「儀式」が始まった。
リングの中央で向かい合って立つ緒方と藤堂。
静謐な眼差しで藤堂を見つめる緒方とは対照的に、藤堂の視線は刺々しく怒りを秘めているように見えた。
「はじめっ!」
竜崎の合図の声。
二人の筋肉男がショートタイツを脱ぎ始めた。
シューズやニーパッドを着けていないため、タイツを脱ぐと一糸纏わぬ姿となる。
この10日間あまり、特訓場に入ってからは完全には脱ぐことのなかったショートタイツ。
当然洗濯などしておらず、雄の様々な体液を吸い取り続け蓄積させた小さな布。
藤堂は、太助から託され今回の闘いに穿くことを決めたオレンジのタイツを、正面に立つ緒方に手渡した。
緒方からは、ダークレッドのタイツが手渡された。
ほのかに湿ったそれを手にした時、藤堂は図らずも動悸の高鳴りを覚えた。
地下プロレスの新レジェンドの一翼を確実に担う男のショートタイツ。
初めて会った時からこれまでの緒方の振舞いに拭いきれない不信感を持っているとは言え、噂の男の下半身から放たれるオーラには藤堂も唸らざるを得なかった。
あの見る者を惹きつけてやまない股間の膨らみ、間違いなく創造主の作品の最高峰と言える堂々たるケツ。
このタイツは、その一部なのだ。
「次っ!」
再び竜崎の掛け声。
緒方がさっと藤堂から渡されたタイツに足を通す。
その優雅な動きに、藤堂は一瞬我を忘れた。
竜崎の射るような視線を感じ、藤堂は赤いタイツを急いで穿いた。
(な・・・・、ん・・・だ・・・・こ、この感覚・・・・・)
タイツにはまだ緒方の体温が残っていた。
まさに人肌の暖かさで、己の男根に吸い付くようにフィットする薄い布。
ケツノ割れ目に自然に食い込んでくる感触は、まるで生地が意思を持っているかのようだ。
同じパセリ製のタイツなのに、自分のや太助のタイツを穿いたときとはまるで違う。
はっと藤堂は気付いた。
これは緒方のためのテーラード・タイツ。
自分の下半身にぴったり張り付くようでいながら微妙に感じる違和感の正体は、タイツが緒方の男根とケツを記憶しているからなのだ。
この感触は、言わば、緒方の下半身に包み込まれている、そういうことなのか?
藤堂はたちまち勃起した。
ぐんぐんと膨張する海綿体が、タイツの赤い生地を伸ばし、その伸び具合が緒方の勃起男根を再現する。
緒方のマラと自分のマラが擦れ合っているような幻想にに陥っていく。
未体験の快感にクラッっとなりながら、藤堂はかろうじて立ち姿勢を崩さずにいた。
向かいに立つ緒方に目をやると、自分のオレンジタイツを穿いた緒方は、
勃起していた。
藤堂の男根からカウパーが潮吹き並みに溢れ出た。
「タイツは男の闘いの装束。
余分な着衣を省くことで野性を呼び覚まし、また衣を纏うことで人間の人間たる感性を研ぎ澄ます。
生物の雄として、人間の男として、もっとも最適で神聖なアイテムなのじゃ。
そのタイツを共有する。
儀式はそこから始まるのじゃ。」
儀式に先立ち、竜崎は皆にそんな説明をしていた。
男の象徴を守り、飾る、ショートタイツ。
ここに集うものは誰もがそれの持つ崇高な意味を理解していた。
「次っ!」
3度目の合図で、緒方と藤堂の腰は密着した。
先ほどタイツの感触によって疑似体験した男根接触が、ほぼ現実となった。
二枚のタイツ越しに触れ合う二本の男根。
緒方の掌が藤堂のケツをガシっと掴んだ。
より強く擦り合わされるモッコリどうし。
「あおおっ・・・・」
藤堂はあまりの刺激にたまらず声を上げた。
緒方の指がタイツに侵入し、より深く藤堂のケツを掴み揉む。
「ああっ・・・!」
藤堂は知らぬ間に緒方のケツに手を回していた。
ケツ肉を掴むと強靭で柔らかな筋肉が指先を跳ね返す。
「んぬお・・・」
忘我の境地で藤堂は緒方の腰を乱暴に引き寄せた。
兜合わせがより強固に完成された。
「藤堂さん、アンタのプロレス魂が伝わったよ。
タイツを穿けば解かる。
アンタのプロレス道が、男道が・・・・」
この声は・・・・
緒方が喋っているのか・・・?
目を開けると、緒方は軽く眉間にしわを寄せて喘いでいるように見えた。
(緒方が・・・・感じている・・・・?)
さっきの声は一体どこから?
まさか、俺の脳内に直接語りかけてきたというのか?
「ああっ・・・」
緒方の喘ぎ声だ。
緒方が、俺のタイツを穿いて、俺とチンポをこすり合わせて感じている・・・・。
藤堂は、突如自分が完全に理解されたことを知った。
自分が性に目覚めてから、ひたすらプロレスに心血を注いできた今までの道のり。
プロレス人生が、ダイジェストではなく完全なディレクターズ・カット版で超スピードで脳内再生された。
これが・・・・走馬灯?
ぶびばっ!
場にそぐわないお茶目な音を立てて、
二人の筋肉男の密着する腰の隙間から、夥しい量の精子が溢れ出た。
つづく
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