薬物依存は病気である。
一旦、中毒になってしまったら本人の意思のみで抜け出すことは不可能といっていい。
治癒には、周りの人間の理解、関係機関との連携などが不可欠である。
不破晃司は、そういったことから一番遠くにいる。
身内である組関係の者は、不破の身体がクスリに蝕まれることに頓着しない。
本人は自ら進んでヤク中になったと信じている。
破滅に向かって一直線に突き進む、そういう男の生き様に酔っていた。
薬物によって研ぎ澄まされる性的快楽に溺れているとは認識しなかった。
試合前に一発カマしたおかげで、股間の熱さは最高潮だ。
ただでさえ極薄の黒ロングタイツがマラの色を透けさせるほど、不破のイチモツはいきり立っていた。
獲物として差し出された男は相当な上物だ。
大岩瞬。
レスラーとしては小柄ながらバランスの取れたマッチョ・ボディー。
若くしなやかな筋肉を包む皮膚にはくすみひとつなく、キメの整った肌は汗の玉をはじいている。
やや童顔気味の面立ちは、どこまでも真っすぐな少年の純粋さを残していたし、それでいてグリーンのショートタイツに浮き上がる〝男〟は充分に成熟した卑猥さを放っている。
(かわいがってやるぜ。めちゃめちゃにしてやる。)
ゴングと同時に不破は〝獲物〟に突進していった。
光溢れる世界の健やかな肉体を、貪り、汚す。
自称〝崇高なドブネズミ〟たる不破の目的はぶれなかった。
「おーっとー!
不破の華麗な打撃技が炸裂だーっ!
中段鳩尾にワン・ツー!
身体を折った大岩の顎にアッパー!
倒れるところをタイツを掴んで膝蹴りが腹を抉るーっ!
これは強烈!
大岩の口から白い液体が放物線を描いて飛んでいくーっ!」
黒いロングタイツがボクサーチックな不破の動きを淫靡に彩る。
股間の髑髏は勃起によって表情が歪み、完全に悪魔の相と化していた。
ケツの筋肉が、黒を纏ったことによってより収縮具合を克明に表出する。
繊維の一本一本が破壊行為に悦んでいる様が解かるほどに。
「一転、グラウンドの責めに出たぞーっ!
こ、これはいきなり裸締めかーっ!?
いや、首のホールドは片手のみ。
右手が大岩の顎をガッチリと押さえ、左手は、な、なんと身体中を撫でまわしているーっ!
これは屈辱的!
大岩、必死で身体を捩るが、不破の両足が完全に胴体に絡みついていて動けないーっ!
ああっ!
不破、大岩の身体を撫でまわしながらさりげなく乳首を刺激しているぞーっ!
武骨な指が桃色の若い乳首を犯しています!
ああー、張りのある大胸筋の先端が目覚めていくーっ!
固い蕾が寒風の中開花していくようだー!」
不破の黒い勃起は大岩の緑色の溝に突き刺さらんばかりに押し付けられていた。
今が盛りのケツ肉は抜群の感度で不破のイチモツに反応していた。
快感を受け入れまいと足掻く若い大殿筋。
不破と大岩は、それほど歳が離れているわけではない。
にもかかわらず、二人の立場はギラつく中年男とフレッシュな若者の構図になっていた。
大岩の柔らかい健康な筋肉をまさぐりながら、この男が全身性感帯体質であることを不破は見抜いていた。
片手スリーパーに苦しみながらも、ツボへの刺激に思わずビクッと反応する正直な身体。
乳首を十分に温めながらも、不破は敢えてグリーンタイツの膨らみには触れなかった。
不破からは見えづらい大岩の股間が、カウパーの染みを広げていることを確信するだけで今は満足だった。
「おーっとー、ふらふらの大岩を抱え上げた不破、今度はコーナーに逆さ磔だーっ!
性感攻撃についに勃起した股間が晒されたーっ!
不破、ゆっくりと大岩の顔面を踏みつける!
獲物を弄ぶ獣の余裕か!?
悶え苦しむ大岩を不敵な笑みで見つめています!」
不破はひとしきり大岩を踏みつけて楽しんだ。
大岩が身をくねらせもがくほど、グリーンのタイツが股に食い込んでいく。
カウパーに濡れたタイツガ亀頭を刺激するのだろう。
モッコリの度合いがより鋭く尖っていく。
(おいおい、この初々しさ。
俺もドキドキしちまうじゃねえか!
プロレスのエロさにまだまだ染まりきっていない男を陵辱するのがこんなに楽しいとは!
いいぜ。
思う存分プロレスの魔力を叩き込んでやるよ。
オマエにとっては最初で最後になるだろうけどな。
めくるめくプロレス昇天の世界へようこそ!)
不破はひらりとコーナーに上り、鉄柱に腰かけた。
上から眺めると大岩の股間へのタイツの食い込みがより生々しく確認できた。
ヤク中の悪魔はほくそ笑みながら、グリーンの膨らみに片足を置いた。
リングシューズを通しても、覚醒剤によってビンビンに冴え渡った不破の五感は、二つの玉の感触をしっかり捉えていた。
男の最大の弱点に触れられ、大岩がジタバタともがく。
(さーて、入り口は地獄でも中は天国かもしれないぜ。
それはオマエ次第だ。
オマエのプロレス感度を試してみようぜ。)
不破がつまさきに力を込める。
ギリギリと踏みつぶされていく大岩の睾丸。
巨大スクリーンに映し出される急所破壊の克明なシーンに、悲鳴と怒号が溢れる会場。
大岩の断末魔の呻きは完全にかき消された。
つづく
- 関連記事
-