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レスラーズ・ハイⅡ ⑪

「これはまた地下プロレスならではの展開!
必殺フルネルソンに不破を捕らえたポリスマン向井でしたが、下半身の密着状態に男性機能が発動してしまった模様です。」
「かつては剃刀のようなキレキレの身体を誇っていた不破ですが、今は不摂生が過ぎたのかいい具合にムチムチになってますからね~。
純白タイツからはみ出すケツタブがなんとも艶めかしい。
うーん、向井ならずとも男なら心乱さずにはおれないケツですね~。」
「ああっ、不破がケツを上下左右にグラインドさせてますよ!
純白タイツの前はもうギンギンだ!
フルネルソンを極める向井、なんとも苦しそうな表情だー!
射精を耐えているのでしょうか!?
一体どちらが攻めているのかわからない状況になってきました!」


「お巡りさ~ん、たまんねえよ!
プロレス技で攻められながらケツに硬っえチンポ押し付けられてさ~。
俺が逮捕されたら尋問はこんな感じでやってくれよな。
もうなんでも白状しちゃう、俺。」
「ふー、ふざけるなよー、チンピラが!んくっ・・・・」
「ああ?お巡りさんすげー感じてない?
俺よりヨガってるだろ?
ケーサツってのは激務らしいからね~。
タマッテるんだろ。
ガマンしないで出しちゃいなよ。
スッキリするぜ、ヒヒヒヒ。」

ポリスマン向井は警察機関の地下プロレスに対する知恵の粋を結集して創られたレスラーだ。
勃起はしても射精するのは試合に勝った時のみ。
打ち負かした相手に顔射、もしくは犯す、それ以外の射精はあり得ないのだ。
エロ攻撃に対する耐性は徹底的に鍛えてきている向井。
(な、なぜだ・・・・?
なぜに俺のモノはこんなチンピラのケツにこんなにも反応してしまうんだ?)
未経験の受動的な射精の予感に向井は動揺していた。
そしてフルネルソンがほんの少し緩んだ・・・・・


「あーっと!不破が向井の股間を蹴り上げたーっ!
向井、股間を押さえて蹲ってしまったぞーっ!」
「ポリスマン向井とあろう者が、こんな初歩的な返し技を食らってしまうとは・・・・
これは不破選手の性感攻撃が相当効いていたということでしょう。
まあ、あのケツじゃあ仕方ないですけどね~。
あのケツはもう、なんとも、たまりませんね~。」


「ぐぐ・・・っ!け、蹴ったな・・・親父にも蹴られたことないのに・・・・・・」
「ヒヒヒヒ!だから甘いと言うんだ。
フツー親父にタマ蹴られないって。
あのままイっちゃうのはお互い勿体ないだろ?
それよりお巡りさん、アンタ俺の思った通りだったよ。」
急所攻撃を受ける訓練も一通り積んでいる向井だったが、桜井ならともかく、金玉だけは鍛えられないものなのだ。
強烈な男の痛みに勃起も治まりそうな向井に不破の言葉が降ってくる。
「アンタは正義正義っていつも偉そうに言ってるけどさ。
正義って一体なんだよ?
ホントはアンタが一番〝正義〟ってやつを疑ってるんじゃないのか?
心の底では俺みたいなとことんまで堕ちる生き方が羨ましいと思ってるんじゃないのか?
え?
だから俺のケツに激しく反応したんじゃないのかよ?
アンタは正義じゃなくて性戯の男なんだよ、ホントはさ。
あ、なんか上手い事言っちゃった?俺。」
黄色い歯を見せてニタニタと笑う不破。
脂汗を流して急所の痛みに耐えながら、不破の言葉に引っ掛かりを覚える向井。
(あ、あんな外道の言うことなんか・・・・・まともに受け取るな・・・・・・)


村では神童と呼ばれ、近隣の町々では知らぬものがいないほど秀才の誉れ高かった少年時代の向井。
類まれなる頭脳の明晰さと反比例して、その肉体は貧弱だった。
背だけはヒョロヒョロと伸びたものの、洗濯板のようなアバラの浮く胸板、枯れ木のような手足、当然運動神経はゼロ。
誰もが羨む頭脳の明晰さを持ちながら、その内面は劣等感で満たされはち切れそうだった。
大人達には天才だ、神童だとチヤホヤされていても、同世代間では人気者には程遠い日陰の身。
凡慮な知能しか持たなくても、走るのが早い、野球がうまいなど身体能力に秀でたものが主役になる子供の世界。
(僕はお前たちとは違うんだ。)
無理矢理ひねり出した優越感は向井を卑屈な子供にし、ますます疎まれる存在となっていった。
やがて思春期に突入すると周りの少年たちはみるみる男の身体に成長していった。
もちろん向井とて正常に成長したのだが、どうしても自分の身体が男らしくないという思いに捕らわれてしまうのだ。
放課後遠くの町の精鋭を集めた塾にひとり向かう道で、運動部員の集団とすれ違う。
他愛もない馬鹿話に爆笑する野郎たち。
ふっと漂う汗の匂い。
変声期の声にまとわりつく切ない罪の響き。
まだまだ蒼い喉頭隆起が連想させる野性の予感。
向井は激しく勃起し、鞄を前に出した不自然な姿勢で集団をやり過ごすのだった。
(僕は・・・男らしくない・・・・・)
高度な知能を持ってしても、思春期の性衝動は制御できなかったらしい。
逞しい肉体すなわち男らしい、という短絡的な結論から抜け出せなかったのは、向井のまだ覚醒していない性嗜好のせいであったが、向井はこの時まだ気づいていなかった。
自分がどうして男らしいということにこだわってしまうのか?
悶々としながら高校生になった向井に、人生を変える出来事がついに起こる。

塾からの遅い帰り道。
駅まで近道をしようと何の気なしに曲がった裏路地に、その連中はいた。
所謂うんこ座りでタバコの煙の中に浮かび上がるシルエットは、〝男らしい〟ガタイの3人組だった。
そちらを見ないようにしながら足早に通り過ぎようとする向井に、男たちのひとりが目を止めた。
「あっ、誰かと思ったらガリ勉クンじゃないの~!」
一瞬ビクッとしつつ聞こえないふりで立ち去ろうとした向井の肩を、ごつい手が掴む。
「シカトかよ。ガリ勉クンは俺らみたいなバカとは話もしたくないってか!お!」
振り向くと中学の時に同じクラスだった奴だった。
名前は覚えていない。
たしか柔道部員だったか。
「コイツ、おれの中坊ん時のダチ~。や、ダチじゃねーかー。」
「こんな奴ユウマのダチっぽくねーし、ぎゃははは!」
「確かに!ひゃははっ!」
他の二人も立ち上がり、たちまち囲まれてしまう向井。
「コイツ、すげー頭いいらしくてさ、ゴリオが超ヒイキしてたんだぜ。ムカつく。」
「ゴリオってお前にチンコ咥えさせたヤツ?変態教師のくせに秀才クンには甘いのか?」
「ひでーなー。ユウマはそのせいでグレたっつーのによー。」
ユウマと呼ばれた向井の元同級生が向井の胸倉をつかむ。
真夏のことで、着ていたブカブカのTシャツがあっという間に伸びて、生白い腹が晒される。
「オマエ、ゴリオの正体知らないだろ?アイツ稽古の時寝技で俺らにヤラシイことしまくりだったんだぜ。」
もちろんそんなことを向井は知らない。
柔道部のことなど向井にとっては遠い遠い世界のことだった。
密かに羨望の念を抱いていたとしても。
「夏合宿の時なんかさー、海パン一丁でプロレスさせられたんだぜ。
柔道に役立つとかなんとか言ってさ。
そんで俺はさアイツのチンポ固めでひでー目にあわされたんだぜ。」
「ぎゃははは!出たーチンポ固め!その話何度聞いてもウケる。」
恐怖で一言も返せない向井は、おもわず柔道部の夏合宿を想像していた。
中学の指定の水泳パンツは競泳用で、当時は当たり前のようにブーメラン・タイプだった。
紺色のブーメランパンツの逞しい男たちが畳の上で絡み合っている。
向井にとってあまりに眩しすぎるその光景。
股間が熱くなっていくのが解かった。
「オマエのことすげー優しく扱ってたあのゴリオはな、超変態野郎なんだよ!
チンポ固めって解かるか?え?」
Tシャツを掴むユウマの腕に力が込められる。
あまりの恐怖に口をパクパクさせることしかできない向井。
「ユウマ、こいつにチンポ固めかけちゃえば?」
「ひゃははは!それいい!チョーいい!」
ユウマが手を放し、向井はよろめきその場に尻餅をついてしまった。
「よっしゃ、やるか!チンポ固め。俺もたまってるしな。」
坊主頭にピアスのユウマが、Tシャツを脱ぎ捨てる。
自分と同い年のはずなのに、恐ろしく成熟して見えるユウマの上半身に向井は息を呑んだ。
「ユウマ気合入ってるな~!裸になるのかよ~。ひゅー!」
「バーカ!チンポ固めはハダカじゃなきゃできねーだろ!」
B系のボトムスのベルトに手をかけるユウマ。
ざっと堕ちたデニムパンツの下には、筋肉隆々の太い足があった。
そしてユウマの着けている黒い下着。
向井はそれまでこんなに煽情的な男の下着を見たことがなかった。
今ならマイクロビキニとか呼び方を思いつくことはできるが、当時の向井にとってそれは褌にしか見えなかった。
かろうじて局部を隠す薄い布の盛り上がり!
かすかに光沢を放つその生地は、ユウマのデカいイチモツを覆い隠しつつ強調していた。
「おらっ、チンポ固めだ!食らえ!」
ビキニパンツの筋肉野郎が向井に襲い掛かかった。
気付くと向井はユウマの股間に顔を埋めた形で頭を太い両足に挟まれていた。
リバース・ヘッド・シザース=チンポ固め。
すごい力で頭部を挟まれ気遠くなりそうになる。
しかも口も鼻もユウマの股間に押さえつけられていて呼吸もままならない。
ユウマが動くたびに額のあたりに感じるのは、明らかに勃起した男根だ。
すえた匂いが鼻孔を刺激する。
子供のころからプロレスごっこすらしたことのない向井にとって、この状況はとても現実として受け止められなかった。
これは地獄?それとも・・・・!?
「おらっ!ギヴか!おらおらっ!」
涙と鼻水と涎で、顔がぐちゃぐちゃになり、ユウマの黒いパンツに染みを作る。
プロレスの知識が皆無の向井は、タップする発想もない。
「こいつシブトイな。まあいいや、チンポ固めはこれからだし。」
「おー!最後までやる?ユウマすげー!」
向井の頭を締め付けていたユウマの脚の力が少し緩められる。
息も絶え絶えといった感じの向井。
ユウマは上半身を起こし自分のパンツの脇からギンギンの男根を取り出した。
「おら!咥えろ!」
凄まじい握力で頬を捕まれ、思わず開いた口にユウマの勃起チンコがねじ込められる。
がっ!
あまりのことに頭の中でパニックを起こす間もなく、口内に液体が満たされた。
「くそっ!出しちまった・・・・くー!」
ユウマが男根を引き抜き立ち上がった。
精液に激しくむせる向井。
「ゴリオのチンポ固めはこっから超長かったのに・・・・ちっ!」
「すげー!ユウマ!大迫力じゃん!」
「オイオイ、オマエちゃんと見張っとけよ。ケーサツに通報されたらメンドイだろ。」
「なあ、コイツ勃ってるぜ。」
そして向井は全裸にされ、ケツこそ犯されなかったが散々若い獣たちによって慰み者にされ、強制射精させられたのだった。
参考書やフデバコの中身が散らばる路面に精液まみれで取り残された向井は心に誓った。
(許さない・・・・・僕は・・・いや、オレは・・・・絶対強くなる・・・・・・)



不破のデザイン坊主があの日のユウマに重なる。
「オマエ・・・・ぜってー許さねー・・・・・!」
「それそれ、お巡りさんのその眼、そそるー!勘違いのジコチュー野郎の眼!」
不破の濁った眼がギロリと向井を見据えた。
「チンポ固めかけちゃおっかな。」
向井の頬が引きつった。



