(お前が嫌いだ・・・・・!)
タイトル・マッチでスター・レスラーに敗れたグレッグは憎悪の炎を燃え上がらせていた。
とあるインディー団体のエース、クリスチャン・ジェイコブズは、ある夜リングに呼び出された。
呼び出した相手には察しがついている。
先日自分が負かした相手、グレッグ・アンソニーに違いない。
俺の人気を妬み何かにつけて俺を狙い撃ちするイヤな野郎だ、とクリスは憎々しげに奴の顔を思い浮かべていた。
クリスとグレッグはこれまで何度か対戦し、いずれもクリスが勝っていた。
グレッグのヒール・センスには卓越したものがあり、クリスが大ピンチに陥ることもあったが、最後はキッチリ決めるのがスター・レスラーたる所以、グレッグは自分の引き立て役に過ぎない、とクリスは思っていた。
(今夜も何か企んでいるに違いない・・・・・)
それが解っていて敢えてここに来たのだ。
(俺はヒーローだ。闘いに背を向けることは出来ない。たとえ相手がどんな汚い野郎だとしても・・・・)
誰もいない会場にはレフリーのベンも呼び出されていた。
やはり奴はやる気だ・・・・・
クリスは闘いの装束であるショートタイツを着け、小賢しいヒールを待ち受ける準備を整えた。
案の定、背後から闇打ちを狙ってきたグレッグ。
想定内の動きには難なく対処したクリスだったが・・・・・
グレッグの気迫は凄まじかった。
形振り構わず反則攻撃を仕掛けてくる。
誰もいない会場では、ヒーローに送られる声援もない。
クリスは次第に劣勢に追い込まれていった。
「お前が嫌いだ!!!!」
憎悪100%で襲いかかるグレッグ。
初めて敗北の予感が頭をよぎり、クリスの男根が硬くなってきていた。
いつもは封印している「悲劇のヒーロー願望」が、レフリーとカメラマン以外誰もいないアリーナで発動してしまったのだ。
「おいおい、おっ勃てたのか?スカした二枚目面の本性が表れたな。この変態野郎が!」
そう言うグレッグのジーンズも窮屈に盛り上がっていた。
会場内のあらゆる場所で繰り広げられる蹂躙の図。
ストッパーの外れたヒールの本当の恐ろしさに、クリスは今更ながら気付いた思いだった。
(だが・・・・だが俺は負ける訳にはいかない・・・・・)
やられの甘美な世界に飲み込まれそうになっていたクリスは、最後の力を振り絞って悪に立ち向かった。
しかし・・・・・
グレッグの黒い執念の力の方が勝っていたのだ・・・・・
コーナーの机に全身を叩きつけられたクリスは失神した。
「本当に強いのはどっちか解ったか!え!二枚目気取りさんよ!」
口汚く罵るグレッグの言葉は、意識を失ったクリスには届かなかった。
彼は初めて味わう激烈な屈辱感と快感の濁流に押し流され、彼方の世界に行ってしまっていたのだ。
(あーあ、まじでイッちゃったよ、この人・・・・・・ヤバくね?)
レフリーのベンは大男のタイツの染みを目の前にして溜息をついた。
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エンプティー・アリーナ・マッチ・・・・エロいかも
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