2ntブログ

レスラーズ・ハイ①

「試合にはこのコスチュームで出てもらう。」
そう言って佐田がテーブルに投げたのは赤い小さな布のように見えた。
細いフレーム越しに有無を言わせない目が光る。
ショートタイツか・・・
緒方大輔は絶望的な気分でその布を手に取った。
両手で広げてみるとやはりそれはショートタイツだった。通常のものに比べサイドがやけに短い。
いわゆるUスタイルのタイツよりはるかにハイレッグな仕様で作られている。競泳パンツと見紛うほどだ。
裏地はない。
緒方の表情に戸惑いを感じ取った佐田がさらに続ける。
「選択肢はない。君ははいい体をしているからな。そういうコスチュームで出れば客が喜ぶだろう。わかっていると思うがうちのお客様にはゲイの方が少なからずいるもんでね。」
「覚悟はしているさ。」
緒方は吐き捨てるように言うと乱暴に衣服を脱ぎ捨てた。
かつてのスタープロレスラーの筋骨逞しい身体が顕になる。下着も脱ぎ捨て全裸になる。
「サポーターは無いのか?」
佐田は「あるわけないだろ。」とでも言いたげに首を振る。
「ふうっ」と短くため息をつき、緒方は意を決したようにタイツに脚を通した。
太い下肢に引っかかる小さな布を強引に持ち上げる。
筋肉が盛り上がるケツに薄い生地が張り付き、端正なマスクに不釣合いな野生を想起させるゴツい男性器が三角の布に収まった瞬間、緒方の股間の奥に電流のように疼きが走った。
(ああっ・・・ これがショートタイツの感触か・・・っ!?)



緒方大輔、31歳 180cm 98kg
3年前まで日本最大のプロレス団体でスターレスラーとして活躍していた。
大学では柔道選手としてオリンピック候補になったこともある。
プロレスラーとしても柔道着で試合に臨んでいた。
その理由は、緒方にとって致命的に思えてしまうある弱点によるものだった。
緒方は、試合中に必ず勃起してしまうのだった。
リング上で裸の男と密着し互の力を競い合う。そんな状況に緒方の「雄」は否応なく燃え上がる。
柔道時代はこれほどまでではなかった。柔道の組手に漂う厳格な空気、ましてや柔道着同士の闘いでは「雄」が発動する余地はほとんど無かった。
ところがプロレスではリング上に存在する「男臭」が格段に違う。
レスラーたちは己のの肉体を誇示するかのようないでたちで登場する。乳首はもちろんのこと股間の盛り上がり、尻の割れ目まで衆目にさらしながら汗まみれで闘いを繰り広げる。
そこは男同士の闘いの場であると同時に、ショーの舞台でもあるのだ。
そんな世界に憧れ、緒方はプロレスの門を叩いた。
人一倍の情熱と練習量で瞬く間にスター選手の仲間入りを果たした。野性的でありながら整った顔立ちも人気上昇に一役かっていた。
柔道着でリングに上がっていたのは、自分のいきり立つ男根を隠すためと相手の肌に直に密着して興奮が高まってしまうのを防ぐためであった。
試合後に、ひとりシャワールームで自慰にふけることで己の欲望をなんとか満たしていた。
それでもプロレスラーとしてリングに上がることができる日々に、緒方は満足していた。
あの日までは・・・

「先輩、今日はよろしくお願いします!」
地方巡業先の控え室、デビュー間もない後輩の不破晃司が挨拶に来た。
「おうっ、思いっきりぶつかってこいよ。若手は活きが良くなきゃつまんねぇからな。」
緒方は余裕で答えた。
今晩はTV収録もない地方興行で、緒方に用意された試合は前座の若手との対戦だった。
不破とはほんの一時選手寮で同じ釜の飯を食った間柄であり、なかなか骨のあるやつだなと緒方も目をかけていた。
やんちゃなガキ大将を思わせる風貌も密かに気に入っていた。
後輩レスラーは先輩の荷物の管理も行う。緒方の荷物を整理していた不破が何気ない様子で緒方に話しかけた。
「緒方さん、なんで道着なんですか?」
一瞬ぎくっとしながら顔に出さずに緒方が答える。
「学生の時柔道だったからな。それが一番しっくりくるんだ。」
「へぇーそうなんですか。でもせっかくプロレスラーになったのに。俺はやっぱりこれですね!」
不破が自分のカバンからショートタイツをとりだして緒方に見せる。新人らしい黒いタイツだ。
「パンツ見せてんじゃねえよ。」ぽーんっと不破の頭をはたくと緒方はそそくさとその場を離れた。
背後で不破が意地悪なガキ大将の顔をちらっと覗かせていることに気づかずに・・・

カーンッ
試合開始のゴングが鳴った。
緒方の今日の仕事は若手の威勢よさを引き出しながらも先輩の強さを見せしめる、そんなところだった。
地方巡業中には時にはゆるいマッチメイクが組まれる。ちょっとした骨休みだ。
不破は若手のお約束のドロップキックを頻発していた。高さも打撃力も若手としては申し分ないものだった。
ヘッドロックで捕まえたときに小声で「技が単調だぞ。」と告げた。
「うすっ」不破が足払いをかけてきた。甘い入りではあったが緒方は倒れてやった。
すかさずヘッドシザースを極めてくる不破。
(意外に効くな。)(こいついい身体になった。)太ももで顔を圧迫されながら緒方はそんなことを考えていた。
すると不破がヘッドシザースの体制のまま体を回転させた。
(何をする気だ?)緒方の頭を挟んだまま、ゴロゴロと回転する不破。
緒方は首が折れないように一緒に転がるしかなかった。そのうちに不破の股間部分が緒方の顔の正面になった。
仰向けの不破の股間に緒方の顔が押し付けられている形だ。
不破の男根をタイツ越しにはっきりと感じる。緒方の股間が熱くなった。
(調子にのるなよ)緒方はそのままの体制で不破を持ち上げながら立ち上がるとパワーボムの要領で不破をマットに叩きつけた。試合中に勃起してしまうのはいつものことだが、後輩相手に欲情してしまうとは・・・。それに今あいつはわざと股間を押しつけてこなかったか・・・!?
たいしたダメージもなく不破は立ち上がるとあのワンパターンのドロップキックを放った。気が散っていた緒方はそれを受けてしまい後方のロープに倒れこんだ。跳ね返ったところを不破がベアバッグに捉える。
「おまえ本当に調子こいてんな。」あいた両手で不破の頭を掴み頭突きを食らわす。一瞬締め付けが弱まるがすぐに力を込め直してきた。思いのほか凄いパワーだ。緒方が再び頭突きをしようとしたその時、
「緒方さん、勃ってるでしょ?ビンビンっすね。」
「な、なにを・・・ぐぉっ!」虚をつかれた隙にベアバッグが完璧に決まってしまった。
「緒方さん変態っすね。俺も勃ってきちゃったっす。」
薄ら笑いすら浮かべながら緒方の腰をへし折らんばかりに締め付けてくる不破。
その若い力は宙に浮いた緒方の体を上下に揺さぶりはじめた。
「がぁっ・・」緒方の男根が不破のゴツゴツした身体に擦りつけられている。勃起を隠すための柔道着だったが、このような攻撃を受けるとそのゴワゴワした生地が却って陰茎への刺激を増幅する。
「ぅおおーーー!」道着の下にはケツ割れサポーターをはいていたが、今やそのケツ割れごと道着に男根が擦りつけられている。「今日はテレビ無いから、これくらい見えないっしょ。」あろうことか不破は緒方のはだけた道着から除く乳首をぺろっとひと舐めした。「あぅっ!」苦悶とも快感ともつかない声を思わずあげてしまう緒方。
(力が・・・力が入らない・・・くそっ)
不破は間違いなく緒方を陵辱しようとしていた。(いつバレたんだ・・?)緒方は苦痛(快感?)の中で答えの出ない問を反芻していた。
「緒方さん、やっぱり変態だったんっすね。感度いいし。」
不破は緒方の背中でがっちりとロックされた腕を微妙にずらすと緒方のケツの割れ目に指を入れようとした。しかし硬い道着のせいでなかなか上手くいかない。「ちっ、こんなの着てるからだよ。」穴を諦めた不破は緒方の臀部を掴んだり摩ったりし始めた。相変わらず身体は密着したまま上下に擦り合わされ続けている。
緒方は技を解くことができなかった。いや、解こうとしなかったのかもしれない。リング上でショートタイツ一枚の逞しい男に陵辱されている自分。これは密かに憧れていた世界そのものではないか!?
ぐわぁーーっ!!!」断末魔の声を上げ一気に緒方は果てた。
不破は射精して脱力した緒方の体をマットに投げ捨てると倒れた緒方の正面に仁王立ちした。下から眺めると黒いショートタイツ越しに不破の勃起した男根がくっきりと見える。(でかい・・・)すでに精を放った緒方だったが、不破のその雄臭い身体を今更ながら目の当たりにして勃起がおさまらない。
不破は抜け殻のようになった緒方をパイルドライバーで仕留めるとあっさりスリーカウントを奪った。
観客たちは急に戦意を喪失したように見える緒方を不思議そうに見つめていた。近くで見たならば柔道着の股間部分に染みが浮いているのが見えただろうが、遠目には白い道着にできた精子の白い汚れはそれほどは目立たなかった。
不破のタイツを突き破らんばかりに勃起した男根は、さすがに観客にも気づかれただろうか?今晩はTV収録がなく、雑誌記者も少なかった。翌週のプロレス誌にこの試合は取り上げられなかった。
地方での前座試合であり、セコンドにも見習いレスラーがいただけだった。
ただひとり、一部始終を間近で見ていたものがいた。レフェリーのスネーク長谷部だ。なぜレフェリーがスネークなのか誰も知らない。

この一件のあと、緒方はプロレス界を去った。射精を知る者は不破と長谷部しかいないはずだったが、これ以上メジャー団体でやっていく自信がなかった。
自暴自棄になった緒方は黒い世界に身を置き、ついには命を狙われる羽目に陥ってしまう。
絶体絶命の苦境に救いの手を差し伸べたのは、なんとスネーク長谷部だった。
長谷部の表の顔は日本最大手のメジャープロレス団体のレフェリーだったが、実は裏の顔があったのだった。
それは地下プロレスのプロモーター。黒い世界の黒いプロレス。
長谷部は黒い人脈を駆使して緒方の一命をつなぎとめることに成功した。
緒方への交換条件は地下プロレスラーとしてリングに立つことだった。

そして今、緒方は現役時代には決して身につけなかった深紅のショートタイツをはき、
はげしく男根をいきり立たせていた。











レスラーズ・ハイ②地下プロレスTHPW

「今日は初日ということで、まずは会場の雰囲気を感じてもらおう。」
佐田は緒方のビンビンの股間を面白そうに眺めながら言った。
「試合は無いんだな。それじゃ・・・」とタイツを脱ごうとする緒方を佐田が制した。
「いやいやそのままでいいだろう。いきなり試合でその格好で出て行ったら入場の花道で射精しかねんからな。君は。
少し慣らしたほうがいいと思うがね。」
顔を真っ赤にして緒方が反論しようとしたとき
「おー、似合ってるじゃないか。ショートタイツ。いいよいいよエロいよー。」
能天気な声で入室してきたのはスネーク長谷部だった。
「長谷部さん・・・」
緒方にとって今や長谷部は命の恩人。胡散臭いこと甚だしいが、どこか憎めないキャラクターに緒方は好感を持ち始めていた。
「佐田さん、あとは私のほうで世話しますんで。どうもありがとうございました。」
長谷部が頭を下げると、ふん、と横柄な態度で頷き佐田は部屋を出て行った。
「おっと、もう時間だ行くぞ。今日はセコンドに付いてもらうからな。」
さっさと歩き出す長谷部を「ちょ、ちょっと・・・」と緒方は慌てて追う。なんとか脱ぎ捨ててあったTシャツをつかみスニーカーをつっかけた。
「朝倉大悟、今晩お前がセコンドを務めるレスラーだ。なかなかエロい体つきでいいぞー。」
Tシャツを頭からかぶりながら、緒方は早足で前を行く長谷部の声に耳を傾ける。
「そういえばお前は大輔だったな。大輔と大悟、大ちゃんズだな~。ぐぅははは!」
バカ笑いをしていた長谷部が前方の黒いカーテンの前で歩みを止めた。振り返った長谷部の眼は別人のように鋭かった。
「会場に入るぞ。」
「おう。」答えた緒方の声はどことなく震えていた。
長谷部に続いてカーテンをくぐり抜ける。そこは、
男たちの肉欲が充満する異様な空間だった。
客は満杯だった。作り付けのベンチに男たちがひしめき合っている。200人以上は入っていそうだった。
「ここには女は入れねえ。」
広さは大きめのライブハウスと言ったところか。味も素っ気もないコンクリート打ちっぱなしの壁。
5列のベンチに四方を囲まれた中央に、リングがあった。
客席の間の通路をリングに向かって進む。緒方の股間に遠慮のない視線が突き刺さる。
「あれ緒方じゃねえか。」方々で驚きの声が上がる。
緊張で一旦は萎えかけた男根に再び血液が集中し始めた。
「おっ勃てたな。みんなホモってわけじゃねえけど、でかいチンポには男は惹きつけられるものだからな。
せいぜい拝ませてやれよ。」
リングサイドにたどり着くと長谷部は観客を見渡しながら話し始めた。
「ここの客は皆純然たるプロレスファンだ。ただし表のプロレスでは見られない試合を見たがってる。
ここの会費知ってるか?目ん玉飛び出すくらいたけえよ。」
「表のプロレスでは見られない試合・・?」
「要するに過激なやつな。別に真剣勝負の格闘技を見たいわけじゃない。プロレスっていう格闘技であって格闘技でない、ある意味いかがわしい空気の中での男の闘いに惹かれているんだな。表のプロレスだってそこが売りのはずだ。ここでは表より男をさらけ出さなきゃならない。雄の性のあられもない姿を見せつけるんだ。」
「ゲイじゃない客もいるのか?」「ノンケだってオスを感じたいやつもいるさ。」
突然リングにまばゆい照明が灯された。リングアナらしき男がリングに上る。
「いよいよ始まるぜ。THPWのショーの始まりだ。
Tiger’s Hole Pro-Wrestling THPW
人気プロレス漫画からとったと思われる安直なネーミングが、今の緒方には底知れぬ不気味さをもって響いていた。



レスラーズ・ハイ③出逢い

「只今より、本日のセミ・ファイナル、30分一本勝負、ドクター・ストレンジ対シャーク朝倉を開始いたします。」
地下プロレスにもリング・アナはちゃんといるらしい。
客の男たちは血走った目で歓声をあげている。
緒方は客に背を向けてリング・サイドに立っていたが、ケツに大勢の視線を感じるようでどうにも落ち着けない。
Tシャツをかぶっただけでショートタイツ1枚の下半身は剥き出しだ。
「ケツが疼くか?はははは」
長谷部に笑われギクッとする。
(この人は俺の心が読めるのか・・・?)
戸惑う緒方の横をガタイのいい男が通っていった。
隆々たる上半身の筋肉、真っ白のショートタイツに収まりきらない豊満な臀部。
男は、通り過ぎる際に腕が触れた緒方と、一瞬視線を合わせた。
(・・・・・)
その吸い込まれそうな澄んだ瞳に、緒方の心臓がドキンと反応した。
男はリングに上がっていった。
「朝倉だ。今日、お前がセコンドを務めるレスラーだよ。」
「そ、そうか、歳は俺と同じくらいだな。」
動揺を長谷部に見抜かれないよう平静を装ったつもりが、声が上ずってしまう。
そんな緒方をジッと見つめると、長谷部はリングに目を移しニヤニヤしている。
「この間30になったかな。お前の一つ下だな。」
(体格も俺と同じぐらいだな。)
リング上で待機する朝倉を、ついジロジロ観察してしまう。
白いショートタイツは緒方と同じように競パンのようなタイトなものだった。
おそらく生地も相当薄いのだろう。股間の膨らみが眩しいほどだ。陰毛が透けて見える気がする。
そしてその精悍なマスクに心を奪わずにはいられない緒方だった。
ショートスタイルにカットされた毛髪はサラサラと、爽やかを絵に描いたようだ。
男らしいルックスの中に少年のようなあどけなさが残る、柴犬のような顔とでも言おうか、
(可愛い・・・)
見れば見るほど緒方の胸のときめきは増していった。
はっと気付くとゴングが鳴っていた。

