緒方大輔は滝に打たれていた。
ダーク・レッドのショートタイツが濡れそぼり、男根の形状をくっきりと浮き上がらせている。
山奥の訓練施設に到着してから、このタイツは排泄の時以外脱いでいない。
もはや緒方の皮膚になったかのごとく、その強靭な肉体の一部としての佇まいである。
ライディーン竜崎の究極の技を体得するための特訓は想像を絶していた。
3人の教官との実戦。
3人はあらゆる性感攻撃、反則攻撃を駆使して緒方に襲いかかった。
白パンツの男がいきなり男根を取り出し、緒方に顔射した。
ありえない目潰しにひるむ間もなく、モスグリーンのビキニパンツの男に羽交い絞めにされた。
黄色パンツが嵐のようなパンチの連打を緒方の腹にブチ込む。
たまらず膝から崩れ落ちた緒方のケツに、竹刀の先端が突き立てられる。
絶叫とともにリング下に落下した緒方を、3人は近くの杉の大木にロープで固定した。
容赦のない鞭打ちが始まった。
血まみれでぐったりとなった緒方の金玉をそっと握る白パンツ。
「オネンネの時間にはまだ早いぜ。」
突如睾丸に加えられた凄まじい力に、緒方の呼吸が一瞬止まる。
そのあいだにも他の2人によって、乳首には緩急つけた愛撫がなされ、尻の割れ目にねじ込まれた指は、タイツ越しに肛門をいじり倒していた。
「おああぁぉ・・・・・」
たちまち果てる緒方。
この地獄のスパーリングは何時間も続いた。
数え切れないほど精を放出した緒方に、夜の特訓が待っていた。
教官たちとの4P。
3人に挿入し、イカせるまで睡眠をとることは許されなかった。
2人までなんとかイカせ、最期の黄パンのケツにバックから挿入したとき、緒方はとうとう意識を失った。
視界が完全に闇に飲み込まれる直前、モスグリーンパンツのつぶやきがかすかに聞こえた。
「おいおい、こんなんじゃ絶倫ライディーンの息子に勝てるわけねえぞ・・・・」
今、滝に打たれながら、緒方は「ライディーンの息子」に思いを馳せていた。
ライディーンの息子・・・・・
それは・・・・・
都内のタワーマンションのペントハウス。
黒杭大凱は全裸で壁一面ガラス張りの窓から夜景を眺めていた。
ガラスに映る超像のような肉体。
「父」から聞かされた自身の出生の秘密は、この鋼の肉体の裏付けなのか。
自分が黒杭嘉右衛門の血を一滴も受け継いでいないと聞かされても、心の乱れを感じることはなかった。
むしろ、すでに知っていることを改めて聞かされたような煩わしさに苛立ったほどだ。
ただ、性欲が異常な高まりを見せている。
部屋の中央のダブルベッドでは、朝倉大悟が全裸で横たわっている。
大凱の常軌を逸した責めに失神しているのだ。
(やはり俺は獣の血を引いていた。)
黒杭大凱の真の父親はライディーン竜崎だった。
圧倒的な雄力で地下プロレスの頂点に君臨し、〝殉職〟した男。
そして母は・・・・!?
黒杭組長に囲われていた元女子プロレスラーだと聞いていたが・・・・
その女もとんでもないケダモノだった。
ケダモノの性欲はまさに底なしで、嘉右衛門も持て余していたが、その性技は超絶であったという。
嘉右衛門の子種は、彼女の中で芽吹くことなくことごとく死に絶えた。
長子を切望していた嘉右衛門にとって、石女の愛人は不要であったが、すでに蜘蛛女の性の網に絡め取られていた御曹司は、手を切れずにいたのだ。
そんな折、嘉右衛門の地下プロレス観戦に同行した彼女は、一人のレスラーを見てあからさまに発情したという。
それはもちろんライディーン竜崎だ。
気高い雄として衆道の道を歩んでいたライディーンが、下劣な女を視界に入れることはまず無かったはずだ。
ある日、興行終了後に愛人の姿が見えなくなり方々を探し回っていた嘉右衛門は、選手控え室で信じられない光景を目の当たりにしたのだ。
それは、試合で射精したライディーン竜崎のショートタイツを陰部に擦りつけ、恍惚の雄叫びをあげる奇怪な牝蜘蛛の姿だった。
嘉右衛門はあまりの恐怖に戦慄したが、その光景から目が離せなかったという。
人間と獣の境界線上にいる女に、これまで以上に興味を抱いている自分を発見したのだ。
極道の家系に生まれ、およそ通常とはかけ離れた人間観を持った嘉右衛門には、おぞましいものに惹きつけられてしまう感性が根付いていた。
(面白い・・・・)
その日から嘉右衛門が化物女と同衾することは一切なくなった。
その代わり、地下プロレス観戦に必ず彼女を連れて行き、異常な自慰行為を観察しながら自身も昂る、という変態的な習慣が出来上がった。
そして、化物は孕んだのである。
常識では絶対考えられない受精劇の末、黒杭大凱は生まれでてきたのであった。
そこには愛などというものはひとかけらも存在しない。
男の肉体同士がぶつかり擦れ合って放出された精の残骸が、妖怪にも等しい淫乱女に取り込まれ、奇跡的に〝命〟になった。
それがこの俺。
「ふっふっふっ・・・・」
いつしか黒杭大凱は笑い出していた。
(やはり俺は神の子なのだ。汚らわしい愛憎の廃棄物ではないのだ。)
世界中の男を食い尽くすことだってできそうな気がしていた。
知らぬまにいきり勃っていた大凱の巨根は、まったく手を触れることなく豪快に射精した。
白よりも白い濃密な液体が、高級マンションのガラス窓をつたって滴り落ちた。
つづく
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