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レスラーズ・ハイⅡ ⑭

IBSM、
都内に住む男色家の間に広く知れ渡っているこの符丁が示す場所に、初冬の冷たい雨がしんしんと降っていた。
夏の盛りともなれば灼熱に身を曝し肌を痛めつけることに悦びを感じる雄どもが大挙する土手にも、今朝は全く人気がない。
煙るような霧雨の中、たったったっと靴音が近づき、ジョガーと思しき人影が〝ハッテンスポット〟で立ち止まった。
悪天の中、他に走る姿はなくさーっという雨の音がするのみだ。
たゆたう川面をバックにそびえる水門は、まるで西洋の古い建造物のように一種不気味な雰囲気を醸している。
「ふうっ・・・」
ジョガーは防水ヤッケのフードを下すと、背負っていたリュックから水筒を取り出した。
湯気の立つコーヒーをすすりながら、男は水辺の藪を眺めた。
どんな天候でも必ずこの時間に水門前でコーヒーを楽しむ男、彼は通称パセリとして一部で熱狂的な支持を集める職人だった。
一部とはプロレスに男の情欲を見出す男達であり、彼らはパセリの創るショートタイツに心酔していた。
パセリの自宅兼工房は古い公団で、ここから数キロの高台にある。
この20年あまり、パセリは毎朝自宅と水門を往復するジョギングをかかさなかった。
藪を見つめていると、夏の間多くの男達が欲望をたぎらせ徘徊していた様が思い出される。
ランニングタイツの股間が膨らんでくる。
パセリはタイツの上に短パンなど穿かない。
全体的に細身ながらもしっかり発達した下半身の筋肉を強調したいし、なにより男の膨らみを隠すなど以ての外だからだ。
ふと、藪の中に血管のように伸びる〝獣道〟を覗いてみたくなった。
普段はそんなことはしない。
ましてや凍り付くような朝に屋外ハッテン場にいってみたところで誰もいるはずがない。
虫の知らせだったのだろうか。
滑らないように土手を慎重に下りる。
多くの獣たる男どもが踏み慣らした道の入り口が、自分を誘っている気がする。
ちょっとした迷路のように入り組んだ藪の道は、ところどころで小部屋のように仕切られ、マナーの悪い者が残していったティッシュやコンドームが冬の雨に濡れそぼっていた。
「ボクは一体なにをやってるんだろうね?」
パセリは独り言をつぶやくとフードを被りなおした。
元来た道を引き返そうとすると、目の端に枯れた草木とは異質の色彩を認めた。
「ん?」
藪をかき分けると、そこにはビキニパンツ一枚の男が、鎖でぐるぐる巻きになって倒れていた。
「む、向井君・・・・・っ!?」