つづく





レスラーズ・ハイⅡ ⑫

「な、なぜそれを・・・・・!?」
向井の声はこころなしか震えていた。
「それ?あー、チンポ固めのこと?」
不破は幾何学模様の坊主頭をツルッと撫でた。
「お巡りさーん、極道のリサーチ能力を舐めちゃいけないよ。
人生の裏ストーリーが大好きなのはケーサツだけじゃないって。
ホント、アンタらと俺らって共通点多いよね。
蛇の道は海老ってか?ヒヒヒヒ!」
(エビじゃねえ・・・・・)
ツッコミを心の中でつぶやいた向井の顔面は蒼白だった。
「ユウマ君だっけ?アンタにチンコ咥えさせたの。すげーよな。天下の向井様に口内射精って。
あいつは今家業の土産物屋継いでるってさ。ガキも何人かいるらしいよ。
ものすごい偉業を成し遂げたってのに、なんか勿体ないな~。」
ビキニラインの際をぼりぼりと掻きながら不破が嗤う。
「お巡りさんもイロイロあったね~。
まあ今のアンタの姿見たら、誰だってそう思うだろうけど。
なんかあったヒトなんだろうって。ヒヒヒヒ。」
「ふ・・・・ふざけるな!このチンピラ風情が!」
蒼かった顔が真っ赤になる向井。
ビキニタイツ一丁で公務に就いてきた自分。
それは思い描いたヒーローの姿そのものだった。
股間を逞しく膨らませた筋骨隆々の男。
己の強靭な肉体を手段として悪を成敗するという、これ以上ないほどの〝男らしい〟生き方。
それをこのチンピラはせせら笑うというのか。
絶対に許さない。
急所の痛みが治まらいまま、向井は瞬間移動しようと両足に力を込めた。
「おっと!」
まさにマットを蹴ろうとした瞬間、不破の足払いが向井を倒した。
そして思いがけない速い動きで向井を股裂きに捕らえた。
「ぐっ!」
「まあ慌てないで、俺にその格好いいパンツをゆっくり拝ませてくれよ。」
不破の両足が向井の片足をギッチリとホールドし、タトゥーのある太い腕がもう片方の足を抱えている。
常人よりはるかに身体が柔らかい向井の股関節が可動領域を超えて広げられていく。
「んぐっ!」
「おー、いい眺めだ。お巡りさんの大股開きー!すっげーエロいぜ!」
向井は上半身を激しく動かして技から逃れようとするが、股裂きはビクともしない。
不破は向井の睾丸とケツ筋の中間の部分のタイツを掴むとぐーっと引っ張った。
ネイビータイツにホールドされていた金玉が解放される。
「おおっ!よく伸びるタイツだ。パセリのとこで作ったろ?」
不破が手を放すとピシャッと音を立ててタイツが戻り、収まり損ねた陰毛がはみ出た。
「ヒヒヒッ、はみ出しお巡りのできあがりー!」
「ぬおーっ!ぐはっ!」
股関節の痛みが激しくなり、向井の額に脂汗がにじむ。
不破が御開帳の股間にそっと手を置く。
「お巡りさん、すっげー勃ってるし。」
ゴツイ掌が玉から竿へと撫で上がっていく。
盛り上がりの頂点をなす亀頭の形を確かめるようにじっとりと撫でまわし、再び下方へ手が下がっていく。
「俺はさー、ケーサツが大っ嫌いなんだよ。でもさ、大好きでもあるんだよね。」
再び玉に戻った手が、ふいにはみ出した陰毛を一本プチッと抜く。
「おあっ」
思わず声を上げる向井を濁った眼で見据える不破。
「ケーサツってさ、エロいよね。」



夜の校舎の窓ガラスを割り、盗んだバイクで走っていたあの頃。
不破の十代はちっぽけな反抗だけが自己主張の手段だった。
家が地元の名士だったため、逮捕こそされなかったが警察の世話になることはしょっちゅうだった。
そう、世話になったのだ。
何度も捕まったせいで、地元の派出所勤務の警官とは顔見知りのようになってしまっていた。
その中のひとりの逞しく若い警官は不破の〝男の素質〟を見抜いてた。
「俺は学生時代、レスリング部の主将だったんだ。」
深夜の拘置部屋で、警官は征服を脱ぎながら不破に話した。
「レスリングの吊りパン、シングレットっていうんだが、お前知ってるか?
試合の時選手があの下になにを穿いてるか解かるか?
普通の下着は禁止されているんだ。
海外だとケツ割れサポーターが主流なんだが、あ、ケツ割れは知らないか?
まあいい。
日本の選手はまず水泳の競泳パンツを穿いていることがほとんどなんだぜ。
知らなかったろ?」
警官がズボンを下すと、そこには青地に白いストライプの競泳パンツが現れた。
「シングレットに浮き上がる競パンのライン、これがエロくてな。
俺は試合中いつも勃起していたよ。
まあそんなことは珍しいことじゃない。
若けりゃ誰だってすぐ勃つしな。
だけどな、おれは大学最後の試合で興奮しすぎて射精しちまったんだ。」
不破は反抗的な目つきで警官を睨んでいたが、警官の股間から視線を外すためにあえてそうしていることに本人も気付いていなかった。
「おかげで俺は内定していたデンツー入社がパー。
先輩のコネで警官になったってわけさ。
まあデンツーは激務らしいし、こっちも忙しいことには変わりないけどこんな愉しみもあるからいいかって。」
競パン一丁の警官が不破に近づいてくる。
さすが元レスリング部、パーツが際立った猛々しい筋肉をしている。
「コージ、お前が問題を起こすのは俺にしょっ引かれたいからだろ?
わかっているんだぜ。
お前のケツ、いつも俺を誘っているよな。
薄手のスウェットにビキニのラインがくっきりだもんな。
たまんねえぜ。」
警官はパイプ椅子に座った不破のスウェットパンツを一気にずり下した。
不破は勢いで椅子から転げ落ちた。
「おーっ、いいビキニじゃんか。
海外製だろ。通販か?
スポーツインナー用だな。それは。」
黒い超ビキニで床に尻餅をついている不破。
競パン姿で自分に迫ってくる警官にすさまじい嫌悪を感じながらも、股間が熱く疼くのを止めることはできなかった。
「コージ、俺がレスリングを教えてやるよ・・・・・」



股裂きを外した不破がエルボードロップを向井の内股に落とす。
「がはっ!」
拷問ストレッチによって限界以上に伸ばされていた筋肉が新たな衝撃に悲鳴を上げる。
エルボーの嵐が向井の内股を破壊していく。
リングでのたうつネイビーのショートタイツのPOLICEMANの黄色いロゴがモニターに大写しにされた。


「いやー、形勢は一気に不破優位に傾いていますねー。
ポリスマン向井がこれほどピンチに陥るのは珍しい!」
「どうやら不破選手は向井選手の古傷を熟知しているようですね。
準備を怠らなかった黒杭側の作戦が功を奏したということじゃないでしょうか。
まあ向井にしてみれば不破との対戦自体想定外ですから、準備のしようがないですけど。」
「あーっと!
不破が向井の髪を掴んで立ち上がらせました。
バックを取ってー、おおーっ!
投げっぱなしジャーマンだーーーっ!!!!
ああっ危険な角度で極まりましたーっ!」
「これは危ないですね。
向井選手は受け身を取り損ねましたよ。」
「これは相当なダメージを被ったか!
ポリスマン向井、絶体絶命です。
ああああっ!
不破がまたしてもバックを取って、これは連続ジャーマンを狙っているのか!?
おおおおおおっ!
投げっぱなしがーっ!
再び向井の後頭部をリングに叩き付けたーっ!
こ、これはヤバイぞーっ!」


ジャーマンの勢いで反転した向井はうつ伏せでダウンしていた。
立ち上がろうと両足がもがくたびに、ショートタイツがケツに食い込んでいく。
勃起しきった股間がマットに擦れて一層熱くなる。
「俺に一番最初にレスリングを仕込んだのはケーサツなんだぜ。
皮肉なもんだろ?」
不破がトドメを刺さんと近付いてくる。
白タイツの股間はどす黒いマラが透けそうなほど盛り上がっている。
「さあ、これでオネンネだ。
その後たっぷりとお巡りさんの身体を味わわせてもらおっかな。」
髪を捕まれスタンディングした向井の表情は朦朧としている。
不破が向井の腰に手を回した。
すると向井がその手をパッっと払うと、素早くバックに回って不破を突き飛ばした。
不意を突かれた不破は前方のロープに倒れ込んで反動で跳ね返された。
その背中にドロップキック!
再びロープに跳ね返された不破を今度はスリーパーに捕らえる向井。
「随分調子に乗ってるじゃねえか!お?ヤク中野郎がよ!」
「んぐぐ・・・・」
向井の腕には血管が浮き、渾身の力で締め上げているのが解かる。
同じ轍を踏間ないよう、下半身の密着を避けて微妙に半身になっている。
「茶番は終わりだ!キサマを逮捕する!」
「ぐぎい・・・・!」
不破の白タイツの股間が完全に透け始めた。
夥しい我慢汁が分泌されているのだ。
もはや潮吹きか!?
不破がエルボーを向井の脇腹に叩き込む。
「ぐっ!」
なおも力を緩めず占め続ける向井。
顔面を真っ赤に鬱血させた不破が必死でエルボーを繰り出す。
脇の痛みに耐え、スリーパーを離さない向井。
3発目の肘が向井のアバラを直撃した。
「う・・・!」
たまらず腕を緩めた向井。
すかさずバックに回った不破は向井の髪を掴んで背後から引っ張った。
のけぞった向井の顔面に顔を近付ける不破。
「俺のモノになれ。お巡りさん。」
不破は向井に接吻した。
無精ひげの口元がゾリゾリと向井の口をこじ開け、舌が巨大なナメクジの様に口内を這いずり回った。
「んぐぐ・・・・・」
向井の全身が脱力していった。
不破のゴツイ指先が乳首をつまむ。
ビクッ
向井の感度に気をよくした手は、さらに下半身へと移動する。
口を塞がれた向井の眼から涙が溢れる。
昔、こんなシチュエーションの小説を読んだ・・・・・
向井の極限状態の脳みそは、様々な記憶の断片を掘り起こし、ひとつの光景を浮かび上がらせた。
連続殺人犯の罠に捕らえられた刑事が、ゲイである犯人に拷問されたあげく接吻される。
刑事は恐怖のあまり失禁する・・・・
新宿鯖だったか・・・・
(サバじゃねえ・・・・・)
空しいツッコミを胸の内で呟いて、向井は怒涛の恍惚に抗おうともがいていた。



つづく

レスラーズ・ハイⅡ ⑬

不破の無精髭がゾリゾリと口から顎にかけて向井を撫でまわす。
タバコの味?クスリの匂い?
赤鉛筆でチェックがついた競馬新聞、野球選手の成績ランク、ワールドカップの出場国、スロットの押し目、新顔キャバ嬢・・・・
高速でスライドされる思考の断片が向井の心をざわつかせ、同時に慰める。
〝男らしい男〟
筋骨隆々、文武両道、勇猛果敢、質実剛健・・・・・・・
俺は男らしいだろ?
ゴツイ指先が乳首を摘み、撫でさすり、爪を立てる・・・・
男・・・・男・・・・オトコ・・・・・
お巡りさん、俺みたいなとことん堕ちた生き方が羨ましいんだろ・・・・・・・
こんなヤツ、ユウマのダチっぽくねーし・・・・・・
我慢汁で充分に湿ったタイツが、完全勃起の男根を摩擦する。
俺は男らしいか?
おらっ!チンポ固めだ!咥えろ!ぅおらっ!これが男なんだよ!ガリベンクン・・・・・・・
ああっ・・・・
本物の男は・・・・



「あーっ、なんということでしょう!
不破の意表を突いた接吻攻撃に、向井の身体が脱力していきます!
百戦錬磨の猛者と思われた向井、唇を奪われ戦意喪失とはとんだ純情ボーイだったのか!?
それとも不破のテクニックが極上すぎるのかー!?」
「うーむ、もしかしてこの二人、闘いを通じて妙な、と申しますか、歪んだ絆が生まれてしまったのかもしれません。
特に向井選手は自身のトラウマをほじくり返されてペースを乱されていましたし、おそらく同じように複雑な経歴を持つ不破選手と一種の化学反応を起こしたのかもしれませんね~。
ケミっちゃった?
ん~、まさしくポイント・オブ・ノー・リターンなのかもしれませんね~。」
「・・・あ・・・そ、そうですか。
ヤマモトさんの解説でした。
あーっと、向井の身体がのけぞるのけぞる!
アキナよりのけぞっているぞ!
キアヌか!?
あーっ!不破の手が向井の股間をまさぐっているーっ!
これはさすがの向井もついに陥落かーっ!?
極道VS国家機関の闘いがこんな形で終焉を迎えてしまうのかーっ!?」



