アムステルダムは雨だった。
オランダ屈指の人気レスラー、エミール・シトシはタイトル・マッチに臨もうとしていた。
試合前に必ず訪れる体の震え。
恐怖・・・?いや違う。
闘うことへの喜びが、俺に身震いさせているのだ。
だが、今夜は全く震えが来ない。
今夜の対戦相手は途轍もなく強敵だというのに・・・・・
ただケツの筋肉だけがヒクヒクと痙攣し続けている。
そう・・・・、俺は敗北を予感しているのだ。
先ほどから意識を集中させて勝利へのイメージ作りを試みているが、
脳裏に浮かぶのはファンの声援の中、奴にいいように甚振られる俺の姿ばかりだ・・・・
俺は負けるのか・・・・!?
奴の必殺技スコーピオン・デスロックに背骨を破壊される俺が見える。
ファンの落胆の溜息が聞こえる。
無敵のチャンピオン、エミール・シトシがマットに沈む・・・・!?
だが、俺は闘わなければならない。
たったひとりで・・・・
ショート・タイツ一枚で闘いに臨む男の孤独はプロレスラーにしか解らない。
鏡の前で長い時間を過ごすエミールを、人は肉体美に酔うナルシストだと思うだろう。
「ふっ・・・」
エミールは軽く笑いを吐き出すと、チャンピオンベルトを手にリングに向かった。
雨の音が、王者の最後に向けた拍手に聞こえた・・・・
↓動画はこちら↓
まあナルではあるんでしょうが・・・・
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自分を奮い立たせるって云うよりも、酔ってますねぇ。
タイツもなんかかわいいし、もっとやられて頂きたいタイプです・・・笑。