グレーのグラデーションがカーテンのように垂れ込める空。
黒い点がポツンと現れたかと思うと、見る間に大きくなっていった。
雲を切り裂いて落下してくるのは、あれは・・・!?
緒方大輔と黒杭大凱だ。
全身を鎖でグルグルに巻かれた緒方を逆さに抱える黒杭。
緒方の後頭部は丁度黒杭の黒タイツの股間に当たっている。
タイツはグッショリと濡れ、信じられない大きさの盛り上がりをヌラヌラと淫靡にテカらせている。
ビクビクと落ち着きなく動くモッコリから、カウパー氏腺液が止め処もなく溢れ出しているのだ。
緒方のダークレッドのタイツのケツに埋められた黒杭の顔は、表情こそケツに阻まれ伺えないものの、その眼光が至高の喜びに満ち満ちているのが解かる。
緒方の股間は・・・・
きっと何度も射精したのだろう。
タイツの赤が見えなくなるほど白い粘液がべったりと付着していた。
そして、今もなおフル勃起状態でショートタイツに卑猥な突起を形作っている。
半開きの口からは涎がすごい勢いで上空に吹き飛ばされている。
白目を向いた眼は、緒方の意識が危ういことを物語っていた。
凄まじい速度で落下しているはずの二人の様子が、こんなに克明に見えるのはどうしてだろう?
視点は一定せず、まるで画面が切り替わるモニター画像を見ているようだ。
落下する二人を見上げる位置に視点が戻る。
黒い点がぐんぐん大きくなる。
まもなく墜落だ。
ここは・・・・?
ここはリング?
周りは奥行きも定かでない白い空間だ。
空中に浮かんでいるかのような不思議なリングに自分はいる。
ドガシャーンッ!!!
自分の立ち位置に戸惑っている間に二人がリングに激突したようだ。
チェーンで拘束された緒方が、文字通り脳天杭打ちの形でリングにめり込む。
その光景はスローモーションで、緒方の吐く血反吐の飛沫までハイビジョンで捉えていた。
黒杭の狂気に満ちた、それでいて獲物を仕留めた雄の、興奮と冷徹さが一体となった獣の眼光まで。
ズゴーンッ!!!!
隕石の落下のような衝撃が後からやってきた。
リングは二人の衝突点から波紋のように崩壊していった。
バラバラと降り注ぐリングの破片。
瓦礫に半ば埋もれた全裸の男が見える。
下半身は複数の男のものと思われる夥しい量の精液にまみれている。
その表情から意識は無さそうだが、陰茎は激しく勃起している。
あれは・・・・あれは俺だ・・・・・・・
がばっ!
悪夢から目覚め跳び起きた藤堂猛は、ゼエゼエと荒い呼吸だった。
特訓場の煎餅布団は汗でぐしょぐしょになっている。
(な、なんなんだ今の夢は・・・・・・?)
「どうしました?随分うなされていたみたいですが。」
隣では桜井勇治が青いタイツのまま仰向けに横たわり急所マッサージを受けていた。
揉んでいるのはラーの弟子のマッチョ看護師、ゴリ子だ。
日夜激しい「金トレ」に励む桜井は、睾丸のメンテナンスにも気を抜かない。
男の精巣を熟知するゴリ子は、桜井にはうってつけのトレーナーとなった。
「うーん、この大きさと硬度はなかなかいいわね。
順調よ。桜井ちゃんのタマタマ。
でももうちょっと柔軟さもほしいわ。
あんまり硬すぎると逆に耐久性が落ちるもの。
あ、ゴメンナサイ。
お話を邪魔しちゃったかしら。」
ゴリ子の的確な施術により、桜井の青タイツは盛大に盛り上がっていた。
「藤堂さん、寝言を言ってましたよ。
オガタ、オガタ・・・・って。」
「俺が・・・・?あんな奴の名を・・・・?」
あいつを仲間とは認められない。
藤堂の胸の内には緒方に対する不信感がつのっていた。
だが・・・今の夢は・・・・
まさか俺はあいつを心配しているのか?
それとも・・・
あの夢は虫の知らせ・・・・正夢・・・・・
藤堂は、太助から託されたオレンジタイツの股間にそっと手を置いた。
自分のモノは、ビンビンに勃起していた。
桃の花が香る美しい広場で、大岩瞬は一心不乱にスクワットを続けていた。
可憐なピンクの花に囲まれて、新調したグリーンのタイツが若々しく映える。
はっはっ・・・と規則正しい呼吸、乳酸のたまり具合が心地いい。
イメージするのは古いビデオで見た地上のレスラーのトレーニング風景。
ハワイだかサイパンの海辺で、黒い超ビキニでスクワットをするガチムチ野郎。
子供心に衝撃を覚えた映像だ。
ケンスケはエロいなー。
ああいう固太りのボディーって、男らしさがムンムンでむせちゃいそうだよ。
おんなじDEBUでも、相撲取りチックな毬っぽい身体は最悪だもんな。
おまけに白かったりするとキモくて・・・・
まあ性嗜好はそれぞれだけど、俺はごめんだな。
ケンスケの日焼けしたガチムチボディーに抱かれる夢想で何度ヌいたことか。
大岩がトレ中に雑念を抱くのは、無心になろうとすると、ある考えが心を支配してしまうからだ。
リング上でぼろ雑巾のように叩きのめされ、陵辱される自分の姿。
圧倒的な雄の力を見せつけられ、敗残者として身体を汚される惨めさ。
しかも、それを俯瞰するのは自分の意識だけではない。
誠二が、自分の愛する者がそれを見るのだ。
おっと危ない・・・・ケンスケのあのビキニは際どかったな~
チン毛とか剃ってたんだろうな。
後輩に剃らしてたりしたかな。
その場合は後輩はチンコつまんで持ったりしたよな。
ケンスケ、勃起したかな・・・・・
「不安だよな。」
大岩の夢想を断ち切るように声をかけたのは、桃の木立から現れた朝倉大悟だった。
松葉杖を突いているが、白いタイツ姿だった。
山の特訓場に入る男はショートタイツしか身に着けることを許されない。
大けがを負っていても、レスラーならばなおさらだった。
「愛する男の前で、他の男に犯される屈辱。
しかしそこに潜む淫靡な快楽の罠。
並みの男には耐えられない。
俺は良く知っている。」
淡々と語る朝倉の端正なマスクには、以前には見られなかった陰が浮かぶ。
かつて地下の練習場で、緒方と朝倉と大岩と3人で笑い転げた日々が大昔のようだ。
大岩はスクワットを止め、思わず込み上げた涙を拳で乱暴に拭った。
「俺は・・・・
俺はたとえ陵辱の限りを尽くされたとしても、心は誠二にあります。」
「甘い。
お前、犯されるだけでなく殺されるぞ。
このままでは。」
「ぐ・・・・」
大岩は心の奥底に封印していた恐れを突かれ絶句した。
「大岩、もう俺の事なんか信用できないかもしれない。
だが、一度だけ俺に仕事をさせてくれ。
お前には絶対生きて戻ってきてほしいんだ。」
大岩はもう溢れる涙を止めることが出来なかった。
「大悟さん。俺はずっと大悟さんを信じてたっす。」
「瞬・・・・」
さーっと吹いてきた春の風に、桃の花弁が二人を囲んで渦を巻いた。
「俺の必殺技をお前に伝授する。」
運命の決戦まで、あと一週間だった・・・・・
つづく
- 関連記事
-