膝立ちになった不破にバックブリーカーのような形でのけぞる向井。
髪は依然捕まれたまま。
野獣のごとき接吻に焦点を結んでいるのか定かでない眼。
不破の髪を掴んでいない手は、股間、乳首と向井の全身を荒々しく愛撫している。
向井ののネイビータイツにカウパーが股間全体に染みわたっているのは、ヌラヌラとした怪しい光沢が物語っている。
彫刻のような肉体が時々ビクッっと痙攣のように震える。
向井は反応していた。感じていた・・・・・
(いいぜ・・・・お巡りさん・・・・、そうだ・・・あんたらの本性は解かっているんだ・・・・・・)
不破のヤンキー白タイツの中で巨根が活性化していった。


「コージ、俺がレスリングを教えてやるよ。」
青い競パン姿の警官が、黒ビキニの不破に絡みつく。
執拗な密着は、互いの身体をこねくり回して一体化させたいかのようだ。
「勃起してるじゃないか、コージ・・・・。」
鼻息の荒い若い警官のモノもすでにガチガチに硬くなっているのは不破にも解かっていた。
「お巡りさん、レスリングってのは格闘技だろ?これって格闘技っぽくねーよ。」
拘置部屋の床に転がりながら不破が警官のバックを取る。
「俺もプロレス技は知ってるんだぜ。」
チョークスリーパーの格好をすると警官は喘いだ。
「ああっ・・・コージ・・・・・」
「おらっ、絞め落とすぞ、こらっ」
半笑いでちょっと首に巻いた腕に力を込める。
「あああ・・・・コージ・・・・・ああっ・・・・いいぜ・・・・絞めてくれ・・・・・」
反撃してくるかと思いきや、意外な反応に唖然とする不破。
(そういうことか・・・・)
不破は両足で警官の身体を挟み完璧な裸締めの体勢をとった。
スリーパーの片手を解き、警官の乳首を摘まんだ。
「んぬおおあっ!ああっ・・・ああああ・・・・コージ!コージィー・・・・・・!」
情けない声で絶叫する警官に、不破は心底嫌悪を感じた。
(なんだよ、コイツ、中坊を裸にしてレスリングとか言っちゃって、立派に児童虐待ってやつだろこれは。
いっつも俺に説教するくせによ。
人の道とか言ってよ。
ただのエロ野郎じゃんか。
試合中に射精?
そんな奴がどうしてケーサツに入れるんだよ?)
マイナーな性癖によるトラウマを抱える男が、昼間は清廉潔白な顔をして警官を務める。
一枚皮を剥げば獲物を血走った眼で探す野獣なのに。
中学生とは言え、立派に男の身体を持っていた不破はその後5秒で警官を落とした。
青競パンの股間はザーメンが染み出し、サイドの白いラインとバランスが取れていて可笑しかった。
(大人は汚い・・・・)
だが自分自身も決して純粋無垢な子供ではないことを不破はしっかり自覚していた。
勃起男根が黒ビキニを盛大に盛り上げていたから。
屋の中のきれいごとを成り立たせるためのダークサイド。
誰しも心に闇を抱えている。
この事実は、不破に元気を与えていた。
(面白れー。これは利用できる。)
己や他人の〝闇〟を理解し慈しむのではなく、そこに付け入り貪り尽くす道が不破にはハッキリと見えた。
「ありがとうよ、お巡りさん。」
呆けた面で失神する警官をまたいで立った不破は、小便をするかのように顔射した。
しばらくその場で余韻を味わい、やがて不破はいそいそと現状復帰に勤しんだ。
その警官は依願退職するまで不破の性奴隷となった。



不破が唇を外した。
膵液の筋が糸を引く。
「あのさ・・・・
おっきな会社の社長さんとか重役さんはドMが多いんだってさ。
日頃、たくさんの部下とか世間に対してS役を演じなきゃならないだろ。
ストレスたまっちゃうよね。
でもさ、俺は思うんだよね。
きっとドMになっちゃう社長さんはある種の罪悪感を抱えてるんだよ。
デカい組織を統率するためには結局鬼にならなきゃならない。
ニンピニンだよ。
奴らは心のどっかでそれを自覚して悔やんでるんだ。
だから自分に戒めを与えるのさ。
だけどー、都合のいい懺悔だよね。
だって結局気持ちよくなっちゃうわけでしょー?
まあもともと懺悔ってオナニーなんだけどさ。」
口を半開きにしたまま、向井の眼球がゆっくりと動く。
「ケーサツの連中も、屈折した奴が多いよね。
俺はよーっく知ってるんだ。
普段正義面してる奴は大変だよ。
だって人間って汚いモノなのに、そうじゃないフリをしなきゃならない。
そりゃ歪むわな。
グニャグニャに歪む。
グニャグニャの心をカチカチのチンコでバランスとるんだ。
あー、オレまた上手いコト言っちゃったよ。」
ガシッ!
それまでブランと脱力していた向井の腕が不破の顎を掴んだ。
「ふ・ざ・け・る・な・よーーーー!!!!」
マトリクスの逆再生のように鋼の両足が立ち上がる。
最大限に勃起した男根と同じように、全身の筋肉が膨張し血管が浮き上がる。
「貴様らのような開き直った根性が世の中を醜くする。
なぜ心の闇に立ち向かわない!?
どうして心の光を消してしまうんだ!?」
まるで後光が差したような典型的ヒーローの姿は、向井に一番似合っていた。
「ふがが・・・、ひでーぬわー。
ヘドゥオグワドゥエソー。」
すかさず股間を蹴ろうとする不破。
さっと身を翻し後方に跳ぶ向井。
紺と白のショートタイツをそれぞれフル勃起でモッコリさせた二人が、改めて対峙した。



「おーっ不破選手の接吻攻撃に昇天するかと思われた向井選手、復活です!
正義のヒーローの姿に会場の皆さんもやんやの喝采です!」
「巨大モニターでの観戦というのも逆によかったかもしれませんね。
両者の勃起具合も接写でよりよくわかりますし、断片的にですが会話も聞こえましたね。
この二人、相当面倒くさい感じですけど。」
「さー、お互いの心の内を肉体で告白しあった中二病のような両選手。
勝負を決するのはどちらの悩みが深いのかにかかっているのでしょうか!?
勃起は最高潮!
〝花の間〟に充満する男臭が巨大モニターを通じて臭ってきそうだぞーっ!」



「上等じゃねえか!
やってやるぜ!
このヘボお巡りが!
俺のキスでヘロヘロにおっ勃ててやがったくせによ!」
「この世に悪がある限り、俺のチンポは勃ち上がる!
俺の名は、ポリスマン向井!」
ビシッっとポーズを決めた向井の耳には、カメラの向こうの大観衆の声援が聞こえていた。
両コーナーから二人の屈強な男がダッシュする。
「ぅおらっ!!!」
「どりゃーっ!!!」
バスッ!!!!
リング中央でぶつかり合うラリアット。
みしっ
互いの筋肉が軋む音が聞こえそうだ。
すかさず背後のロープに走る両者。
ゴムッ!!!
反動を付けた相打ちラリアットが首にめり込む。
二人はすぐさまロープに走る。
下半身の激しい動きに勃起男根がタイツの中で揺れ亀頭が摩擦される。
(極道め・・・・俺を苛む卑近な男性性・・・知性を揺るがす野性の力・・・・俺は断固否定する!)
(犬が・・・・バックの威光に己の汚さを隠す犬めが・・・・・正体を暴いてやる!)
繰り返されるラリアット。
二人の首から胸元が真っ赤に変色していく。
二匹の野獣が再びコーナーを背に対角線上に立った。
「そろそろ決着を付けようじゃないか。お巡りよ。」
「望むところだ。」
リングシューズがキュッと音を立て、マットを蹴った。
二人はリング中央近くで跳躍した。
ガシーンッ!!!!
フライングラリアットがリングの真ん中で激突した。
筋肉と筋肉が互いを抉り破壊し融合し、そして跳ね返した。
バーンッ!!!!!
二人は同時にリングに墜落し仰向けにダウンして動かなくなった。
花の間に静寂が訪れた。



「こ、これは・・・・・!?
両者ダウンしたまま大の字です!
壮絶なラリアットの打ち合いの末、ダブル・ノックアウトかーっ!
光と闇の闘いに、ドローはあり得るのか!?
いや!あり得ません!
こんな結末は地下プロレスでは認められないぞーっ!
立て!立つんだ!
どちらでもいいから立ってくれー!!!!」
「会場は向井押しがほとんどですからね~。
皆固唾を呑んで向井が立ち上がるのを待っていると思いますよ。」
「そ、そうです!
レスキュー太助の惨敗、拉致で事実上すでに一本取られている〝光の戦士〟勢。
ポリスマン向井がここで敗けるわけにはいかないですよね。
会場の思いが向井に届いているか!?
あっ!
あーっ、両者がもぞもぞと動き出しましたーっ!
先に立つのはどっちだーっ!?」



お、俺は正義のヒーローだ・・・・・
ヤク中のチンピラに敗けるわけがない。
そう、俺のケツにはPOLICEMAN。
鍛え上げたケツに一番映える配置でプリントされているんだ。
どうだ・・・俺のこの雄姿・・・・・
惚れ惚れするだろ?
俺は・・・・ポリスマ・・・ン・・・む・・か、い・・・・・・・・



「ああーーーーーっ!!!!
立ち上がった向井ーっ!
崩れ落ちましたーっ!!!
うつ伏せにダウンしています!
そしてーっ!
おーっ!?
不破が・・・・!
不破が立ち上がったーっ!!!
不破晃司、白タイツにゴールドのラインが輝いています!
あーっ今、ダウンする向井にゆっくりと歩み寄っていきます。
こ、これはーっ!?」


向井は、気が付くとコーナーポストの上に座らされていた。
脚の間に不破の顔があった。
「お巡り、終わらせてやるぜ。」
不破は向井の脚を抱えると股間に顔を埋めた。
タイツ越しに睾丸を軽く噛んでくる。
「おあ・・・・」
勃起したままの男根がビクッと反応する。
「ヒヒッ、まだ感じてんじゃねえか。いいぞ。」
腰を抱えられた体制のまま担ぎ上げられる向井。
脱出しなければ・・・
だが全身が鈍痛に沈み、動かすこともままならない。
不破が向井のタイツの両サイドを掴んだ。
「ラストライドだ・・・・楽しめ。」
タイツがグッと引っ張り上げられケツに食い込む。
肛門が刺激され男根の先から我慢汁がじゅるっと漏れる。
「どりゃーっ!!!」
不破の雄たけびとともにタイツが一層引っ張り上げられ、肛門を引き裂かんばかりにタイツが食い込んだ。
「ああっ・・・!」
思わず声を上げた向井は、次の瞬間後頭部をマットに叩き付けられていた。



「あーっ完璧に極まったーっ!
ラストライド式パワーボム!!!
向井の逞しい大殿筋があらかた晒されたあげく、マットに叩き付けられたーっ!!!
おっとーっ!向井失神か!
ほとんど白目を向いているように見えます!
ついに・・・ついに勝負ありかーっ!
光と闇の闘いは、またしても闇側に軍配が上がりました!
ああっ!
ああああ!
不破が失神した向井を再びラストライドかー!
これは危険だーっ!
向井のタイツのがほとんどひも状で、POLICEMANのロゴが見えない!
無敵のヒーローが処刑されてしまうーっ!
向井ーっ
ああああっ!
不破が向井を担いだままコーナーのロープを上っています!
な、なんと、コーナー最上段から雪崩式ラストライドを敢行しようというのか!?
これはいくらなんでも危険です。
向井はもう失神しているのに・・・・
不破~!やめてくれーっ!
向井ーっ!向井ーーーーっ!」



不破がコーナーロープを蹴り、二人の身体が宙に浮いた。
お巡りさん、感じてんだろ?
チンポ固めって知ってるか?
お前は警察代表の地下レスラーだ。
光の戦士として・・・・・
ゴリオは変態なんだぜ・・・・・
ユウマの逞しい腋毛・・・・
股間の饐えた匂い・・・・
やべ、出ちゃった・・・・
コイツ勃ってるぜ・・・・
男らしい身体・・・・
俺は男らしい・・・・?
ああっ・・・
ケツに・・・
ケツにタイツが・・・・
食い込んでいる・・・・・
おあ・・・・
俺は・・・
ポリスマン向井・・・・・