「幸い・・・・、向井の怪我はそれほどひどくはなかった。だが・・・・」
眉間にしわを寄せた長谷部の暗い声が、THPW事務局の応接コーナーに集うもの達の心を重くする。
「だが、向井は犯されまくっていた。
身体中精液まみれで、ケツや口内にも大量のザーメンが残っていた。
あれは到底一人の量ではない。
不破に敗れた向井は黒杭のアジトに捕らわれ、そこで陵辱の限りを尽くされたのだろう。」
「向井・・・・・」
「なんてことだ、畜生!」
藤堂と桜井が拳を握りしめる。
〝花の間〟での闘いが地下施設中に中継されている間、彼らは血眼になって場所の特定を急いでいた。
だが結局、努力の甲斐なく向井は不破に敗れ、警察の星を極道どもの手に渡すことになってしまったのだ。
「不幸中の幸いというべきか、向井を発見したのがタイツ職人のパセリ氏だったため、一般人には知られることなく極秘裏の内に警察が向井を保護することができた。」
「向井さんは今・・・・?」
大岩が目に涙を浮かべて聞いた。
「この地下施設内の集中治療室にいる。
致命的な傷ではないにしろ、今は絶対安静だ。面会もできない。
警察医をはじめ最高の医療班が治療に当たっている。」
「ラーじゃないんだな。ほっとした。」
權田が言った軽口が少しだけ皆の空気をやわらげた。
「それにしても黒杭の奴らめ、まともに試合をする気はないのかよ!」
桜井が憤った声を出す。
「もともと正々堂々なんていう概念はない連中だからな。」
權田がため息をつく。
「どんな手を使っても俺たちを潰す気だ・・・・」
拳を震わせる藤堂の肩を田代がなだめるように摩る。
「今後も奴らがどんな罠をしかけてくるか油断できない。
なにしろしばらくの間、ここはブラックパイルの管理下にあったんだ。
特に旧区画は危険だ。
むやみに近づくのはよした方がいい。」
長谷場の言葉に藤堂が血相を変える。
「太助はどうなるんだ!?まだアイツは捕らわれてるんだぞ!」
全員がシーンとなってしまう。
太助は無事なのか?
向井のひどいあり様に、グドーに連れ去られた太助の境遇を思うと誰もがいてもたってもいられなくなる。
だが、長谷部の言うように不用意に動いては敵の思うつぼだ。
向井ももともとはタスケの捜索中に花の間で闘うハメに陥ったのだ。
「・・・いずれにしても・・・
我々は気を引き締めていかなければならない。
闇の戦士は予想以上に強敵だ。
試合設定はゲリラ的とは言え、もう二人のレスラーが一対一の闘いに敗れている。
これからは全員一丸となって極道に立ち向かわなくては。」
長谷部の言葉に皆が頷いた。
「あ・・・・そうだ・・・・」
田代誠二がはっと顔を上げる。
「長谷部さん、僕、緒方さんに会ったんです!」
その場の全員が騒めく。
「やっぱり・・・・!あの滝の男は緒方大輔。
そうだったんですね長谷部さん!」
と桜井。
「お、緒方が・・・!?生きていたのか!?あーっ緒方ーっ!」
「バズーカ緒方・・・・」
權田と藤堂も驚きを隠さない。
大岩や他のスタッフも泣いて抱き合っている。
「緒方さんがいれば、光の戦士勢にとって百人力でしょう?」
田代が目を輝かせて長谷部に聞く。
「緒方は・・・・緒方は変わってしまった・・・・・」
長谷部がつぶやくように言った一言に、浮かれた雰囲気がしぼんでいく。
「あいつの心の中は黒杭大凱に対する復讐一色だ。」
「だ、だったらなおさら、光の戦士にうってつけでは・・・・?」
長谷部は皆に背を向ける。
「違うんだ・・・・あいつの復讐心は・・・・・」
「どういうことだ・・・・?」
皆の頭の中がクエスチョンマークで満たされていく。
と、
突如室内のモニターが起動した。
「ミナサーン!
シズンデマスカー?
フタリモマケチャッタラシカタナイヨネ。
デモ、カナシミニフケッテイルジカンハナイヨー。
ツギノシアイノヨウイガデキタヨー!」
映っているのはイ・サンウ。
「コンドハオキャクサンノマエデタタカエルヨ!
モッコリミセツケタイミナサンニハロウホウデショ?
バショハココ。」
モニターに施設内マップが表示され一点がチカチカと点滅している。
「コンドハプールマッチダヨ!
〝ミズノマ〟デース。
タスケクンモイルヨ。
スグニキテネ!
ミズギモワスレズニ!」
ぶつっと音を立てモニターが消える。
「何を企んでいるんだ・・・・・」
腕を組んで唸る長谷部に、元実況の新垣がPCを見て声をかける。
「長谷部さん、お客さんが移動しています。おそらくさっき表示された場所に。」
「行くぞ!」
藤堂と桜井が部屋を出ていこうとする。
「ちょっと待て!行くって言ったってお前ら場所わかってんのか?」
権田が二人を制する。
「ちょっと落ち着け。また罠かもしれないだろ。」
「でも、太助が・・・・」
「わかてるって。だからこそ今度は負けられない。奴らのペースに巻き込まれてはだめだ。すこし遅れていくくらいの余裕をかまそう。」
權田の言葉に、藤堂と桜井も我に返る。
「大岩、俺たちの海パンを用意してくれ。」
「はい!」
大岩が田代とともに部屋を出て走っていく。
「太助・・・待っててくれ・・・・・・」
藤堂の眼が燃えていた。




