地下プロレス界の永遠のプリンス、タックル。
長きにわたりトップの座に君臨し続け、その肉体は衰えるどころか今なお進化を続けている〝奇跡の戦士〟。
それはもちろん常人には窺い知れない凄まじい鍛錬によるものなのだが、彼はその姿を他人に見せない。
今夜も秘密のジムで、一人黙々と重力と闘うタックルであった。
ワークアウトはもちろんショートタイツで行う。
スパッツや短パンでは最大限の力が出せないと言ったとか言わないとか。
タックルはショートタイツを脱ぐと老人のようにしぼんでしまう、そんな都市伝説すら流れるほど、タックルのショートタイツ姿は地下プロレス周りの人々の間であたりまえの光景となっていた。
サポート無しで行うフリーウェイトは非常に危険で、ひとりで限界重量に挑むことはご法度と言ってもいい。
だが、タックルはあえてリスクのあるトレーニング法を選んでいた。
鋼の肉体は、命を懸けたウェイト・トレーニングにより維持されているのだ。
「ふーっ・・・・。」
自分との真剣勝負とも言えるトレーニングを終え、タックルはシャワー室に向かっていた。
全身の筋肉をパンプアップするまで追い込んだ後は、ぶっ倒れそうな疲労を覚える。
よたよたとしか歩けない状態で、それでもタックルの心は爽快だった。
納得のいくトレーニングができたからだ。
ケツに張り付くタイツの感触が心地いい。
汗に濡れたタイツに透ける男根が壁の大鏡に映っている。
シャワー室の扉を開けたところで、突如タックルの記憶は途切れた・・・・
意識が完全に閉ざされる瞬間、クロロフォルムの匂いを感じた。
気付くと、虎チェーンにより吊るされ金属バットで滅多打ちにされている自分。
ハードなトレーニングの後で乳酸がたまりにたまった筋肉に、無機質な銀色の棒が何度もめり込む。
「タックルさん、秘密のトレ部屋を見つけ出すのは大変だったよ~。手間かけさせないでよね。」
この声は・・・・?
「覚えてる?オイラのこと。忘れちゃったかな~。オイラはアレだよ。ほら、デビル・グリズリーのマネ。思い出した?」
そうか、あの極悪コンビのマネージャー。チンピラの風体の・・・・たしかヤマザキとか・・・・
「こないださー、アンタやってくれたよね~。うちの二人組に恥かかせてくれちゃったねー。」
先日の新人戦のことか?俺の愛弟子を痛めつけていたグリズリーを半殺しにしたあの・・・・・
「あれはさー、アンタがしゃしゃりでてくる試合じゃないよね。あの坊やにプロレスの厳しさを教えてやってくれってアンタんとこの社長がオイラに頼んできたからさ、それで安いギャラでも引き受けたんだよ、オイラは。」
あの守銭奴社長め、俺のことが気に食わないからって、新人に嫌がらせとはどこまで腐った野郎なんだ。
「それをアンタが乱入してきて、うちの二人組をやっちゃってさ、どーいうことだよってんだ。」
何を言うか。俺が出ていかなかったらあの新人は再起不能にされてるところだ。
「オイラは許せねーな。うちの稼ぎ頭を傷モノにしたアンタが許せねー。だから食らえ!」
ぐはっ!
こ、こんなチャラいヤツ、俺なら小指でのせるだろう。
だが・・・・この鎖が・・・・くそ・・・・!
「うらっ!このくそいまいましい分厚い胸め!いつもはさぞかし得意げに胸張ってるんだろうな!」
ばすっ!
金属バットが乳首もろとも大胸筋をひしゃげさせる。
「太え脚だなー!え!3月から11月まで短パンで筋肉見せつけてるクチだろ!」
ごき!
丸太のような逞しい足の骨まで衝撃が襲う。
や、やめろ・・・・俺の肉体を・・・破壊するのは・・・・・
タックルの生存本能は危険信号を察知し、遺伝子を遺さんと発動した。
「ぎゃははは!おいおいタックルさん!おっ勃って来たじゃねえか!
そうか!アンタの自慢は筋肉だけじゃなかったよな!
オイラとしたことが忘れていたぜ!大事なところをな!」
ヤマザキの眼は完全にぶっ飛んでいた。
彼がプロレス稼業を続けているのは、実は己のひ弱な肉体に対するコンプレックスの裏返しだった。
心の奥底に沈殿し続けたマッチョへの憎悪が、今、マグマのように噴きだし爆発していた。
「アンタの〝男〟を痛めつけさせてもらうぜ。」
虎チェーンが股間を通される。
ヤマザキが滑車のハンドルを回すと、たちまちそのチェーンにタックルの全体重がのしかかった。
急所が猛烈に圧迫され、火花が散るような激痛が襲う。
ケツに食い込んだチェーンはタイツを巻き込み、雄の核である前立腺を容赦なく攻めたてる。
「いい眺めだぜ!タックルさんよ!スカシた勇者ぶったレスラーがいいざまだな!
吊るされて勃起するとはとんだ淫乱野郎だぜ!
キサマが試合中に硬くしてるって噂は本当だったんだな!
自慢の筋肉とモッコリを見せつけて興奮してたんだろ?
まったく憎たらしい野郎だぜ!」
く・・・・
こんなヤツに罵倒されて手も足も出せないとは・・・・
オマエは本当の男を知らない。
本当の男の闘いってものを知らないのだ。
プロレスってのは男が己の肉体を最高に輝かせられる舞台だ。
オマエのように努力もしないで軟弱な身体に甘んじている奴には絶対に解からない。
肉体を晒して魂を燃やすあの恍惚を・・・・・・
「キサマのような筋肉見せつけ野郎は、こんな状況でも自分の姿が見たいのだろう?
見せてやるよ。ほら。
どうだ!この大鏡に映る自分の淫乱な姿は!
ぎゃはっは!
チンコが痙攣してるぜ!
感じちゃったか!?
うら!うらうらうら!」
タックルの潜在意識は気付いていた。
プロレスの深遠な罠に。
強い男たらんと自分を追い込み磨き続ける者は、その肉体が破壊される時にこそ最も高いレベルの快感を得るのだ。
鏡に映る己の悲壮な姿は、磔にされた殉教者のそれだった。
タックルは敗北を悟った。
屈辱、恥辱が絶頂への高まりに拍車をかける。
チェーンがひときわ深くケツに食い込んだ。
「おああっ・・・・!」
男根が盛大に雄汁を噴き上げた。
そして無敵の王者、タックルは泡を噴いて失神した。
※ご本人に提供していただいた画像をもとに構成しました。
おまけ
タイガーの修業時代。
先輩のセクハラしごきに耐えてこそ、一人前のプロレスラーになれるのですね~。