ゴスーンッ!!!!
凄まじい衝撃とともに、向井の意識が途絶えた。



「さーて、一発カマしてっと・・・・」
リング下から取り出した注射器で薬物を注入した不破の眼がギラギラと光る。
「お待ちかねのチンポ固めから行こうかね・・・・・」




つづく










レスラーズ・ハイⅡ ⑭

IBSM、
都内に住む男色家の間に広く知れ渡っているこの符丁が示す場所に、初冬の冷たい雨がしんしんと降っていた。
夏の盛りともなれば灼熱に身を曝し肌を痛めつけることに悦びを感じる雄どもが大挙する土手にも、今朝は全く人気がない。
煙るような霧雨の中、たったったっと靴音が近づき、ジョガーと思しき人影が〝ハッテンスポット〟で立ち止まった。
悪天の中、他に走る姿はなくさーっという雨の音がするのみだ。
たゆたう川面をバックにそびえる水門は、まるで西洋の古い建造物のように一種不気味な雰囲気を醸している。
「ふうっ・・・」
ジョガーは防水ヤッケのフードを下すと、背負っていたリュックから水筒を取り出した。
湯気の立つコーヒーをすすりながら、男は水辺の藪を眺めた。
どんな天候でも必ずこの時間に水門前でコーヒーを楽しむ男、彼は通称パセリとして一部で熱狂的な支持を集める職人だった。
一部とはプロレスに男の情欲を見出す男達であり、彼らはパセリの創るショートタイツに心酔していた。
パセリの自宅兼工房は古い公団で、ここから数キロの高台にある。
この20年あまり、パセリは毎朝自宅と水門を往復するジョギングをかかさなかった。
藪を見つめていると、夏の間多くの男達が欲望をたぎらせ徘徊していた様が思い出される。
ランニングタイツの股間が膨らんでくる。
パセリはタイツの上に短パンなど穿かない。
全体的に細身ながらもしっかり発達した下半身の筋肉を強調したいし、なにより男の膨らみを隠すなど以ての外だからだ。
ふと、藪の中に血管のように伸びる〝獣道〟を覗いてみたくなった。
普段はそんなことはしない。
ましてや凍り付くような朝に屋外ハッテン場にいってみたところで誰もいるはずがない。
虫の知らせだったのだろうか。
滑らないように土手を慎重に下りる。
多くの獣たる男どもが踏み慣らした道の入り口が、自分を誘っている気がする。
ちょっとした迷路のように入り組んだ藪の道は、ところどころで小部屋のように仕切られ、マナーの悪い者が残していったティッシュやコンドームが冬の雨に濡れそぼっていた。
「ボクは一体なにをやってるんだろうね?」
パセリは独り言をつぶやくとフードを被りなおした。
元来た道を引き返そうとすると、目の端に枯れた草木とは異質の色彩を認めた。
「ん?」
藪をかき分けると、そこにはビキニパンツ一枚の男が、鎖でぐるぐる巻きになって倒れていた。
「む、向井君・・・・・っ!?」




「幸い・・・・、向井の怪我はそれほどひどくはなかった。だが・・・・」
眉間にしわを寄せた長谷部の暗い声が、THPW事務局の応接コーナーに集うもの達の心を重くする。
「だが、向井は犯されまくっていた。
身体中精液まみれで、ケツや口内にも大量のザーメンが残っていた。
あれは到底一人の量ではない。
不破に敗れた向井は黒杭のアジトに捕らわれ、そこで陵辱の限りを尽くされたのだろう。」
「向井・・・・・」
「なんてことだ、畜生!」
藤堂と桜井が拳を握りしめる。
〝花の間〟での闘いが地下施設中に中継されている間、彼らは血眼になって場所の特定を急いでいた。
だが結局、努力の甲斐なく向井は不破に敗れ、警察の星を極道どもの手に渡すことになってしまったのだ。
「不幸中の幸いというべきか、向井を発見したのがタイツ職人のパセリ氏だったため、一般人には知られることなく極秘裏の内に警察が向井を保護することができた。」
「向井さんは今・・・・?」
大岩が目に涙を浮かべて聞いた。
「この地下施設内の集中治療室にいる。
致命的な傷ではないにしろ、今は絶対安静だ。面会もできない。
警察医をはじめ最高の医療班が治療に当たっている。」
「ラーじゃないんだな。ほっとした。」
權田が言った軽口が少しだけ皆の空気をやわらげた。
「それにしても黒杭の奴らめ、まともに試合をする気はないのかよ!」
桜井が憤った声を出す。
「もともと正々堂々なんていう概念はない連中だからな。」
權田がため息をつく。
「どんな手を使っても俺たちを潰す気だ・・・・」
拳を震わせる藤堂の肩を田代がなだめるように摩る。
「今後も奴らがどんな罠をしかけてくるか油断できない。
なにしろしばらくの間、ここはブラックパイルの管理下にあったんだ。
特に旧区画は危険だ。
むやみに近づくのはよした方がいい。」
長谷場の言葉に藤堂が血相を変える。
「太助はどうなるんだ!?まだアイツは捕らわれてるんだぞ!」
全員がシーンとなってしまう。
太助は無事なのか?
向井のひどいあり様に、グドーに連れ去られた太助の境遇を思うと誰もがいてもたってもいられなくなる。
だが、長谷部の言うように不用意に動いては敵の思うつぼだ。
向井ももともとはタスケの捜索中に花の間で闘うハメに陥ったのだ。
「・・・いずれにしても・・・
我々は気を引き締めていかなければならない。
闇の戦士は予想以上に強敵だ。
試合設定はゲリラ的とは言え、もう二人のレスラーが一対一の闘いに敗れている。
これからは全員一丸となって極道に立ち向かわなくては。」
長谷部の言葉に皆が頷いた。
「あ・・・・そうだ・・・・」
田代誠二がはっと顔を上げる。
「長谷部さん、僕、緒方さんに会ったんです!」
その場の全員が騒めく。
「やっぱり・・・・!あの滝の男は緒方大輔。
そうだったんですね長谷部さん!」
と桜井。
「お、緒方が・・・!?生きていたのか!?あーっ緒方ーっ!」
「バズーカ緒方・・・・」
權田と藤堂も驚きを隠さない。
大岩や他のスタッフも泣いて抱き合っている。
「緒方さんがいれば、光の戦士勢にとって百人力でしょう?」
田代が目を輝かせて長谷部に聞く。
「緒方は・・・・緒方は変わってしまった・・・・・」
長谷部がつぶやくように言った一言に、浮かれた雰囲気がしぼんでいく。
「あいつの心の中は黒杭大凱に対する復讐一色だ。」
「だ、だったらなおさら、光の戦士にうってつけでは・・・・?」
長谷部は皆に背を向ける。
「違うんだ・・・・あいつの復讐心は・・・・・」
「どういうことだ・・・・?」
皆の頭の中がクエスチョンマークで満たされていく。
と、
突如室内のモニターが起動した。
「ミナサーン!
シズンデマスカー?
フタリモマケチャッタラシカタナイヨネ。
デモ、カナシミニフケッテイルジカンハナイヨー。
ツギノシアイノヨウイガデキタヨー!」
映っているのはイ・サンウ。
「コンドハオキャクサンノマエデタタカエルヨ!
モッコリミセツケタイミナサンニハロウホウデショ?
バショハココ。」
モニターに施設内マップが表示され一点がチカチカと点滅している。
「コンドハプールマッチダヨ!
〝ミズノマ〟デース。
タスケクンモイルヨ。
スグニキテネ!
ミズギモワスレズニ!」
ぶつっと音を立てモニターが消える。
「何を企んでいるんだ・・・・・」
腕を組んで唸る長谷部に、元実況の新垣がPCを見て声をかける。
「長谷部さん、お客さんが移動しています。おそらくさっき表示された場所に。」
「行くぞ!」
藤堂と桜井が部屋を出ていこうとする。
「ちょっと待て!行くって言ったってお前ら場所わかってんのか?」
権田が二人を制する。
「ちょっと落ち着け。また罠かもしれないだろ。」
「でも、太助が・・・・」
「わかてるって。だからこそ今度は負けられない。奴らのペースに巻き込まれてはだめだ。すこし遅れていくくらいの余裕をかまそう。」
權田の言葉に、藤堂と桜井も我に返る。
「大岩、俺たちの海パンを用意してくれ。」
「はい!」
大岩が田代とともに部屋を出て走っていく。
「太助・・・待っててくれ・・・・・・」
藤堂の眼が燃えていた。




「ドウ?コレ。」
サンウは緑色の鱗模様のスパッツのケツを鮫島に振って見せた。
「水中対戦用の特注スパッツなんだろ?
何度も言うなよ。
俺を馬鹿にしてんのか?」
「アレー、サメジマクン、フキゲン?ナンデ?」
向井が意識を取り戻せば、〝花の間〟の前に自分がいたことがバレる。
どっちにしたってもう光の戦士の側には戻れない。
だからといって黒杭組に加入するのも気が進まない。
こうしてサンウのケツの虜になったかのようにふらふらしている自分が自分でもよく解からない。
俺は何をしたいんだ?
「うっせーよ。
何度も言うけど俺はアンタの試合には姿を見せないからな。
奴らが来る前にふけるぜ。」
「ワカッタワカッタ。
ダイジョウブ。
アイツラガナンニンキタッテタイサクハバッチリダカラ。
サメジマクンニテマハカケサセナイヨ。」
〝水の間〟には、入り口で話す二人以外誰もいない。
大移動している観客がたどり着くまでにはもう少し時間がかかるだろう。
そこはちょっとした体育館のような広い空間で、四角形の二辺に向かい合うように客席が設けられている。
サンウと鮫島がいる出入り口の辺には客席はなく壁が高い天井まで続いている。
向かいの壁も同様に出入り口が一つあるだけである。
THPWの連中がやってくるのはこちらの出入り口になるはずだった。
客は客席上部のそれぞれの入り口から入ることになる。
サンウと鮫島が来た通路は一般の通路には繋がっていない黒杭専用の裏通路だった。
中央にリングが設置され、客席とリングの間には水が張られていた。
つまり、空間全体が池のようになっていて、その周りを壁と客席が囲んでいるのだ。
リングはまるで島のように水面に浮かんでいる。
波ひとつない水面は鏡のように照明を反射し、どのくらいの深さがあるのか全く分からない。
「コノミズハチカスイヲリヨウシテイルンダヨ。」
アメリカのコリアン街に住むという職人に作らせたスパッツの股間をなでながらイ・サンウが言う。
「なに突然解説始めてんだよ。俺はもう行くぜ。」
通路の暗闇に姿を消した鮫島を複雑な表情で見送ったサンウは、天井に設置されているカメラの方を向くと合図をした。
すると、サンウの真上からロープで胴体をぐるぐる巻きにされた男がするすると下された。
太助だった。
オレンジのタイツがサンウの顔面の高さになったところで止まった太助は、意識がないのかうなだれたままだった。
「アーアー、タイツガザーメンデカピカピネ。グドーハハゲシイカラ。」
サンウは太助のごわごわのタイツの股間を軽くタッチした。
「サテ、ジュンビカンリョウ。アトハキャクトヤクシャヲマツバカリ。」