朝倉の対戦相手、ドクター・ストレンジは日本人のようだった。
朝倉より一回りデカい。だがそれほど引き締まってはおらず、所謂昔のレスラー体型といった感じだ。
オーソドックスな技の攻防が続く。
サミングなどのヒール的な小技を多用しつつパワーで押すストレンジと、
空中殺法で相手を翻弄するスタイルの朝倉が、攻守をめまぐるしく入れ替えている。
緒方は、躍動する朝倉の筋肉に見とれると同時に、迫力ある試合展開にもいつしか引き込まれていた。
「意外とまともなプロレスをするんだな。」
「当たり前だ。エロレスだけじゃこんなに客は入らんよ。『プロ』の試合を見せなきゃな。」
ただ、表のプロレスとは明らかに違うこと、それはレスラーが双方みごとに勃起していることだった。
「ここでは雄であることを隠さなくていい。むしろ見せつけるのさ。」
確かにリング上で闘う男達は、雄力をかけて闘うことに悦びを感じているように見えた。
ストレンジの攻撃の時間が長くなっていた。俯せに倒れた朝倉に覆いかぶさっていく。
「おっドクターの注射がはじまるな。」
よく見るとストレンジは朝倉の尻に自らの股間を擦りつけている。
観客の歓声がひと際高まった。
「やっちまえーっ」「朝倉ーっ食われるなよーっ」
どうやらストレンジは朝倉のケツを犯そうとしているらしい。
「ドクターも結構やり手のタチ・レスラーだからな。今日も朝倉をヤるんだってはりきってたぞ。」
ストレンジがタイツの脇から勃起した男根を取り出した。
(こんな野郎に朝倉が犯られる・・・!?)
心が泡立つような感覚とともに、自分がセコンドだったことを思い出し、緒方はリングにゲキを飛ばした。
「朝倉ーっ逃げろ!」
苦悶の表情を浮かべていた朝倉が、一瞬緒方の方を向きウインクした。
(えっ・・・)
またしても甘い衝撃に呆然とする緒方。
リング上ではストレンジがゴツイ男根を朝倉に挿入しようとしている。
(ああ、このままでは朝倉が・・・!)
思わずリングに飛び上がろうとする緒方の肩を、長谷部が強い力で制した。
「まあよく見ろよ。」
ストレンジが挿入に手こずっている。
どうやら朝倉のアナルが固く閉ざされているようだった。
そうこうしている内に朝倉が自分のケツを突き上げた。
そして二つに盛り上がった大殿筋でストレンジのイチモツをガッチリと挟んだではないか!?
なんということでしょう!
朝倉がストレンジのモノを挟んだまま腰を激しく動かすと、
「おおおおおおお!!!!!」
野太い雄叫びとともに、ストレンジはあっけなく果てた。
タイツのケツにストレンジのザーメンを滴らせながら朝倉は立ち上がった。
「おっさん、満足したか?」
膝立ちで恍惚の表情を浮かべているストレンジの後頭部に、朝倉の回し蹴りが叩き込まれる。
受身もままならず顔面からマットに叩きつけられるストレンジ。鼻血が吹き出した。
朝倉は休む暇を与えず、伸びている中年レスラーの髪を掴むと上体を引き起こし、
低空ドロップキックを顔面に炸裂させた。
血しぶきを上げながらストレンジがダウンする。顔面は血まみれだ。
サラサラヘアを少し汗で湿らせた爽やかイケメン青年が中年を甚振り倒すシーンが、ひとしきり続いた。
観客は憑かれたように言葉にならない声を上げている。
緒方も、朝倉のアナザーサイドを目の当たりにして衝撃を受けていた。
だがそれは依然として甘美な衝撃だった。
血の海となったリングに這いつくばるドクター・ストレンジがピクリとも動かなくなった時、
ようやく相手コーナーからタオルが投げ込まれた。
「THPWのリングではよっぽどのことがない限りレフェリーストップは無い。
死んだら後々面倒だからその前には止めるけどな。」
長谷部がのんきに説明する。
勝ち名乗りをあげる朝倉に歓声が降り注ぐ。
「いいぞーっイケメン!」「処女を守ったなーっ」やんややんや
リングを降りてきた朝倉が緒方の正面に立つ。
「緒方さんですね。はじめまして。」
「あ、ああ、はじめまして。お、緒方です。」
試合後の蒸気した顔で見つめられて、緒方の胸の高まりはマックスとなった。
「まあまあ、とりあえず引き上げようや。」
長谷部の促しで3人は花道を戻っていった。
観客が今にも襲いかかってきそうな勢いで3人を取り巻く。
花道に設けられた頑丈な鉄製のアーチ型の柵のおかげで直接触れられることはない。
(すげえな。)
異様な興奮の坩堝となった会場を見渡していた緒方の足が、ピタッと止まった。
ある一点を見つめて固まっている。
客席の中に設えられたVIP席、そこに悠々と陣取るがっしりとした体躯の初老の男。
(あいつは・・・・何故ここに!?)
「まあまあ、まあまあ。」
長谷部が訳知り顔で、緒方の肩を押した。
再び歩き出した緒方の頭はぐるぐる回っていた。
(あれは・・俺を亡き者にしようとしていた・・・黒杭組長・・!!)

つづく



レスラーズ・ハイ④暗黒組織の陰謀

カーテンをくぐると眩い閃光が緒方めがけて降ってきた。
それと同時に、気圧が倍になったかと思うほどの熱気に襲われる。
飢えた雄どもの咆哮に限りなく近い歓声が、鼓膜にキーンという痺れをもたらす。
今夜は緒方大輔のTHPWデビュー戦だ。
黒いタオルをすっぽりと頭からかぶっているので、その精悍なマスクは覗えない。
黒いTシャツ、そしてダークレッドのショートタイツ。
競泳パンツと見紛うほどサイドが細めのタイツを、腰履きではなくしっかりケツを覆うまで上げて履いている。
当然ハイレグ状態となり、動くたびに尻にタイツが食い込むため、
スイマーの半ケツとは逆の、ケツの下部が剥き出しになる「レスラー半ケツ」になっている。
Vラインは手入れなどしていない。雄の黒々とした繁みが堂々とタイツからはみ出している。
その中央、実に立派な膨らみは、真新しいタイツの締め付けに抗うかの如く存在を主張する、
緒方の『雄』そのものだった。
「ここでは雄であることをさらけ出すんだ!」
長谷部の言葉が脳裏に蘇る。
観客たちの視線が痛いほど股間に突き刺さるのを感じながら、緒方は数日前の長谷部の話を反芻していた。

「どうしてここに黒杭組長がいるんだ!?」
朝倉大悟の試合後に、かつての敵を目撃した緒方は動揺を隠さなかった。
メジャープロレスを去った後、裏社会に身を投じていた緒方は、ある事件をきっかけに組織に歯向かい、
命を狙われる羽目に陥っていた。
その組織というのが、先ほど会場のVIP席にいた黒杭が率いる黒杭組なのだ。
「お前さんを助けるのと引き換えに、TAPWは黒杭組と取引をした。要するに金で解決したのだ。」
長谷部が語り始めた。
「俺が実質的な橋渡しをしたわけだが、その件はきっちり解決したはずだった。
ところがこのことをきっかけにTAPWの存在が裏社会に注目を集めてしまった。
もちろんここの創設者でもあり現会長の鷲号(わしごう)も完全なカタギではないから
もともと裏との繋がりはあったわけだが・・・」
シャワールームから出てきた大悟もタオルを腰に巻いた姿で長谷部の話に耳を傾ける。
その完璧な肉体に少し心奪われつつ、緒方は話に集中しようとした。
「要するに黒杭はTAPWを賭博場にしようと目をつけたのさ。
ここでのエロくて血なまぐさい興業にギャンブルの要素を加えたら儲かるとな。
もちろん鷲号会長は断った。緒方のことは弱みでもなんでもない。
すげぇ大金をはらったんだからな。」
「申し訳ない・・・」
「そんなことは気にしなくていい。お前はこれからここで超エロくてブッ飛ぶ試合を見せてくれればそれでいいんだ。
鷲号会長もだからこそお前を拾ったのだからな。
鷲号会長は、ここの創設の理念『真の雄の開放』を貫こうとしているのだ。
確かにTAPWの試合を見るためには金がかかる。ウチも儲けなきゃな。
だが、観客が大枚をはたいて見に来るのは何のためだ?
単にエロ試合を見てオナニーするためか?そんなの今時インターネットでいくらでも見れるわな。
観客は、雄と雄のぶつかり合いを生で感じて、自分自身の雄を呼び覚ましたがっているのだ。
皆『真の雄の開放』を求めてここに集うのだ!」

今、緒方はリングの上に立ち、まさに目覚めようとしている己の「雄」を実感していた。
もうショートタイツを履いて勃起したって隠すことはない。
「見ろ!この男らしい盛り上がりを!これが俺の『雄』なんだ!」と
叫びたくなるくらい緒方は興奮していた。
リングアナがコールする。
「赤コーナー、本日デビュー戦、180cm98kg、
バズーカ緒方ー!!!」
頭を覆っていたタオルが投げ捨てられる。
単発の凛々しい面が、野獣の眼光を放っていた。

「バズーカ?」
長谷部の話を聞いた夜、地下レスラーに宿舎としてあてがわれているマンションの一室のベッドの上で、
緒方が顔をあげる。
「ああ。大輔のモノ、まさにバズーカだぜ。リングネームにぴったりだと思うがな。俺は。」
朝倉大悟が、3発出したあともまだ半立ちしている緒方の男根を弄びながら言った。
「そうか・・・?」
「大輔に突かれたら、俺の必殺『喜昇天ケツ』も役に立たないな。ははは。」
「キショウテンケツ?そんな名前だったのか、あの技は。」
ちょっと間抜けなネーミングだな。と思いつつ口に出さずにいると、
「バカっぽいと思ってるだろ?」
とふざけて緒方にヘッドロックをかけてくる朝倉。
「それより、長谷部のおっさんの話・・・ちょっとヤバい感じだな。」
「ああ・・・」
黒杭組の地下プロレスギャンブル化構想。
鷲号会長はにべも無く断ったのだが、しぶとい黒杭組長はある提案を持ちかけてきたという。
それは、黒杭組からレスラーとして人材を派遣したい、というものだった。
魂胆はわかっている。
現THPWのレスラーを潰していくことで団体の乗っ取りを謀ろうとしているのだ。
その黒い腹が読めるからこそ、鷲号会長は申し出を受けて立たざるを得なかった。
「まさかおたくの所属レスラーが、いかに極道とはいえ素人に負けたりはしないでしょう?」
こう挑発されて、受けて立たなければどんな中傷を流されるかわかったものではない。
それにTHPWを諦めたとしても、黒杭組独自で地下プロレス団体を発足するなどということになったら、
商売敵同士ということで、今後の運営に支障をきたすことは間違いない。
(今のうちに悪い芽は摘んでおいたほうがいいのかもしれないな・・・)
鷲号会長は決心した。
黒杭組から送り込まれてくるレスラーに勝ち続けることだけが、THPWの生き残る道なのだ、と。

そして今、緒方と対峙しているレスラーが、まさに黒杭組からの第一の刺客なのだ。
コールが始まった。
「青コーナー、こちらも本日デビュー戦、ブラック・パイル所属、178cm80kg
スコーピオン桐谷ー!」
ガウンが投げ捨てられると、ムエタイ仕様のサイドに大きく切り込みの入ったトランクスを履き、グローブをつけた筋肉質の肉体が現れた。
胸元にリアルな赤いサソリの刺青が掘られている。
「桐谷・・・・」
「久しぶりっすね。緒方さん。あんたがまだ生きてるなんて奇跡だな。」
(相変わらず不快なツラだぜ)
絶対に笑うことのない真っ黒な心の持ち主が、笑顔の形に表情筋を無理矢理固めたような嫌な表情、
桐谷の顔は常にそうだった。
それが見るものに底知れぬ不気味さを感じさせることを奴は知っていた。
「知ってました?俺は元キックボクサーなんっすよ。対戦相手を殴り殺しちゃったもんで極道やってるんすよ。」
「どっかで聞いたような話だな。ボクサー崩れが裏社会に堕ちるってのは。」
桐谷の張り付いたニヤケ面が一瞬強ばったような気がした。
「あんた、殺す・・・」
ゴングの直前、桐谷のつぶやきが緒方にも聞こえた。
試合開始早々、桐谷はスパートをかけてきた。
緒方よりも一回り小さい身体から、予想もつかない角度でパンチやキックが繰り出される。
「大輔、間合いに気をつけろよ!」
セコンドから朝倉が声をかける。両隣には長谷部と、宿舎で仲良くなったレスラーの大岩瞬が試合を見守っている姿が見える。
(こいつ、意外と本格的だな。)
緒方は桐谷の攻撃を素早くかわしながら、まともに食らったら受けるであろうダメージを計算していた。
桐谷の回し蹴りが空気をつんざきながら空振りしたタイミングで、緒方が軸足を払った。
尻餅をついて倒れた桐谷に、すかさずキーロックを極める。
「ボクサー崩れさんよ、思ったよりいいセンスしてたが寝技には手も足も出ないだろ?」
「ぐわっ・・・・」
経験したことのない腕のきしみに桐谷が苦悶の声をあげる。
会場に設置された大型スクリーンに、ニヤケ面をかなぐり捨てた桐谷の表情が映し出される。
カメラは全部で3台。リングの天上に固定された1台、本格的な機材を担いだカメラマンが二人。
地下限定のDVDとして販売するのだ。もちろん法外な値段で。
緒方はキーロックを外すと、桐谷の腕を抑えたまま倒立し、高い位置からのダブルニーを叩き込んだ。
「ぅぎゃーっ!!!」
2発、3発と膝を落とす。これで桐谷の右は攻撃力をかなり失ったはずだ。
「緒方、いいぞ!」セコンドからの声に顔を上げると、
緒方の視界に、VIP席に今日も陣取る黒杭会長の姿が入った。
憎しみの感情が湧き上がってくるのを感じながら、緒方はさらに桐谷を責めにかかる。
「親分が見てるぞ。お前破門だな。こんなにやられたらな。」
今度は脚を取ると一気に逆エビ固めだ。
「あががが・・・・」もはや満足に声もだせない桐谷。
緒方の男根は痛いほどいきり立っていた。
大型スクリーンに、勃起した男が筋肉を盛り上がらせながら相手の背骨を折ろうとしている姿が映し出される。
緒方はそれを見て、自分の雄力の美しさ、気高さに酔っていた。
「そろそろ地下プロレスっぽいのも見せなきゃな。」
がっちりとホールドしていた両足の片方を解くと、片逆エビのまま桐谷のトランクスの裾から手を入れる緒方。
「あれっ、縮こまっちゃってるぞ。だめだめ、地下プロレスではやられたらさらに勃つくらいじゃなきゃ。」
緒方は片エビを外し、うつ伏せに伸びている桐谷のパーマのかかった茶髪を掴み、膝立ちにさせた。
髪をつかんだまま正面に立つと、おもむろに客席を見回す。
大歓声を受けながらたっぷり間を置き、最後に黒杭組長をひと睨みしてから、
緒方はタイツの脇から男根を取り出した。獣じみた巨根!
「バズーカ!バズーカ!バズーカ!」一斉コールが巻き起こる。
「桐谷、貴様には地下プロレスは無理なんだよ。俺のハイパーマラビンタを喰らえ!」
凄まじい勢いで緒方の勃起チンポが桐谷の顔面に打ち付けられる。
あまりの速さに巨根が見えないほどだ。
バチバチバチバチバチバチ!という音が会場に響き渡る。
何百発というマラビンタを食らい、顔を青黒く腫らした桐谷は、緒方が髪を離すとドサッと音を立てて崩れ落ちた。
緒方は勃起した男根をタイツにしまい、ガッツポーズで声援に答える。
そして黒杭組長を見据えると、(もう俺にかまうな!THPWから手を引け!)と
心の中で叫んだ。
無表情で緒方の視線を受け止めていた黒杭組長の目が、一瞬光ったような気がした。
「危ない!」朝倉の声が飛んだ。
その直後、緒方は全身に凄まじい衝撃を受けて膝を崩した。
「おあっ!」
振り向くと這いつくばったままの桐谷が、スタンガンを緒方のふくらはぎに押し当てている。
「なっ・・・・」何をする、と言おうとして、2発目の電撃を食らい、たまらずダウンする。
「よくもやってくれたな。緒方さんよ、倍返しじゃすまんよ・・・・」
ヨロヨロと桐谷が立ち上がる。
「あんたがいい気分でポーズ付けてる隙に、コイツを渡してもらったのさ。」
黒杭コーナーにセコンドとして付いている目つきの悪い男達が見えた。
「くそ・・・迂闊だった・・・」
相手は極道だ。卑劣なことをさせたら奴らにはかなわない。
まだふらふらしながら桐谷がスタンガンをかざす。
「こいつはただのスタンガンじゃないぜ。拷問仕様の特注品だ。いくら強いプロレスラーさんだってイチコロなのさ。」
近寄ってくる桐谷から、匍匐前進で逃れようとする緒方。
しかし身体に思うように力が入らない。
たちまち桐谷に追いつかれ、背中を踏みつけられた。
「楽しませてもらうぜ、緒方さんよ。」
桐谷は緒方の脇腹を蹴り上げると、仰向けにさせた。
力の入らない緒方の左足を、両膝で押さえつけ、左手でもう片方の脚を持ち上げた。
桐谷に大股開きを晒す格好で動けない緒方。
「地下プロレスっぽいってのは、こういうことかい緒方さん?」
桐谷はスタンガンを緒方の急所に押し付けた。
「ぐごぉがぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
緒方のすざまじい絶叫とともにタイツの焦げる匂いが立ち込める。
金玉から全身に駆け抜けるあまりに激烈な衝撃に、緒方の視界は白く霞んでいった。
「ぅがっ・・・・おあ・・・がああ・・・・!!!」

