闇のプロレス軍団、「ブラックパイル」を倒すため、5人の男たちを選抜する。
「光の戦士」として。
ポリスマン向井、桜井勇治、フラッシュ藤堂の3人が確定し、残る二人の名が長谷部から竜崎に告げられた。
4人目は竜崎にとって意外な人選であった。
レスキュー太助。
「警察がポリスマン向井を出すのならぜひうちも、ということで消防庁から推されたのです。」と長谷部。
向井卓は、究極の地下プロレスラーを目指して警察が総力をつぎ込んだプロジェクトだ。
「消防庁でもそのような試みがあったということか?」
竜崎の疑問に長谷部があらましを伝える。
消防の世界でも雄の闘いに胸を熱くする男はたくさんいた。
だが、自分たちで地下プロレスラーを輩出するという発想は、残念ながら持っていなかった。
ポリスマン向井のことを聞いた時、消防庁の上層部は大層悔しがったという。
国民を守る!という気概の持ち主である彼らは、あきらめきれなかった。
そこで浮上したのが「なまはげプロレス」のエース、神埼太助だったのである。
試合の怪我などで度々勤務に支障が出る太助は、消防庁では鼻つまみ者であった。
しかし完全ボランティアで地域の振興のため体を張る姿には、シンパシーを持つ男たちがいたのだろう。
今回「光の戦士」に消防代表として推薦できるのは奴しかいない。
という声が現場の事情通から多数上がったのだという。
「じゃが、地下プロレスは所謂普通のプロレスではないが、レスキュー太助はそれを知っておるのか?」
「本人は承知しております。なにより彼は藤堂の親友なのです。」
「うーむ。そういうことか・・・・」
納得顔の竜崎。
「では、最後の5人目です。」
と言う長谷部の表情が今一つ冴えない。
「竜崎さんには申し上げにくいのですが・・・・・最後のこの男が、どうしても私には不安を拭いきれないのです。」
「ふむ・・・・・」
5人目が、自分が推した男であることは竜崎には解っていた。
長谷部が不安を感じる理由も・・・・・・
都心のスポーツクラブ。
24時間営業がウリの施設ではあるが、深夜のプールではさすがに利用客はまばらだった。
もう一時間以上もコースを独占して泳ぎ続ける者がいた。
水面から突き出るクロールの腕は、「只者ではない」と思わせる逞しさだ。
ふいに男が泳ぎを止めると、プールが静寂につつまれた。
ざばっ
上腕三頭筋を盛り上げ、男がプールサイドに上がった。
ギリシャ彫刻のような肉体を覆うのは最近ほとんど見なくなったブーメラン形の競泳パンツだった。
黒を基調とした複雑な柄の極薄の布が、盛り上がった大臀筋の割れ目にほぼ食い込んでいる。
男は尻の割れ目に食い込んだ競パンを無造作に引っ張った。
ピシャっと音を立て、右臀部に競パンが張り付く。
しかし左側は食い込んだまま、豊かなケツ肉をブリブリとさせながら男はシャワー室に消えた。
「鮫島周星か・・・・・」
「会長が推されるだけのことはあって彼の格闘技センスは群を抜いています。ただ・・・・」
「奴は〝ヒール〟か・・・・・」
「ええ・・・・・。私は『光の戦士』には暑苦しいほどの正義感が必要不可欠な要素だと思っています。彼にはそういった情緒的な面で、〝熱さ〟を感じないのです。」
「うーむ・・・・・」
腕を組み目を閉じる竜崎の瞼が激しく動いていた。
「キミ、サメジマクンダネ。」
シャワーを浴びる黒柄競パンの背後から声がかけられた。
振り向くと汗がしみ込んだグレーのタンクトップに真っ赤なスパッツといういでたちのガタイのいい男が微笑んでいた。
タレントのようなさわやかな微笑み。
「ソノスピード、ニアウネ。」
男の言葉は日本語だが、どことなく違和感のある発声に感じられた。
「ボクモジムデアセヲナガシテキタンダ。」
「誰だ?」
鮫島はシャワーを止め、男の正面に立った。
180cm近い鮫島と、男は同じくらいの身長だった。