「とりあえず3人分用意しましたが・・・・」
大岩が3枚の競泳パンツを権田に渡す。
「おう、ご苦労さんだったな。
俺も他の二人も水着なんて地下に持ってきてないからな。
誰のを借りてきたんだ?」
「ボ、ボクのです。」
おずおずと手を挙げたのは田代誠二だった。
「ボク、競パンフェチなんで試合中はいつも競パンで観戦するんです。
だから客用ロッカーに一杯置いてあって。」
「・・・ってことは、君のオナニー用のパンツってこと?」
桜井が恐々と聞く。
「ま、まあ・・・そう・・・ですけど・・・・・」
競パンを持つ権田も顔が引きつっている。
「何言ってんすか!
今そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ!
せっかく誠二が貸してくれるのに!」
田代と付き合っている大岩が怒ったように権田の手から競パンを取り上げる。
「嫌だったらいいんですよ。
褌でもフルチンでもお好きなように!」
「い、いやスマン。田代君、ありがとう。」
〝水の間〟というからにはきっと水があるのだろう。
サンウも水着を持ってこいと言っていた。
3人のショートタイツはパセリ製なので競パン生地とあまり変わらないのだが、やはり水中戦となると脱げてしまうなどのリスクがある。
玉と竿をしっかりホールドして闘いに集中するには競パンが一番だ。
藤堂は以前プールマッチで競パンを穿いて闘ったことがあるのでそれをよく知っていた。
「Mサイズかー。入るかな。」
逞しい下半身の3人は苦労して競パンを足に通した。
桜井はタイツと同じ青い無地の競パン。90年代スピード製。
權田もいつもと一緒の黒無地。最近のミズノ製。
藤堂はピンクの競パン。アシックス・ハイドロCD。
無理矢理穿いたサイズの小さい競パンは下半身のエロさを格段に強調した。
「チン毛はみ出るな・・・・。剃っていこうかな・・・・」
「小せー・・・。もうケツに食い込んじゃったよ。」
「濡れてないのに透けてるぞ!前布ないし!」
競パンにテンションが上がる3人を長谷部の声が目を覚まさせる。
「客が到着し始めた。俺たちも行くぞ!太助を救出するんだ!」
おう!
室内の全員が叫んだ。




つづく

レスラーズ・ハイ Ⅱ ⑮

3人の競パン戦士が〝水の間〟の入り口に姿を現すと、地鳴りのような歓声が会場を揺るがした。
前布無しの競パンは三者三様のイチモツをくっきりと浮き立たせ、若干ハイレグ気味に穿いてもはみ出てしまうケツの割れ目が3人の下半身の逞しさを一層強調していた。
50メートルほど先に浮かぶリングには、緑色のスパッツ姿のイ・サンウが待ち受ける。
さらにその背後、50メートル先の黒杭側の入り口には、ロープで吊るされたレスキュー太助がぶら下がっていた。
「太助ーっ!」
藤堂の叫びにも反応しない太助は意識がないらしい。
巨大な100メートルプールの中央にリングが浮いているような構造の〝水の間〟。
向かい合った客席の上方には巨大スクリーンが設置され、おそらくコンピューター制御されている無数のカメラによって接写される映像が映し出されていた。
3人の競パン戦士の股間、ケツ、サンウの憎々し気な表情、太助のザーメンまみれのタイツなどが、克明に捉えられ観客に届けられる。
カーン!
唐突に試合開始のゴングが響き渡る。
謎の実況コンビ、五所川原とスモールアイアン・ヤマモトの声が当然のように映像に被ってきた。


「さあー、光VS闇の最終抗争も第三戦目となりました。
これまでレスキュー太助、ポリスマン向井と二人のレスラーが、ブラックパイルの刺客である玉砕坊主グドーと不破晃司によって血祭りにあげられ、陵辱されています。
圧倒的に不利な状況の中、光の戦士が背水の陣に臨みます。」
「今回の試合は、闇の戦士のトップである黒杭大凱の情夫であると噂されるイ・サンウがフィーチャーされているようですね。
彼の研ぎ澄まされた肉体はスイマーのようでもありますし、水中戦に長けていることが予測されます。
そして地下プロレスの原点ともいうべき競パン対決であるということも大注目の要素です。
さらに、グドーによって犯されまくったであろうレスキュー太助の救出というミッションが光の戦士に課せられているのも見どころでしょう。」
「あっ、3人が同時にプールに飛び込みました。
きれいな入水です。
華麗なフォームのクロールでリングにぐんぐん近づきて行きます。
權田、藤堂、桜井、皆泳ぎが達者なんですね~。」
「まあ、ある世代のホモにとって水泳は必須のたしなみでしたからね。
競パン見たさに、あるいは見せつけたいがためにプールに通ううちに泳ぎも上達するという。」
「なるほど~。
確かにブーメランパンツを人前に披露するという点で、プロレスと水泳は共通点があったのかもしれませんね。
今は昔といったほろ苦い話ではありますが。
あっ!
黒い水面から何かが突きでました!
海坊主かーっ!
このプールは妖怪が潜む魔の海域だったのかーっ!」


ザバーンッ!
盛大な水しぶきをあげて水中から出現したのはグドーだった。
「ぐははは!
やってきたか、哀れな生贄どもよ。
玉砕坊主グドー参上!」
クロールを止め、立ち泳ぎに移行した3人はグドーを取り囲むようにフォーメーションを組んだ。
足が全く底につかない。
少なくとも3メートルは水深があるようだ。
「出たな、生臭坊主!
太助のカタキをいまこそうってやる!」
藤堂の瞳が怒りで燃え上がる。
「俺たちの水泳愛を甘く見るなよ!」
桜井の叫びを合図にしたかのように3人が水中に姿を消す。
と、グドーの至近距離から太い足がにょっきりと出たかと思うと顔面を蹴り上げた。
「ぐぐっ!」
脚は3方向から出ていて、鼻、右耳、左後頭部を同時にキックされたグドーはたまらず呻いた。
水中から桜井の顔が出たかと思うとたちまち全身が現れ、下から桜井の足を乗せた藤堂の肩が姿を現す。
藤堂もそのまま上昇し、最後に権田の顔が現れ3連結タワーが完成した。
はるか上方から降ってくる桜井のドロップキックがグドーの顔面を直撃した。
巨大スクリーンのスローモーション映像で変形するグドーの顔面が映し出される。
光の戦士の人間離れした大技に観客は大いに沸いた。


「これはすごい!
まさに水を得た魚、競パンを得たホモ!
ウォーター・ボーイズ・マッチョ版とでも申しましょうか。
シンクロが実は水中の格闘技だったとは!
水面に現れては消える筋肉もりもりの下半身の艶めかしいことよ!
競パンのVゾーンの芸術的美しさに会場全体が狂喜しています!」


「ぬおーっ!」
鼻血を滴らせたグドーが水面からしぶきをあげて浮き上がった。
例の浮遊の術と言われるワイヤーアクションだ。
全身を現したグドーは白地に黒の唐草模様のビキニパンツだった。
筋肉塊を唯一覆う三角の布は、相変わらず鬼のように盛り上がっていた。
「小癪な奴らめ!
その煩悩に満ち満ちた玉をひとつ残らず握り潰してやるわ!」
空中からグドーがダイブする。
隕石が落ちた海面のように、一瞬水しぶきで何も見えなくなる。
水中カメラに切り替わった画面が巨大スクリーンに映し出される。


「あーっ、グドーとピンクの競パン、藤堂ですね、が激しく水中でパンツを掴み合っています。
まるで水球の試合のようですが、こちらは数段エロ度が高いぞ。
グドーは藤堂の股間を掴みにかかる。
それを嫌がる藤堂がグドーのパンツを掴む。
二人のケツにパンツがどんどん食い込んでいきます!」
「うーん、グドーのビキニはどうやらリゾートビキニですね。
リゾートビキニを競パンと呼ぶのかどうか長らく論争されてきましたが、競パンが廃れてしまった現代ではビキニ水着全体を競パンと呼ぶ傾向に落ち着きつつあるようですね~。」
「え・・・・っと、今、そんなことどうでもいいのでは・・・・・。
あ、ああっ!
グドーがついに、藤堂の競パンに手を突っ込んだーっ!
あーっ!玉を獲られたか!
グドーの必殺急所クローが藤堂の金玉を潰してしまうのかーっ!」


「ぐぼがぼっ!」
睾丸を力いっぱい握られた衝撃で、藤堂はほとんど溺れかけた。
グドーの右手は競パンに差し込まれ、直に金玉を握っている。
ぐりぐりっ
二つの玉が手の中で擦り合わされる。
「ぎぎゃおうっ」
藤堂の全身から力が抜け、水底へ沈んでいく。
ピンクの競パンを掴んで水面に引き上げたのは権田だった。
「藤堂!しっかりしろ!」
激しくせき込む藤堂。
「す、すまん・・・・助かったぜ・・・・」
二人の背後から海坊主の影が波しぶきをあげてのしかかる。
さらにその背後から坊主の首に腕を回したのは桜井だった。
「おいおい、玉を潰したいなら俺が相手をしてやるぜ!
それとも俺の金玉が怖いのか?え!?」
日本を代表する、いや、もはや世界屈指の金玉ファイター桜井勇治が玉砕坊主を挑発する。
「こいつは俺が相手をする!
權田さんたちは太助を頼みます!」
「おう!」
權田と藤堂は再びリングを目指して泳ぎだした。
グドーにスリーパーをかけていた桜井が肩を踏み台に水上に跳びあがった。
「俺の玉はそこんじょそこいらのとはワケが違うぜ!」
桜井はグドーの正面から股間を押し付ける形で顔面に足を巻き付けた。
ケツにあらかた食い込んだ青い競パンに、逞しい大殿筋が一層エロく映える。
桜井の金玉と竿が競パンごしにグドーの顔面に押し付けられる。
「ふんが・・・ぐぐ・・・なるほど・・・いいタマだ・・・・ふぐ・・・・・」
グドーが腹に力を込めたのが水中映像で確認できた。
「ふんぐ!」
グドーが大口をあけて思い切り息を吸い込んだ。
ダ○ソンの掃除機のような強力な吸引力で、桜井の金玉が競パンごとグドーの口に吸いこまれる。
「おああっ・・・」
突如睾丸を襲った未知の刺激に、桜井は思わず声を上げる。
「おうおっ・・・・!タ、タマが・・・引きちぎられる・・・・・!」
金玉そのものへの打撃に対して耐性を強化する鍛錬を積んだ桜井だったが、玉を身体から引っ張られる痛みには対応していなかった。
「ああああっ!!!!!ああ・・・・・」
ひときわ高い絶叫の後、桜井は脱力し水面に倒れていった。
桜井の股間はグドーのデカい口に咥えられ、両足が肩に乗っている。
上半身は水面に仰向けに浮いていた。
海坊主に金玉を食いちぎられる勇者のような桜井の姿が、巨大スクリーンに映し出される。
亀頭の形も顕わな青い競パンの膨らみが、逆に桜井の窮地を物語っていた。



リングに泳ぎ着いた藤堂と権田はイ・サンウと対峙していた。
文字通り水も滴る筋肉男。
濡れた競パンはモッコリを数百倍エロく見せ、ケツはまさに神っていた。
「ヤットタドリツイタネ。
フタリヲアイテシテモイインダケド、ボクガキョウミアルノハトウドウサンダケナンダヨネ。
テナワケデ、ゴンダサンニハベツノアイテヲヨウイシタヨ。」
サンウは指をパチッっと鳴らした。
すると上空の暗闇からゴンドラのようなものがするすると下りてきた。
そこに乗っていたのは真っ白い競パン(TYR 2016年)のマッチョだった。
「あ・・・・」
權田が驚きの声を漏らす。
朝倉大悟だった。



「な、なんと朝倉大悟が闇の戦士として登場だーっ!
これは意外すぎる展開!
黒杭大凱の専用穴を巡って反目し合っているはずの二人がタッグを組む!?
一体どういうことなのかーっ!?
そして玉を食いちぎられんとしている金玉ファイター桜井の運命は!
続きは次週!」
「次週って・・・・アンタ誰に向かって喋ってるんだ?」




つづく

レスラーズ・ハイⅡ ⑯

「朝倉!目を覚ませ!お前がいる場所は黒杭じゃないはずだろ!」
突如闇の戦士として現れた朝倉大悟に、權田は激高した。
「権田さん、すまない。俺にはもう道を選ぶことは許されないんだ。」
と言うやいなや朝倉は俊敏な動きで權田にタックルした。
不意を突かれダウンした権田の眼に闘争心の炎が点火する。
「やるっていうんだな。解かった。それなら俺も遠慮はしねーぞ!」
雄を際立たせる黒と白の三角の布が対峙した。



「トウドウサン、アンタハジャマ。
サメジマクンノココロヲモテアソブクズ。
ボクハアンタヲハイジョスル。」
「鮫島・・・・・」
イ・サンウの敵対心剥きだしのオーラを警戒しながらも、藤堂の脳みそは高速で回転していた。
鮫島だって?
そういえばあいつは何処へ行ったんだ?
あいつも光の戦士のはずだろ?
深夜のスタジアムで犯されそうになって以来、鮫島に一度も会っていない藤堂。
心のどこかでそのことに安堵していた自分。
そして寂しく思っていた自分。
奴を目の前にした時、自分は果たして平常心でいられるのか?
「トオイメヲシテ、オモイダシテンジャネーヨ!」
サンウはプールに飛び込むとエプロンから藤堂の両足を掴んで引っ張った。
倒されてプールに引きずり込まれていく藤堂。
競パンのケツが瞬く間に捲れ上がった。
咄嗟にサードロープを掴み完全な水没は免れたものの、首から下は漆黒の水面の下だ。
サンウの姿は見えない。
水中で足が組まれていく感覚に続き、激痛が襲った。
「ぐわっ!」