つづく






レスラーズ・ハイ⑤男の痛みの向こうに

「これは意外な展開!圧倒的に試合を有利に勧めていた緒方、急所にスタンガンの電流をもろに受け、
完全にグロッキーだ!あーっタイツが焦げています。
緒方のダークレッドのタイツの急所部分が真っ黒だ!所々穴もあいてしまっているようです!」
THPWの会場の一角に設けられた実況ルームで、アナウンサーの新垣裕之の興奮した声が響く。
「地下プロレス初進出のブラック・パイルの先鋒として登場したスコーピオン桐谷、元キックボクサーという経歴の持ち主でしたが、プロレス勝負で不利なことを悟ったか、一転ヒールの本性を現したー!」
実況の音声は会場には聞こえない。
後に販売するDVDのオプションとして録音されている。
「レフェリーが緒方の意識がまだあるか確認しています。地下プロレスルールではレスラーが完全に意識を失うまでレフェリー・ストップは発動しません。
ここで桐谷がフォールを取るためカバー・ポジションをとれば、確実にスリー・カウントを奪えそうですが、どうやら桐谷にそのつもりは無いようです。
あっレフェリーが試合続行の合図を出しています。緒方、まだかろうじて覚醒状態にあるようです。」
新垣が隣に座る巨体に話を振る。
「権田さん、緒方はかなり厳しい状態に追い込まれましたねー。」
「そうですね。あのマラビンタで勝負を決めたつもりだったのでしょうが、ちょっと油断しすぎましたね。
なんといっても相手は反社会的組織の構成員なわけですから最後まで気を抜かずに行くべきでした。」
解説者として鋭い視線でモニターを睨んでいるのは、現THPWチャンピオンであるエンペラー権田だ。
その堂々たる体躯に、チャンピオンとしての威厳と風格がみなぎっている。
「チャンピオンから厳しいコメントです。元メジャー団体のプロレスラーだった緒方、相手を舐めすぎていたのか?!
おっとー、スコーピオン桐谷、外していたグローブを再び拳につけました!スタンガン攻撃から本来の打撃に戻すようですねー。
まだ大の字にダウンしている緒方に近づいていきます。先ほど緒方のニードロップで利き腕である右腕は相当ダメージを受けているはずですが・・・
あっと左腕の肘を高くあげたーっ。やはり右腕は使えないのか!?
あーーっ左の拳を緒方の急所に打ち込んだーーーーっ!!緒方の絶叫が響いています!
桐谷、高笑いだーっ。緒方、股間を抑えてのたうちまわっています!
いやー、権田さん、これは緒方が玉を潰されて失神するのは時間の問題といった様相を呈してきましたねー。」
「うーむ・・・。そうとばかりは言えないかもしれません。」
「えっ、こんな状況でまだ緒方に勝機があると?それはまたどうしてですか?」
「それは・・・・」


「チンポが勃っている。」
「えっ・・・!?」
リングを睨みながら、訳のわからないことを言い始める長谷部に、朝倉と大岩が呆気にとられる。
「でもそれは、絶体絶命に追い込まれた雄の本能が、種の保存のためにってやつじゃないのか?」
「いや、それとは違うように俺には見える。」
朝倉は悶絶する緒方を改めて見やる。
確かにもの凄い男根の張りがタイツ越しに確認できる。しかし・・・・
(大輔・・・、俺はお前を信じる!だがどうしても駄目な時は俺が助けにいくからな!)
拳を強く握り締める朝倉。
「オッサン、何言ってるんだよ!こっちもなんか強力な武器を調達しきて、緒方さんに渡そうぜ!」
大岩はあわてふためいている。
「バカ、暴力団同士の抗争じゃねえんだ。エロは全開でも凶器は使わねえ。
それが地下プロレスラーのベビーフェイスの基本条件だ。
ほら、客もみんな緒方を応援しているぜ。」


「緒方ーっがんばれー!」「バズーカ!立て!」
観客の声援は緒方に届いているだろうか。
凄まじい男の痛みに今にも気を失ってしまいそうな自分と戦っているのだろうか。
緒方は、なんとかコーナーまで転がっていき、ロープを掴んで立ち上がろうとした。
いきなり後頭部に桐谷の蹴りが炸裂する。
「ごわっ・・・!」
膝から崩れ落ちるが、なんとかロープを掴む手は離さずに済んだ。
背中に、嵐のような蹴りの猛攻が襲いかかる。
バシバシと蹴りを受けながら、それでも緒方はロープを離さない。
「ぐわっ・・・おお・・・うぐ・・・」
苦しみもがきながら、ついに緒方がコーナーポストに縋り付くように立ち上がった。
タイツが食い込んだ筋肉の盛り上がるケツが、ヒクヒクと痙攣している。
「しぶといっすね・・・緒方さん。まぁ甚振りがいがあっていいけどな。」
桐谷が緒方の腰に強烈な回し蹴りを叩き込んだ。
「おぅあーーっ!!」
耐え難い痛みに、緒方の背中の筋肉に力が入り、彫像のように盛り上がる。
「後ろばっか見てないで、こっち向いてよ緒方さん。」
グローブの手で緒方の髪を掴み、無理矢理正面を向かせる。
タイツの股間部分は黒く焦げ、小さな裂け目から陰毛がはみ出している。
そして、情け容赦ない腹責めが始まった。
コーナーに張り付いた緒方の腹に、一発、一発に力を込めたパンチ、蹴り、膝がめり込む。
その度に緒方の体はボロ雑巾のように、宙に浮いたり、くの字に折れ曲がったり、逆に海老反りになったりした。
「がぁっ・・・ごお・・・うぐ・・・・・」
緒方のうめき声が次第に弱くなっていく。
責める桐谷の息も上がってきた。
「はぁはぁ・・・緒方さん、あんたホントに痛めつけたくなる奴だよ・・・・」
桐谷は緒方の首をグローブで押さえつけると、おもむろに左アッパーを急所に打ち込んだ。
「がぁあああっ・・・・!!!!」
電流を食らった時とはまた違う、重い衝撃が下腹部を支配する。
緒方が白目を向いて、断末魔のような呻きを漏らす。
「ふうっ・・・まだ失神してないよな。」
もはや痙攣が全身にまで伝播している緒方。
桐谷は緒方の片足を持ち上げ、セカンドロープに引っ掛けると、もう片方も同じように固定した。
両腕はトップロープに乗せられ、体が前に倒れないように体重を支えている。
大股を大きく開いて、まさにコーナーに貼り付けられた格好だ。
緒方の虚ろな目が、会場の大型スクリーンを見つめている。
そこに映るのは、大の男が股間に焦げ跡があるブーメランパンツを履いて、開脚姿勢で磔られているという
ある意味なんとも非現実的な光景だった。
「そろそろ終わりにさせてもらうぜ。緒方さん。」
桐谷は対角のコーナまで歩いていくと、振り返った。
一瞬の間を置いて、猛ダッシュで緒方に向かって突っ込んできた。
「死ねーっ!緒方ーっ!」
桐谷はリングの中央で踏み切ると、緒方目指して弾丸のように宙を切った。
ジャンピング・ニーが緒方の急所を直撃した。
ずしゃっ!と玉が潰れる音が聞こえてきそうな一瞬の後。
「うぎゃおぅっーーーーーーーー!!!!!!!!」
緒方の絶叫がこだました。


「こ、これは酷い!無防備な緒方の股間に桐谷の膝がめり込みました!
緒方、いくらなんでも失神したか!?いや、まだ意識があるようです。
レフェリーが非情にも試合続行を告げましたーっ!
権田さん、もはや緒方の精神力も限界なのではないでしょうか。」
「先程も言いましたが、緒方の男根の怒張具合からして、まだ雄の闘争本能は死んでいないと思います。」
(だが・・・それも風前の灯火か・・・・?)
権田の目にも、緒方の復活はありえなく見えはじめていた。


「はぁはぁ・・・緒方さん・・・玉潰されて、まだ勃ってんのか?
ホント真性のドMだったんだな。あんた・・・」
「ぐぅ・・・がは・・・」
「もうまともには喋れねえよな。あー、あんたの苦しむ顔見てたらたまんねぇ・・・
もう我慢できねぇ・・・地下プロレスではこんなことしてもいいんだろ?」
桐谷は突然ムエタイ・トランクスを脱ぎ捨てた。
黒いケツ割れサポーターを履いた、よく締まったケツが顕になった。
そしてセカンドロープに両足をかけると、緒方の顔の正面に自分の股間を近づけた。
「俺のを咥えろ、緒方。」
サポーターの脇から勃起した男根を取り出し、緒方の口に無理矢理ねじ込んだ。
失神寸前で、半開きになった緒方の口が太い男根でこじ開けられる。
「おらっ、喉の奥まで突いてやるぜ!あー、たまんねぇ!すげえぜ!緒方!」
桐谷は緒方の髪を掴み、自分の腰を激しく前後させるとともに、緒方の頭を揺さぶった。


「大輔ーーっ!」
朝倉がリングに飛び上がろうとする。
「まったく、お前らは二人共やる事が一緒だな。」
「止めんじゃねえよオッサン!俺の大輔にあんなこと、アイツ許さねえ!」
朝倉と、長谷部がもみ合っている。
「今、お前が飛び出したら黒杭の連中も出てくるぜ。そしたら試合どころじゃなくなる。
死人がでたっておかしくねえ。それでは黒杭の思う壺だ。ここは耐えるしかないんだ。」
「くそっ・・・!大輔ーーっ!」


桐谷の亀頭がのどに激しくぶつかる。
咳き込みたくても、顎を桐谷にガッチリと掴まれていて口も閉じられない。
目から涙が溢れてくる。涎も垂れ流しだ。
桐谷の腰のピストンが激しくなった。
「おー!いいぜ!緒方!あースゲエ気持ちいいぜ!
おーーっ!イクゼ!緒方!あーっイクぜーーっあーーーイク、イク、イ、あああーーっ!」
大声で歓喜の声を上げながら、桐谷はついに射精した。
男根を咥えさせられた緒方の口の端から大量の精液が溢れ出す。
満足そうな表情で桐谷が男根を抜くと、緒方は激しく咳き込んだ。
「馬鹿野郎!全部飲み込むもんだろが、このドM野郎!」
桐谷はロープから降りると、またしても緒方の髪を掴んで顔を上げさせた。
野郎臭い精悍なマスクは、今や虚ろな目で、口からは男の精液を滴らせている。
「つくづくエロいな、その表情・・・あーまだ犯りたんねぇ気がしてきた・・・」
桐谷はちらっとVIP席の黒杭組長を見た。
スキンヘッドの下の表情は、何の感情も映していないように見える。
すると、黒杭組長が右腕を不意に正面に突き出し、親指を突き立てた。
そして次の瞬間、その親指を下に向けた。
それを見た桐谷が頷く。
「残念だが緒方、親分からさっさと終わらせろって合図がでちまった。
もっと甚振ってやりたかったが仕方ねえ。お前の口マン最高だったぜ。」
緒方は焦点が合っているのかもあやしい目で、またも大型スクリーンを見ているようだ。
徹底的に甚振られた挙句、急所を破壊され、口内射精までされた逞しい野郎が大写しになっている。
そしてその股間は今もなお痛ましいほどの盛り上がりを維持しているばかりか、先端にシミができている。
「先走り出しちゃったか。ドMレスラーさん。ますますエロいぜ。」
桐谷が右手のグローブを外しながら緒方をあざ笑う。
「あんたに散々やられちまった右腕だが、最期はやっぱり俺の必殺右アッパーで終わらせたいからな。」
桐谷が腰を落として、右腕に力を溜め込む。
「腕がダメになっても、この一発であんたを地獄に落とす。
喰らえ!必殺『サソリ突き』ーーーっ!!!!」
桐谷の渾身の力を込めた素拳のアッパーが、緒方の股間をえぐりとった。
ぐしゃっ!!!!金玉がひしゃげる感触が桐谷の拳に伝わった。
「があっ!・・・・・・・・・・ああ・・・・・・あ・・・・・あ・・ああ・・・・・」
緒方の脳髄に核爆発のような眩い閃光が砕け散った。
男の痛み。まさに雄の象徴を破壊されることによって、
自分が紛れもなく雄であるということが証明されるという、この逆説。
視界が戻った時、緒方の目に飛び込んできたのは、巨大モニターに映る、
雄そのものを叩き潰された、だからこそ雄々しく気高い野郎の姿だった。
どぴゅっ!!!!!!!!
緒方の男根からザーメンがほとばしった。
「ああ・・・・おお・・・おおおお・・・・」
真紅のショートタイツを真っ白な精液が流れ落ちていく。
あとからあとから止めどもなく緒方の射精は続いた。
000154955.jpg


(緒方・・・終わったか・・・・)
権田は実況ルームのモニターを見ながら唇を噛み締めていた。
まだ2、3度言葉を交わした程度であったが、これから一緒に地下プロレスを盛り立てていける頼もしい仲間ができた、と思っていた。
だが、デビュー戦で無名のファイターに惨敗を喫し、しかもあれだけやられてしまっては・・・
(再起不能かもしれない・・・・)
権田は、緒方の今後を憂うと同時に、自分が立ち向かわなくてはならない「ブラック・パイル」の暗黒のような気配に身震いするような感覚を味わっていた。
と、新垣アナの興奮した声が聞こえてきた。
「スコーピオン桐谷、左腕をあげてガッツポーズです。
今のパンチで右腕は不能になってしまったようです。しかしなんとも壮絶な試合でした。
14分24秒、スコーピオン桐谷の『サソリ突き』により、失神射精KOでバズーカ緒方、リングに沈み・・・しず・・
えっ!?あっ!?お、あ、え・・・・!?」
新垣が急にあわてだしたので、権田が不思議そうに尋ねる。
「どうしました?」
「い、いや・・あれ、あ、あれを見てください。」
権田が新垣の指差すモニターに改めて目を向けると、
「何だって・・・・!?」


緒方がセカンドロープから脚を外そうとしているのが見える。
「大輔っ!」
朝倉が歓喜の声をあげる。
長谷部と大岩は抱き合って飛び跳ねている。
「大輔!やられちまったかと思ったぜ!」
朝倉がほとんど涙目で訴える。
緒方は一瞬顔を朝倉に向けるとパチっとウインクした。
「大輔・・・やってくれるぜ・・・」


呆然とする桐谷の前に、緒方が立ちはだかった。
「あーーっ!スッキリしたーーーっ!!!」
大声で緒方が叫ぶと、客席から大歓声が沸き起こった。
「お、お前、金玉潰されて、平気なのか・・・?バケモノか・・・・?」
桐谷が心底驚いた表情で、後ずさりし始める。
「潰れてねえよ。」
緒方が股間を揉みながらゆっくりと桐谷に近づく。
「あんまりやられてる自分が格好よかったんで、つい余裕かましすぎちまった。
最後のパンチは危なかったな。ま、あれでイけたから目が覚めたけど。」
「わ、わざとやられていたっていうのか・・・・!?」
「誰がお前みたいな弱っちいやつに敗けるかよ。鍛え方がち・が・うんだよ。」
「なんだ・・コイツ・・普通じゃねえ・・・・ヤバい・・・・」
リングから逃げようとする桐谷を、緒方がケツ割れを掴んでマットに放り投げる。
ビリっとケツ割れが敗れ、桐谷の下半身は丸出しとなった。
「スタンガンは予想外だったな。あれが続いたら俺もやばかった。
だけどその後のへなちょこパンチや、へなちょこキックは痛気持ちよくて良かったぜ。
久々にリングでぶっ放したが、最高だな!しかも今回は自分がやられてるのを見ながら出せたし。
クセになりそうだぜ。またこのタイツがいいんんだ。見ろよこのザーメンが滴るタイツを。
めちゃめちゃセクシーだろ?」
「う、うわぁ・・・へ、変態だー・・・」
「ばーか、変態じゃないやつなんていないんだよ!」
緒方が桐谷の後方から首を取る。スリーパー・ホールドの体勢だ。
「じゃ、本当に試合を終わらせようぜ!」
じたばたと逃れようとする桐谷を片腕でがっちりホールドしたまま、
緒方はタイツの脇から男根を取り出した。
自身のザーメンでヌラヌラと光るそれは、いまだ立派に勃起していた。
その巨大なモノをいきなり桐谷のケツの穴にねじ込む緒方。
「ギョエーーーっ!!!!」桐谷はたまらず悲鳴をあげる。
「それでは本舗初公開、必殺『バズーカ・ホールド』!!!!!」
両腕が首を締め上げ、巨根が荒々しくアナルを攻め立てる。
緒方が怪力でゆさゆさと桐谷を揺さぶると、頚動脈が締まっていくのと同時に、
前立腺を巨大な亀頭が激しく刺激する。
「ぐわ~~~~~~!!!!!!」
たちまち桐谷は白目を向いて失神した。
緒方はゴミでも放り投げるように桐谷をマットに捨て去ると、
「お前のケツじゃイけねえな・・・・」
とつまらなさそうに言った。
会場を揺るがしそうな大歓声の中、緒方が両腕を上げて鬨をあげる。
筋骨逞しいそのガタイ、腫れ上がった金玉と野性的な巨根を包むショートタイツは、
股間が黒く焦げ、ザーメンがベッタリとシミをつくっている。
新たな地下プロレスのヒーローの誕生に、会場は狂喜の渦と化していた。



