真っ白な空間。
キューブリックのセットを思わせる影の無い部屋。
床にも光源があるのだろうか。
ただただ白く広い部屋の中央に、黒くそびえ立つのはマルチ・トレーニング・マシン。
無機質な冷たい風景の中、生命体の気配を空しく発するのは不破晃司だ。
ここは黒杭組のウェイト・トレーニング・ルーム。
はあっ・・・くっ・・・・・はあーっ・・・・・・くっ・・・・・
不破の荒い息遣いは、音響を制した室内でどこにも跳ね返ることなく、白い空気の中に散っていった。
迷彩柄のビキニパンツとスニーカーのみで黙々とベンチプレスに励む不破。
大胸筋が、この部屋の有機物の象徴であるかのように躍動する。
汗の吸収能力の飽和に達したビキニパンツから滴が落ちる。
ピシャ・・・
僅かな音に反応した掃除ロボットが、これまたささやかな機械音をたてて床を滑るように近づいてくる。
ういーん
地上のルンバによく似たロボットが、あっという間に不破の汗を除去する。
まるで生命の痕跡を消すように。
まおーん
壁の一角が奇妙な音とともに四角く切り取られた。
そこから入ってきたのは黒杭大凱だ。
光沢のある漆黒のビキニパンツ。
「大凱さん・・・・!」
不破はベンチを直ちにやめ、黒杭の元に走っていった。
滴る汗をロボットが忙しなく追いかける。
「仕上がりはどうだ?」
黒杭に言葉をかけられたことに舞いあがる不破は、黒杭の前に跪き、上気した顔を上げた。
「バッチリ・・・い、いや・・・完璧です。大凱さん。」
黒杭は無表情のまま不破を見下ろす。
「そうか。」
やにわに、黒杭は不破の金髪を掴んで自分の股間に押し付けた。
「ふんぐっ・・・」
不破は、黒杭大凱のモッコリに自分の顔面が触れていることに歓喜し、そして慄いた。
地球上のあらゆる雄の頂点を勝ち取るためのリーサル・ウェポン。
薄ーい布を隔てたそこに在るモノは、禍々しい神器だった。
「コウジ、今度の決戦では期待しているぞ。
お前のイカれた感性を思う存分発揮するがいい。」
ビキニパンツの中の〝モノ〟が直接脳内に語りかけている・・・・。
不破にはそう感じられた。
「ただし・・・・・
不甲斐ない試合をしたら、お前を消去する。」
えっ・・・・!?
思う間もなく、黒杭はビキニパンツをずり下げ、怒張した〝モノ〟を不破の喉深く突き刺した。
「んぐぅっ!」
あまりに巨大なモノが、錨のように口内に根を張り、不破の顎は完全にロックされた。
苦痛と恐怖で、涙が溢れる。
だが、同時に鼻腔内を暴力的に刺激する野性の臭いと、味蕾がひれふすほどの〝モノ〟の味に、不破の男根は瞬く間にフル勃起し、迷彩パンツの柄を歪ませた。
「お前は悪の使途たるレスラーなのだ。
それ以外存在価値はない!」
黒杭が腰をグラインドさせる。
〝モノ〟の錨に捕らえられた不破の首が左右に振られる。
次第に大きくなる腰のうねり。
遂に不破は身体ごとブンブンと振り回されていた。
首を守るため必死で頭を両手で押さえる不破。
(こ、この方は・・・・本当に神なのか・・・・!?)
陰茎一本に振り回される木の葉のごとき己の身体。
常軌を逸した男根式ジャイアント・スイングに、不破の思考は停止し、あっというまにトランス状態となった。
(ああっ!大凱様!ああああっ!俺を、俺を食ってーっ!)
迷彩ビキニの盛り上がりの先端から夥しい量のザーメンが吹き出した。
汗の一粒もない黒杭が呟いた。
「壮行の気持ちだ。受け取れ。」
〝モノ〟が一瞬さらに膨張したかと思うと、不破の構内に熱い液体が抽入された。
ずぽっ!