「な、なんと水中四の字固めだーっ!
水中カメラがイ・サンウの常識外れの技を映し出しています!」

実況の声に客席情報の巨大スクリーンを見ると、緑のスパッツ水着が半魚人のようなサンウが、藤堂の脚を固めて激しく身体をくねらさている姿が映っていた。
「ぐぐっ・・・!」
サンウが水中で怪しく漂う様は、ウミヘビが獲物に巻き付いてじわじわと生命を奪っていく姿に見えた。
フィギュアフォーが固く締まり、骨が砕かれんばかりだ。
サードロープを掴む藤堂の腕から力が抜けていく。
「がぼぐぼ・・・・」
ついに藤堂の全身が黒い水面に消えた。



人間バキュームと化したグドーの口に金玉を吸い込まれた桜井の身体は脱力し、もはやこれまでかと誰もが思った。
「ふがが・・・ふぉまえのきんたむわを食いちゅぎってやる。」
桜井の股間を咥えたままのグドーが鼻息とともに嗜虐心を吐きだす。
水面に浮いた逞しい大胸筋を野獣の掌がむんずと掴む。
筋繊維の一本一本を断ち切るように揉みしだいていく。
破壊の動作に紛れて、野獣の指は驚くほど繊細なタッチで桜井の乳首を撫でる。
「おああ・・・」
新たな衝撃に桜井が僅かに呻く。
金玉と乳首、二か所の急所を同時に攻められ、青い競パンの股間はみるみる盛り上がっていった。

「あーっと!
桜井大ピンチ!
グドーの人間離れした睾丸フェラに加えてチェスト・クローに悶絶!
今にも射精してしまいそうなフル勃起です!
亀頭が競パンからはみ出してしまいそうですね~。」
「地下プロレスのルールではたとえ射精してもただちに敗けということにはなりませんが、消耗はさけられません。
なによりも一発出させられてしまうと、その後も快感の余韻から抜け出せなくなってしまうことが問題です。
つまり、相手に性的に従属してしまう心理が生まれてしまうということなんですね。」
「なるほど~。
もう好きにしてくれ状態になってしまうわけですね。
ここは桜井、なんとも踏ん張って欲しいところですが・・・・
状況はかなり厳しい!
レスキュー太助に続いて桜井勇治もまたグドーの性奴隷にされてしまうのか!?」

朦朧とした意識の中で、桜井の脳裏に浮かぶのは自らの〝玉遍歴〟だった。
ブッちゃんの店のリングで、ひとりデスマッチを演じて玉を潰される快感に溺れた日々。
ネットで集めた男どもに、思う存分急所を痛めつけさせた工事現場。
山の特訓場の3人のオネエ教官による、ありとあらゆる急所攻撃。
悶絶・昇天を繰り返し、桜井は生まれ変わった。
〝金玉ファイター〟に。
(そうだ・・・・俺は〝金玉ファイター〟なんだ・・・・)
桜井の睾丸が異様な熱を帯び始めた。
グドーの咥えた股間の辺りから、濡れた競パンが湯気を立てる。
「ふがが・・・ぬ、ぬわんだ・・・・・」
口内の異常な熱に慌てるグドー。
桜井の両目がかっと見開く。
「俺のタマを甘く見るなよ!」
桜井は素足をグドーの肩に当てがうと、思い切り踏ん張って股間を引き抜こうとした。
「ふがっ!」
そうはさせまいと前歯をかみしめようとするグドー。
歯の間から盛大に湯気が上がっている。
「ぐおーっ!」
鬼の形相で桜井が踏ん張る。
鍛え上げられた〝超金玉〟が野獣の牙をこじ開けていく。
負けじと口に力を入れるグドー。
歯が競パンを貫かんばかりに食い込んでいる。
「ぬおーっ!!!!」
高熱の睾丸がグドーの顎の圧迫をこじ開けていく。
金玉が上下の歯の間を分け入っていく。
途轍もない激痛が桜井の股間で爆発した。
「うおーっ!」
玉のような脂汗を噴きだたせた桜井の雄たけびとともにグドーの口から金玉が引き抜かれた。

「会場、割れんばかりの大歓声です!
〝水の間〟が光の戦士を応援する観客の歓喜の声に満たされています!
人間離れした口には人間を超えた金玉で!
桜井、まさに金玉ファイターの面目躍如だーっ!」

グドーの肩を踏み台に宙に跳ぶ桜井。
グドーの歯によって股間部分が破損したを青競パンを纏い、はち切れんばかりの筋肉野郎が華麗に舞う。
「うりゃっ!」
ほぼ垂直の角度でドロップキックがグドーの脳天に突き刺さる。
「ぐごごっ・・・」
黒いプールの水面に海坊主よろしく突き出るグドーの上半身が、青競パンのポセイドンによって成敗されている。
そんな光景が展開される水の間は観客の歓喜の声で満たされていた。
連続ドロップキックに翻弄されるグドーの顔面が怒りで真っ赤に変色するのが、巨大スクリーンに映し出される。
「おのれ!小癪な!」
グドーの巨体がザバーンと水しぶきを上げながら水面から浮き上がった。
「浮遊の術!」
白黒の唐草模様の競パンは濡れたことでエロさが凶暴化していた。
「インチキ坊主め、カラクリはバレバレなんだよ!」
桜井はひらりとグドーの両肩に立ち、見えないワイヤーを持つと振り子のように揺さぶり始めた。
「んぬ!よ、止せ!」
極細のワイヤーはグドーの身体をギリギリ支える強度しか無いのだった。
桜井の体重が加わり、そのうえ揺らされているのではひとたまりもない。
ぷちっと小さな音とともにワイヤーが切れた。
ドバシャーンッ!
盛大な水しぶきとともにグドーが落下した。
ワイヤーを片手で掴んだ桜井は宙に浮いたまま。
「太助の分までたっぷりお返しするぜ!」
水中に沈んだグドー目がけて、怒りの水神がジャンプした。
「とりゃーっ!」
突如水面から野太い腕が付きだした。
握られた拳が桜井の急所を直撃した。
「うぐっ・・・・」
青競パンの上から変形がわかる桜井の金玉。
拳は桜井の股間にに突き刺さったまま上昇し、グドーの上半身が再び水面に現れた。
「小僧、調子づくなよ!」
グドーが腕を下すと、桜井が落下してきた。
「お前の玉は必ず砕く!」
水面に仰向けで浮かんでいる桜井の髪を掴むと、再び宙に放り投げた。
落下してくる桜井の股間に、ジャンプしたグドーのスキンヘッドが直撃する。
「ぐはっ!」
「金玉ファイターだと?笑わせるなよ。俺が金玉処刑してやる!」
海坊主の宣言が水の間にこだました。



つづく





レスラーズ・ハイⅡ ⑰

ぐわーーーー・・・・・・・・・・
遠くに聞こえる絶叫は桜井か?
水中で絡みつく藻のようなイ・サンウを必死で振り払い、藤堂はなんとかリングに這い上がった。
桜井、無事なのか・・・?
涙目の大男は肺に侵入した水を体外に排出しようと激しく咳込んだ。
十数メートル先に見える水しぶきは桜井とグドーのものに違いない。
リング上にいるはずの権田は何処に行った?
立ち上がろうと膝を立てると、膝に釘が刺さったような痛みを覚えた。
「う・・・・」
藤堂は身体から滴る水に滑り、マットに倒れ込んでしまった。
「シブトイオトコダネ。」
頭上から降ってくる声。
いつのまに現れたのかイ・サンウがコーナーポストにすくっと立っていた。
グリーンの鱗スパッツを纏ったしなやかな肢体は、まさに半漁人だった。
「デモアンタノアシハモウダメダヨ。ボクノヨンノジハカンペキダッタカラ。」
半漁人は一瞬で鳥人に変身したかのように跳躍した。
スポットライトを背にしたシルエットがすごいスピードで大きくなり藤堂に迫ってきた。
「ぐがーっ!!!」
サンウのニードロップが藤堂の右大腿部に直撃していた。
「ぬ、ぬお・・・・」
藤堂は膝を押さえてのたうち回り、陰茎がほぼ透けたピンクの競パンが巨大スクリーンに大映しになった。
ゆっくりと歩み寄るサンウ。
全くの無表情で藤堂の右足を踏みつける。
「ぐあっ!」
右脚を破壊するストンピングの嵐が始まった。
死神のような静謐な眼で藤堂を見下ろし踏みつけ続けるサンウ。
歯を剥きだし、のたうち回って、激痛の嵐に耐えるしかない藤堂。
「シネ、シネ、シネ・・・・・・」
抑揚のない声が呪詛のように藤堂の精神を蝕んでいく。
濡れたハイドロCDがケツに食い込む。
右脚にランマーのように打ち下ろされるサンウのストンプに、藤堂の右足は感覚を失いつつあった。

「あーっ!藤堂選手、動きが鈍くなってきたぞ。限界が近いのか!?」
「サンウ選手の水中足四の字で右膝に相当ダメージを負っているようですからねー。
これは危ないですよ。」

ついに藤堂は動かなくなった。
うつ伏せに倒れたまま、ピンクの競パンの食い込みを直すこともできず喘いでいた。
サンウのストンピングの度に陰茎がマットに擦れ、勃起男根からカウパーが滲み出したが、濡れた競パンに吸い取られた隠微な液体に気付く者はいなかった。
「フン、クチホドニモナイ。
アンタニハコノプールニエイエンニシズンデモラウヨ。」
サンウはぐったりする藤堂の足を持つと、非情の拷問技を仕掛けてきた。
サソリ固めだ。
「がっ・・・ぐが・・・・・」
「オワリダ!トウドウ!」
あまりの激痛に意識が飛びそうになっているのか、藤堂の両眼は視点を結んでいないように見える。
「アイヤーッ!」
奇声とともに右足が反りかえされると、藤堂のフル勃起が透けた競パン越しに丸見えになった。
「あが・・・ぐぐ・・・おお・・・」
「ヨガッテルンジャネーヨ!」
サンウは片手を解くと手刀を藤堂の競パンが食い込んだケツに突き刺した。
「ぐあーーーっ!!!」
手刀は競パンごとグリグリと藤堂の深遠を掘り進んでいった。
「ああっ!おあっ!うごっ!」
右脚が破壊される恐怖と、男の中心部を辱められる刺激で、藤堂の脳内カラータイマーが点滅し始めた。
(おああ・・・・だ、だめだ・・・・イッテしまう・・・・・おお・・・あああああ・・・・・・・ああっ!)




怪力海坊主が桜井を空中に放り投げる。
壊れた人形のように宙を舞った桜井が落下してくる。
「とりゃーっ!」
グドーが水中からジャンプした。
「ソモサン!」
「がっ!」
落下してきた桜井の股間に、ジャンプしてきたグドーの膝が直撃していた。
「ジャンピング・マンハッタン!」
二人が着水すると盛大な水しぶきが高く上がった。
グドーは桜井の両足を持ち、股間にキックを入れ、そのままグリグリと押し付けた。
桜井の睾丸がひしゃげていく。
「シンクロナイズド電気アンマ!」
技名を叫ぶとグドーの上半身が水中に消えた。
代わりに電気アンマに捕われた桜井の身体が水上に立ち上がった。
水中から突き出したグドーの太い足が桜井の急所に激しいヴァイブを送る。
ギリシャ彫刻のような逞しい身体がヴァイブに連動して痙攣しているように震える。
金的地獄に桜井の表情は弛緩し、口から涎まで出ている。
ザブーンッ!バシャーンッ!
グドーが息継ぎのために水上に現れると、桜井の身体は水面に叩き付けられた。
悪魔のシンクロナイズド・スイミングの得点は?
青いスピードの股間は無残に変形し、男ならだれもが目を覆うような惨状だった。
想像を絶する玉潰しの苦痛と快楽に、桜井のペニスは最大限に膨張していた。
(うう・・・俺の鍛え上げた金玉が・・・・潰される・・・・男が・・・破壊される・・・・うう・・・・ああっ!)



