ダンガーラ。
そこに行けばどんな者でもプロレスラーになれると言う。
誰も皆行きたがるが、そこは遥かな秘境。
秋も深まる10月のある日、俺は有給を取って伝説の地を目指した。
ダンガーラに入るためには、様々な掟を守らなければならない。
まず、雄以外のモノは一歩たりとも踏み入ることは許されない。
そして人間の男に至っては、必ずショートタイツ着用でなければならないという鉄の決まりがあった。
道なき道をショートタイツのみで分け入っていくうちに、忘れかけていた野生が呼び覚まされていく気がした。
幾度足を取られ転倒したことだろう。
だが俺の緩んだ身体は痛みを感じぬばかりか、先に進まねばという強い衝動に満たされていくのだった。
深淵に進めば進むほど、山は神聖な「気」を放ち始めた。
ダンガーラは近い。
己の体力の限界点を遥かに超えて、俺は神々の宿る自然をかき分け進んだ。
突如、森の木々が襲い掛かってきた。
まるで俺の覚悟を試すように、ショートタイツを捲り上げ、性感帯を刺激する。
未知の快感に思わず脱力した俺は、足を踏み外し谷底へと転げ落ちた。
転落した先は清流をたたえる泉だった。
だがこの水は・・・・!?
高濃度の媚薬が瞬く間に皮膚に浸透するかのような錯覚を覚える。
俺の体は火照り、制御できぬほど欲情するのだった。
いかん、脱出せねば!
このままでは快楽の奔流に溺れ、廃人にされてしまう。
這う這うの体で岸辺にたどり着いた俺。
だめだ・・・このままでは身体中の精を搾り取られてしまう・・・・・!
タイツに浸み込んだ水が、俺の情欲を暴れさせるのだ。
ここはまずパンツを乾かしてからでないと先へは進めまい。
恐るべきダンガーラの森、そして泉。
この試練を乗り越えた者だけが約束の地を踏むことができるのだ。
泉の先に真っ黒な口を開ける鍾乳洞。
このトンネルこそ雄の聖地に通ずる道なのか!?
行けども行けども出口が見えない。
真っ暗な岩の道はひょっとして、向こう見ずな夢を見た愚かな男を地獄に導いているのだろうか?
欲望と絶望とが闇に発散され渦巻く。
その時・・・
あの光は・・・!?
聖地の入り口なのか・・・・!?
眩い光に包まれ一瞬忘我に陥った俺は、気付くと小部屋に立っていた。
ここは、誰もがプロレスラーになれる夢の土地、ダンガーラに向かう駅なのだ。
知るはずもない情報が脳内に迸る。
とうとう、たどり着くのだ。
伝説の地に。
男の妄念を叶える列車がまもなく到着するだろう。
俺は運命のプラットフォームに立ち、いつのまにかダダ洩れとなったザーメンを見下ろした。
みたいな、
妄想ロードを突っ走る中年野郎のブログを今月もよろしくお願いします。
- 関連記事
-
行くまでもパンツ移動ですか❗。