体つきは一見細いが、タンクトップから出る腕は皮膚の下はすぐ筋肉といった鋭さだった。
「ボクハ、イ・サンウ。」
なるほど、やはりこいつは日本人ではなかったのか、と腑に落ちた。
「なんで俺の名を知っている?」
「ソレハ、ボクモチカプロレスラーダカラ。」
自分が関心の無いことはほとんど記憶にインプットされない鮫島だったが、ここでようやく思い出した。
(こいつは黒杭の例のコリアン・レスラー・・・・・)
「キミ、ウワサドオリイイカラダシテルネ。」
サンウが鮫島の股間に触れてきた。
それを乱暴に振り払い、鮫島は言った。
「お前、敵だろ。」
OH!とサンウはアメリカ人のように肩をすくめる。
「イガイトカタブツナンダナ~。カタイノハチンコダケデイイヨ。」
オッサンのようなことを言ってサンウはケタケタと笑った。
「シンヤノジムデ、タクマシイオトコドウシガデアウ。ヤルコトハヒトツ。ダロ?」
ふっと鮫島は笑った。
「まあな、据え膳食わぬは、だ。」
負けじとオヤジ語で返す鮫島。
振り返ったサンウの後ろ姿に鮫島の股間が反応する。
全体の体つきに対して、アンバランスな豊満なケツ。
その不均等がえも言われぬ淫靡を形作る。
赤いスパッツが食い込むケツの割れ目に、黒柄競パンの隆起が押し付けられる。
絶妙な肉付きのケツの双丘が、フル勃起の男根を挟み込む。
スパッツと競パン、極薄のライクラを摩擦する刺激が鮫島の息を荒くさせる。
このケツはただのケツではない。
朝倉大吾との「ケツ対決」を制した悪魔のケツなのだ。
「オウ!サメジマクンのモノ、カタイネ、デカイネ、ンーコウモンガキモチイイ!」
いつしかサンウのケツは鮫島の男根を競パンごとすっかり挟みこんでいた。
「あー!俺も気持ちいいぜ!なんだこのケツ!?スゲー!」
挿入こそされていないものの、立ちバックの姿勢で下半身を連結させる二人の筋肉男の喘ぎ声が、シャワー室に反響した。
「ドウ?ボクノシリ。トウドウサンノケツヨリイイカナ?」
不意に藤堂の名を聞かされ、鮫島の腰の動きが止まった。
「アッ、マダトウドウサンノケツハアジワッテナカッタッケ?」
サンウがフフッと鼻で笑ったような気がした。
「・・・・・てめえ・・・・・」
鮫島はサンウから体を離そうとした。
だが、サンウのケツの締めつけは緩まない。
それどころかますます鮫島の男根を挟み込む力が強まった。
「トウドウサンノケツモエロイモンネ!イレタラドンナニキモチイイカナ~。」
「てめえ!離しやがれ!」
「ッテイッタッテ、サメジマクンタッテルシ。ボクノシリヲトウドウサンノダトオモッテイイヨ。」
「く・・・くっそー・・・・んぐ・・・・・がは・・・・」
「ホラホラ、チンコガビクビクミャクウッテルノガワカルヨ。ケツニビンビンヒビクヨ!」
サンウが腰を激しくグラインドさせ始めた。
鮫島の下半身がチンコごとブンブンと揺さぶられる。
「んぐ!おおお!ぐああああ!おおおおおお!!!!!!」
サンウが腰を止めた。
ケツの連結が解かれると、赤スパッツの割れ目から、ザーメンまみれの勃起競パンが現れた。
「フフ・・・コレモウワサドオリ。サメジマクンハソウロ・・・・」
「おい!!!」
顔を真っ赤にして語気を荒くする鮫島を、サンウは面白そうに眺めた。
「ソウダネ。ワカモノノプライドヲヒキサイチャイケナイネ・・・・」
サンウは精液が滴るケツをブリブリさせてシャワー室の出口に向かった。
「マタアエルトイイネ。」
サンウが出て行った後、鮫島はシャワーの青い蛇口をひねり、一向に収まらない勃起チンコに長い間水を浴びせ続けた。
「鮫島は外さん。」
しばしの黙考の末、目を開いた竜崎は断言した。
長谷部はそれ以上何も言わなかった。
つづく
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意外です。