「こ、これは・・・!
光の戦士、またしても大苦戦です!
地上インディーから鳴り物入りで地下に降り立った藤堂と桜井、闇の戦士に全く歯が立ちません。
両者とも今にも射精してしまいそうだ!
闇強し!
このままでは、遅かれ早かれ昇天するであろう二人のザーメンまでも純白から漆黒に変えられてしまいそうな勢いだ!」
「この二人がリングに沈めば、地下プロレスは再び闇組織の軍門に降ってしまうことになるでしょう。
そういえば・・・・権田選手と朝倉選手の姿が見えませんが・・・・。」



〝水の間〟の入り口に、屈強なシルエットが音もなく現れた。
エンジのスピードを穿いている。
男が完璧なフォームで漆黒のプールに飛び込む一瞬、ケツにWA○EDAのマーキングが見えた。



「あ、ああーーーっ!!!!!
たった今、モニターが捕らえました。
あのWASE○Aマーキングの競パンの主は!?
あ、あれは・・・・ま、ままま・・・・まさかっ!?」
「ご、五所川原さん!
あ、あれは、お、緒方ですよーっ!
バズーカ緒方だ!
あああー!」
「な、なんということでしょう!
ただいまヤマモトさんがおっしゃったように、あれは緒方大輔、バズーカ緒方です!
光の戦士達のピンチを救わんと、元祖光の戦士が現れましたーっ!
これは急転直下の展開だ!
し、しかし・・・・
続きは次週になります・・・・・」
「次週ってあんた、この間もそんなこと言って翌週落したでしょ!?
大丈夫なんですか?
来週は元日ですよ。」
「と、とにかく次週!」


つづく

レスラーズ・ハイⅡ ⑱

野獣のパワフル過ぎる足が桜井の股間を文字通りエグる。
急所を破壊する荒々しい動きに加えて、人間業とは思えない細かな振動が、青いタイツのマッチョを昂らせる。
睾丸に近い肛門は振動を中心に伝え、前立腺の目覚めとともに雄が疼きだす。
微細な高速ヴァイブ運動は絶え間なく亀頭をタイツに擦りつけ、カウパーの分泌はもはや潮吹き並みだ。
そしてなによりも桜井を絶頂に誘うのは、金玉がまさに潰されんとする途轍もない恐怖だった。
グドーの酸素摂取のタイミングで、鹿威しのように立ち上がっては水面に叩き付けられる金玉ファイター桜井。
(だ、だめだ・・・・ここでイッてしまっては・・・・・俺はコイツの金玉奴隷になってしまう・・・・・)
一瞬でも気を抜けば夥しい量の精子がタイツを突き破って溢れ出すだろう。
そして精を吸い取られつくしたミイラのように、たちまち干からびてしまうに違いない。
薄れゆく意識の中、桜井は己とのあまりに過酷な闘いの渦中にいた。
と、視界の隅に現れる力強いクロール。
あれは幻覚か・・・・?
幻覚はすごいスピードで、だがスローモーションで桜井の横を通り過ぎていった。


「えーっ!!!?
救世主のはずの緒方、桜井を素通りしました!
まずは藤堂を助けようという作戦なのか!?」
「お客さんもどよめいていますね。
桜井も相当ヤバい状態だと思うのですが、緒方には藤堂の方が危ないという判断が働いたのでしょう。」
「確かにリング上の藤堂も虫の息ですね。
頑張れ藤堂!
もうすぐ助けがいくぞーっ!!!」



身体の仕組みを無視して反りかえされた藤堂の足はすでに感覚を失い、今度は右半身のマヒが始まっている。
このままでは足が折られる・・・・。
脳内を駆け巡っていた警報信号も今では弱々しく、代わりに勢力を増しているのはドックンドックンとアッチェレダンドする鼓動。
心臓がせっせと血液を送り込む先は、男根。
サンウの手刀はピンクの競パンごと藤堂の男道を掘り進み、稲妻のような快感波を雄の中心に発射し続けていた。
「ハツジョウブタヤロウ。オマエニサメジマクンはモッタイナイ。」
悪魔の指が高速でインアウトを始めた。
「おぅおおおお!」
藤堂の咆哮は断末魔の叫びか、はたまた昇天へのファンファーレなのか?
観客から丸見えのフル勃起男根は、ハイドロCD越しに血管さえ見えそうなほど透けている。
(うお・・・イッてしまう・・・射精したら俺は意識を失うだろう・・・・くそ・・・・)
ザーメンを一滴でも出したら最期、藤堂の身体は心ごとボキッと音を立てて折れるに違いない。
その後どうなる?
イ・サンウが鮫島と並んで笑っている光景が見える。
(鮫島・・・・・!?)
藤堂の意識が一瞬クリアになった。
(鮫島、サメジマ、さめじま・・・・・・・)
「アイヤーッ!」
サンウの奇声とともに放たれた手刀突きの一撃に藤堂は再び混濁に戻された。
(おぅあ・・・・・げ、限界・・・・だ・・・・・)
と、エプロンに両手を立てて、逞しい上半身が現れた。
たちまちリングインした男はエンジのスピードを穿いている。
リングに這いつくばる藤堂から、鍛え上げられたカーフが通り過ぎるのが見えた。



「な、なんと!
緒方、藤堂も素通りだー!
い、いったいどういう了見なのかーっ!
仲間を助けもせず、いや一瞥さえもくれず、進んでいきます。
これがかつて仲間のために命を張ったバズーカ緒方の姿でしょうか!?」
「全く解せませんね~。
彼は何のために水の間に現れたのか。
一体彼の目的は何なのでしょう?」



5メートル四方の閉ざされた空間。
天井の高さも5メートルくらいだろうか。
つまり各辺が5メートルの立方体の中で、黒と白の競泳パンツのみを身に着けた男二人が対峙していた。
床も壁もコンクリートが剥きだし。
室温が一定していることから一応空調があるのだろう。
だが、この異常なほどの湿気はなんなんだ。
黒い競パンの食い込みを直しながら、權田はもう片方の手で額の汗を拭った。
そうだ、ここはリングの真下。
コンクリートの壁の向こうは水で満たされている。
壁には所々水が染み出してきている。
長い時間の後には、ここは水没するだろう。
そう考えると権田は息苦しさを感じた。
ぴしゃっ
朝倉が白い競パンの食い込みを直す音だ。
濡れた極薄生地が、優れた収縮性を発揮して豊満なケツに張り付く。
「権田さん、悪く思わないでくれ。」
忍者のごとき俊敏さで朝倉がすり足で移動する。
次の瞬間、朝倉の身体は宙を舞い、0.5秒後には強烈な踵落しが権田の脳天に炸裂した。
「ごわっ・・・」
たまらず膝を折る権田。
ニーパッドを着けない剥きだしの半月板が、コンクリの床に激突する。
「くそ・・・・」
水中の隠された入り口からこの部屋に入って以来、權田は朝倉の打撃技に苦しめられ続けていた。
朝倉のファイトスタイルは以前とは全く違っていた。
かつては、大きくてしなやかな筋肉を相手に絡みつかせるような闘い方が得意だった朝倉。
必殺技の〝起承転ケツ〟はまさに肉地獄とでも言うべき究極の密着戦法だった。
だが、今の朝倉は相手と組み合おうともしない。
間合いを安定させないことで権田を攪乱し、ここぞという間合いに入るやいなや恐ろしいスピードでキックやパンチが繰り出される。
權田にとって非常に闘いづらい相手だった。
口元に生暖かさとしょっぱさを感じる。
鼻血だ。
今の踵落しの衝撃で鼻の中が切れたらしい。
鼻血を滴らせ片膝をつく黒ビキニの筋肉男に向かって、白ビキニの精悍野郎が憐みの眼を向ける。
「ここにはカメラは入っていない。
誰も見ていないんだ。
權田さん、もう俺に敗けたことにしてくれないか?
でないと本当に権田さんを倒さなければならなくなる。」
「な、なにをー・・・・
小僧が舐めた口をききやがって・・・・
いつからそんなに偉くなりやがった、え?この裏切り者が!」
朝倉の表情に一瞬影が差したかと思うと、目にも留まらぬ速さの回し蹴りが権田の顔面をジャストミートしていた。
勢いで壁際まで吹っ飛ぶ権田。
さっき直したばかりの競パンが、再び捲れ上がって男らしいケツに食い込む。
それに気を向ける余裕もなく、權田は血の混ざった反吐を吐く。
(歯が折れたか・・・・・?)
朝倉は這いつくばったままの権田の髪を掴むと無理矢理立ち上がらせた。
「うごぉっ!」
今度は膝蹴りが腹筋にのめり込んだ。
權田が飛ばした鮮血が白い競パンに滲んでいく。
腹を押さえて蹲ることしかできない権田。
「まだ漏らしていないみたいですね?
てっきり權田さんは失禁兄貴だと思ってたのに。」
屈辱で権田のこめかみに血管が浮く。
「お、おのれ・・・・・っ」
血と涎で見るも無残な顔を上げ、怒りで充血した両目で朝倉を睨む。
「そんな目で見たって駄目だ。
權田さんは知らない。
俺が味わった地獄を。
超絶快楽の蟻地獄にはまってしまった苦しみを。」
權田はハッとした。
朝倉の眼が一瞬昔に戻ったような気がしたのだ。
そんな感傷も0.3秒後には朝倉の膝が打ち砕いた。
「ぐふ・・・・・」
眉間のど真ん中に膝蹴りを食らった権田はゆっくりとコンクリの床に崩れていった。
「俺はもう元には戻れないんだ・・・・・」
朝倉はダウンする権田に馬乗りになると、静かに、かつ重々しく顔面を殴打し始めた。
見る間に腫れあがり変形していく権田の顔面。
權田の黒競パンの下に湯気を立てる水たまりが広がった。
失禁兄貴が決壊したのだ。
「すまない・・・・すまない・・・・・」
權田を殴り続ける朝倉の肩が小刻みに震える。
「殺す気か?」
信じられない声が背後から聞こえた。
振り向いた朝倉の眼に映ったのは、
エンジの競パンをハイレグ気味に穿いた彫像のような肉体。
「大輔・・・・・」
「しばらくだな。
・・・・・・・大悟。」




つづく


レスラーズ・ハイⅡ ⑲

「よし!誠二、ここだ!」
「行きますよ!長谷部さん!」
〝水の間〟を形作る長方形の向かい合った長辺、それぞれの客席前の通路に立つ二人を結ぶ線上には、桜井とグドーが水しぶきを上げていた。
田代誠二は持っていた小型ドローンを、向かい側の客席にいる長谷部に向かって操作を始めた。
ドローンには太いロープが繋げられていて、長谷部の位置に到着すると丁度桜井たちの頭上にロープが張られた形となった。
近くにいる観客は、二人がしようとしていることを理解し、期待のこもった目で成り行きを見守った。
桜井を救出する。
長谷部が計画を思いついた時、試合への介入はどうなのか?という意見がTHPWスタッフの中からも出た。
「かまうものか!もともと黒杭どもの設定したクソ会場だぞ。こっちが手を出してやっと互角の状況だろ!」
誠二と長谷部は桜井が掴めるようロープを緩めていった。
「桜井!掴め!」
「桜井さん!」
玉潰しの快感地獄に溺れながら、人間鹿威しのように水面上を立ち上がっては叩き付けられている桜井。
完全に脱力していた両腕が弱々しく頭上に上げられる。
長谷部たちの声は届いている。
グドーが水中に潜ると、桜井の上体が水面に立ち上がった。
上に伸ばした両腕の先がロープに触れる。
「そうだ桜井!掴め!」
掌は、地獄から脱出するための蜘蛛の糸をかすめ空を掴んだ。
「頑張って、桜井さん!」
田代誠二の悲痛な叫びが観客の落胆のため息にかき消されていった。