「大輔・・・、お前やっぱりすげぇよ。ますます惚れちまうぜ。」
控え室でシャワーを浴びたあとの緒方に、朝倉が缶ビールを手渡す。
「地下プロレス最高だ!あんなに気持ちよかったの、お前とやった時しかないぜ。はははっ。」
陽気に笑うと、緒方は急に真剣な眼差しになり
「大悟、心配かけてすまなかった。」
見つめ合う緒方と朝倉。愛し合う男同士の濃厚な視線が絡み合う。
「はいはいはいはい、いちゃつくのは帰ってからにしてくださいよ!
ビールがぬるくなっちゃうでしょ。そんなにアツアツ見せつけてると。」
大岩が呆れたように言う。
「とりあえず、デビュー戦勝利の乾杯しましょうよ。あれっ長谷部のオッサンどこいったんだ?」
そういえば先ほどから長谷部の姿が見えない。
「つまみでも買いに行ったんだろ。」
「いっぱい買ってきたって言ったのに・・・」
そこへ、長谷部がようやく戻ってきた。心なしか浮かない表情だ。
「オッサン早く早く、やっと揃った。さて、ではでは・・・・朝倉さん、乾杯の音頭よろしくっす。」
4人が向かい合った。
「それではバズーカ緒方の華々しいデビューを祝して、乾杯!」
「カンパーイ!」
ぐびぐびっと喉を鳴らして缶ビールを飲み干す緒方。
「いやーっウマイッ!」
激戦の緊張から解放され、4人は心ゆくまで小宴会を愉しんだ。
しばらくして長谷部がまた影のある表情になり、緒方に話し始めた。
「佐田、覚えてるか?」
「ああ、ここの支配人だろ。初日に俺のパンツ持ってきた。焦がしちゃったけどな。
あの人がどうかしたのか?」
「なんだか動きが妙なんだ。」
「妙?」
「どうもコソコソと黒杭の連中となんかやってる気がするんだよな。」
「それはマズイんじゃないの?」
朝倉が話に加わる。
「あの人、ちょっと感じ悪いけどここの運営については重要なポジションだろ。
この微妙な時期に黒杭とツルンだりしたら鷲号会長が黙ってないだろ。」
「そうなんだ。だから俺も一言忠告してやろうと思ってるんだが・・・」
今日は黒杭の刺客を捻り潰し、奴らの出鼻を挫いたと思っていたが・・・
裏社会の強者はあらゆるところに罠を仕掛けているのかもしれない・・・
緒方の脳裏に、残忍で卑劣な黒杭組長の表情が蘇っていた。
と、トントンと控え室のドアをノックする音がした。
「誰だろ。はい、今開けますよ。」
大岩がドアを開けると、外にはガタイのいい男が立っていた。
その顔を見て、緒方と長谷部が驚きの声をあげる。
「不破・・・・!?」
思いがけない来客は、怯えたような目で緒方を見つめていた。

つづく

レスラーズ・ハイ⑥The Calm Before The Storm

不破晃司・・・
思いがけない再会に緒方は戸惑いを禁じ得なかった。
緒方のメジャー時代の後輩、初めてリング上で射精させられた相手・・・・
あの時坊主頭だったかつての若手レスラーは、ゲームの主人公のような髪型で、しかも金髪だった。
「緒方さん、お久しぶりです。俺、緒方さんに会いたくて、会いたくて・・・・
やっと会えた・・うっうう・・・」
「お、おい、なんだよもう。ま、こっち来い。なんでお前がこんなとこに?
大体どうやってここに入ったんだ?まぁまぁ、泣くなよ。ちゃんと話して見ろ。」
長谷部になだめられると、不破はハッとしたように顔を上げるとドアの外をキョロキョロと伺い、急いでドアを閉めた。
「ふーっ。こんなとこ見られたらタダじゃ済まない。危ない危ない・・・」
「何なんだよ。一体どうしたってんだ?」
ドアの外の様子を暫し伺っていた不破が、誰も来なさそうなのを確認してようやく安心した、という表情で再び一同に向き合った。
「突然すみませんでした。俺は不破晃司といいます。はじめまして。」
朝倉と大岩に頭を下げる。
「あ、ああ、はじめまして・・・」
「こいつは俺のメジャー時代の後輩なんだ。まぁ、俺がこんなことになったきっかけを作った奴というか・・・ま、色々あった仲なんだ。」
薄く挙動不審な緒方に、朝倉がきつい視線を投げる。
「色々ってなんだ?」
「まあまあまあまあ、とにかくちょうど宴会中だし、不破、お前も飲め。」
不穏な空気を察した長谷部がお茶を濁し、不破にビールを手渡し、聞く。
「それでどうしたんだ?なんだかソワソワしてたけど、まさかここに不法侵入してきたとか・・・」
「違うんだ、長谷部さん。俺はちゃんとここの入場パスを持ってる。さっきの緒方さんの試合も見てた。」
「じゃ、お前THPWの会員になったのか?」
「いや、そうじゃなくて、実は・・・その・・」
「なんだ、はっきりしろよ。」
緒方たちの視線をまともに受けられない様子の不破だったが、意を決したように顔を上げると、言った。
「俺、ブラック・パイルのレスラーなんだ。」
「な、何だって・・・・」
言われてみると、不破のいでたちは黒と金のラインが入った白いジャージ姿。存在を主張する金属の装飾品。趣味を疑いたくなるようなひどいデザインでありながら、とにかく高価であることがわかる腕時計。
それは非カタギであるという記号のようであった。
不破はビールを煽ると、覚悟を決めたかのようにすらすらと話し始めた。
不破はメジャー団体を退団していた。もう1年も前のことだそうだ。 
緒方の一件以来、メジャーのレフェリー業を辞めていた長谷部はそのことは知らなかった。
「あの試合のあと、緒方さん辞めちゃったじゃないですか。俺もそこで反省すれば良かったんだけど、やっぱりどうしてもちょっかい出したくなっちゃうんですよね。チンポに。」
試合中に相手のレスラーの男根に執拗に触れてくる不破に、周りから不審な目が向けられるようになるまで、それほど時間はかからなかったという。
ある大物レスラーに、試合中電気アンマをかけ、そのレスラーが不覚にも勃起してしまったことで不破に逆ギレしたらしい。
「実質上の解雇です。」
プロレス界を追い出され、不破は途方に暮れた。プロレスの他に自分にできることがあるのか?
そして思い出したのが緒方のことだった。
「緒方さんは、プロレスやめて今どこで何してるんだろう?って思ったんです。」
緒方の消息をたどるのは容易ではなかった。散々、方々を探し回って、やっと緒方が黒杭組の構成員になったらしいとわかったのは、それから半年後だった。
「後先考えずに、盃を受けるって言うんですか?黒杭組に入っちゃったんです。」
ところが、その時既に、緒方は組を裏切り逃亡の身になっていた。
緒方のいない組にいる理由はなかったが、一旦入ってしまうとなかなか抜け出せない世界のこと、不破はずるずると極道の道に引きずり込まれていった。
そんな折、突然黒杭組のプロレス進出の話が動き出した。
当然、元プロレスラーの不破に白羽の矢が向けられた。
「俺もプロレスできるっていうんで、がぜん元気になったんですが・・・・」
まず不破に課せられた仕事は、レスラーとしてリングに上がることではなく、黒杭組の構成員の中で格闘技の素質がある者を選抜し、レスラーとしてモノになるようコーチングすることだったのだ。
「無茶な話です。ただでさえプロレスラーとして闘えるようになるまでは生半可な鍛え方じゃ通用しませんよね。
それを1~2週間で仕上げろって、そんなこと出来るわけがない。」
しかも構成員の中で喧嘩が強いと目されている者の実態は、ハッタリが異様に効くとか、そもそも強い相手とは喧嘩しないとかであり、裸と裸がぶつかり合うプロレスには通用しないことは誰の目から見ても明らかだった。
「今日の桐谷なんて一番マシなほうです。一応キックボクシングの技術はありましたから。でも今日の試合でも明らかなように、地下プロレスラーとしてはしょぼいというか、こんな戦力でTHPWを乗っ取ろうなんて黒杭組長も何を考えてるんだか・・・」
不破の話を黙って聴いていた緒方が不破の肩に手を置いた。
「お前も大変だったんだな。」
「緒方さん・・・」
「今の話の流れだと、次のブラック・パイルの刺客は・・・お前だな。」
緒方が不破の目をじっと見つめて言った。
緒方に見つめられ、不破はまた涙目になりうつむいてしまった。
「俺、できません・・・緒方さんとプロレスがしたい。でも・・でもそれはこんなかたちではなく、緒方さんと雄同士の、本当のプロレスがしたいんだ!」
緒方とて思いは同じだった。できればかつての後輩と敵同士として闘いたくはない。
しかも不破は、自分を頼った結果極道の道に迷い込んでしまったのだ。
「移籍、できないかな。」
朝倉が言った。
しかしそれが不可能なことはそこにいる誰もがわかっていた。
「お前は黒杭の切り札的存在なんだろ?黒杭がTHPWをあきらめてくれりゃ、まだなんとかなるかもしれないが、今の状況でそれはちょっとなぁ・・・」
長谷部も頭を抱えてしまった。
「今のところ、組長から次の試合については何の支持も出ていません。だけどもし俺に出ろ、ってことだったら仮病でもなんでもして逃げるつもりです。黒杭が地下プロレスをあきらめるまで、なんとかしのげれば・・・」
「うーん。望みは薄いが、今はそれしかないのかもな・・・・」
「俺、いつかきっと黒杭を抜けて地下プロレスで緒方さんと闘いたい。雄同士の熱いプロレスがしたい!」
不破の熱弁を聞いて、朝倉の目つきが険しくなった。
緒方はそれには気づかず、再び不破の肩に手をかけて言った。
「不破、気をつけろよ。極道の世界はお前が思ってる以上に非情なところだ。お前の本心を奴らに悟られたらどうなるかわからない。無理するんじゃないぞ。」
「緒方さん・・・俺・・・わかりました!」
不破はまた、辺りの様子を慎重に伺いながら戻っていった。
「ややこしいことになってきたな。」
長谷部がため息をつき、焼酎を煽る。
男たちの様々な思惑が絡み合う地下プロレスという世界。
雄の本性がさらけ出されたその世界では、男の情念がうずまき、ヘドロのような混沌を作り出している。
その混沌の中でしか生きることのできない男たちがいるのだ、と緒方は改めて自分と、自分に巻き込まれていく男達に思いを馳せるのだった。


それから三ヶ月あまり、ブラック・パイルは完全に鳴りを潜めていた。
不破の言ったとおり、レスラーの玉が揃わないのかもしれない。
不破は頻繁にメールを送ってきた。危険な行為だから止すよう緒方は忠告したが、不破は不破なりにこちらと繋がっている実感を求めていたのかもしれない。
今のところ不破に試合出場の支持は出ていないようだった。
かといって黒杭の構成員からめぼしいレスラーが発掘されそうな気配もないのだった。
(一体、黒杭組長はどういうつもりだったんだ・・・・?)
あの頭の切れる黒杭のことだ。なんの勝算もなく乗り込んでくるだろうか?
それとも、地下プロレス欲しさで後先考えず突っ走ってしまったということなのか?
なにもなければないで、不気味さを感じてしまう緒方だった。

緒方たちは通常通り、THPWのリングに立っていた。
緒方のエロいやられっぷりとその後の豪快な逆転勝利は、もはや様式美とさえ言える黄金パターンとなった。
単純だが、だからこそ表のプロレスではあまり見られなくなった勧善懲悪的なプロレス・ショーが、地下プロレスファンに受けていた。
緒方が散々痛めつけられた挙句、射精して復活する。
それだけの話なのだが、その質は高い。
客席での自慰率が高くなり、会場内の雄臭はそれが不快な人間にとっては息もできないほどだった。
DVDなどの映像媒体の売上が倍増した。この映像は表に流出した場合、その出どころは確実に追跡され、非合法の厳罰がくだされる。そういった点ではTHPWもやはり裏組織なのだ。
緒方の「あーっ!スッキリしたー!」は早くも今年の地下プロレス界での流行語大賞候補として呼び声が高い。
THPWがバズーカ緒方の出現によってかつてないほどの活況を見せていることは間違いなかった。


都内某所の地下空間。有事の際にはシェルターとしても機能しそうなほど深い地中にTHPWはある。
これほどの施設を東京の真下に建設できたのは、実は強大な国家権力を握る人間が、THPWに関係しているのでは?という噂がある。実際会員の中には、日本人なら誰でも知っているビッグネームが少なくない。
どんな立場にあろうとも、一皮剥けば生身の雄なのだ。
広い地下スペースの一角に、レスラー専用のトレーニング・ルームがあった。
設置されているマシン、広さなどは一流のジムに引けをとらないが、その内装はなんとも殺風景なものだった。
打ちっぱなしの壁には年季が入り、清潔には保たれているが、雄の体液が染み込んだ床からは決して消すことのできない雄の匂いが立ち上ってくるようだ。
そして部屋の奥に荘厳な舞台のように鎮座するリング。マットには何人もの男たちが流した汗や体液が作った模様が染み付いている。
今、この部屋では緒方と、朝倉、大岩の3人がトレーニングに励んでいた。
緒方は短パンにTシャツ。朝倉はスパッツにラッシュガード、大岩は試合用のグリーンのショートタイツという出で立ちだった。
レッグプレス・マシンに腰掛けてインターバルをとっていた緒方は、リングの奥の壁に飾られている写真に気がついた。
見事な上半身で誇らしげにマッチョポーズをとる精悍な顔つきのレスラーが写っている。
「あれは誰なんだ?」
ベンチプレスをやっていた朝倉がバーベルを戻して上体をあげる。
「あー、あれは『地下プロレスの神』なんだって長谷部のオッサンが言ってた。」
「『地下プロレスの神』・・・?」
「ああ、二十年以上も前にここの初代チャンピオンだった人だ。」
「ライディーン竜崎って名前でしたよね。」大岩も話に加わる。
「なんでも地下プロレス史上、今でも誰もまねできない凄い必殺技を持ってたそうですよ。」
「そうなんだ。俺も詳しくは知らないけどえらく強烈な技だったらしい。」
朝倉が立ち上がってプロテイン入のドリンクを取りに行く。
「その技のために命を落としたとか・・・・」
「えっ・・・?」
驚く緒方に、ドリンクのストローから口を放した朝倉が言う。
「その技は相手を確実に倒すと同時に、自分にも絶対射精するほどの激しい快感をもたらしたらしい。
ライディーンはその技を使いすぎて、ある種のジャンキーになってしまったそうなんだ。ある試合の際に、ライディーンは19回射精してそのまま逝ってしまったということだ。」
「なんと・・・・!?」
凄い人間がいたものだ。リング上で限界まで雄の精を放ち、息絶えるとは・・・!
これこそ地下プロレスラーとしての殉職と言えないか!
緒方は自分の男根がムクムクと勃ってくるのを感じた。
「大悟、スパーリングやろうぜ。瞬、おまえはレフェリーをやってくれ。」
「レフェリーって、実戦形式でやるってことですね。」
「おいおい、練習で怪我したら目も当てられねえぞ。」
朝倉がたしなめる。
「まさか失神するまではやらねえよ。スリーカウントか、射精で決着ってルールでどうだ?」
「仕方ねえなー。」と言いながら朝倉もどこか嬉しそうだ。
緒方はTシャツと短パンを脱ぎ捨て、赤いショートタイツ一枚になった。
朝倉もスパッツを脱ぎ白いショートタイツ姿となった。白いラッシュガードはそのままだ。
同じくショートタイツを履いた大岩もリングにあがり、
パンツ姿の男たちのスパーリングが始まった。

