無味無臭] の【エロ☆レス8】 [偏愛ヒーロー] の【【30%OFF!】崩壊【年末年始フェア】】 [べあている] の【プロレスラーの末路】 [へっこき部屋] の【痛プロ!01】 [我武者ら!] の【メタルワン#7】 [我武者ら!] の【メタルワン#6】 [漢度抜群] の【野外露出の代償】 [新・敗北日和] の【【50%OFF!】EpisodeXX デンジャラス・シップ【年末年始フェア】】 [ふくろう太郎] の【ガチムチ恥辱訓練】 [THEやっつけ] の【只今横乗り中】 [atelier MUSTACHE 菅嶋さとる] の【ノーサイド】 [CLUB-Y] の【Scrum!】 [無味無臭] の【水際ボーイズ2】 [LARZ-SILT AG+] の【tame fishes】 [GO! SHINGO] の【コーチと俺!vol.2】 [ハスタードケーキ] の【B・B SALVATION】 [ハスタードケーキ] の【B・B】 [べあている] の【地下プロレス】 [RYCANTHROPY] の【GRATEHEAVEN】 [六角武陣] の【厳狗(GONG!)】 [こまぎれ] の【啄系】 [無味無臭] の【エロ☆レス6】 [無味無臭] の【エロ☆レス5】 [無味無臭] の【エロ☆レス4】 [無味無臭] の【エロ☆レス3】 [♂めんたいこ♂] の【月刊めんたこ Vol.005】 [ごまさば] の【NURU-1ビーチ】 [ごまさば] の【にくづめ】 [まらぱるて] の【バックヤードレスラー】 [♂めんたいこ♂] の【ガチンコバトル】 [撲。] の【oops!】 [GOHC] の【重量戦士リフトマン】 [アタマヌルイMIX-eR] の【秘密の戦隊サンカクレンジャー】 [根雪堂] の【獣人の森─第一章─】 [G-DRIVE] の【BUSTER HERO!】 [ケモつぼ] の【レオvs黒丸(3)】 [あかはち] の【ドキドキ水泳部男】 [MEN'S GJ!!] の【ファンクラブナイト】 [我武者ら!] の【絶滅寸前ブーメラン】 [てるじろう印のきび団子] の【下克上に挑戦!】 [六角武陣] の【辱】 [撲。] の【DUXI2】 [Teenage Fanclub] の【Star Tours】 [きのこ亭] の【Shock Shooter】 [虎出没注意] の【凌辱征服】

最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロレスラーに変身

エロパンツ

月別アーカイブ
訪問者

リンク
リンクフリーです

arena for rape

検索フォーム

RSSリンクの表示
QRコード

QR