「大輔・・・・、生きていたんだな。」
權田に馬乗りになっていた朝倉が立ち上がった。
「海に逃げたって聞いてたけど、怪我もしていたし、素っ裸だし・・・・」
「生きてるさ。」
緒方の硬い声が朝倉の言葉を遮った。
「権田さんをこんな目に合わせて・・・・、お前、本当に腐っちまったようだな。」
「だ、大輔、ち、違うんだ・・・・」
「違わない!」
競パンからはみ出したケツタブにグッと力が入る。
「お・・・緒方・・・・・」
ボコボコに腫れて激しく面変わりした権田がはい出してきた。
小便が湯気を立てている。
「権田さん・・・・ご無沙汰です。
すまない、ちょっと来るのが遅かった・・・・」
「緒方・・・・こ、こいつは・・・・まだ・・・・・ま・・・だ・・・・」
權田はそこまで言うと、バシャっと音を立てて自分の尿に倒れて意識を失った。
緒方は俯せに倒れる権田に歩み寄り、ケツに食い込んだ黒競パンを直した。
そしてゆっくりと朝倉を振り返った。
「お前が黒杭に犯されてしまったのは助けられなかった俺の責任だ。
悔やんでんも悔やみきれない。
だが・・・・
だが、お前が黒杭に溺れたのはお前自身の問題だ。」
真っすぐに朝倉の眼を見つめる。
朝倉はその視線を受け止められず目を伏せ、唇を噛んだ。
「俺も黒杭に犯られた・・・・
正直・・・・正直ものすごい快感の大波が押し寄せ、俺は飲み込まれてしまった。
あれは昇天ではなく、深い海溝へと沈んでいく感覚だった。
だが・・・・俺は溺れなかった。
快感地獄の深海から這い上がったんだ。
あの、全てを無に帰してしまう快楽の津波より、俺にとっては怒りの炎のほうが勝ったんだ。
俺よりも強くエロい男が存在することへの怒り。
そして・・・・」
緒方は俯いた。
握りしめた拳がぶるぶると震えている。
「・・・・・黒杭を呼べ・・・・・・」
「え・・・・?」
緒方は顔を上げ、吠えた。
「黒杭大凱を呼べーっ!!!」
叫びは狭いコンクリの空間に汚いエコーを響かせた。





「よし!掴んだぞ!」
視界も覚束ないだろう状態の桜井がようやくロープを掴んだ。
「引き上げるぞ!」
「はい!」
長谷部と誠二がロープを引っ張る。
桜井の身体が上昇すると、電気アンマをかけていたグドーの姿が水中から現れた。
「ぬう!邪魔をするではない!」
グドーは桜井の両足を引く手に力を込め、股間へ激しくヴァイブを送り始めた。
「ああっ!おおおあああ!!!!」
絶叫する桜井。
「誠二!引けーっ!!!!」
「だ、ダメです・・・!重すぎです!」
電気アンマで繋がった二人が宙に浮いたまま制止した。
「さーくらーいー!極楽往生しやがれーっ!!!!」
グドーの拷問電気アンマが水面すれすれで盛大な水しぶきを上げる。
海象がのたくっているような野性の迫力だ。
「ちょっと!アンタたち!もっと引かなきゃダメじゃない!」
危うくロープを離しそうになった誠二を助けたのは、山の特訓場のオネエトリオだった。
「アタクシ達が仕上げたサクライ君になにすんのよ!」
向かいを見ると、長谷部側にも助っ人が加わっていた。
観客だ。
誠二の後ろにもロープを引こうと続々と人が集まってきている。
「いいぞ!引けーっ!」
海象に捕らえられた桜井が再び上昇を始める。
「ぬぬぬうーっ!逃がさんぞーっ!」
グドーの腹筋が盛り上がる。
上体を起こしたグドーは桜井の足をを掴む手をパット離した。
巨体に似合わぬ身のこなしで空中回転すると、右手で桜井の股間をむんずと掴んだ。
「急所クローッ!!!!!」
玉砕坊主の叫びとともに、睾丸がぐにゃっと握り潰された。
桜井の眼がカッと見開く。

「ぐはっぁあああああああああああおおおおおっ!!!!!!!」

桜井の最大限に勃起した男根がとうとう噴火した。
大量の精子が青い競パンを漉して噴きだし、ボタボタとグドーの顔面に降り注いだ。
「んぬう~うう!おおあ~!よい味だぞーっ!」
グドーは滴るザーメンを巨大なナメクジのような舌を受け止め、舌鼓を打った。
股間を掴む手の握力が弱まり、雄汁で滑り落ちていく。
グドーは最後に競パンのVの頂点に捕まった。
スピードが、引きちぎられんばかりに伸ばされた。
勃起男根に引っかかっていた競パンはやがて桜井の足を脱げ落ち、グドーとともに黒い水面に墜落していった。
ドボーン!
水没したグドーは二度と浮き上がってこなかった。
全裸でロープにぶら下がっていた桜井も、プールに堕ちていった。
柄物の競パンを穿いた大岩が、必死で泳いで桜井のもとへ向かうのが客席から見えた・・・・・




「狭い部屋だ。
大声を出すな。」
黒杭大凱だった。
光沢のある黒いティア。
失神する権田を中心に、緒方、朝倉、黒杭が正三角形に配置された。
小便の臭気がコンクリの空間を満たしていった・・・・



つづく

レスラーズ・ハイⅡ ⑳

ケツ。
2つのケツが鮫島周星の左右でブリブリと震えていた。
右には、男性ホルモンを可視化するとこうなるだろうと思わせるガッチリとした尻。
左では、艶やかな双丘の中央に刻まれた谷が、食虫植物のように甘いフェロモンを飛散させている。
やがて二つのケツに頭部を挟まれた鮫島は窒息した。
「・・・・ざけんなよ・・・・・」
(白昼夢にフル勃起かよ。)
スウエット地の短パンに高々とテントを張った自分の股間を見つめ、鮫島は舌打ちした。
目の前の、四角く切り取られた明るい出入り口の向こうでは、観客たちの怒声が渦巻いている。
数秒暗闇に佇んだ鮫島は、意を決したように光に向かっていった。



右脚の感覚はとうに無くなり、半身のマヒは全身に広がりつつあった。
藤堂の意識をかろうじて繋ぎとめているのは、雄穴深くで蠢く淫靡な刺激のみだった。
サンウの手刀は、激しく、時に柔らかく、藤堂の男道を陵辱し続けた。
片エビに反りかえされ丸見えになった勃起男根は、カウパーを垂れ流し続け、乾き始めていた競パンの股間を卑猥に透けさせていた。
(ダメだ・・・逃れられねえ・・・・)
今にも爆発しそうな男根の痛みを認めながら、藤堂には敗北を認めることはできなかった。
(ここで敗けたら・・・・
俺は何のためにここまできたのか・・・・
どうして闘い続けたんだ・・・・
何のために・・・・)
光の戦士として初めてTHPWの地下施設に足を踏み入れたあの日。
ラー医師とのルドビコ療法。
ポリスマン向井とタイツ一丁でバイクに跨った夜のスタジアム。
地上インディーでの様々な試合。
地下プロレスを去ろうと決心したあの夜。
・・・・・
なぜ俺は天職である地下プロレスラーをやめようとしたんだ?
敗けたからだ・・・・
鮫島に。
(鮫島・・・・・・鮫島だ!)
俺は鮫島の幻影に追われ続け、そして・・・
自分もまた鮫島を追いかけていたんだ。
(鮫島が・・・・好きだ。)
あまりに絶望的な状況下で、藤堂の深層心理は丸裸にされていた。
「アイヤーッ!」
手刀で藤堂を犯し続けるサンウの執念が蜃気楼のように空気を歪ませる。
(コイツも・・・・鮫島のことを・・・・?)
嫉妬心が虫の息だった生命力をほんのわずか活気づかせる。
(くそ・・・どうすればいいんだ・・・・・?)
その時、藤堂が見たものは、マッチ売りの少女が灯す炎のような儚い幻影だったか。
頭上の客席に鮫島が立っていた。




エンジと黒の競パン男が、狭いコンクリの部屋で睨み合っていた。
二人の股間から放たれるオーラが、權田から立ち上る尿の臭気を切り裂きぶつかり合った。
「緒方大輔・・・・・・・
戻ってくると解かっていた。
俺がモノにした男は俺から離れることはできない。」
「勘違いしているようだな。
身体だけで人を縛ることはできない。
それに忘れているようだが、お前も俺にブチ込まれてイっただろ。
本当は俺を待っていたんじゃないのか?」
黒いティアの禍々しい膨らみが僅かに動いた。
以前よりデカく、そしてエロさを増した黒杭大凱のガタイ。
「ふふ・・・いいぞ。
緒方大輔。
さすがこの俺のケツ処女を奪った男だ。
本来なら客の前で処刑するのが筋だろうが、少し俺も昂ってきたようだ。
地獄から生還した男のお手並みを見せてもらおう。」
黒杭が軽くファイティングポーズをとった。
来い、という合図だ。
緒方が瞬間移動した。
「大輔、やめろ!」
朝倉が叫んだ時には、緒方は真横の壁を蹴っていた。
神業としか思えないドロップキックが、黒杭の顔面にヒットした。
はずだった・・・・
キックは空を切り、代わりに黒杭の正拳突きが緒方の腹にのめり込んだ。
緒方は胃液を飛散させながら吹っ飛ばされた。
「遅い・・・・遅すぎる。
まったく期待外れだ。」
激しく咳込みながら立ち上がれない緒方。
黒杭は緒方の短髪を掴むと、自らの股間に顔面を押し付けた。
緒方の胃液が競パンに擦りつけられ、プールの塩素臭と混ざり合った。
「せめてケツはマシになってるんだろうな?
え?
負け犬さん。」
たった一発のパンチで動きを封じられた緒方は、悔しさとショックで呆然自失に陥りかけていた。
そして顔面に感じる競パン越しの男根に、決して抗うことのできない強大なパワーを感じ取ってしまった。
(これは・・・・まるで・・・・
まるで悪魔の生殖器だ・・・・・)
黒杭は緒方の顔面を股間から剥がすと、コンクリの壁に打ち付けた。
額が割れ、鮮血が飛び散った。
薄く笑みをたたえた黒杭は呼吸ひとつ乱さず、緒方の額を壁に叩き付け続けた。
壁にひびが入る。
血が壁を伝って床に血だまりを広げている。
「タイガ!もうやめてくれ!」
朝倉が取りすがる。
黒杭は動きを止め、不思議そうな表情を朝倉に向けた。
「・・・・どうした?ダイゴ。」
掴んでいた髪を離す。
どさっと崩れ落ちた緒方は、ケツを突き出した形で伸びている。
意識はあるのだろうか。
「ダイゴ、もしかしてヤキモチか?」
突きだされたエンジのケツスジを指でなぞる黒杭。
「俺がコイツを犯すのがイヤなら出ていけばいい。
後で気が向いたらお前も可愛がってやるさ。」
再び緒方の髪を掴む黒杭。
「やめろ!」
朝倉の叫びに振り向いた黒杭の眼には怒りが浮かんでいた。
「ダイゴ・・・・・
何を言った?
俺に言っているのか?」
身体で人を縛ることはできない。
緒方の言葉が脳裏をよぎる。
黒杭は完全に朝倉に向き合った。
「お前は俺のモノだろ?
何故こいつの肩を持つ?
どういうことだ?」
黒杭は朝倉の眼をじっと覗き込んだ。
朝倉も目を逸らさなかった。
「・・・・・・・・・
そうか・・・・・
お前は俺を裏切るのだな。
許さん。」
黒杭は目にも留まらぬ速さで朝倉のバックに回り腕をとった。
「所有物ごときが・・・・」
バキッ!
骨が折れる音がコンクリに反響した。
一瞬後、朝倉の絶叫が水に閉ざされた空間を埋め尽くした。





客席の最前列の通路に立った鮫島は、藤堂と目が合うと無言で短パンの紐をほどいた。
足元に短パンがズリ堕ちる。
強靭な下半身を覆うのは、パープルのショートタイツだった。


「さ・・・・さ、め・・・じ・・・まああああああ・・・・・・・・」
どくどくっ!!!!
ピンクのハイドロCDから大量のザーメンが溢れだした。
藤堂がとうとう射精したのだ。
「アイヤー!ヤットイッタネ!ブタヤロウ!」
鮫島に気付かないサンウは歓喜の声を上げる。
「デモマダマダ!ニドトリングニアガレナクシテヤルヨ!」
スコーピオンに力を込めるサンウ。
「シネーッ!」
未だ精子を垂れ流しながら、あり得ない角度で反りかえる藤堂の身体。
ズルッ
踏ん張るサンウの足が滑った。
藤堂のザーメンが足元にまで流れていたのだ。
サンウは勢い余って後頭部をマットに打ち付けた。
倒れたまま動かない二人の男を見下ろした鮫島は、無言で短パンを穿きなおすと、客席から立ち去った。




つづく










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