緒方と朝倉がレスリングで肌を合わせるのはこれが初めてだ。
朝倉の美しい肉体とリング上で組んず解れつしていると、ベッドの上とはまた違う快感が緒方の全身を走り抜けていた。
プロレスの技術には絶対の自信がある緒方だったが、地下プロレスでの巧みなセクハラ攻撃には朝倉に一日の長があるようだった。
例えば、ヘッドシザースに首を捉えられた時には勃起した股間が顔に押し付けられた。むせかえるような雄の匂いに気が遠くなりかけると、急所を掴まれた。
「この前の試合で痛めつけられてたよな。まだ完全には回復してないんじゃないか。んん?」
「おわっ・・・」
絶妙な緩急を付け玉を握ってくる。
また、スリーパーでバックを捉えられた時には、これまた絶好のタイミングで乳首に触れてくる。
「大輔の性感帯は、俺が一番熟知しているからな。」
「ああっ・・・やめろ・・・こら・・・ううっ・・・・」
朝倉の性感攻撃に翻弄される緒方。
「もしかして、二人の営みに付き合わされてますか?俺・・・」
大岩が口では言いながら、タイツの股間は大きく盛り上がっている。
「はいっ二人共試合に集中して!ファイッ!」
「大悟ーっ!俺だってお前の弱点は知ってるんだぞ!」
スリーパーから脇腹へのエルボーで脱出した緒方はバックを取り返す。
「お前はここがヤバいだろ?」
逆に朝倉にスリーパーをかけ返すと勃起した男根をケツの割れ目にこすりつけた。
「あああっ・・・」
朝倉が切ない声をあげる。
「おお、大悟、たまんねぇぜ!お前のケツ!このままバズーカ・ホールドかましていいか?」
緒方が我慢できないといった様子で朝倉を犯しにかかる。
「ううっ・・大輔、そう簡単にはケツは開かねえぜ。」
朝倉が大殿筋に力を込める。朝倉の必殺技「起承転ケツ」だ。
「おああっ!」
すさまじい男根への圧迫感に緒方が悲鳴をあげる。
朝倉がケツを左右に振り始めた。
「があっ!」
チンポが根っこから引きちぎられそうだ。
「大輔、どうだ?おれの起承転ケツの味は?お前いつかこの技の名前を馬鹿にしてたよな?」
ケツの振りが上下に変わった。
「おおおおおおおっ・・・・!」
快感の大波が押し寄せてくる。
(まずい・・・このままでは射精してしまう・・!)
緒方は朝倉のケツに捉えられている自身の男根を引き離そうとするが、まるで万力に挟まれているようにビクともしない。
「イっちまえよ!大輔!」
朝倉のケツの振りが激しくなった。
「ぬうぉーーー!」
(だめだ、抜けない。くそっ・・・そうだあの手だ!)
緒方は朝倉の背後から手を伸ばすと両乳首を強くつまんだ。
「あああっ・・・・」
たちまち朝倉の力が抜ける。
緒方は素早くチンポを引き離した。
「はぁはぁ・・・起承転ケツの解除方法がわかったぞ!」
「くそ・・・大輔じゃなかったら乳首ぐらいじゃ離さないのに・・・」
朝倉が悔し紛れのタックルをカマしてきた。
不意を突かれた緒方が倒れる。朝倉は両足をとると流れるような動きであっという間にボストンクラブを決めていた。
「大輔、甘いぞ。俺はあの技だけじゃないんだからな!」
「うぐぅ・・油断したぜ・・・」
朝倉は片足を離すと空いた手で緒方の急所を掴んできた。
「さっきもここが感じてたようだったな。大輔、玉をいじめられると感じちゃうんだろ?正直に言えよ。」
「ああっ・・・くそ・・・大悟に・・大悟に玉を責められるなんて・・・ああ・・・」
「大輔・・・お前の金玉、なんてエロいんだ・・」
朝倉は急所を握る手に力を込めた。
「うがあああっ・・・・おおお・・・・おああああ!」
どぴゅっ!
緒方はたまらず果ててしまった。
「朝倉選手の勝ちー!」
大岩が朝倉の腕を上げる。
「くそーっ・・・出しちまった。」
緒方が悔しそうに立ち上がった。赤いタイツにザーメンが染み出している。
「本当の試合ではここから大輔の反撃が始まるのにな。」
朝倉がはははっと笑う。
「今だってそうだぜ!」
緒方が朝倉を押し倒す。
「おい、射精決着ルールだろ!?」
「試合が終わっても油断は禁物。地下プロレスではな。」
緒方は朝倉のラッシュガードを引っ剥がすと、白いタイツのケツの部分を捲り上げた。
そしてザーメンでぬらぬらの巨根を朝倉のケツに挿入した。
「ああああっ・・・・」
「あーあ、とうとう始まっちゃったよこの人たち・・・」
大岩は呆れたように言うと、それでも自分の股間をタイツの上からさすり始めた。
「大悟・・・!リングでやるのもいいな!はぁはぁ・・最高だぜ・・・!」
「ああっ・・大輔・・スゲェ・・スゲェよ・・・ああ・・!」
bb27001031430.jpg

緒方は2度目の絶頂を朝倉のケツの中で迎え、ほぼ同時に朝倉も果てた。大岩もタイツの中に我慢できずに漏らしてしまった。
暫くの放心状態のあと、3人は大声で笑っていた。
「何がスパーリングっすか?二人のセックスを見せたかっただけでしょ?」
「ちげーよ。ほんとにスパーリングしたかったんだって。最初は。」
「瞬だって楽しんだだろ?出しちゃてるじゃん。」
緒方は充実感を味わっていた。愛する者がいて、楽しい仲間がいて、プロレスを生業として生きていける。
これ以上、何を望むだろう?
「おやおやお取り込み中だったかな?」
長谷部の声とともに3人の男がトレーニングルームに入ってきた。
「権田さん。」
「やあ、久しぶり。お、三人ともお愉しみだったのか。悪い悪い。」
「いえ、もう終わりましたから、っていや、あの・・・」
大岩が顔を真っ赤にして股間を隠そうとする。
「今更恥ずかしがらなくても。皆さん大観衆の前で普段やってるじゃないですか。」
声の主は実況アナの新垣裕之だった。
「新垣さん、珍しいですね。こんなところに来るなんて。」
新垣は権田と顔を見合わせるとはにかんだような表情になった。
「いや、実はな、俺と裕之は付き合い始めたんだ。」
「ヒロユキ・・?」
権田の思いがけない言葉に、唖然とする緒方たち三人。
「いやぁ、この間の緒方の試合の時、俺たちは実況ルームにいたんだが、妙に興奮してしまってな。二人の欲情の波が一致したというか・・・・」
「僕もまさか望とこんなことになるとは・・・」
新垣が頭をかく。
「ノゾミ?」権田の名前か?
「こう見えて、裕之はかなりのどSで巨根なんだ。俺のケツも悲鳴をあげるほどのな。」
「そ、そうなんですか・・・」
3人は皆(権田さん、受けなんだ~。)と思っていたが口には出さなかった。
「おっとそんなことを言いに来たわけじゃない。」
権田の表情が急に引き締まった。
「ブラック・パイルからカードの要請がきた。」
長谷部が少し緊張した表情で言う。
「まさか不破が・・・?」
「いや、不破じゃない。まったく聞いたことのないレスラーだ。」
この3ヶ月のあいだに黒杭がレスラー育成に成功したということか?
「2人の新レスラーに、1試合づつ2試合、対戦相手も指定してきています。」
新垣が手帳を取り出しながら言う。
「まず、暗黒仮面という選手です。対戦相手として緒方さんを指定してきています。」
「暗黒仮面・・・」
「そして二人目ですが、対戦相手として望・・・エンペラー権田を指定してきています。選手名が、なんというか・・・・」
「ん?何か問題でもあるんですか?」
言いよどむ新垣に緒方が尋ねると、権田が助け舟をだした。
「俺が話そう。二人目は、メガ・バズーカ黒杭、と言うんだ。」
「メガ・バズーカ・・・!?」
なんという挑発的なネーミングだろう。緒方の巨根に対抗するつもりか!?
そして、その下の黒杭というのは一体・・・・!?
動揺する緒方たちに長谷部が答えた。
「さっき不破からメールが来た。メガ・バズーカ黒杭ってのは、黒杭組長の息子だ。」
「・・・・・・・っ!?」
嵐は、知らないうちにすぐ近くまで来ていた。

つづく







レスラーズ・ハイ⑦赤と黒

今夜集合場所として指定されていたのは、某有名ホテルのパーキングだった。
黒塗りのリムジンに近づいていくと、何度か見たことのある運転手が立っていた。
僕は定期入れからオフシルバーに鈍く光るカードを出し、運転手に見せた。
運転手は無言でカードを受け取ると、手に持っていたカードリーダーに通した。
「田代誠二様ですね。」
僕が頷くと、運転手はリムジンの座席ドアを開け、軽く一礼して僕を中に促した。
車中にはすでに5人の男が座っていた。
知った顔はいない。皆無言だ。
リムジンの中では客同士が会話することは厳禁とされている。
約束の時間になり、なんの合図もなくリムジンが走り出した。
窓には特殊なコーティングが施されているのか外はまったく見えないので、どこを走っているのかはわからない。
会場に着くまでの時間はいつもまちまちだったが、だいたい60分ぐらいで着くことが多いようだ。
今日は面白くない日だったな。
僕は日中の職場でのことを思い出し陰鬱な気分になった。
思いっきり発散させてくれよ。こんな時のために高い会費を払っているんだからな。
僕は気持ちを今夜の地下プロレスマッチにシフトして、嫌なことを心から追い出そうとした。
今晩もバズーカ緒方は出るよな。
緒方の逞しい肉体、エロいやられ姿を思い浮かべると、あっという間に僕の気分は高揚していった。
スーツの下に履いている競パンの中で僕自身が硬さを増して行った。
会場での自慰行為は自由だ。
試合を見ながら競パン越しに陰茎を扱いたり、玉に刺激を与えたり、ケツの穴をいじったりしながら射精するのが、僕の会場での愉しみ方だ。
周りの連中も思い思いにオナっているので恥ずかしくはない。
緒方の射精とタイミングを合わせられたら最高だな。
早くも僕の男根はカウパー氏線液を分泌し始めている・・・・


「さあーいよいよ本日のセミ・ファイナル。バズーカ緒方vs暗黒仮面の一戦です!
華々しくTHPWに戦線布告したブラック・パイルでしたが、その先鋒として緒方に挑んだスコーピオン桐谷は、失神KOで破れ去りました。
以来、後発が途絶えたかに見えたブラック・パイルでしたが、長い沈黙を破り、今夜2人の新レスラーを再びTHPWのリングに送り込んできました。
暗黒仮面に続き、メインイベントではチャンピオン・エンペラー権田にメガ・バズーカ黒杭が挑みます。」
(望・・・頑張れよ・・・)
実況ルームで新垣裕之は、恋人のエンペラー権田に心の中でエールを送った。
今夜、解説者として新垣の隣にいるのはTHPWの支配人、佐田だった。
黒杭と通じているのでは?という疑惑がある問題の人物だ。
「佐田さん、メガ・バズーカ黒杭は、ブラック・パイルの総長の黒杭嘉右衛門氏の息子であるという情報もありますが、どうなんでしょう?」
「おや、よくご存知ですね。どちらでお聞きになったんですか?」
新垣は内心「しまった・・・」と思いながら顔には出さず、
「いや、名前が一致してますんで、会場内でそんな噂になってるんですよ。」
と素知らぬ顔で答えた。
「そうですか・・・」
佐田の眼鏡のフレームが今夜はいつにも増して細く鋭く見える。
「お察しの通り、メガ・バズーカ黒杭は黒杭嘉右衛門氏の長男です。ただし妾腹の、ですが。」
「佐田さんは詳しくご存知なんですね。」(やはりこの人は黒杭に寝返ったのか?)
「ふふふ・・・私はTHPWの支配人として、必要な情報は持っています。
公には黒杭氏には3人の娘があるだけ、となっています。しかし黒杭氏ほどの人になるとやはり、一人の奥様だけというわけにはいかないんでしょうな。羨ましい限りですが。
この長男を生んだ女性は元女子プロレスラーです。お名前はここでは申し上げられませんが、大変有名な方です。残念ながらもうお亡くなりになっているそうです。黒杭氏にとっては待望の男の子だったのですが、いかんせん妾の子、なかなかすんなり後継者、というわけにはいかなかったようですな。」
いきなりすらすらと語りだした佐田に、新垣は驚きながらも黙って聞くことにした。
「この長男が幼少の頃から格闘技に興味を持ち、またかなりの逸材だったそうなんです。柔道、空手、ボクシングなどあらゆる格闘技に習熟し、恵まれた体格と身体能力で大学から始めたアマレスでは瞬く間に五輪候補になったということです。」
「黒杭会長にそんな息子さんがおありだったとは。でも五輪出場ということになればもっと話題になっていても良さそうな気もしますが。」
「結局、五輪には出ていません。アマレスの実力は金メダル級でしたが、素行の悪さも超一流だったのです。」
佐田はふふふ、と笑った。
「当時の大学アマレス界では試合中に射精する選手が多発したそうです。ふふ・・そう、この長男、黒杭大凱(くろくいたいが)の仕業です。彼はこの時すでに地下プロレスラーとして生きることを運命づけられていたのかもしれませんな。」
佐田の話は新垣を不安にさせるのに充分だった。
(この間の急ごしらえのレスラーとは違う。メガ・バズーカ黒杭は・・・)
その時、会場から大歓声が聞こえてきた。
新垣は気を取り直し実況に集中しようとした。
「会場が熱狂しています!今やTHPWの大スター、バズーカ緒方がリング・インだーっ!」


頭からすっぽりと黒いタオルをかぶって花道を入場してきた緒方。
リングインと同時にタオルを取り去った。
短髪の野郎臭い精悍な顔立ちは、今夜はさらに眼光に威力がある。
黒いノースリーブから突き出た両腕は、ただ筋肉隆々なだけではない、強い男のオーラを放つ。
そしてダークレッドのショートタイツを着けた下半身は、それ自体が凶器であるかの如く闘う雄の色気をみなぎらせている。
緒方はリングの対角の果てをじっと見据えている。
突如パイプオルガンの音色が会場に鳴り響いた。
トッカータとフーガ。
不吉な旋律ではあるが、どこかベタなその選曲は、こちらを小馬鹿にしているようにも感じられる。
選手入場口のカーテンの向こうから現れたのは、
真っ黒な影だった。


「ついに暗黒仮面が我々の前に姿を現しました!
なんといういでたちでしょう!暗黒仮面という名のとおり全身真っ黒です!
漆黒の全身タイツ、黒いシューズ。そして黒いマスク!そのマスクにはなんとも不気味な笑みが描かれています。
それにしても全身タイツのシルエットのなんと逞しいことでしょう!
まさに微笑む筋肉の塊だーっ!」


今晩の緒方の相手、暗黒仮面が僕のすぐそばを歩いていく。
花道に接した席だと間近にレスラーが見られるからトクした気分だ。
バーズカ側ではなくてがっかりしたけど、この暗黒仮面もかなりエロいぞ。
相当なバルクマッチョだが、体つきのバランスがいい。
全タイの下にはビキニ型のサポーターを履いているらしく、ブリブリのケツにラインが浮き上がっている。歩みとともに蠢くように形を変えるケツの割れ目のなんと艶かしいことよ。
僕の横を通り過ぎる時に一瞬見えた、あの股間の盛り上がりはどうだ!
素晴らしい!
今夜はあいつと緒方がリング上で汗まみれで肉体をぶつけ合うのだ!
ああ・・・ぼくは今にも射精してしまいそうだ・・・・


「緒方、ふざけた奴が出てきたが油断するな。あいつは今までとは違うようだぞ。」
セコンドの長谷部がリング下から緒方に声をかける。
朝倉と大岩もこわばった表情でリングインしてくる暗黒仮面を見つめている。
「わかっている。あいつはなんちゃってレスラーじゃない。本物のプロレスラーだ。」
緒方のプロレスラーとしての本能が、暗黒仮面の危険さを感じ取っていた。
カーン!
死闘の幕開けを告げるゴングが鳴った。


「いよいよブラック・パイルの第2の刺客、暗黒仮面がベールを脱ぐ時がやってまいりました。
暗黒仮面、リング中央に歩み出て、そのまま仁王立ちの格好だ。
フットワークを入れながら間合いを計っている緒方と対照的です。
なにか余裕を感じさせるような暗黒仮面の堂々とした立ち姿です。
あっと!いきなり緒方のドロップキックです!助走ををつけずにいきなり飛んだーっ。
暗黒仮面、不意を突かれたか!
おっとー、暗黒仮面、微動だにしません。かなり強烈に顔面あたりにヒットしたように見えましたが、まるでなんのダメージも受けていないような様子です。
緒方、続けてローキックだ!バシッと凄い音がしました。
あっ!暗黒仮面、仁王立ちの姿勢をまったく崩しません。緒方の蹴りは効いていないのか!?
緒方もこれには戸惑っている様子です。
おっと今度は、ロープの反動を利用してー、ラリアットだーっ!
なんと!暗黒仮面、ビクともしません!
緒方、今度は後ろからタックルだ!
なんということだ!暗黒仮面これにも倒れません!
緒方の攻撃はまったく歯が立たないのかーっ!」