「ドウ?コレ。」
サンウは緑色の鱗模様のスパッツのケツを鮫島に振って見せた。
「水中対戦用の特注スパッツなんだろ?
何度も言うなよ。
俺を馬鹿にしてんのか?」
「アレー、サメジマクン、フキゲン?ナンデ?」
向井が意識を取り戻せば、〝花の間〟の前に自分がいたことがバレる。
どっちにしたってもう光の戦士の側には戻れない。
だからといって黒杭組に加入するのも気が進まない。
こうしてサンウのケツの虜になったかのようにふらふらしている自分が自分でもよく解からない。
俺は何をしたいんだ?
「うっせーよ。
何度も言うけど俺はアンタの試合には姿を見せないからな。
奴らが来る前にふけるぜ。」
「ワカッタワカッタ。
ダイジョウブ。
アイツラガナンニンキタッテタイサクハバッチリダカラ。
サメジマクンニテマハカケサセナイヨ。」
〝水の間〟には、入り口で話す二人以外誰もいない。
大移動している観客がたどり着くまでにはもう少し時間がかかるだろう。
そこはちょっとした体育館のような広い空間で、四角形の二辺に向かい合うように客席が設けられている。
サンウと鮫島がいる出入り口の辺には客席はなく壁が高い天井まで続いている。
向かいの壁も同様に出入り口が一つあるだけである。
THPWの連中がやってくるのはこちらの出入り口になるはずだった。
客は客席上部のそれぞれの入り口から入ることになる。
サンウと鮫島が来た通路は一般の通路には繋がっていない黒杭専用の裏通路だった。
中央にリングが設置され、客席とリングの間には水が張られていた。
つまり、空間全体が池のようになっていて、その周りを壁と客席が囲んでいるのだ。
リングはまるで島のように水面に浮かんでいる。
波ひとつない水面は鏡のように照明を反射し、どのくらいの深さがあるのか全く分からない。
「コノミズハチカスイヲリヨウシテイルンダヨ。」
アメリカのコリアン街に住むという職人に作らせたスパッツの股間をなでながらイ・サンウが言う。
「なに突然解説始めてんだよ。俺はもう行くぜ。」
通路の暗闇に姿を消した鮫島を複雑な表情で見送ったサンウは、天井に設置されているカメラの方を向くと合図をした。
すると、サンウの真上からロープで胴体をぐるぐる巻きにされた男がするすると下された。
太助だった。
オレンジのタイツがサンウの顔面の高さになったところで止まった太助は、意識がないのかうなだれたままだった。
「アーアー、タイツガザーメンデカピカピネ。グドーハハゲシイカラ。」
サンウは太助のごわごわのタイツの股間を軽くタッチした。
「サテ、ジュンビカンリョウ。アトハキャクトヤクシャヲマツバカリ。」





「とりあえず3人分用意しましたが・・・・」
大岩が3枚の競泳パンツを権田に渡す。
「おう、ご苦労さんだったな。
俺も他の二人も水着なんて地下に持ってきてないからな。
誰のを借りてきたんだ?」
「ボ、ボクのです。」
おずおずと手を挙げたのは田代誠二だった。
「ボク、競パンフェチなんで試合中はいつも競パンで観戦するんです。
だから客用ロッカーに一杯置いてあって。」
「・・・ってことは、君のオナニー用のパンツってこと?」
桜井が恐々と聞く。
「ま、まあ・・・そう・・・ですけど・・・・・」
競パンを持つ権田も顔が引きつっている。
「何言ってんすか!
今そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ!
せっかく誠二が貸してくれるのに!」
田代と付き合っている大岩が怒ったように権田の手から競パンを取り上げる。
「嫌だったらいいんですよ。
褌でもフルチンでもお好きなように!」
「い、いやスマン。田代君、ありがとう。」
〝水の間〟というからにはきっと水があるのだろう。
サンウも水着を持ってこいと言っていた。
3人のショートタイツはパセリ製なので競パン生地とあまり変わらないのだが、やはり水中戦となると脱げてしまうなどのリスクがある。
玉と竿をしっかりホールドして闘いに集中するには競パンが一番だ。
藤堂は以前プールマッチで競パンを穿いて闘ったことがあるのでそれをよく知っていた。
「Mサイズかー。入るかな。」
逞しい下半身の3人は苦労して競パンを足に通した。
桜井はタイツと同じ青い無地の競パン。90年代スピード製。
權田もいつもと一緒の黒無地。最近のミズノ製。
藤堂はピンクの競パン。アシックス・ハイドロCD。
無理矢理穿いたサイズの小さい競パンは下半身のエロさを格段に強調した。
「チン毛はみ出るな・・・・。剃っていこうかな・・・・」
「小せー・・・。もうケツに食い込んじゃったよ。」
「濡れてないのに透けてるぞ!前布ないし!」
競パンにテンションが上がる3人を長谷部の声が目を覚まさせる。
「客が到着し始めた。俺たちも行くぞ!太助を救出するんだ!」
おう!
室内の全員が叫んだ。




つづく

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Comment

オリジナリティーにあふれていて、とてもおもしろいです!正義側がボロボロに敗れる様がたまりません。
競パンに詳しいのも尊敬します。自分が学生のころは授業はもちろん水泳部も競パンをはかなくなってしまっていたので(自分もはいたことありません)、いろいろな画像を見るたび現役の頃に出会いたかったな〜、といつも思っています。

タロウさんへ

駄文を読んでくださり、ありがとうございます。
水泳部が競パンを穿かなくなった!
俺の中で何かが「終わった…」悲しい時代っす。
そんな世代の若い方にも読んでいただけて嬉しいです。
一度競パンでプールに行ってみて!
新たな「目覚め」があるかもしれませんよ~。

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