レスラーズ・ハイⅡはお休みします
ジュンと俺は共通点が多い。
同い歳だし誕生日も近い。
大卒プロレスラーということもよく比較対象とされた。
だが、奴がプロレスラーとしてのエリート街道を突き進むのとは裏腹に、俺はまったく芽が出なかった。
ある日奴は俺に言った。
「タカオ、俺のタイツを洗っておいてくれよ。」
メインに近い試合で歓声とスポットライトを存分に浴びたジュンは、汗だくのタイツを俺の目の前で脱いだ。
ツーンと漂う雄の臭い。
「オマエ、暇だろ。俺はマッサージの後タニマチさん達と飲みに出るからさ。」
あの時、奴のタイツを洗いながら流した涙を俺は忘れないと誓った。
青タイツの股間部分から放たれる男の臭いに思わず勃起した屈辱を必ずはらしてやる!
そして俺は変わった。
我武者羅にプロレスに打ち込み、とうとうスターのジュンとシングルマッチで対戦するまでのし上がった。
こいつだけは絶対許さない!
ジュンは試合中、意図的に自分の青い股間を俺に見せつけていた。
「タカオ、これがお前と俺の埋められない差だ。」
俺には意味が分からなかった。
全然モッコリしてねーじゃん。
むしろ、俺の方が男らしい立派なモッコリだ。
くそっ!
こんな粗チン野郎に敗けてたまるか!
しかし実際に闘ってみると、奴のプロレスのセンスには唸らざるを得なかった。
決して立派ではない股間の膨らみを、効果的にエロく見せる術には舌を巻いた。
明るい青のタイツの光沢も計算の内なのかもしれない。
今まで大きな試合に幾度も出ているだけあって、TVカメラの位置もしっかり把握している。
近付いてくるカメラにすかさず大股を広げる大男の姿に、俺は一瞬感心してしまった。
さらに、奴は責めにおいても俺がエロく見えるように配慮していた。
場外で股間をさらけ出して悶える快感を俺は初めて知った。
図らずも奴のおかげで。
股間押し付けフォールの屈辱にパニくる俺にジュンの囁きが聞こえてきた。
「タカオ、デカけりゃいいってもんじゃねえんだぜ。
どうだ?俺のモッコリを顔で受ける感覚は。
サイコーにエロい気分になるだろ?
プロレスも男道も技次第なのさ。」
勝てない・・・・・
そして俺は奴の怒涛の責めに成すすべなくリングに沈められた・・・
ほくそ笑む同期の憎々しい面。
俺は悟った。
コイツが先輩レスラー達から異様に可愛がられていた訳を。
大学レスリング部時代に培われた技術によるものだけではなかった。
それは、「男力」。
男同士が裸で絡み合うプロレスという世界で、遺憾なく発揮される魔性の力だったのだ。
「スター」であるジュンは敗者の俺に手を差し伸べるパフォーマンスを欠かさない。
そしてさりげなく股間を見せつけて勝利の駄目押しをするのだ。
俺は、青い股間の小さな膨らみに奴の雄としての圧倒的な資質を認めざるを得なかった。
敗けた・・・・
俺は奴に、プロレスだけでなく男として敗北したのだ・・・・
絶望に沈むタカオ。
だが、ファンは見抜いていた。
タカオが格段にエロくなったことを。
プロレスに潜む男の真実に気付きを見出した時、レスラーは次のステージに脱皮する。
↓動画はこちら↓
タカオ、人柄がいいって噂
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