(なんだ、こいつ。まるで巨大な岩石を相手にしているように俺の攻撃が効かない・・・)
緒方は次第に焦りを感じ始めていた。
これまで放った技はどれも完璧に決まっているはずだった。
なのに相手にダメージを与えたという手応えが全くない。
(焦ってはだめだ。)
タイツの食い込みを直しつつ、緒方は自分の気を鎮めようとした。
「思ったより大したことないようだな。」
突然、暗黒仮面が言葉を発した。
「貴様レベルの雑魚には、坊ちゃんが相手するまでもない。この暗黒仮面が始末すれば充分だ。」
「なんだと・・・!」
(いかん、ここで挑発に乗っては・・。ブラック・パイルのことだ、どんな罠があるかもしれない。
だが、坊ちゃんって誰だ?例の黒杭の息子のことなのか?)
「もう貴様の攻撃は終わりか?それでは今度は私の番だな。」
と、言った直後、暗黒仮面が消えた・・・・!
と思った瞬間緒方は足をすくわれ、マットに仰向けに倒れていた。
暗黒仮面が目にも止まらぬ速さでしゃがむと同時に足払いをかけたのだ。
あっと思ったときには、鉛のように重い足が緒方の首に降ってきた。
「がっ!」
衝撃で一瞬呼吸が止まる。
咳き込む間もなく凄まじい力で上体を起こされ、次の瞬間には緒方は弧を描いてマットに後頭部を叩きつけられていた。
つかの間、緒方から左右上下の感覚が消えていた。
感覚が正常に戻った時には暗黒仮面に膝を抱えられ持ち上げられていた。
「貴様のようなのろまでは、私のスピードについてこれまい。」
暗黒仮面が緒方の膝を自身の膝に叩きつけた。
「ぐわぁっ!」
膝を抑えてのたうちまわる緒方の腹に、暗黒仮面は容赦のないフットスタンプを落とす。
「ごふっ・・!」
全身のあらゆるところに矢継ぎ早にダメージを受け、緒方の動きは確実に封じられていった。
(こいつは・・・やはりただの筋肉野郎じゃない・・・)
呼吸を整える間も取れないまま、緒方は再び膝を捕まえられていた。
(またニークラッシャーを食らったら、俺の膝は完全に潰されてしまう・・・)
緒方はなんとか逃れようと暗黒仮面の首を掴み頭部にパンチを浴びせた。
「ジタバタするな。今度は膝を狙っているわけではない。」
緒方のパンチをものともせず、暗黒仮面は緒方を持ち上げたままロープ際に移動した。
そしてトップロープの上に緒方を落とした。
「ぐぎゃぁっ!!!」
緒方の股間がトップロープに直撃した。
ロープのワイヤーの硬さが、緒方の急所に突き刺さるような痛みをもたらした。
「貴様はこんなふうに玉を甚振られるのが好きだと聞いている。これは私からのサービスだ。悦んでもらえるかな?」
トップロープに跨った体の緒方の方足をロープにくぐらせ、両足を掴む暗黒仮面。
緒方の上体は場外方向に頭部を向けリングの外にあり、ロープに股間を押し付けたまま両足はリング内の暗黒仮面に掴まれている格好だ。
暗黒仮面は掴んだ緒方の足をリング中央に引っ張り始めた。
「おわぁっーー!!!!」
急所がロープに押し付けられる。身をよじると今度はケツの割れ目にロープが食い込む。
硬いロープがリングに中央に向かってしなっていく。
「聞きしに勝るよがり様だな。プロレスは三流でも淫乱ぶりは超一流だな。」
「くそっ・・・・があぁ・・・おお・・・・」
まさにロープを使った電気按摩地獄に緒方の股間には早くも先走りの染みができていた・・・・


「なんということでしょう!?こんな責めは見たことがありません!緒方、脂汗を浮かべて苦しんでいます!恐るべし暗黒仮面!一体暗黒仮面とは何者なのでしょう!?」
「ではまた私が支配人としての情報を提供しましょう。彼は黒杭大凱がプロレスをするために渡米した際に、付き人として同行した黒杭組員なのです。アメリカの地下プロレス界で武者修行を積む大凱に寄り添ううち、彼も肉体的に鍛錬されていき、いつしか地下プロレスラーとしてリングに上がるようになったのです。二人はアメリカではもはや対戦相手が見つからないほど恐れられているそうですよ。一体何人のレスラーを血祭りにあげたのか・・・・ふふふ・・・」
(なんなんだこの人は、完全に黒杭側に肩入れしているみたいじゃないか・・・!?)
新垣は、隣に座る佐田に言い知れぬ嫌悪を感じながらも職務を全うしようとしていた。
「暗黒仮面もメガ・バズーカ黒杭も、なんとアメリカの地下プロレスラーであったという衝撃の経歴が明らかにされました!この残虐技もアメリカじこみなのかーっ!緒方!日本の地下プロレスの意地を見せてくれーっ!」


「さて、充分楽しんでくれたかな?私の方はいささか飽きてきたのでこのへんでやめさせてもらうよ。」
暗黒仮面は緒方の足をさらに強く引っ張った。
「ぐぅおーーーーっ!!!!」
緒方の急所はロープにグリグリと押し付けられ、タイツ越しに玉の変形具合が確認できるほどだ。
すると、暗黒仮面が緒方の両足を急に離した。
極限までテンションをかけられていたロープの反動で、緒方は人間弓矢よろしく場外に吹っ飛んだ。
客席の男たちが悲鳴を上げて散った客席に、緒方は叩きつけられるように墜落した。
パイプ椅子が散乱する中で伸びている緒方。
意識の有無を確認するためにレフェリーが場外に降りてくる。
「緒方!大丈夫か?」
「ぐぅ・・・ぐぐっ・・・・」
うつ伏せに倒れた緒方が、両腕を立てて起き上がろうとする。
レフェリーが試合続行の合図をだした。
「大輔っ!」「緒方さん!」
朝倉と大岩が駆けつける。
後方から長谷部も息を切らして走ってくる。
するとブラック・パイル側からもガラの悪い連中が走ってきた。
倒れた緒方を挟んでにらみ合いの構図だ。
突如、暗黒仮面がリングを降りてその人垣のあいだを突進してきた。
散らばったパイプ椅子を手に取ると、緒方をメッタ打ちにし始めた。
「雑魚のクセに、なかなかしぶといやつだ。あそこで失神しなかったことを後悔させてやろう。」
「があっ!ごほっ!うおあっ・・・・!」


ああ・・・今夜の試合は凄すぎる!
あの真っ黒レスラーやるなー。僕の緒方をあんな風に甚振った奴が他にいたか?
しかも、緒方が客席に落ちてくるなんて、すげー間近で緒方のケツを見ちゃったよ。
のたうつ緒方のケツ、なんてエロいんだ!
ああ・・あのケツに顔をうずめたい・・!割れ目に指を突っ込んでグリグリしたい・・・!
げっ!真っ黒レスラーが椅子攻撃だ!うわ~マジでひっぱたいてるよ!
うおー、緒方エロいー!超苦しんでんじゃん!
あーたまんねえ!もうズボン脱いじゃお。
緒方と同じ赤い競パンだよ!アシックスだよ!ハイドロCDだよ!あーたまんねー!
あっ仰向けになったぞ!
おお!緒方のチンポますます勃ってるじゃないか!?
スゲェ、スゲーよ!先走りのシミも見えるぞ!
かーっ写真撮りてー!でもカメラもスマホもケータイも持ち込み禁止だもんな~。
ああー超エロいよー!
この風景、僕の心のネガにしっかり焼き付けるからね!緒方!


「場外が大混乱しています。椅子攻撃の餌食になった緒方!防戦一方だ。暗黒仮面、ヒールの本領全開です!
両陣営のセコンドたちも一触即発といった雰囲気ですが、暗黒仮面の鬼気迫る迫力に圧倒されているようにも見えます。
あっと暗黒仮面が緒方の短髪を掴んで、あーっ!鉄柱に叩きつけた!ごんっと鈍い音が響きました。
緒方、大の字でダウンしています。あーっ流血した模様です。
おっとーっ暗黒仮面、流血した緒方の傷口にパイプ椅子でさらに攻撃を加えているー!
もうグリグリと椅子をこすりつけています!、あー夥しい流血です!
緒方、非常に苦しい情勢です!」


緒方は場外で痛めつけられながら、身体がバラバラになっていくような感覚と同時に、電流のようなエクスタシーをも感じていた。
(こいつは、強い・・・こいつは、俺より強い雄なのか・・・!?)
観客たちに、間近で自分が甚振られるのを見られている。
勃起したタイツの膨らみ、先走りのシミにも、たくさんの視線がつき刺さっているのがわかる。
朦朧としていく意識の中で、緒方はこのまま快感の濁流に飲み込まれていってしまうのもいいかも、と思い始めていた。その時、
「緒方!負けるな!」「がんばれ緒方!」「バズーカしっかりしろ!」
観客たちから緒方を応援する声が聞こえ始めた。
それは次第に大きくなり、ついには「オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!オ・ガ・タ!」観客の大合唱になった。
(ふっ、まだここで俺が敗けるのは望まれていないらしいな・・・・)
緒方は力を振り絞り、額に押し付けられている椅子を払い除け、緒方を跨ぐように立つ暗黒仮面の急所を蹴り上げた。
「うっ・・・・!」暗黒仮面が呻いて後ずさった。
「さすがにそこは鍛えられねえよな・・・・」
緒方はエプロンを掴んでヨロヨロと立ち上がった。
「この雑魚が・・・生かしてはおけない・・・!」
急所を蹴られて、これまで冷静だった暗黒仮面が逆上したらしいことが、微笑みマスクを通して感じられる。
暗黒仮面は、まだふらつく緒方に突進すると髪を掴み、エプロンに額を打ち付けた。
「おぅわっ!」血しぶきが飛び散る。
そしてタイツの腰の部分を掴み、緒方の身体をリングに無理矢理上げた。
競パンの日焼け跡がくっきりと浮かぶ緒方の逞しい臀部が顕になる。
Tバック状態の緒方は、リングを転がりながらケツの食い込みを直す。
続いてリングに上がった暗黒仮面は怒りを全身にみなぎらせていた。
猛烈な勢いで緒方に突進すると、直されたばかりのタイツを掴んで緒方を立たせる。
再びタイツが緒方のケツに荒々しく食い込む。
「貴様は今夜で終わりだ・・・」
突如、暗黒仮面は緒方の急所を掴んだ。
「ぐわぁっ!」
万力で潰されるかのような痛みが緒方の金玉を襲う。
暗黒仮面は急所を掴んだまま緒方を担ぎ上げた。
アルゼンチン・バック・ブリーカー!
右手は緒方の急所をぐりぐりと握り、左手では乳首をつまんでいる。
「これがアメリカ地下プロレスの流儀だ。」
「おお・・・うあ・・・おあ・・・・」
暗黒仮面は急所を掴むと同時に、親指を緒方のタイツ越しのケツの穴に押し付けていた。
リング上空のカメラが、悶絶する緒方の姿を捉え、大型スクーリーンに映し出した。
まさに陵辱されるヒーローの姿だ。
暗黒仮面が緒方を担いだまま跳躍しはじめた。
どすん!暗黒仮面がリングに着地するたびに、緒方の腰、急所、アナル、乳首に凄まじい衝撃がもたらされる。
「がはっ・・・ごあっ・・・・」
緒方の悲鳴が次第に弱くなってくる。
「私にこの技を出させたのは褒めてやろう。だが、もう終いだ。」
暗黒仮面は膝を深く折ってタメをつくり、ひときわ高く飛び上がった。
「うおりゃっ!!!」
ドシーン!!!轟音とともに暗黒仮面が片膝立ちで着地した。
緒方の四肢がビキーンと硬直した。そして・・・
ドピュッ!
ついに緒方が射精した。
ザーメンが赤いタイツを伝ってドクドクと溢れ出している。
「どうした。あの決め台詞は言わなくていいのか?」
緒方は暗黒仮面の肩の上で痙攣している。
「そんな余裕はなさそうだな。」
暗黒仮面は緒方の急所と首を掴んだまま頭上高く緒方をリフトアップし、そのまま膝の上に落とした。
ゴキッ!
ベインに背骨を折られたバットマンのように、緒方が断末魔のうめき声を漏らす。
「ぐぅお・・・・」
暗黒仮面の膝の上で体を反らして痙攣する緒方。
瀕死の身体とは裏腹に、その巨根は白い雄の精を放出し続けていた。

つづく

otk2_20140316144758195.jpg

レスラーズ・ハイ⑧野生覚醒!

見渡す限りの荒野の果てに地平線が見える。
俺の目の前には真っ黒な男が立っている。
乾いた空気をビリビリと震わせて凄まじい殺気が伝わってくる。
そして、俺自身に充満していく感情、いや、感情ではない、毛細血管の隅々にまで到達しようとしているこの高ぶりは本能の成せるものなのだ。
食うか食われるか・・・・
真っ黒な男が飛びかかってきた。
黒いシルエットが近づくほどに巨大になり、俺の視界を黒一色に覆っていく。
デカい・・・俺の3倍はあるじゃないか・・・!?
一瞬、恐怖がよぎった。
奴は俺を軽々と頭上高くまで持ち上げ、近くにあった岩に俺を叩きつけた。
背骨が粉々に砕けたと思うほどの衝撃が俺を襲った。
ヤラれる・・・
真っ黒なシルエットがゆっくりと近づいてくるのを視界の隅で捕らえながら、俺は終焉が近いことを悟っていた。

・・・・!
我に返るとロメロスペシャルに極められ、ザーメンが染み出す股間を衆目に晒している俺がいた。
ホールの天井に設置されたカメラが、俺の無様な姿を捉えている。
俺は意識を失おうとしていたのか・・・
暗黒仮面にアルゼンチンバックブリーカーで射精させられ、そのままバックブリーカーで腰をやられたところから記憶が曖昧だ。
ぐわぉっ・・・なんて馬鹿力なんだ、腰に焼き鏝を当てられているようだ・・・
くそっ・・逃げられねぇ・・がはっ・・・ぐぉ・・・・
o0580038711462898115.jpg

「大輔・・・どうしちまったんだ。いつもの射精パワーで反撃してくれよ!」
リング下で見守る朝倉たちが必死で緒方に声援を送る。
「これまでの試合では緒方はやられながら興奮を高め、射精することで雄の力を爆発させていた。だが今回は暗黒仮面の雄の力に明らかに押されている。さっきの射精は強制射精に近い。緒方は陵辱されているんだ・・・」
長谷部が顔面に苦渋をにじませながら分析する。
「暗黒仮面の方が強い雄だというのか・・・畜生!大輔っ頑張ってくれ!」
「緒方さんっ!」
朝倉や大岩の声は緒方に届いているだろうか?


「圧倒的な強さで緒方を責め続ける暗黒仮面!緒方はもはや虫の息といったところか!射精後もいつもの決め台詞が出ないどころかまったく反撃の緒口すら見い出せずにいます!」
「暗黒仮面と黒杭大凱は、渡米してから想像もできないような修羅場をくぐり抜けてきたのです。所詮、緒方ごときがかなう相手ではなかったということでしょう。」
もはや黒杭サイドであることを隠そうともしない佐田。
「緒方!会場の緒方コールに応えてくれ!THPWを守ってくれーっ!!!」
実況の立場も忘れて絶叫する新垣だった。


暗黒仮面がロメロに決めた緒方の体を前後に揺さぶり始めた。
大きく反動をつけるとロメロの体制のまま緒方の頭をリングに叩きつける。
「がはっ・・・」
目から火花が散るような衝撃とともに緒方は頭を軸に180度回転してうつ伏せに倒れた。
「THPWは我々ブラック・パイルがいただく。貴様にはここで最高に無様な最後を飾らせてやろう。」
暗黒仮面が緒方のタイツを掴んで無理矢理立ち上がらせる。
緒方のケツは完全に褌状態になった。
暗黒仮面は緒方をロープに振ると、跳ね返ってきたところをベアハッグに捕える。
腰を圧迫すると同時に緒方のタイツを掴みギリギリと捩じ上げる。
「うおぁっ・・・・」
散々痛めつけられた腰が悲鳴を上げる。そして、食い込むタイツがケツの穴に疼くような刺激を呼び起こす。
「最後に貴様のエロケツを客にたっぷり見てもらおう。どうだ、また感じてきたのか?貴様の淫乱ぶりは底なしだな。それだけは褒めてやろう。貴様ほどのエロ野郎はアメリカにもいなかった。」
「ぅおあっ・・・・んぐ・・・」
暗黒仮面が腕に力を込めるたびに、緒方のケツにも力が入り、むき出しの大殿筋が艶かしく痙攣する。
「ああ・・・エロいケツだ・・・貴様を痛めつけるのはなんて愉しいんだ・・・」
暗黒仮面の息が乱れ始めている。
緒方のザーメンがローション代わりとなってベアハッグで密着する二人の下半身に淫靡な快感をもたらしていた。
暗黒仮面の男根が激しく勃起してきた。
緒方の勃起した巨根とタイツ越しに兜合わせの格好だ。
「おおお・・・緒方、貴様を滅茶苦茶にしてやるぞ・・・おおお・・・おああああっ・・・!」
緒方の腰を抱える暗黒仮面が腕に懇親の力を込めた。
「ぐわあっ!!!」
「おおおおおおっ!!!!」
緒方の悲鳴と、暗黒仮面の絶叫が交錯した。
暗黒仮面が手を離すと、緒方はその場に崩れ落ちるようにダウンした。
立ちはだかる暗黒仮面の股間は黒い全身タイツを突き破らんばかりに隆起し、その先端から白い粘液を滴らせていた。
「おお・・スッキリした・・・」
緒方の決め台詞を放心したようにに吐く暗黒仮面。
会場全体にため息のような声が漏れる。
すでに果ててしまった客も多いのだろう。強烈なイカ臭さがホールに充満していた。


岩と砂しかない荒野に、なぜかイカの臭いが漂っている。
俺のザーメンの臭いか。
普段より生臭さがきついようだ。
ふと顔を上げると真っ黒な男が股間に精液をべったりと付着させて近づいてくる。
こいつのザーメンが臭っていたのか。
そうだ、思い出した・・・
食うか食われるか。
俺とこいつは互いに精を放出しながら、生き残りをかけた雄の闘いを続けていたのだ。
俺の身体は、あちこちが耐え難い痛みに呻いている。
どうやらこっ酷く痛めつけられたようだな。
もう動けねえ。
俺はここで終わるのか・・・
強いものが生き残り、弱い者は食われる。
それが野生の掟だ。
俺はこいつに負けて、肉体を貪られてしまうのか・・・・
俺のチンポが痛いほどに勃起している。
もうお前が勢いよくぶっ放すところは見られないんだな。
黒い奴がいよいよすぐ近くに来ている。
奴のチンポもビンビンだ。俺を食う悦びで勃っているのか。
くそっ・・・俺のチンポのほうが立派だっていうのに・・・
こんな奴に食われるのか・・・?
本当にこんな奴に食われていいのか・・?
いやダメだ。
あれは俺を食う奴のチンポじゃない。
食うか食われるか。
食うのは俺だ!