不破の口が〝モノ〟から抜け、部屋の隅に飛ばされていった。
「俺の味を忘れるな。」
〝モノ〟を黒ビキニにしまった黒杭が去ると、壁はふたたび閉じた。
ういーん
ロボットが飛散した精液を回収に回る。
バキッ!
不破の鉄槌が機械を破壊した。
「神のエキスは俺のものだ・・・・・」
不破は白い床に飛び散った白い液を求めて、床を這いずり舐め回った。
「ぐおぅーっ!」
リンゴがくしゃっと握りつぶされた。
大きな拳から果汁を滴らせているのは玉砕坊主グドーだ。
白い越中ふんどし一丁だ。
足元はおろか、10畳ほどのその部屋は、様々なものが散乱していた。
ガラスの破片、プラスチックの破片、何やら機械。
そのすべてが破壊されたなにかであったのだろう。
ミカンやリンゴなども原型をとどめず、その甘ったるい匂いで判別できるのみだ。
四方の壁一面に設えられた棚に、グドーの「餌食」が置かれている。
グドーはそれを次々と手に取り握りつぶしていた。
胡桃を二つ、しばしグリグリと弄んだあと、バキッと音を立てて握りつぶした。
「好調なようだな。」
グドーが振り向くと、いつの間に入ってきたのか黒杭大凱が黒ビキニ姿で立っていた。
「俺の金玉を握れ。」
黒杭が無表情で言う。
「うぬ・・・握れというなら喜んで握ろうぞ。」
グドーの手が黒ビキニの豊かな膨らみに伸びた。
大きな掌があと1㎝で急所に、と言うところでぴたっと止まる。
「・・・・・・・・・」
「どうした?ほら、握れよ。」
黒杭が股間を突きだすとグドーの手も下がる。
グドーは黒杭の急所を見つめたまま大汗をかいている。
「なんだ?俺の玉を握れないのか?
玉砕坊主のが泣くわ。」
「うんぬ・・・・・っぐぐ・・・・・・」
グドーは伸ばした右手に左手を添えて金玉を握ろうとする。
(うう・・・、何故俺はこの金玉を掴むことが出来ないのだ?
あのそそる膨らみを見よ。
実に潰しがいのある玉だというのに・・・・・
だが・・・だがこの玉は・・・・・
なんという不吉なオーラを発しているのだ?
うぐ・・・手が伸びん。
俺の身体が拒否している。逃げろと警告している。)
「お前は役立たずなようだな。」
黒杭の無表情が、目の色だけ変化した。
びくっ!
グドーは部屋中の空気が一変したことを察知した。
充満する殺気。
(ダメだ・・・・逃げることなど不可能だ。)
「ソモサン!」
グドーの右手がついに黒杭の急所を掴んだ。
「おおっ・・・・」
声を漏らしたのはグドーだった。
(な、なんだ?この感触。
あああっ!すごい!
全身がとろけるようだ。
この玉を潰したい!)
極上金玉の握り心地にグドーは我を忘れて右手に力を込める。
指の形に睾丸がひしゃげていくのが解かる。
(ああっ・・・たまらない!
雄の証を破壊するこの感覚!
そして己の雄が潰される恐怖に悶える男の表情・・・・・
・・・・・・?)
グドーは目を疑った。
玉を潰されんとしている黒杭は、眉一つ動かしていない。
「な、ななな・・・ん・・で・・・」
すると、指に伝わるタマの感触が変化した。
指を押し返している・・・・?
キンタマが・・・・・?
あれよと言う間に黒杭の睾丸は鋼鉄のような硬度になっていた。
「ぐぐっ・・・・!どんな術なのだ・・・?」
鉄の塊を空しく握り続けるグドーの手を、黒杭は振り払った。
「まあまあ気持ち良かったぞ。
その調子で奴らのタマを握りつぶせ。」
呆然とするグドーを残し、黒杭は部屋を去った。
褌の中に盛大に射精していることに気付いたのは、数分後だった。
つづく
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