「大輔・・・!?」
朝倉は緒方の目が見たこともないような輝きを帯びるのを見た。
緒方の敗北の場面を見るのを嫌い、硬く目を閉じている長谷部と、泣きじゃくっている大岩は気付いていない。
「大輔・・・お前は・・・!?」
朝倉の背中に、何故か激しい悪寒が走っていた。


射精の満足と勝利の確信で、勝ち誇っている暗黒仮面の股間に鈍く重たい痛みが走った。
「おごっ・・・!!!!」
緒方が暗黒仮面の股の下からヘッドバッドを急所にカマしていた。
「がああああああっ!!!!!」
野獣の咆哮のような声を上げながら緒方が暗黒仮面に飛びかかる。
暗黒仮面の首を両手で掴むとそのままコーナーに突進した。
黒い巨体がコーナーポストに叩きつけられる。
緒方は崩れ落ちそうになる暗黒仮面の頭をセカンドロープが交差する辺に固定すると、自分の股間を押し付ける形でコーナーポストに抱きついた。
呼吸の道を閉ざされた暗黒仮面がジタバタと暴れる。
「んがっ・・・あごっ・・・ふんぎっ・・・・・」
暗黒仮面は、パンチを緒方のケツや太ももに闇雲に打ち込むが、競パンの日焼け跡がくっきりと浮かぶ逞しいケツはビクともしない。
ザーメンで濡れたタイツの股間が密着し、暗黒仮面への酸素供給は完全に途絶えていた。
緒方のケツを必死に引き剥がそうとしていた暗黒仮面の動きが止まる。
コーナーポストから緒方が離れると、暗黒仮面はドサッとその場に崩れ落ちた。
緒方は目をギラギラさせて暗黒仮面の首を掴み、どこにそんな力が残っていたのかと思うほどの勢いでリング中央に投げ捨てた。
うつ伏せに倒れる暗黒仮面に緒方が飛びかかる。
「食われるのはお前だ。」
暗黒仮面の全タイのケツの部分を、なんと素手で引き裂いた。
全タイの下にはサポーターとして迷彩模様の競パンが履かれていた。
緒方は競パンをサイドから捲り上げ暗黒仮面のアナルをあらわにした。
そして自身のいきり勃ったモノをタイツの脇から取り出すと、暗黒仮面のケツの穴にいきなりぶち込んだ。
「ぎえーーーーっ!!!!!!」
暗黒仮面が絶叫する。
緒方の腰使いは異常だった。暗黒仮面の内蔵をかき回すかの如く激しく腰をグラインドさせる。
かと思えば、バシバシと音を立てながら猛烈な勢いで高速ピストンを叩き込む。
真っ黒な筋肉の塊がビクビクと痙攣しながらリングを掻き毟る。
緒方の目は怪しい光を放ち、理性という言葉がない世界に飛んでいってしまったかのようだ。
獣が、もしも快楽のために性交をしたとしたら、こんな光景にならないか!?
「あがっ・・・ゆ、許してくれ・・・・ああ・・・っ」
漆黒の微笑みマスクマンがとうとう泣き始めた。
緒方は無言で、結合したままの巨体を立ち上がらせ、首に自分の両腕をガッチリと巻きつけた。
バズーカ・ホールドの体勢だ。
「どっちが強い雄なんだ?ええっ?おい、どっちなんだ?」
首をチョークに捕らえながら、肛門には巨根が高速で打ち付けられる。
「強い雄は誰だ?!・・・おいっ・・・答えろよ・・・」
「あが・・・・うげげげ・・・・・ぐぐ・・・・」
憑かれたように暗黒仮面を締め上げ、犯し続ける緒方。
暗黒仮面の口のあたりから涎らしき液体が染み出している。
両腕がだらりと垂れ下がり、ぶらぶらと揺れている。
失神していることは誰の目から見ても明らかだった。
しかし緒方は掘り続ける。
暗黒仮面の巨体が木偶のようにゆさゆさと揺れている。
カンカンカンッ!!!!!
決着のゴングが鳴らされた。
まだ緒方は離さない。
レフェリーや朝倉、長谷部たちがやっと二人を引き剥がした。
「大輔っ・・・・」
朝倉が緒方の頬を張る。
「・・・・・大悟・・・?」
朝倉には、緒方の目の焦点がようやく合ったような気がしていた。
「大輔・・・お前は勝ったんだよ。もう大丈夫なんだ。大輔・・・」
「そうか・・・・勝ったのか・・・」
グラッとその場に倒れそうになる緒方を抱きとめ、朝倉は緒方の顔に自分の顔を擦り付けていた。


「緒方!勝ちました!31分14秒、バズーカ・ホールドで見事ブラック・パイル第2の刺客、暗黒仮面を失神KOに打ち取りました!いや~それにしてもハラハラさせられました。今回はいつもの陽気な勝利とは行きませんでしたが、緒方、流石です!最後は緒方の雄力が優ったということでしょうかね?」
と新垣が隣に目を向けると佐田がいない。
「佐田さん・・・・?!」
新垣が慌てていると、実況ルームの扉が開いた。
入ってきたのは、なんと黒杭嘉右衛門だった。
ボディーガードらしい目つきの悪い男も一緒に入室する。
「佐田は色々忙しいらしくてな。儂が代わりに解説とやらを引き受けよう。」
「えっ・・・・」
驚いて言葉を失う新垣に構わず、黒杭組長は解説者席に勝手に座った。
ボディーガードが出した葉巻を咥える。
「えっあっ・・こ、ここは禁煙・・・」
黒杭組長が一瞬鋭い視線を新垣に投げた。
ゾッとするような戦慄が新垣を襲う。
「では、我慢しますかな。」
「い、いえ・・・あ、あの、ど、どうぞご自由に・・・・」
新垣の言葉が終わらないうちにボディーガードがジッポライターの火をささっと黒杭に出す。
高級タバコの匂いが実況ルームに充満した。
「墨田・・ああ、暗黒仮面のことですが、まあいい仕事をしたんじゃないですかな。色々緒方について解ったこともありますしな。」
「暗黒仮面は緒方の攻撃能力を調査するのが目的だったと・・・?」
「まぁあのまま勝ってくれていても良かったのだが、緒方はこちらが思っていたより危険な部分があったということです。」
「最後の怒涛の反撃は、確かにいつもの緒方らしからぬ、冷静さを著しく欠いたものでしたが・・・」
「緒方のDNAの原始の部分が発動したのじゃろうな。あれを引き出しただけでも暗黒仮面は役割を果たしたと言えるじゃろう。」
「原始の部分・・・・緒方のむき出しの雄の本能が目覚めたということですね。」
「左様。儂が送ったレスラーによって、THPWの理念とやらが実現されたわけじゃな。皮肉なことよのう。ふぉっふぉっふぉっ・・・・」
バルタン星人のような笑い声に、またも新垣は戦慄を感じていた。
「さ、さて、いよいよ本日のメイン・イベント。エンペラー権田VSメガ・バズーカ黒杭の一戦が始まります。メガ・バズーカ黒杭は組長のご子息だと先ほど佐田さんから伺いましたが・・・」
「不肖の息子でしてな。ふぉっふぉっふぉっ・・・・」
笑いながらも黒杭組長の眼光が残虐な光を放ち始めたことに新垣は気付き、知らず知らずのうちに権田のことを思い浮かべていた。
(望・・・・・)
その時、花道にスポットライトが照らされた。
陰鬱なビートのラップ・ミュージックが流れ出す。
「ああっ!とうとうメガ・バズーカ黒杭が我々の前に姿を現しました!!!」
カーテンをくぐり抜けてきたのは、
全身迷彩服に身を包んだ屈強な男だった。
その顔は、思わず息を呑むほど美しかった。
短めの黒髪、知性を感じさせる優美な鼻梁、引き締まった口元、そして涼やかな瞳。
モデルかと見紛うほどの美青年の顔が、迷彩服を通してもわかる筋骨隆々な身体の上に乗っていた。
どよめく観客たちの中、美しい刺客は花道を悠々とリングに向かっていった。


朝倉と大岩に肩を支えられながら緒方は控え室に向かっていた。
廊下で、登場前の権田に出会う。
「お疲れ!よくやった。」
「権田さん・・・あいつら・・」
緒方は権田をまっすぐ見つめた。
「権田さん、気を付けて。」
「おう!」
権田は威勢良く応えると、緒方のケツをぽんっと軽く叩いて入場口に向かっていった。
緒方はその後ろ姿に心の中で(権田さん、勝ってくれ!)と念じずにはおれなかった。
やっと控え室にたどり着いた。大岩が扉を開けようとしていると、長谷部が廊下を走ってきた。
「た、大変だ。」
「どうしたんですか?長谷部さん。」
「不破が・・・、不破のことがバレたようだ。組員たちに引っ張られていった。」
「何だって!?不破が・・・!」
緒方はボロボロの体で走り出した。
「お、おい、待てよ!」
朝倉と大岩、長谷部が慌てて後を追いかける。
ブラックパイルの不吉な影が、一層色を濃くしようとしていた・・・・

つづく











レスラーズ・ハイ⑨裏切りの地下空間

緒方は、地下空間に張り巡らされた網の目のような廊下を走った。
暗黒仮面との死闘で傷ついた身体が痛む。
時に足をもつれさせながら、ショートタイツ姿の男は走った。
「大輔!待てよ!」
朝倉と大岩、少し遅れて長谷部が追いつく。
「お前、一体どうするつもりなんだ?」
朝倉が緒方の肩を掴んだ。
「黒杭にいきなり乗り込んでいっても埒があかないだろ。」
「お前、忘れたのか?黒杭は極道だぞ。簡単に人間を始末する連中だ。急がないと不破が・・・!」
朝倉の腕を振り切り再び走り出す緒方。
「お、おい!待てったら!」
3人も緒方の勢いに釣られて、ついていかざるを得なかった。
ほどなく、THPWの地下施設の黒杭組に割り当てられた一角に緒方たちはたどり着いた。
暗黒仮面が、組員2人に肩を支えられながら戻ってきたところだった。その他にも5~6人の組員たちがいた。
「なんじゃ!おのれら!うおっ・・・!」
威嚇してきたアロハシャツのチンピラを弾き飛ばし、緒方が怒鳴る。
「不破をどうするつもりだ!?」
組員に支えられて項垂れていた暗黒仮面がゆっくりと顔を上げる。
「・・・何のことだ?・・・」
暗黒仮面は先ほどまで緒方と試合をしていたのだ。事情をまだ知らないのかもしれない。
「不破晃司のことだ。」
長谷部が前に出てきて話し始めた。
「お宅の組員さんたちに引っ張っていかれるところを見たものでね。」
「なんで貴様たちが、不破のことを気にする?・・・・うぐっ・・・・」
暗黒仮面は今にも倒れてしまいそうなほど消耗しているようだった。
「何事かね?」
黒杭の控え室の扉を開けて出てきたのは佐田だった。
「おやおや佐田さん。妙なところから出てきましたね?」
長谷部が睨みつけても、佐田は全く慌てる様子もなく平然としていた。
「私はこの施設の支配人だからね。どこにいたって不自然ではあるまい。」
佐田は暗黒仮面に気づくと、組員に顎で合図した。
組員たちは暗黒仮面を控え室の中に運び入れた。
全身タイツのケツの部分が破けて尻が丸出しだ。
その姿を見て、緒方は自分のタイツにもザーメンの染みがべっとりと広がっていることを思い出した。
佐田はそんな緒方の股間を舐めまわすよう睨めつけた。
「他人の部屋を訪問する格好ではないようだが?」
「佐田さん、不破のことは聞いているだろう?あいつはどこにいる?」
長谷部の問いに、佐田は、ふうーっと大げさにため息をついた。
「黒杭の構成員のことを君たちが案ずる必要は無・・・」
「つべこべ言わずに不破を出せ!」
緒方が怒鳴りつけると、佐田は怒りで唇を震わせながら緒方を睨みつけていたが、やがて言った。
「不破晃司は組を裏切っていたようなので、身柄を確保させてもらった。」
「おめーも裏切り者だろうが!」
佐田は細い眼鏡のフレームに手をやりフッと笑った。
「私は君たちより利口なだけだ。鷲号会長のやり方はあまりに欲がなさすぎる。この地下での催しが、どれだけの金を生む力を潜在させているのか、彼には解っていない。」
「開き直ったようだな。佐田さん。」
長谷部が佐田の正面に立つ。
「あんた、どんな餌を銜えさせられたんだ?」
「長谷部さん、あなたもご存知でしょう?ここの会員の中には、この国の中枢を司っている人種もいることを。
あの方たちが穴ぐらで男同士の闘いを見ながら自慰にふけっていることを知っているということが、どれだけの特権に成りうるか考えたことはないのか?」
「脅迫するつもりなのか?そんなことをしたら全て終わりだ。大体、あんただってもともと雄同士の闘いに引き寄せられてここに来たんだろうが。」
「私のような者の性癖など、誰も気にはしない。だが、世の中は有名人の奇抜な好みには兎角興味を示すものだからね。」
「THPWの会員名簿は厳重なセキュリティーに守られている。いかに支配人であっても持ち出しはおろか閲覧も許されていまい。」
「ここが黒杭のものになれば、私にもある程度の管理権限が与えられることになっていてね。」
「キサマ・・・!」
朝倉と大岩が掴みかかろうとする。
「そんなことより不破をこっちによこせ!」
緒方が再び怒鳴る。
「お前が黒杭の手下になろうが、どうでもいい。どうせ黒杭はTHPWを乗っ取ることはできない。俺たちがそうはさせない。ぐだぐだ言ってないでさっさと不破を連れてこい!」
佐田はまたも大きくため息をつき、緒方の股間をしげしげと見つめる。
「君がズタボロにされるのがなんとも楽しみだよ。」
「いい加減にしろよっ!」
「まあ、落ち着き給え。不破晃司にはまだ何の制裁も加えられていない。よい交渉のネタになりそうだからね。」
「交渉・・・・?」
「いずれにしろ、この問題は黒杭組長と鷲号会長との間で話合うべきことだ。黒杭組長は、今はご子息の試合の解説をしている最中でね。鷲号会長にはこちらからご連絡差し上げるので、君たちには用はない。もう戻り給え。」
「キサマ・・・・」
緒方たちの堪忍袋は限界に達していたが、長谷部が割って入る。
「緒方、ここは一旦引き上げよう。不破は無事なようだ。あとは鷲号会長にお願いするしか無さそうだ。」
「不破に指一本触れたらタダじゃ済まさねえぞ!」


緒方たちは元来た道を引き返し始めた。
緒方が廊下の途中でガクッと膝を折って倒れる。
「大輔!大丈夫か?・・・」
「緒方さん・・・・無理もないっすよ。あんな試合のすぐ後で・・・」
朝倉と大岩が両脇から支えて立ち上がらせる。
「今回は今までと違って、だいぶダメージが残っているようだな・・・・戻ったらすぐドクターを呼ぼう。」
長谷部も心配そうに緒方の体を気遣う。
一同はようやく自分たちの陣地に戻ってきた。
控え室のベンチに緒方を横たわらせる。
「大輔、よく頑張ったな・・・・」
朝倉が緒方のリングシューズ、ニーパッドを脱がせる。
最後にザーメンの染みがついたタイツを脱がせる。
2度の射精で男根や陰毛に精子が大量にこびりついている。
朝倉は男根をつまみ、暖かいおしぼりでやさしく精子を拭っていく。
すると緒方の男根がムクムクと大きくなっていった。
「大輔、お前のチンポはホント不死身だな。」
「大悟の拭き方がエロいからだよ。」
「もしかしてまた始まっちゃいました?愛の劇場。」
ようやく3人の顔に笑顔が戻ってきた。
そこへ、長谷部がドクターを連れて戻ってきた。
「おやおや、これはまたこっぴどくやられたようじゃのう。」
THPW常駐の医者、橘栽松が白いヒゲをそよそよさせながら緒方の手当を始める。
「そいえば、エンペラーの試合はどうなったかな?」
長谷部が控え室に設置されているモニターのスイッチを入れた。
「なっ・・・・・なんだと・・・・!?」
長谷部が絶句した。
緒方もモニターに目をやり、そこに映し出されている光景に思わず上体を起こした。
「こ、こら、おとなしくせんかい!」
橘の叱責も耳に入らないほど、緒方は驚愕していた。


「エンペラー権田、場外で絞首刑だーっ!目が虚ろだ!早くレフェリーストップをかけないと、権田が死んでしまう!!!」
(望!望・・・・!・・・・・!)
新垣は実況席で自分の恋人、エンペラー権田がメガ・バズーカ黒杭にボロボロに痛めつけられるのを目の当たりにし、いつしか泣いていた。
泣きながらも、実況を続けたのはプロのアナウンサーの性だろうか?
嗚咽しながら実況を続ける新垣の隣では、黒杭嘉右衛門が高笑いしていた。
「ふぉっふぉっふぉっ!倅よ、ちょっとやりすぎじゃ。ふぉっふぉっふぉっふぉっ!」
「エンペラー権田、失神だーっ。レフェリーがゴングの要請です。あっあーっ!の、望・・・・!?」
絶句する新垣の目に飛び込んできた光景は、あまりに酷いものだった。
THPWの王者、エンペラー権田がリングからチェーンで吊り下げられ、白目を向いて失神している。
その黒タイツの股間から、大量の透明な液体が滴り落ちている。
000009742.jpg

王者失神失禁。
地下プロレスの英雄に、これほどまでに屈辱的な敗北を味あわせた男は、
リング上で涼しい顔で微笑んでいた。
全身迷彩服に身を包んだ屈強な身体。
メガ・バズーカ黒杭。
その凛々しい顔には汗一つ無い。
ブラック・パイル初の白星が、王者を葬りさることによって付けられた。

つづく







レスラーズ・ハイ⑩楽園を守れ!

「権田さんっ!!」
緒方たちが地下施設のパーキング・エリアにたどり着いた時、権田は救急車に搬入されるところだった。
額からの夥しい流血は固まりかけている。
顔の形が変わるほどの痛々しい姿の権田は完全に意識を失っていた。
小便の匂いが鼻をつく。
権田の黒いショートタイツは自らの失禁でぐっしょりと濡れていた。
薄い生地のタイツは、濡れることによって権田のゴツい男根を一層くっきりと浮き上がらせていた。
「長谷部さん、僕も一緒に病院に行きます。」
新垣が真っ青になりながら救急車に乗り込む。権田の手を握って、祈るような眼差しをその動かない顔に向けている。
THPW指定病院に向けて急発進した救急車を、緒方たちは声もなく見送った。
(権田さん・・・・・!!)


今夜は何度、イったのだろう・・・・
僕は送りのリムジンを目指して、文字通り空っぽになった体を引きずっていた。
緒方の試合でもう満足って感じだったのに、権田の悲惨な負けっぷりは凄すぎだよ。
ションベン漏らしちゃうチャンピオンって・・・・
ああ・・また勃ってきた・・・もうチンポが痛いよ・・・・
メガ・バズーカ黒杭は強ぇな~。次はやっぱ緒方とやるのかな?
僕がようやく自分に指定されたリムジンにたどり着くと、そこに立っていたブラック・スーツ姿の男に声をかけられた。
「田代さん。次回ご来場の際にはメイン・イベントに新趣向が取り入れられますので、あらかじめご了承いただけますようお願いします。」
「新趣向・・・?」
男が手渡した大きめのカードのような紙に目をやると
『ブラック・パイル維新軍vsTHPW正規軍』
と書かれているのが見えた。
「こちらの試合で、勝利するチームと、勝敗を決める選手を予想していただきます。一口1万円からとなっております。参加拒否は受け付けておりません。」
「えっ・・・!」
いちまんえんって、僕は普通のサラリーマンだよ。ここの会費だってやっと捻出しているのに、これ以上の出費はイタすぎる。
「あの・・」
「必ずご来場いただきます。来ていただけない場合は、田代様の社会生活は保証しかねます。」
な、なんだこれは。脅迫なのか!?
突然の脅しに、口をパクパクさせることしかできない僕に、威圧感たっぷりの一礼をすると、黒服の男はスタスタと去っていった。
スラックスの下の、ザーメンまみれの競パンが急に冷たく感じられた。


「これは・・・・・!?」
長谷部が入手してきた、編集前の権田と黒杭の試合のビデオを見て、緒方たちは言葉を失っていた。
深夜になり、病院の新垣から連絡があり、権田の意識はまだ戻らないということだった。
モニターには、急所にコブラクローをカマされ絶叫する権田が写っている。
メガ・バズーカ黒杭はふてぶてしい程の涼しい笑顔で、悶絶する権田の姿を見て、明らかに楽しんでいた。
権田の黒いタイツ越しに、金玉の変形が確認できる。
権田が白目を向き、失神すると思われた直前、黒杭はコブラ・クローの手を離した。
「真性のサディストだな、こいつは・・・」
長谷部が眉間に皺を寄せてモニターを見つめている。
メガ・バズーカがコーナーに向き合うように追い詰められた権田のケツに地獄突きを打ち込んでいる。
的確にアナルを捉えた太い指は、タイツを巻き込んで何センチかは確実にケツの穴をエグっていた。
タイツがケツの割れ目にあらかた飲み込まれ、ほぼ褌状態になったところで、黒杭は権田の髪を掴み、そのまま後頭部からマットに叩きつけた。
大の字に倒れる権田の股間はタイツを突き破らんばかりに怒張している。
その股間に黒杭がニードロップを叩き込むと、権田の口から「ぶしゅーーっ!」と音を立てて涎が吹き出した。
「あの権田さんが・・・ヤラレまくっている・・・・」
強い権田を知っている朝倉と大岩が、信じられないという表情で首を振る。
黒杭がいよいよチェーンを取り出した。
チェーンを拳に巻くと、権田の全身をメッタ打ちにし始めた。
パンチを喰らうたびに権田の体は宙に浮き、マットに這いつくばった。
しかし権田はその度に立ち上がった。
全身迷彩服の屈強な敵に、倒されても倒されても立ち上がる、黒タイツ一枚のレスラー。
緒方の目から、いつしか涙が溢れていた。
「権田さん・・・・もう・・・もう充分だ・・・」
額にヒットしたパンチで、流血する権田。
その目はもはや正常に焦点を結んでいない。
リングに這い蹲るTバック状態のケツが、悲劇のヒーローの最期を予感させる。
黒杭は権田をチェーンにまたがる形にすると、そのままトップロープ越しにリング下に放り投げた。
「うがーーーーっ!!!!」
権田の悲鳴がスピーカーから響く。
チェーンによって、急所を強打した権田の口からは泡が吹き出している。
黒杭はチェーンの端をトップロープに結びつけ、ロープごとゆさゆさと揺さぶった。
チェーンが権田の金玉を圧迫し、ケツの割れ目にギリギリと食い込んだ。
またしても権田が意識を失う前に、黒杭はチェーンを離した。
リング下に大の字に倒れる権田。
黒杭は半死半生の権田に、コーナートップからあろうことか急所めがけてダイビングヘッドバットだ。
ピクリとも動かない権田。
黒杭は相変わらず涼しい笑顔で権田の首にチェーンを巻きつけ、もう一方の端を権田のショートタイツのサイドをくぐらせると、自分はリング上に戻り、チェーンを引き上げた。
緒方たちが前に見た、死刑執行のシーンが再現されている。
チェーンに吊るされた権田はぐったりとして明らかに失神していた。
そして黒いタイツの盛り上がりの先端から、湧水のように小便が吹き出している。
タイツの片側のサイドはチェーンによって釣り上げられ、濡れたタイツの股間を一層強調させている。
王者の、あまりに残酷な敗北を再び目にした緒方たちは、映像が終わって砂嵐を映しているモニターにもしばらく気づかずにいた。


悪夢のような夜が明け、翌日はめまぐるしいほどの急展開が緒方たちを待っていた。
まず、朝一番で不破が黒杭の組員たちに引っ張られてやってきた。
控え室でそのまま雑魚寝で朝を迎えた緒方たちに、不破は涙を流して土下座をした。
「すみません・・・俺なんかのために・・・・」
深夜に行われた、鷲号会長と黒杭組長の会談で、不破と佐田のいわゆるトレードが成立したのだった。
佐田はTHPWの支配人を解雇。後任に長谷部が就くことが、その後やってきた鷲号会長の秘書から伝えられた。
昼前に新垣から連絡が入り、ようやく権田が意識を取り戻したということだった。
依然、面会謝絶状態ではあるものの、緒方たちはひとまずほっと胸を撫で下ろした。
そして夕方になり、新支配人となった長谷部から、次のカードが告げられた。
「エンペラー権田の再起の目処が立たない今、THPWは事実上チャンピオン不在となるわけだ。」
昨日の試合はタイトル・マッチではなかったので、王座の移動は無いのだが、権田があのような敗北を喫した以上、ブラック・パイルからなんらかのアクションがあることは緒方たちも覚悟していた。
「バズーカ緒方VSメガ・バズーカ黒杭という試合で、新チャンピオンを決めようということになった。」
長谷部は厳しい顔で緒方を見つめた。
「チャンピオンが所属する組織が、この地下施設の実権を握ることとなる。」
(いよいよ黒杭が牙を剥いてきたか・・・・)
緒方も真剣な表情で、長谷部の言葉を受け止める。
「どうやら黒杭組は、ここの会員のVIPたちに圧力をかけ始めているらしい。奴らに会員情報が握られてしまう前に歯止めをかけないと、大げさではなく、国家の危機なのだ。」
国家の危機・・・・
自分に課せられた使命の重さに、緒方の股間が熱くなる。
「俺は必ず勝つ!この雄どものパラダイスを奴らに渡しはしない!」
長谷部が緒方の目を真っ直ぐ見つめて頷く。
朝倉と大岩も同様に緒方の両脇で闘志をあらわにしている。
「タイトルマッチの前に、前哨戦のような形で、対抗戦が組まれることになった。」
「対抗戦?」
「ブラック・パイル軍はメガ・バズーカ黒杭、暗黒仮面、スコーピオン桐谷の3人。」
「桐谷?あいつまだいたのか?」
「そしてTHPW正規軍として、緒方、朝倉、大岩の3人だ。」
「よっしゃー!」
大岩が声を上げて、控え室のロッカーに走っていく。
「やっと俺の出番が来たぜ!こんな時のために用意しておいて良かったー!」
大岩が出してきたのは、スカイ・ブルーのショートタイツ3着だった。
Speedoblue.jpg
「せっかくだからお揃いのタイツで試合に出ましょうよ!」
「大岩、いつの間にこんなもん作ってたんだ?」
「へへ・・。あ、ごめん。お前の分はまだ無いんだ・・・・」
大岩が不破を気遣う。
「い、いや俺は大丈夫だから・・・」
「早速、履いてみるか?」
朝倉が早くも服を脱ぎ始める。
「よし!」
緒方と大岩もあっという間に素っ裸になり、たちまち青パンツ一枚の男たちが出来上がった。
「青パンもなかなかいいな。」
「似合うか?」
先程までの緊張感漂う雰囲気は何処へやら、男たちは少年のようにはしゃぎ始めた。
「じゃあ、ジャンケンで敗けたヤツが勝った二人からチンポを揉まれて、先に勃ったら負けってルールでどうですか?」
「受けてたとう!」
「最初はグー、ジャンケンポン!」
「かーっ!負けちまったよ。お、ヤバいよ、あ、ああ、・・・」
「緒方さん、感じやすすぎ!」
長谷部は半分呆れながらも、騒ぎ続ける男たちを頼もしそうに見つめていた。


打倒黒杭!この一念が3人の心をさらに強固に団結させた。
連日の激しいトレーニング。
3人は身も心も、最高潮に仕上がりつつあった。

ドンドン!
ある夜、宿舎で休む緒方と朝倉の部屋のドアが荒々しく叩かれた。
「なんだ・・・こんな時間に・・・」
ジョック・ストラップ姿の朝倉がドアを開けると、そこには簀巻きにされた大岩が放り出されていた。
「大岩っ!!!!」
地下施設の闇が、3人を飲み込もうとしていた。


つづく






PageTopNext>>

プロフィール

washigo

Author:washigo
プロレス、競パン、逞しくてエロい男が大好きな野郎です!
俺の妄想世界にお付き合いのほど、よろしくお願いします!

最新記事
カテゴリ
抜けるCG

画像をクリック☆ [Wrestling Club] の【キ○肉マン エロレスリング! -スカル・デビル&ヘル・ロック編-】 [まらぱるて] の【KILL&SEX】 [いたちごっこ] の【トーキョー・ボーイ】 [Bravery ] の【蘇生強化式有機生命体 トラストマン3】 [うらはら亭] の【マッスルコング!】 [無味無臭] の【Enty♂絵まとめCG集】 [おタケ☆ナンゴクボーイズ] の【エロティック☆ヒーローズG Vol.03】 [MGStudio] の【みるつべ2DX -MilkTube2DX-】 [我武者ら!] の【ひーろーの諸事情】 [Bravery ] の【クロススピリッツ Episode4. 数多なる刻のゆくえ】 [無味無臭] の【S-izm】 [あんかけチャメシ] の【第一次にゃんにゃんWARS!!開戦前夜はザーメンヨコセ】 [無味無臭] の【トラ☆レス】 [無味無臭] の【エロ☆レス8】 [偏愛ヒーロー] の【【30%OFF!】崩壊【年末年始フェア】】 [べあている] の【プロレスラーの末路】 [へっこき部屋] の【痛プロ!01】 [我武者ら!] の【メタルワン#7】 [我武者ら!] の【メタルワン#6】 [漢度抜群] の【野外露出の代償】 [新・敗北日和] の【【50%OFF!】EpisodeXX デンジャラス・シップ【年末年始フェア】】 [ふくろう太郎] の【ガチムチ恥辱訓練】 [THEやっつけ] の【只今横乗り中】 [atelier MUSTACHE 菅嶋さとる] の【ノーサイド】 [CLUB-Y] の【Scrum!】 [無味無臭] の【水際ボーイズ2】 [LARZ-SILT AG+] の【tame fishes】 [GO! SHINGO] の【コーチと俺!vol.2】 [ハスタードケーキ] の【B・B SALVATION】 [ハスタードケーキ] の【B・B】 [べあている] の【地下プロレス】 [RYCANTHROPY] の【GRATEHEAVEN】 [六角武陣] の【厳狗(GONG!)】 [こまぎれ] の【啄系】 [無味無臭] の【エロ☆レス6】 [無味無臭] の【エロ☆レス5】 [無味無臭] の【エロ☆レス4】 [無味無臭] の【エロ☆レス3】 [♂めんたいこ♂] の【月刊めんたこ Vol.005】 [ごまさば] の【NURU-1ビーチ】 [ごまさば] の【にくづめ】 [まらぱるて] の【バックヤードレスラー】 [♂めんたいこ♂] の【ガチンコバトル】 [撲。] の【oops!】 [GOHC] の【重量戦士リフトマン】 [アタマヌルイMIX-eR] の【秘密の戦隊サンカクレンジャー】 [根雪堂] の【獣人の森─第一章─】 [G-DRIVE] の【BUSTER HERO!】 [ケモつぼ] の【レオvs黒丸(3)】 [あかはち] の【ドキドキ水泳部男】 [MEN'S GJ!!] の【ファンクラブナイト】 [我武者ら!] の【絶滅寸前ブーメラン】 [てるじろう印のきび団子] の【下克上に挑戦!】 [六角武陣] の【辱】 [撲。] の【DUXI2】 [Teenage Fanclub] の【Star Tours】 [きのこ亭] の【Shock Shooter】 [虎出没注意] の【凌辱征服】

最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロレスラーに変身

エロパンツ

月別アーカイブ
訪問者

リンク
リンクフリーです

arena for rape

検索フォーム

RSSリンクの表示
QRコード

QR